ヴリトラハン   作:雀盆

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この先設定資料がちゃんと必要だなと思ったので細かく書き込んでたんですけど、小説本文よりも多くなりそうで書く手が止まってしまいました。
更新は来週月曜です。




新たなる夜明け

 

「ここがローグタウン!!海賊王が処刑された街!」

 

 東の海から偉大なる航路(グランドライン)に入る為に多くの船が立ち寄る街がローグタウン。ここはかつて海賊王ゴールド・ロジャーが処刑された土地。今もその処刑台が一つの観光地として残されている。そして、ここは四つの海に繋がるリバースマウンテンがある海域に位置するため、東西南北の魚介が棲息する土地として地元では有名なのだ。

 そのローグタウンに麦わらの一味は上陸していた。それぞれグランドラインに備えるために一度物資を集めることに。

 ルフィは憧れの海賊王が処刑された処刑台を見物に。

 ゾロはバラティエにてミホークによって砕かれた刀を調達する為に。

 サンジは次の島に辿り着くまでの食料の調達。

 ウソップは今後自身が使用する武器や罠の開発に必要な機材や火薬の調達。

 ナミは自身の服やアクセサリーや美容品などの買い出しに。

 彼らが購入するために必要なお金はナミによって管理されているため、それぞれに渡されたお金はナミによって調整されていた為、航海に必要な食料や私欲に使うお金以外は少数しか渡さなかった。

 

「おい、これじゃあ刀一本買えるかどうかなんだが」

「うるさい。そんなこと言うなら返してもらうわよ」

 

 その姿に耐えかねたイオリは「何やってんだこいつら」とため息を零す。

 

「ゾロ、俺の金渡してやるから使い頼んだ」

 

 そう言ってゾロに投げ渡した布袋に入っていたのは軽く1000万ベリー位のお金が入っていた。その多さにみんな目が点になる。

 

「ちょちょっと!このお金どこから?!」

「俺にだって貯えくらいある。後数億位はあんだろ。正確な量は知らないけど」

 

 すると、両目を$マークに輝かせたナミが近づいてくる。迫るナミの顔に同じく袋を押し付けて遠ざけると、他のメンバーにも渡す。

 

「ほれ、ルフィなんかはどうせどっかで飯食うだろ。それに使え」

「アンタの身体どうなってんのよ。このお金文字通りイオリの身体から出てきたように見えたけど」

「あぁ、そういえば言ってなかったな。俺は能力のお陰で無限では無いがある程度の容量を持った倉庫に出来るんだよ」

「ハコハコの実か?」

 

 イオリの悪魔の実の能力を初めて見た面々はイオリの身体が箱になった姿を妄想する。

 

「だははは。違う違う。ヒトヒトの実幻獣種モデルインドラ。天空と戦闘の神様だ」

「動物系か。でもよ、動物系ってそんな神様みたいなモノも含まれんのか?」

「まぁな。童話や神話、空想上の生物なんかは動物系の幻獣種に分類される。動物系ってのはその幅広さから種別、モデルに細かく分類されている。この先そういう奴らがうじゃうじゃといる海に入るんだ。それくらい知っておけ」

「なぁ俺早く処刑台見に行きてぇんだ!」

 

 イオリの悪魔の実の話が長くなりそうな予感がしたルフィは目の前にご馳走が用意されている子供のように楽しみを我慢できない様子。これ以上待たせるのも酷と判断したイオリは手を叩き話に区切りをつける。

 その音を合図にルフィはすぐに街の中へと走っていく。それを皮切りにゾロ、サンジ、ウソップもまた各々の目的のために街へと消えていく。そしてナミはイオリの能力を聞かされて直ぐに思いついたイオリとのデートに繰り出すのだった。イオリの能力とお金があれば好きな物をセーブせずに大量に買い込むことが出来ると。ただの荷物持ちと財布にするためにデートを始めるのだった。

 

「ねぇイオリ、グランドラインのこと教えて。どんな海でどんな危険があるのか」

 

 ショッピングも落ち着き、買い込んだ荷物を取り込んでいたイオリにナミは真剣な表情で訊ねる。正式に仲間となり信頼出来る仲間と旅をするのだ。船員を危険な旅にさせたくない航海士としてのプライドがあるのだろう。グランドラインのことを本に載っていた少ない文献でしか知らない。知っているのは海が常に不安定だということ。平和過ぎる東の海からは想像のつかない海に不安があるのは仕方ないだろう。

 

「まぁそうだな。とりあえずグランドラインには今までのコンパスが意味をなさない。今の内に捨ておけ」

「どういうこと?それじゃあどうやって航海して行くのよ」

記録指針(ログポース)

「ログポース?」

「磁気を記録できる特殊な羅針儀。グランドラインの島々はそれぞれ特殊な磁場を放っている。島々はある法則に則った磁気に帯び、島と島が引き合う磁力を元に次の島へと指針を指す。つまり、島に着くごとに次の島に行く為のログを貯める必要がある。それが半日で溜まることもあれば、一年掛かる場合もある」

「じゃあ後はそのログポースってのを買う必要がありそうね。何処に売ってるかわかる?」

「あぁそれなら俺が持ってるから不要だろう。元々、ナミに後で渡そうと思っていた物だからな」

「そういえばイオリはグランドラインから来たんだから持ってて当たり前か」

 

 イオリは持っていた記録指針(ログポース)を全て手渡す。新世界用の三つ指針がある物もあったが、まだ時期尚早だろうと判断し、前半の海用の一つの指針と幾つかの永久指針(エターナルポース)を渡した。

 

「こんなに必要なの?!ってこれ字盤が何も無い」

「その腕輪になってるやつが記録指針(ログポース)だ。島は空にも海中にもある。何処に次の島があっても指せるように出来ている」

「そ、空にも島があるの?!」

「それで砂時計みたいになってるのは名前が彫ってあるように特定の島を記録した指針永久指針(エターナルポース)。それに記録された島に必ず辿り着ける代物だ」

 

 三つ渡された永久指針はナミの持つバッグへと仕舞われ記録指針は右手首に装着された。不思議そうに記録指針を見つめていたが、イオリがいつの間にか歩き始めていたことに気づき慌ててイオリの後を追う。

 その後、騒ぎのあったところに興味があり向かってみると、ウソップが丁度ガンマン決闘を始めるところだった。合図と共にウソップは煙玉を地面に放ち逃げようとしたが、相手の腕も良くウソップの持つ銃に当てた。煙が晴れると、情けなく地面に崩れるウソップに見物に来ていた人達は愚痴を吐きながら散り散りになる。

 

「何やってんだお前」

 

 イオリもまたウソップの姿に呆れた表情を見せる。海の戦士になると豪語する男が決闘という見せ場で勇猛果敢のゆの字もない情けなさを晒す姿に、同じ狙撃武器を扱う身として頭を抱えてしまう。ましてや決闘に負けた者に待つ死を女に庇われたと来たら、話にならない所では無い。

 ウソップの父ヤソップのように勇敢な海の戦士になる。ルフィが海賊王になると口々に言うように彼もまた、これ迄何度もイオリの前で口にしてきた。しかし、若干その虚勢を張る姿に嫌気が差してきたイオリはその卑屈さを無くさないと彼ら(年が近いルフィ、ゾロ、サンジ)と同じ土俵に立つなど不可能と判断していた。

 

 なんやかんやありウソップは相手に認められ、料理勝負していたサンジと合流し、その賞品として手に入れたエレファント・ホンマグロを船に運ぶことになったイオリはナミとウソップの三人で何時でも出航出来る準備を整えていた。先程まで晴天だった空はいつの間にか大嵐の中にいた。同時に海兵が港に停泊している海賊船の拿捕に動いていた。

 海兵たちの会話から「麦わらのルフィが海賊道化のバギーによって処刑される」という話を聞いたイオリはウソップとナミに船を任せて、街の中央に位置する処刑台に向かうことにした。すぐに人獣型に変化したイオリは嵐の中駆け抜けていく。見聞色の覇気でルフィたちの気配を探りを入れていると東の海には似つかわしく無い気配を近くに感じる。

 遠目に見える処刑台では処刑が執行される直前だった。バギーが剣を振り下ろす時、ルフィは「悪ぃ、俺死んだ」と笑ってみせた。それとほぼ同時に、処刑台には轟音と共に雷が落ちる。猛火に包まれた処刑台は崩れ、その中から煤だらけのルフィが現れたのだ。ゴムには雷は効かなかったな、と思いながらも件の気配に目を向ける。フードを被る者は嵐の影響もあり正確に誰か見ることは叶わなかったが、一瞬こちらと目が合ったように感じた。

 

 処刑台から海岸へ続く通りで海兵から逃げているルフィ、ゾロ、サンジの三名はその先で塞ぐ海兵によって足踏みしていた。

 海軍本部大佐の白猟のスモーカー。自然(ロギア)系モクモクの実の煙人間。覇気を知らない彼らにとっては倒すことも逃げることも出来ない強敵だ。イオリは彼らがスモーカーに対してどう出るか気になった。

 ルフィはゾロとサンジに先に行かせることにしたらしく、スモーカーもまたルフィにしか興味がなかった為、一騎討ちの形となった。

 

「お前らがグランドラインに行くことはない」

「俺は海賊王になる男だ。そこをどけっ!」

「お前は海には行かせねェ!」

 

 スモーカーが煙となってルフィの攻撃を交わしつつそのまま捕まえる。煙で身動きの取れないルフィは不可思議な現象にあたふたとするだけで簡単に制圧されてしまう。なんとか(ピストル)で攻撃しようにもスモーカーは自然(ロギア)系、実体を掴む手段のないルフィの攻撃は簡単に避けられる。

 

「お前が5000万ベリーだと?悪運尽きたな」

 

 流動する煙となってルフィの背中に回るとそのまま地面に叩き付ける。為す術なく完封されてしまったルフィに見兼ねてイオリは屋根上から飛び降りる。この間ずっと先程の気配がルフィを見ていることも気になっていた。

 

「そいつはウチの船長なんだ。離してもらおうか」

「その声イオリか?!」

「テメェは…噂は本当だったみたいだな。伝説を残した海賊がこんな男の部下になっているとはな。一体なにを考えていやがる」

「それを君に話して何の意味がある」

 

 左手でルフィの頭を押さえ付けているスモーカーの首筋に童子切安綱の刃先当てる。覇気を纏った刀はスモーカーの薄皮を切り裂く。海軍本部大佐ということもあり、スモーカーはイオリが東の海にいることも上から聞かされていた。

 先日、アーロンを連行してきたジンベエによって麦わらのルフィの部下に『両儀イオリ』が居たことが海軍本部に伝えられた。20年近く表舞台に立つことがなかった海賊の手配書を改めて全海軍に通達、その危険性も海軍の知るうる限りの能力も、実力のある将校に伝達されていた。「不用意に手を出すな」と。

 そして、東の海の海賊一味に加担していると見られることからリバースマウンテン直前の街ローグタウンを管轄しているスモーカーには一番に知らされていた。

 

「上からテメェとはやり合うな、なんて大層な命令がきていやがる。だがな俺には俺の正義がある。テメェがどんなに強かろうと俺は海兵だ」

「そうか。命は大事に扱うべきだと学校でもう一度習っておくべきだな」

 

 刀を引いた後に、右足でスモーカーの顎目掛けて回し蹴りを当てる。咄嗟にガードしようにも素早い攻撃だったため防ぐ前に蹴りが当たり、建物に飛ばされる。

 

「ルフィ、嵐のせいで船が既に出航している。急ぐぞ」

「なんで攻撃が当たるんだ?!」

「待て!!麦わらァ!」

「まだ意識あったか」

 

 顎を蹴られ軽く脳震盪を起こしているはずのスモーカーは血を吐きながらルフィへと襲い掛かる。しかし、そこに新たに一人乱入者が現れる。

 

「男の船出だ。邪魔はしないでもらおう」

 

 先程からイオリが探知していたフードの男がスモーカーの前へと現れる。フードを深く被っていたせいで顔が分からなかったが、稲光によって男の正体が分かる。世界的犯罪者革命軍総司令官ドラゴンだ。

 

「誰だおっさん?」

「ドラゴンがなんでここに」

「政府がテメェの首を欲しがってるぜ」

「世界は我々の答えを待っている」

 

 ドラゴンが答えた直後、突風によってルフィは飛ばされていく。同じくスモーカーもまた何処かへと飛ばされる。イオリ突然の風に負けることなくドラゴンと対面する。

 

「まさかイオリがいるとは思わなかった」

「何故ルフィを()()()?」

「フフ…私の名はモンキー・D・ドラゴン」

「───っ!?だははは!そうかそうか。成程奇縁も奇縁。運命とは面白いものだな。ルフィの命は俺が守ろう」

 

 ドラゴンは素性が分からない男で有名だ。昔、それこそ海賊をしていた時代に知り合って以来のことだ。世界を変えると大言壮語なことを言っていた若造だと思っていた故に密かに期待していた。ドラゴンの子がルフィということにイオリはその運命の素晴らしさに笑う。

 ドラゴンもまた、何故ルフィの船にイオリが乗っているのか疑問に思っていたが、イオリの人柄から悪い人間では無いと分かっている。イオリがルフィを追って去る姿を見届けるドラゴンはこれからの息子の船出に思い馳せる。

 

「行ってこい!それがお前のやり方なら」

 

 

 

 ──────────────────────

 

 

 

「お前ら!早くこっちに来い!もうロープが持たねぇ!」

 

 荒波で徐々に岸から遠ざかるなか、ウソップがロープを垂らしてまだ岸にいるルフィたちに呼びかける。

 しかし、不安定な海のせいでルフィ、ゾロ、サンジの三人がロープを掴むことなど出来る訳がなかった。

 

「よし!良いこと思いついた」

「おい!まさか?!」

「よせ!ルフィ!」

「ゴムゴムのロケット!」

 

 ルフィはゾロとサンジを巻き込んで離れていくメリー号まで飛んでいく。帆にぶつかって無事船上に着いたルフィたちはここで漸く一人足りないことに気づく。

 

「ちょっと待て、イオリはどうした?!」

「イオリと会わなかったの?!ルフィたちを探しに行ったからてっきり合流してたのかと思ったけど」

「俺たちは会ってねぇな」

「ケムりんと戦って捕まった時に助けてくれたんだけどよ。その後、俺は急に風で飛ばされちまったんだよ。ああ!!もしかして俺を庇って捕まっちまったのか?!」

「何?!捕まっただとっ!?」

「イオリのために引き返すわよ!」

「馬鹿かお前らは」

 

 嵐の中進むメリー号に戻ってみれば皆して「どうしよう」と騒いでいた。しかし、大嵐のなか甲板まで飛んできたイオリは余りの緊張感の無い騒がしさに若干呆れていた。

 

「どうやって船に?!」

「俺は空の神様だぞ。空ぐらい飛べる」

「えぇえぇ!良いなぁ!」

 

 無事、麦わらの一味全員揃ってローグタウンを出発したメリー号は遂にリバースマウンテン手前の『導きの灯』を捉える。

 

「あの先に偉大なる航路(グランドライン)の入口がある」

「おいぃ何もこんな嵐の中行かなくても」

 

 ウソップは相変わらずのビビりで怯えるなか、サンジは船内から酒樽を一つ持ってくる。

 

「偉大なる海に船を浮かべる進水式でもするか」

「俺はオールブルーを見つけるために」

「俺は海賊王!」

「俺ァ大剣豪に」

「私は世界地図描くために」

「俺は世界の在り方を見届けるために」

「お…お…俺は勇敢なる海の戦士になるためだ」

 

 六人全員の足が酒樽に置かれる。

 

「「「「「「行くぞ!偉大なる航路(グランドライン)!!!!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 




誤字脱字、日本語間違いありましたら報告お願いします。
感想、高評価、お気に入り登録よろしくお願いします。

現在最初の話と違って会話文と会話文の間に空行を入れずに書いてるんですけど、どっちが見やすいですかね。
(例)
「────」│「────」
「────」│
「────」│「────」
「────」│
「────」│「────」

現在、初めの方と比べて会話文と会話文との間に空行を入れずに書いています。空行を入れた方が見やすいのかどうか教えてください。

  • 空行入れてくれ
  • このまま入れずに書いて
  • 黙って次の話投稿して♡
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