今回は長めです。それと多くの方が誰?ってなると思いますが、まぁ今語っておかなければ掘り下げられないので初登場から掘り下げます。
物語に有るまじき暴挙!
薄暗くシャンデリアが照らすその部屋には巨大な円卓と13席に腰掛ける人間がいた。ここは新世界のとある島。目立つものと言えば、円卓の間が存在する白い城。マリージョアにあるパンゲア城を模して作られたその城は白亜の城と呼ばれている。島に住む生物は世界的に見ても危険度の高い動植物が住まう、外からは地獄と極楽が交錯する島、『浄土』と忌み嫌われている島である。
「いい加減、私たちがここに集められた
荘厳な雰囲気が包み込む空間で沈黙の殻を破って声に出したのは、赤紫の魅惑的な踊り子の衣装を纏った女。歓楽街に居たならば客は大金を叩いてまで貢ごうとするほどの容姿をしていた。
「オレたちを呼び出した当人が来ちゃいねェんだ!知るかよ。んな事よりグィネヴィア!今夜はオレの部屋に来い!天国に連れてってやるよ」
なんとも下品な発言で女に返したのは筋骨隆々の上裸の金髪男。如何にも遊び人といった風貌の彼の言葉を聞いてなかったようにスルーをする女に逆に唆られたのか金髪男は興奮を隠せない様子。
「お生憎。私貴方のようなゴミと交合うどころか一緒の空気も吸いたくないの」
「連れねェな!!!そういう女を屈服させるのも至高なんだぜェ?!!!」
「おやおや、皆さんお揃いのようだね。相変わらず仲が良さそうでボクは嬉しいよ」
グィネヴィアと呼ばれた女が冷たくあしらったことで一触即発な空気が流れる始めたところに、コツコツとブーツを軽く鳴らしながら円卓の間へと入ってきたのは全身真っ白のローブを着込み、まるで綺麗な花のような麗人だった。白いローブに似合う白銀の髪を靡かせて歩く麗人は手に持つ杖をコツンと円卓にぶつけると映像のような物が映し出される。
「今回の任務は
麗人が淡々と説明するが13人のメンバーはそれぞれ別のことを考えていたせいで全く話が入ってない。
「おいおいマーリンさんよ。要はコイツをボコしちまうってのが目的なんだろう?それだけの事にオレたちを態々集めたって言うのかよ!」
「ハイリ!口を慎め。貴様は何も知らないのか?!」
「アァ?!ヴェイル、テメェこそ何様だ!じゃあテメェこいつがどんな奴か説明してみろや!」
「この男の名は両儀 イオリ。20年以上前より海賊をしていた男だ。海賊王ゴールド・ロジャーや歴史からその名を消されたロックス・D・ジーベックの船にも乗っていた」
「それが?このオレが旧時代の遺物に劣るとでも言いてェのか?!!」
ハイリと呼ばれた上裸の筋骨隆々の金髪男はヴェイルと呼ばれた眼鏡をつけた長髪の男へと挑発的な態度を崩さない。下品な言葉を並べる男に似合う自信過剰で驕り高ぶるハイリの態度に他の円卓のメンバーも不快な気持ちを露わにする。
「それでマーリン。両儀イオリに関しては“ハイリ”以外の者たちは詳細を知っている。我ら全員でその身柄を拘束するということであってるか?」
「相変わらず話が早くて助かるアルトリウス。そうとも、イオリ君の確保に全員で取り掛かってもらう。勿論、ハイリのように一人でやりたいというのであれば、止めはしないさ」
アルトリウスと呼ばれたマントを羽織ったこれまた白金色の髪をした麗人。彼?は話は以上だと会議を終わらせると立ち上がる。
「準備が出来次第移動を始めろ。そうだな。場所はアラバスタの次に指す島。ハイリ、いや他の者も自分で片付けたいというのであれば好きに動いてもらって構わない。3日後、ヴァナディースで再度
円卓の間からメンバーが出ていき、静かになった部屋には先程のアルトリウスとマーリン、そして副団長のガディウス、他にもグィネヴィア、バルボッサ、ウルスズという、
「今回で何人死ぬか見物じゃな」
「よせバルボッサ。はぁ、実力は確かだが頭を悩ませる種は増えてばかりなんだ」
「それで
「今はまだ団長だ。その名は良してくれウルスズ」
つまり、アルトリウスが男性であることとエレインを知っている場合、エレインから信頼されている証拠でもある。
「マーリン、例のものを」
「はいはい、分かっているとも」
杖をコンっと地面に軽く突くと魔法陣が描かれ陣の上に1つの果実が出現する。果実は唐草模様のような渦巻き柄をした果実、悪魔の実がそこにはあった。
「悪魔の実。世の中は悪魔の力で制すことは出来ない。だが、モノは使いようだ」
「何が言いたいの?そもそも貴女能力者になりたくないとか言ってなかったかしら」
両手を前に組んで神妙な面持ちで語るエレインにグィネヴィアは茶化すように指摘する。
「だって能力も覇気も卓越した彼に覇気だけでどう戦えって言うんだい?」
「それはそうだけども。なんの能力かわかっているの?」
「あぁそれに関しては問題ない。ボクが直々に馬鹿どもの倉庫から見繕ってきたからね」
グィネヴィアは当然の疑問を口にするが、マーリンが天竜人の家から盗んできたと軽く返答する。
「エレイン、安心するといい。希望以上の力が手に入るとボクが証明しよう」
「ガディウス、後で能力を確かめたい。付き合ってくれないかい」
「エレイン様の命であれば、付き合いましょう」
「だから今はアルトリウスだと何度言えば分かる」
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ボクがボク足りうる自我を形成した時には既に自分が置かれている状況が異常であると気づいてしまった。
天上の人。この世界の創造主と言われ、赤い土のてっぺんに住まう人を天竜人と言い、その人種の1人だと気づいた当時のボクは年齢の近い天竜人との趣味趣向が異なっていることに気付かされた。
人間や人魚、魚人や巨人、手長族や足長族などボクが住んでいたマリージョアには多くの奴隷がいた。天竜人には自分たち以外は下等生物として同じ空気も吸いたくない、自分たち以下の生物を虐げても良いと教育されてきた影響で奴隷の血と汗と涙の腐敗した匂いが充満していた。
両親は下界で見繕ってきた奴隷で自身の性的欲求を満たし、飽きたら捨て、病気になったら捨てを繰り返していた。何時しか弟が産まれ、他の天竜人のように醜悪の存在に昇華した彼はボクに劣情を抱き、その捌け口として奴隷を利用していた。
ボクは天竜人では稀の美しい容姿をしていたのだ。血統上確かに天竜人である両親の血を100%引き継いではいるが、天竜人にありがちな醜悪なブサイクでは無く、見る人が振り向きその顔に恋をする程の美人だった。だから多くの豚に言い寄られて辟易していた。頼れる肉親は下界の民を甚振ることに注力し、仲の良い友人もいないボクの人格は少しずつ陰を増やすばかり。
「君も詰まらないの?」
いつものように噴水のある広場で奴隷で遊ぶ同族を流し見ていると唐突に凛とした声で話し掛けられる。それがまるで漸く同じ人を見つけた喜びを感じさせる確信めいた声だった。
振り向いた先にはボクよりも5歳ほど年下の容姿が優れている女の子。一目見てすぐに彼女もまたボクと同属だと理解した。
「この状況を理解出来ない。そうでしょ」
なんて言おうか迷っていたところに彼女は年不相応に知性を感じさせる声音で尋ねてくる。
「キミの名前は」
「私?私はエレイン。苗字は……忘れたわ。貴女は?」
「ボクの名前はマーリン。そうだね。ボクも苗字忘れたかな」
これが地上でアルトリウスと演じるエレインとの出会いだった。
それからは多くの時間を彼女と共に過ごしてきた。2人で外の出来事を調べ、面白い出来事があれば盛り上がり、小説や絵本などを読んで感想を言い合ったりして至って平凡な生活を送っていた。また、貴族としての自覚を持って生活を送ったおかげか貴族としての気品溢れるオーラは年々増していき、ボクとエレインは立派な女性に成長した。
ボクとエレインは絵本や小説に出てくる騎士や魔法使い、勇者や強い戦士に憧れてから大人になるまでの間に強くなる為の訓練も重ねていた。最初こそ両親には後ろ指を指されていたけど、実力を知るや否や素直に応援してくれたことは唯一親に感謝すべきところだろう。
外から集めてきた珍しいモノを保管している倉庫に悪魔の実があったことに気づいたボクは成人の誕生日にソレを強請った。両親も快く承諾してくれた為、特に調べることなく、「これだ!」と思った実を手に取り頬張った。
ボクは手に入れた悪魔の実『マギマギの実』を試してみたいと相談したところエレインが力になってくれた。2人で「あーでも無い、こーでも無い」と試行錯誤しながら能力を試していたところに丁度通りかかった神の騎士団の方々にアドバイスを貰うことが出来た。
彼らは天竜人の中でも戦闘力に長けた一族で皆何故か美形だった。彼らの意見もあわさり、ボクの能力はある程度完成した。ボクの能力で年齢を留めるなんて芸当も出来た。
ボクとエレインはメキメキとその実力を伸ばしていき、次第には屈強な身体を持つ奴隷にも解放を条件に覇気という存在を教えて貰った。また、地上の面白い話を聞かせて貰えた。
何時しかボクとエレインは下界に憧れるようになった。そこに舞い降りた一面の新聞記事。そこにはデカデカと『ロックス海賊団』なる存在が載っていた。世界最悪の海賊一派。屈強な海賊たちが集まるオールスターとも呼ばれていた彼らに興味を持ったのだ。その日から彼らを追うように毎日記事を漁ったり、海軍に動向を探るように命令したりした。今は少しパワハラ過ぎたと反省はしている。
そしてそれはとある日だった。ボクとエレインはゴッドバレー、と呼ばれる不遜にも神の谷と名ずけた国で行われた醜悪で劣悪なゴミのようなイベントに連れてこられたのだ。それも家族総出で。
商品は悪魔の実や海賊島ハチノスの秘宝だったりと目玉な景品ばかりだった。参加するのは神の騎士団だったり宇宙服のような格好をした天竜人。
無論、ハチノスから奪ってきたお宝なんてハチノスの海賊たちが黙っちゃいない。当然祭りが始まって直ぐにロックス海賊団が島に到着したと通達が入る。多くの天竜人と海賊が入り乱れ、エネミーとなった島民と奴隷を犠牲に悲惨な出来事として歴史から消された大事件。
家族は奴隷を剥くことに集中していた為、彼らが気づいた時には首と胴体が海賊の剣によって切り離されていた。ロックス海賊団の下っ端と見られる男たちに簡単に蹂躙されていく中、ボクとエレインは何とか持ち前の力で対抗していた。
「このガキ2人。天竜人の癖に美人だな。テメェら殺すんじゃねえぞ。生きて俺たちの奴隷してやろうぜ!!」
何日も風呂に入ってないだろう臭さで近づいてくる海賊たちに怯んでしまうのも仕方ないだろう。何せ実践は初めて。そこで漸くボクたちは天上で奴隷や黒服に手加減されていたと気づいた。明らかにモブ顔だと判断できる下っ端連中でも充分新世界のハチノスで海賊をしている強者。足が怯んでしまうボクたちは為す術なく殺されてしまうと思った時、目の前に救世主が現れたのだ。
「おい。何してる」
「ヒッ!!イオリさん、嘘です!冗談ですよ」
ボクたちの元に駆け付けてくれたのは和服を着た煙管を加えた男性。イオリと呼ばれた彼は右手で腰に差す刀に触れると、目の前の男たちは本気だと気づいたのか慌ててその場から逃走する。
「お前らは天竜人か。ここを真っ直ぐ行けば無事な政府の護衛船がある。天竜人達が逃げていったのを確認したから間違いないだろう」
「何故助けた。キミにとってボクたちは助ける理由はないはずだ」
ボクの紫の瞳が彼の瞳を突き刺す。彼もボクの家族を殺してきた海賊、新聞にもデカデカとその名を刻むほどの大物。恐れはした。だけど、恐怖よりも先に好奇心を優先してしまった。そして、何処か彼の瞳を見て私たちは安心してしまった。
「君らは豚と同類と言われて納得するか?」
「出来ないね」
「なら、それが答えだ。早くここから去るといい。俺の気が変わらんうちにな」
悲鳴がそこかしこから聞こえ、戦闘の余波で巻き上げられた土煙を掻き分けて辿り着いた護衛船にはボクの同族が黒服や海兵に怒鳴りつけていた。先程までヒシヒシと感じていた死への恐怖は一気に冷めていき、彼らが人間にするのと同じ様に同族のことを家畜だと認識するようになってしまった。
そう、それからだろう。単純かもしれないけど彼のことを、命の恩人である彼を王子様だと思うようになったのは。両親が死んなボクとエレインは互いに当主となって天竜人の姫様、女王様なんて呼ばれるようになった。ボクの魔術のおかげでボクもエレインも歳を若い状態に保って成長したおかげでもあるだろうね。
外の情報をこれまで以上に知れる立場になったお陰で王子様について多くのことを知った。パンゲア城に居る五老星から多くのことを教えて貰った。両儀とは何なのか。世界政府については君の知る必要のない事だと言われてしまったから、後で自分で調べようと思った。
求婚ももちろんされたが全てを断った。何せボクたちの将来に家畜は必要ない。必要なのは先導者、それこそ
「あぁだから堪らなく美しい。君は一体次はどんな世界を見せてくれるのかな」
ボクは今アラバスタ王国首都アルバーナの上空2000m付近にいる。先程レインベース付近で巨大な雷雲を目視していた。神話の世界の戦いのように天空と大地が割れ大気が痺れたあの感覚は思わず乙女のような声を上げてしまった。まぁ直ぐに
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場面は変わりマリージョア、パンゲア城『権力の間』。世界政府最高権力者“五老星”が集い世界の情報を議論する部屋。今日もまた彼らを悩ませる議題が話に挙がっていた。
「先程“花の”から連絡があった。“悪魔の子”ニコ・ロビンがクロコダイルの部下としてアラバスタにいると」
「目的は?一体何がアラバスタにある」
「20の王国のうち19の王家は天竜人としてこのマリージョアに住み着いた。だが地上に残ることを選んだのが───アラバスタ王国だ」
世界政府樹立前、巨大な王国との戦いで当時のアラバスタ王国の女王として20の王国の1つとして共に戦った記録がある。しかし、800年前彼女は1つのミスによって世界中に
「いや、それこそ有り得ない。辻褄が合わなくなるだろう」
もし、その1つのミスが故意的によるものであれば、明確な裏切りである。歴史の本文がアラバスタにあるとするのなら、それは世界政府にとって不都合なことだろう。オハラの生き残りであるロビンが世界を読み解く禁忌を犯し続けるのであれば、兵器を呼び起こす鍵となってしまう。
「どうあれ、ニコ・ロビンを消さねばならない」
「直ぐに“花の”に指令を出す他あるまい」
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って会話を繰り広げてそうだね、あの爺様方は。やれやれ、ボクの気持ちにもなって欲しいものだ。イオリ君にバレずに任務をやり遂げる。ふふふ、バレて注目してくれるなんて方でもいいかなぁ。
「エレインを呼んでもいいな。いや、まだボクは独り占めしていいよね」
花の魔術師は硝煙舞うアルバーナの街道を歩く。周りには国王軍と反乱軍による銃撃戦が繰り広げられているが、道のど真ん中を行く彼女の存在に気づいていない。まるでそこに誰も居ないように気配そのものもを感じ取れていなかった。彼女が不敵な笑みを浮かべながら歩く先にはアルバーナ宮殿ではなく、王家の墓である葬祭殿。
今頃葬祭殿では麦わらのルフィとクロコダイルの戦闘も決着間際だろう。強い気配が衝突しているのを見聞色で感知していた。その中に弱々しい気配がふたつ。
暗く冷える階段を降った先には麦わらのルフィが大の字になって倒れていた。天井には大きな穴があり、そこからクロコダイルが飛ばされたと分かる。クロコダイルの毒と全身血だらけの重症、気絶するように眠っていしまう。このまま放置してしまえば、拉致された状態のコブラ王も気を失っているルフィも、生きることに諦めたロビンも生き埋めになってしまうだろう。
コブラ王は疲れた身体に鞭打って立ち上がりルフィを抱えるとロビンへと目線を送る。しかし、ロビンは首を横に振る。
「ここが最後だった。もうなんの手掛かりもない。大人しく死なせてくれないかしら」
「そうかい?では、変わりにボクが殺してあげよう」
コブラが彼女の絶望を否定する前に何も無い空間から一人の真っ白の女が現れる。長い杖と白いローブに包まれた綺麗な花の香りがする女。
「あぁ、安心してくれていいコブラ王。君とその子には用がないからね」
女が地面に杖をコツンと当てるとコブラとルフィは花の香りと共に気を失ってしまう。コブラは気づいた時には祭殿の外にルフィを抱えて立っていた。何が起きたか理解出来ずにいたが、直ぐにハッとなり振り返る。しかし、その時には既に祭殿は崩れた後だった。
ロビンはと言うとまだ祭殿の下にいた。しかし、生き埋めになっている訳では無い。彼女と花の魔術師がいるところだけポッカリと空間が存在していた。
「こんにちは。そしてさようなら」
虚偽に包まれた笑顔を貼り付けた女は杖を振るうと花の香りが充満していく。息も絶え絶えになっているロビンはその香りを嗅ぐと少しずつ意識が遠のいていくのを感じていた。
「あぁそうだ。最後くらいボクが誰か知って死んだ方がいいよね。ボクはマーリン。綺麗な花が大好きな
意識が薄れていロビンが最後に捉えたのは、先程まで気味の悪い笑顔を貼り付けた女の表情が崩れた姿だった。
「随分と楽しそうだな」
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