ヴリトラハン   作:雀盆

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むむむ、難解すぎた


サイファーポール・イージス・ゼロ

 

 イオリは今、雪国に立っている。彼が思い返すのはここドラム王国に降り立つまでのこと。

 なんやかんやありウイスキーピークでミス・ウェンズデーがアラバスタ王国の王女ビビ、町長が執事長イガラムと判明した。彼らは自国を謀略しようとしてるのがバロックワークスだと踏んで、ボスを突き止めるために組織に潜入したらしい。そして、そのビビ王女をアラバスタ王国まで連れていき、今起きている反乱を止めるというのが一味が背負っていることだ。件のバロックワークスは悪魔の子ニコ・ロビンを副社長に据えた七武海クロコダイルが運営しているらしい。ルフィ、ゾロ、ナミ、ビビは既に割れてしまったらしくクロコダイルに追われる立場になっている。

 ウイスキーピークの次に降り立った島が太古の島リトルガーデン。そこでは巨人二人が100年にも渡り決闘を繰り返していた。まぁそこでも色々とあり、結果ナミがケスチアに感染してしまった。

 

「それにしてもイオリさんがいて助かったわ。ケスチアなんて初めて聞いたわ」

「もう既にこの世に現存しているものではなかったが、アソコが太古の島だったということもあるんだろう。まぁ、本来俺たちの誰かが掛かっても普通はケスチアに罹る確率は限りなく低い」

「それはどうしてだ?」

「普通は抗体を持ってる俺たちは罹るなんてことは有り得ない。余っ程免疫力が無いか何度も刺されたことで発症するか、あるいは────」

 

 ナミの様子からして刺された箇所は一つ。この程度で引き起こされるのは軽い炎症か湿疹くらい。ケスチアに感染するのが珍しい。最悪な可能性を考慮するが、その理由が不明瞭だ。

 

「いや、今は関係ないか」

「え?」

「なんでもない。それよりルフィ、これからも航海続けるなら早く船医を仲間に入れることだ。ナミと俺だけじゃ応急処置程度しか出来ねぇ」

「次の島で優秀な船医を仲間にしよう!」

 

 とナミの治療のために立ち寄った島、ドラム王国は海賊によって滅ぼされた後だった。国王はここに来る道中海上で襲ってきたカバのような男で、国の医師全員を連れて逃亡したらしい。海賊は黒ひげと名乗り、たった五人で滅ぼして去っていった。海賊に対して警戒していたが、ビビとルフィの決死の土下座で無事上陸出来た。

 旧ドラム王国で実質的長の立場にいるドルトンに医師の居場所について訊ねると、この国に残された医師は既に一人しかいないらしく、魔女のような婆さんが元国王の城に今は住んでいる。どうせDr.クレハだろう。あのババアが簡単にくたばるとは思っていない。

 ドラム缶の如く反り立つ岩山の上に位置する城に行くためのロープウェイは既に壊れていた。つまり、上に登る手段がない状態となった。

 

「そこに行けば医者がいんだろ?」

「どうするつもりだ」

「背負ってく」

 

 ルフィの無茶な宣言に思わず固まる。どうやら本気のようでコートを着せたナミを背負い、落ちないように固定する紐を括り付け始める。

 

「よせルフィ。空も飛べねぇお前に何が出来る」

「崖を登る。それ以外ないだろ」

「俺なら空を飛べるからここは任せとけって」

「でもよぉ」

「心配なら後で来ればいいだろ。その魔女さんが地上との行き来に利用してる場所さえ特定出来れば上に来れるだろ」

「じゃあ俺も連れて行け!俺は船長だぞ!ナミの傍にいてやりてぇ!」

 

 ということで俺はその山にナミとルフィを連れて飛ぶことになった。俺一人なら兎も角、二人を安全に運ぶとなると、ただ背負うだけだと危険だ。俺の能力で雲の絨毯を造り、二人を運ぶ。所謂、觔斗雲。魔法の絨毯的な物だ。

 無事城についたが家主のクレハが留守になっているらしく、とりあえず城内の暖まれる部屋にナミを寝かせて暖炉に薪をくべる。

 

「とりあえずこれで寒さは大丈夫だろう」

 

 ルフィは落ち着かない様子でナミの傍に陣取り、貧乏揺すりも止まらず「うーん、うーん」と唸っていた。船長として大事な仲間のことが心配なんだろう。

 

「落ち着けルフィ。お前が焦ってどうする」

「でもよぉ。俺は病気なんてなった事無いからどうすればいいのか分かんねぇんだよ」

「クレハのババアもすぐ戻ってくるさ。丁度こちらに向かってくる気配があるからな」

「ん?なんでそんなの分かるんだ?」

「覇気と呼ばれる皆誰しもが持っている資質」

「覇気?!」

「ゴムのお前に打撃が効くのも、気配を探ることが出来るのもその力だ。お前にもちゃんと眠ってるぞ」

「だからイオリのパンチは効くのか…ん?じゃあじいちゃんのパンチが痛いのもそういうことか!」

 

 自身の両手を広げたり閉じたりを繰り返して不思議そうに覇気について考察しているルフィは幼少期のシャンクスやバギーを思わせる。

 

「イオリ!俺にもそれ教えてくれよ!」

「そうだな…まぁ見て感じるのが一番だ。覇気を修得する上で重要なことがひとつ。───決して疑うな。冷静に信じる心を持つ者こそがその深奥に辿り着ける」

「信じ…る…力…」

「覇気には大きく二つの色がある。気配、感情などを探る力を持つ『見聞色の覇気』。これは相手の覇気の流れ、気配や感情の動き、人によっては少し先の未来や生物の心の声を覗くこともできる。もう一つは覇気を纏い相手の実体を捉える『武装色の覇気』。纏った覇気を硬化させて鎧のように纏う。これは攻撃や防御が出来る」

「武装色…」

「これの一番の利点は悪魔の実の能力者に有効打を与えることが出来る。ゴムのお前に打撃を与えることもローグタウンで出会った煙の海兵に攻撃を当てることも出来る。自然系において弱点を突く以外で唯一の攻略法だ」

「にっしっしっ!俺はもっと強くなれるってことだな?」

「実はあと一つあるんだが、これは才能に左右される。『覇王色の覇気』と呼ばれるものだ。これについては王の資質がある者にしか備わっていない特殊な覇気。これに関しては鍛錬では伸ばせないから説明はまた今度だ。お前に発現したら説明するよ」

「なぁ!なぁ!早く教えてくれよ!」

「今は見せるだけだ。病人の前で修行しようとすんな」

 

 先程までのナミを心配していたルフィはどこへやら、玩具を買ってもらえる子供のようにはしゃぎ始める。グイグイと顔を寄せてくるルフィの顔を弾き返しながらイオリは立ち上がり外に出る準備を始める。

 

「すまんが、ルフィ。ナミを見ててくれ。ここに来る医者への説明は任せるぞ。俺の名前『両儀イオリ』を出せば話が簡単に通る筈だ」

「おいどこ行くんだ?」

「早速ヤバいやつが来た。この感じからして政府の連中だ」

 

 異常な警戒を見せるイオリにルフィも立ち上がり一緒に行こうとするが、すぐに思い留まる。イオリは自身よりも格上の賞金首。具体的にどんなことをしたかは知らないが、強大な敵がいることは聞いていた。現在に自身では到底及ぶことが出来ない領域の者がイオリを殺すためにおっている。

 ルフィも流石に馬鹿じゃない。勝てない敵に態々挑む程無能ではない。仲間のために強い敵に挑むことはあっても、無謀な敵に相応の力を持つイオリが対応すると言っているのだ。出る幕ではないと理解している。

 

「大丈夫なんだな」

「後から来た奴にはよろしく言っといてくれ」

 

 コートを着込んで城を後にしたイオリはそのまま北西に感じる三つの気配の元へと向かう。

 

「鬼が出るか蛇が出るか…どっちが来る。円卓の座(イスカリオテ)が来ることも想定しておくべきか?!」

 

 城から飛び出て早一分。北西の沿岸に辿り着いたイオリは仮面を付けた三人の白のスーツを着た者たちと対面する。彼らの服装と特徴的な仮面から三人がCP-0だということが分かる。

 

「『帝釈天』イオリ…─」

「一応聞こう。何しに来た」

「先日この国はある海賊によって滅ぼされた。この国のワポル王より報告を受けた。ただの調査だ」

「よもや貴様が新興海賊の部下になっているとは…」

 

 CP-0の仮面を付けているメンバーは手練の中の手練。それぞれ四皇の幹部程度の実力は持ち合わせている強者。

 

「ただの調査のためにお前らを三人も寄越すかよ」

 

 暫しの睨み合いの果て、先に動き始めたのはどこかの部族が付けるような特徴的な仮面の大男。身長からして3mはあるが、細身のチグハグな男は剃でイオリの後ろに移動すると五連の指銃を撃ち込む。しかし、強固な武装色の覇気を纏ったイオリには届きもしない。

 

「おいおい、遊戯の時間か?」

「──ッ?!」

「避けろ!ラルガ!!!」

「一刀雷仙・冥雷(みょうらい)

 

 ラルガと呼ばれた男は剃によって直ぐに後方に飛び退くも、イオリは振り向きざまに追うように縮地を行い綺麗な舞を見せ付けるように2発の斬撃を飛ばす。雷速で飛ぶ斬撃をラルガは鉄塊で防ぐ間もなく受けてしまい、真っ白だった雪を真っ赤に染める。

 

「雷仙・王華槌(おうかつい)

「チィ!!!ラスコー!」

 

 イオリは直ぐに残った2人のCP-0の元に移動し、刀を槍のように突き、そのまま左袈裟斬りする。ラスコーに指示を出したのはCP-0の中でも特に強いが、将来的に上からのパワハラで殉職するゲルニカだ。ラスコーは自慢の鉄塊でイオリの剣撃を耐え切るも、過剰な覇気の衝突によって大きく後ろへ飛ばされてしまう。

 

「久しぶりだなぁゲルニカァ?!ステューシーの馬鹿は元気にしてるかよ!」

「──剃ッ?!あの馬鹿のことなど知らん!」

 

 吹き飛ばされたラスコーを心配する素振りを見せないゲルニカは上空へと逃げるとそのまま重力を活かした蹴りがイオリの構える刀へと衝突する。

 鈍重な威力が叩き込まれたことで2人がぶつかるその下の地面は砕け軽いクレーターが出来上がる。

 

「五老星は貴様を殺すために既に動き始めている。あのガキ共が死ぬのも近いだろう」

「はっ!随分と今日は口が回るじゃねぇか。こんな下らない任務に苛立ってんのか?」

 

 冷や汗を流し、何とかこの場を脱したいゲルニカは会話を続けることで逃げる算段を黙考していた。

 彼らの本当の目的は、まず経緯だが、ドラム王国の元王ワポルに『黒ひげ海賊団によってドラム王国が滅んだ』との連絡が政府に来た。連絡を受けた政府は近頃、名を挙げ始めた黒ひげ海賊団について調査すると共に何故医療大国のドラム王国を襲ったのかも調査するのが目的だった。

 また、ここに来るまでの道中に元ドラム王国国王ワポルが部下を率いて海賊行為のような事を行っているのも分かり、依然謎が深まるばかりであった。

 そして、いざドラム王国に到着してみれば、政府の最重要警戒人物の『両儀イオリ』がいると来たら、ゲルニカたちの胃は限界を迎える。

 

「俺ァ天命に従うまで…」

「厄介な!」

 

 ここでイオリと交えるのはゲルニカ的に宜しくない。上からの任務を果たせないとなると上司である五老星に何を言われるかたまったもんじゃない。

 童子切安綱で斬り掛かるイオリを何とか武装色の覇気をまとって捌くゲルニカは流石のCP-0。何とか凌ぐことで精一杯の彼は幾度かの衝突の果てに苦しげに提案する。

 

「両儀イオリ。提案がある。ここでは互いに不干渉。麦わらの一味にも貴様にも手を出さないと誓う」

「それを俺が信じると?」

「嘘でないことなど貴様なら分かるはずだろう」

「この国の住人にもだ。彼らに手を出せば協定は無くなると思え」

 

 ゲルニカは頭を少し下げると意識を失ったラルガとラスコーを背負って一度船に戻っていった。

 天候は次第に荒れ始め、辺りは吹雪に塗れていく。今頃、Dr.クレハは城に戻っているだろうと判断したイオリは再び城へととんぼ返りするのだった。

 

 奴らの目的はなんだ?この国に態々CP-0を派遣させた理由が単純にドラム王国国王の調査だと?この国に何が眠っている?まさか五老星の耄碌が遂にクレハの若さの秘訣でも聞きたくなったのか?何はともあれ俺たちは海賊で奴らはCP-0。あんな協定あってない様なもの。危険とすればゾロとサンジ辺りか。

 

「ビビの素性でも割れたのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一体オリキャラをどれほど強化すれば落ち着けるのか……。
来週投稿出来ればいいなぁって思ってます
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