この地球で使われている機動兵器の総称は、戦術機と言うらしい。
それぞれ付けられてる機体ナンバーやペットネームが俺達の地球での戦闘機にそっくりなのは何かの因縁を感じる。
BETAに空を奪われたこの次元の人類は、戦闘機ではなく戦術機という形でBETAに反抗する力を形にしたのだろうと思う。
まだ2000年にもなってない段階で人型の巨大な機動兵器が動いてるって知った時には『嘘だろ?』って聞き返したくらいである。
ハコさんに言わせると、ハリボテ以外の何物でもないって言ってはいたがチャンと兵器としての基本は抑えられているみたいだ。
但し、戦術機に搭乗するパイロットにはとことん優しくない設計となっているのは頂けない。
コックピットにモニター類は無く、網膜投影という技術で各種情報を視覚情報として詰め込まれる。
これ、絶対に酔うだろう。
耐性の無い人は絶対に乗れない人だろうと思う。
耐性があっても体調が悪かったりしたら覿面だ。
俺は乗りたくない。
機体側には、対G装備らしき物はほとんど無く、強化装備という対Gスーツを着て操縦するらしい。
その姿は、競泳水着の様な物で流石に露出は少ないがシルエットがバッチリとうかがえる代物であった。
BETAと戦う前に羞恥心との戦闘が有るとか止めて欲しい物である。
ジェネレーターは、本体には燃料電池及びマグネシュウム電池、両足に跳躍ユニットと呼ばれるジェットエンジンを装備しているので基本燃料はジェット燃料のようだ。
機体バランスなどを考えるともう少しパワーが無いとアレだけの巨大を動かすのには約不足だろうと思う。
燃料も無制限に積めるわけではないだろうし活動時間は限られるだろう。
精々4~5時間動けば御の字なのではないだろうか。
機体の中心素材は、スチール製でとても重い。
装甲材はジェラルミンだろうと思っていたらなんと樹脂製であるらしい……スターライト樹脂ってどっかで聞いたことが有るぞ。
確か英国のアマチュア研究者が開発した数秒なら1万度の熱にも耐えられる夢の素材で、NASAや多くのテクノロジー企業からラブコールを貰っていたがその製法を公開する前に研究者が他界してしまい、文字通り幻の超素材となっていた物のはずだ。
この次元では実用化された様だね。
耐熱性は良いとして鉄よりも耐久性が有ったかは疑問が残るんだけどね。
でもこの特殊樹脂製の装甲材も光線属種のレーザーには耐えられないみたいだ。
四肢を動かしているのはモーターでは無く、
だから本体内には燃料電池を積んでいるってことなんだね。
う~ん、微妙だ。
納得いかない……鎧や外骨格と言うよりは搭乗型の人型機動兵器って事なんだろうね。
やっぱりロボットの部類になるのだろうか?
俺達が使ってる戦闘用ハードスーツは、倍力機構を採用した一種のパワードスーツだ。
有りと汎ゆる防御機構と安全装備が付いた動甲冑、言わば
だから搭乗者とは言わず装着者と言い、使用者の身体能力がそのまま反映される。
極端な話、何でも出来る。
おそらく人体で出来ることは何でも出来てしまうのだ。
それこそ発勁や気功法なんて反則技も再現できてしまうのだから反則である。
ちなみにメローペの操る
特殊流体金属とナノマシンからなるでっかい巨人なのだ。
だから宇宙船でありながら近接格闘戦も出来てしまうのである。
恒星間宇宙船としての性能をそのままに人型で戦える反則兵器なのだ。
(亜光速戦闘だろうが空間跳躍戦闘だろうが砲撃戦闘だろうが、それこそ殴り合いでもやろうと思えば出来てしまう。確か巨大怪獣の餌やりなどもメイドさんとしてやっていた)
さて、ハコは俺に向かって言っていた。
『ウンサンギガ製の戦術機を作るんですね?』って。
俺は、遊びだとは言ったがどうしよう?
まあ、構想だけでも練ってみよう……アルキオネ辺りが形にしちゃいそうだけど。
まず構造材としては、チタン素材を採用することにした。
チタンは割と何処にでも存在する物質だ。
軽いが固く対熱性・耐食性が高く、反面加工が非常に難しい物質でもある。
しかし、化学変化に強い事から生体素材の材料によく使われる。
そう、俺達はナノマシンの素材として大量に所有しているのだ。
そして今回は、形成時に一工夫して金属分子をガス化形成することで発泡金属としたのである。
発泡金属化したことで強靭で軽く耐熱性能は抜群だ。
その代わりと言っては何だが、一体形成した後の加工が非常に難しい物になってしまった。
細かい加工ができないなら最初から細かくしてしまえと言う逆転の発想で、部品は細かいブロック状に作成し組み立てる方式を採用した。
必然的に人間の骨のように細かいブロックが連結してフレキシブルに動く形を取り、それに肉付けするように内部構造を組み上げてゆく。
ムーバブルフレームをもっと人体に近づけた様な形になったと言ってよいだろう。
発泡金属を使用したので無垢の素材を使用した場合の4分の1程度の重量で収まった。
重量が4分の1ということは、最初に用意した物で4台作れるということで基本フレームは皆一緒で4台分作り、武装や装備、デザインなどを変えることにした。
最初の試作機なのでメインジェネレーターには小型次元転換炉を採用した。
宇宙船を飛ばせる出力の物なので過剰出力だが試験機なので余裕を持たせてある。
マスプロモデルには小型のプラズマジェネレーター(水素核融合炉)を使用する。
これならばバレても何とかなる……だろう。
たぶん大丈夫……だよね?
融合炉も水素燃料が満タンならば1ヶ月程は連続運用が可能である。
小型とは言え次元転換炉は永久機関なので、その限りではない。
そして出来上がったのが……全高16m、機体重量7t、全備重量13tの人型、
非常にスマートで女性的なシルエットをしているので、機体名はワルキューレとなった。
YWータイプ0と1が次元転換炉装備、タイプ2と3が融合炉装備の機体となる。
フル装備で13tに収めるのは非常に苦労したのだが、機体内部と装備各種にグラビコンを組み込んだので稼働時は自重をずっと軽くすることも可能になった。
次元転換炉モデルならこの状態で空を飛べる。
融合炉モデルだと自重を軽くして周囲に斥力場を発生させるのがやっとだった。
ベース機は非常にスマートな人型だが追加装甲と武装用バインダーを装備する。
各所に超小型のグラビコンを装備しており、アポジモーターや噴射ノズルの代わりをする。
武装用バインダーはフレキシブルな盾の役割の他に内側に武装の固定、飛行時は渦動してウイングの代わりを行う。
装甲表面は、鏡面処理されたウロコ状でレーザーはほぼ100%反射拡散させる事が出来る。
加えて斥力場を発生させれば物理運動的な物はだいたい減衰してくれる。
弾丸や破片などは速度を減衰させて装甲表面で
起動時などは空力制御の他に重力制御、慣性制御も同時に行うので管制AIがサポートする形になる。
各種制御系を見ながら機体の操縦など俺達みたいに
コックピットには全天周囲モニターを使いたかったのだが、アルキオネから待ったが掛かったのでVRヘルメットを使用する事にした。
これなら、ヘルメットに個体識別のロックをかければ乗り逃げされる心配もない。
実は、この機体ドール化が可能だ。
管制AIが関わった時点でパイロットが必要なくなったとも言えるのだがAIにも向き不向きが存在するらしくシスターズの中でも動かせるのはメローペとハコぐらいだった。
実際にメローペにリモートコントロールさせたらパイロットが乗るより正確にスムーズに動かしやがった。
逆に人が乗ると色々と制限されるので『面倒くさい』とか言われてしまった。
そんな訳で直接乗り込まなくても、メガフロートにシュミレーター席を用意してVRヘルメットを被ればリモコンで操縦できてしまうのであった。
最悪ワルキューレが第三者に強奪されてもメローペが操縦を乗っ取ってしまえば良いらしい。
パイロットが気絶した場合や寝てる間に管制AIが操縦してオートで帰投するなんてことも出来る。
俺が試験機を4機作ってる間にアルキオネとメローペが手伝って嫁達の分やシスターズの機体が出来上がっていた。
此方は全機次元転換炉装備の機体である。
基本的に次元転換炉装備の機体は身内の者しか製造しない。
何か色々と改造されているが俺は一切関知しない、見なかったことにしよう。
更には、ハコによってマスプロ品の製造ラインが出来上がっていたのには驚いた。
こちらはタイプ2とタイプ3の融合炉装備の機体で、初期ロットで500機が製造予定らしい。
ラインは既に稼働状態で、目の前には先行生産されたそれぞれ10機ほどが並んでおり、メローペが走らせたりジグザグに行進させたりして遊んでいる。
武装していない機体のみの状態だ。
これから各種装甲や武装にオプション装備などを付けての試験を行う予定である。
融合炉装備の機体は、光学迷彩は使えるが位相差迷彩が使えない。
対電子戦に関しては管制AIの独壇場と言って良いので心配はしていないが、ECM装備は完備させた。
平気で核を使う連中なので注意が必要だ。
燃料の水素は、海水をろ過して飲料水や農業用水に使用するため真水にしている過程で、更に一手間加えて水素を生成している。
海藻から擬似的な石油を作ることもできるが、推進剤やジェット燃料などは現在使用しないのでこちらはほとんど生成していない。
武装だが有り余る電力を使用して弾体を射出するリニアガンを主兵装にすることにした。
弾体の種類を変えることで徹甲弾、炸裂弾、榴弾等に対応する。
副武装として腕部と頭部、腰部後方に小口径のビームバルカンを装備する。
こちらは弾切れ無しの対人・小型種用である。
近接武装として脚部と肩部に左右2本ずつ高周波振動ナイフを装備した。
両拳に指ガード用のナックルガードを装備、斥力場をまとわせての重力パンチが可能である。
リニアガンは、左右腰部フレキシブルバインダーに懸架される。
機体各所のフレキシブルバインダーを羽の様に揃えてウイングキャリバー形態とすれば、高速飛行が可能となる。
後背部、腰から斜め下へスカート状に広がったフレキシブルバインダーを展開、ホバー状態での移動が可能である。
オプション装備はこれから色々と考えるとしよう。
どうしてこうなった?