ヴリトラハン   作:雀盆

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別れと花柳界 前

 

 

「イオリ!!!メリー号を守ってくれてありがとう!!ボンちゃんもありがとう!」

 

 あれから約一日経った夜にルフィたちがメリー号へと戻ってきた。ビビはまだ仲間になるかは迷っているらしく明日の式典にビビが出たら仲間にはならないということだ。というわけでビビを待つためにアルバーナから東の港に船を寄せるための準備をしている。Mr.2はルフィたちにくるくると回りながら「ボン・クレーとはあちしのことよぉ〜」と説明していた。

 

「アラバスタの次の島ってどんなところか知ってる?」

 

 記録指針(ログポース)を眺めながら尋ねてくるナミの声が聞こえたのかルフィはニヒルと口角を上げて会話に入ってくる。

 

「なぁなぁ次はどんな島なんだ」

「ここの次は生憎と冒険できるような島じゃない。花の街『ヴァナディース』。一度は聞いたことあるだろう」

「ヴァナディース?」

「ヴァイオリン?」

「ヴァナディースだ」

 

 ヴァナディースを知っていたのはサンジとナミだけだったことに少し驚くイオリだが、気を取り直してヴァナディースについて説明をする。

 

「所謂女の花園、花街や遊廓とも言うが艶美と快楽の島と言われている。元々ジャヤっていう島があったところに海底火山の噴火によって隣接するように形成された島だ」

「おいイオリ。随分と詳しいじゃねえか」

 

 サンジは目を炎にしてイオリの両肩を掴む。サンジのあまりの迫力に若干引き気味になる。

 

「嫌な記憶しかないがな。一杯引っ掛けたいなら自分で払えよ?一飯するのに数百万ベリーはするからな。誰でもいいってなら酌婦程度なら数千ベリーで相手してくれるぞ」

「うぐっ…くそぅ」

 

 ナミから怪訝な視線を向けられているが反応したらヤバそうなので無視する。ルフィはつまんなそうに口をへの字に曲げるとサンジの飯を食べ始める。サンジは自分の財布を確認すると明らかに足りない金額しかないため項垂れてしまう。

 

「あぁ、そういえばヴァナディースは世界各国の貴族が金を叩いてでも買いたい世界で一番美しいと言われる妓女がいるって噂だ。その妓女目当てで島に訪れる海賊もいる。変に絡まないように気をつけてくれ」

 

 海賊女帝ボア・ハンコックも世界で一番美しい女とも言われているが、彼女は女帝としての尊厳やネームバリューに恥じない立ち振る舞いをしている。対して、その妓女は身を売らずに芸や詩歌(しいか)などでその値を釣り上げた天性の妖艶な妓女である、と。イオリの話を聞いてサンジは急に起き上がり全身を燃えるほど厚かましくなったのを横目にナミに時間の方は大丈夫かを確認する。すると、時間が結構押していることに気づいたのか男性陣に出航させるように指示を出す。

 

 夜が明けて暫く経った今は海軍の軍艦に補足されてずっと砲弾を打ち込まれている今日この頃、ビビの演説が始まったのが聞こえた。彼女は麦わらの一味との冒険への感謝と愛国の言葉を述べて一緒の航海に出ないことを決意した。しかし、彼女の意志は麦わらの一味と共にある。

 

「いつかまた会えたら!!もう一度仲間と呼んでくれますか!!!?」

 

 海軍の軍艦はすぐ側まで来ている。今ここで返答してしまえばビビが逆賊として海軍に捕まりかねない。俺たちに出来ることは黙ってこの場から去っていくことだけ。あぁ、一つだけあった。言葉ではなく麦わらの一味の仲間だけが知っている『仲間の証』がある。船尾で左腕を天高く掲げる。麦わらの一味全員の左腕にはバツ印が描かれている。マネマネの実の能力への対抗策だが、これこそが麦わらの一味であると証明してくれる。単純な策ではあったが、コレが仲間であることを証明する。

 

 アラバスタ近海から離れ次の島『ヴァナディース』へと向けてゴーイング・メリー号は進む。ビビがいない船はいつになくどんよりとしていた。ビビの選んだ道を全力で応援するとは言ったが、いざ船に居ない状況というのは寂しさが残る。いつも通り鬼畜マリモとゾロを弄る日常に戻ろうとした時、船内の扉からニコ・ロビンが椅子を持って現れる。

 

「ねぇ私を仲間に入れて」

「あぁ、いいぞ」

「いいのかよ?!コイツは敵だったんだぞ!」

「だけど悪い奴じゃねえから」

 

 一時臨戦態勢に入る麦わらの一味だったが、簡単にロビンに懐柔されてしまう。人の懐に入るのが上手い外交的な性格をしているロビンに文字通り骨抜きにされてしまった。ただ一人ロビンへの警戒を怠らないゾロは流石と言ったところだ。

 暫く航海を続けていくと空から船が降ってくる。突如として空から現れた退廃した船が海底へと沈んでいく不思議な現象を目の当たりにしたルフィたちは財宝があるかもしれないと言い出したことで、ウソップ特製の樽型の潜水服着込んでルフィ、サンジ、ゾロが調査しに行くことになった。財宝という財宝は見当たらなかったが考古学者であるロビンの推測からこの船は少なくとも300年以上前のものだと判明した。そして、同時にナミの記録指針(ログポース)が空へと指針を変えていた。

 

「記録指針が壊れちゃった!!嘘でしょ?!」

「どうしたんだナミ」

「針が空に向いてるぞ」

「それは壊れてない。至って正常だ。忘れたのか?島は空にも海中にもある」

「確かにそんなこと言ってたわね。本当の事だったなんて」

「空島かぁ!!一体どんな冒険が待ってるんだ?!」

「馬鹿野郎!空島って言ったてどうやって行くんだよ」

 

 ウソップが指摘すると皆は俺の方を向く。空島の存在を知ってるということは行き方も知ってるって思われているのだろう。ロジャーたちも空島に立ち寄ったことがあると言っていたが、確かここら辺の海域だったかな。

 

「生憎と俺は能力で空が飛べるんだ。船で空島なんか行ったことねぇ」

 

 空島にどうやって行くか話しているとサルベージにやってきたマシラと名乗るゴリラのような男と遭遇する。彼らは空から落ちてきたガレオン船を引き上げ、去っていこうとした。その際にマシラの持っていた記録指針を元に空島の情報を集めにジャヤへと向かうことに。

 

「ジャヤに行くなら俺たちが案内するぜ!」

 

 ということでマシラの案内の元、空島に関する情報を持っているかもしれないマシラが慕うモンブラン・クリケットの元へ。

 ハリボテの家に住む特徴的な頭を持つモンブラン・クリケット。彼は『うそつきノーランド』の子孫ということで、かの先祖が見たという海底に沈んだ黄金都市といのをずっと探して続けているのだと言う。ただ、俺たち麦わらの一味が知りたいのは空島へ行く道ということで島の西側にあるモックタウンで情報を集めることに。ルフィ、ナミ、ゾロ、ロビン、俺の5人で手分けして情報収集を始めた。正確には勝手な行動をしないようにナミがルフィとゾロを引っ張っていったのだが。

 

「それにしてもチンピラの集まりみたいな街だな。ここで得られる情報なんて大したものじゃないだろうな」

 

 俺はモックタウンではなく隣の島『ヴァナディース』へと向かうことにした。先程から監視されているような視線を受けているが気付かないふりだ。どうせマーリンだ。ねっちょりしてるこの視線はマーリン以外有り得ない。モックタウンの外れ付近に差し掛かったとこで急に殺気が膨れ上がる。膨張した殺気は確実に俺の方に近づいてきていた。

 

「マーリンの言葉が正しければ…ここに円卓の座が全員揃っているってことになるんだろうけど、何故1つしか探知出来ない」

 

 イオリの探知出来る範囲で今、イオリに向けて殺意を持っているのは確実に1人しかいない。それも接触まで5秒も無い距離。

 

「シネェエエエエエ!!!」

 

 右斜め後方から轟音と共に拳を振り抜いたのは筋骨隆々の上裸の金髪男。ニヒルと白い歯を見せながら傲慢不遜に笑う男は地面に大きなクレーターつけながら着地する。

 

「殺気が漏れすぎて分かりやすいぞ」

「俺ァ円卓の座(イスカリオテ)十一席 『壊塵(かいじん)』のハイリ。旧時代の遺物を処理しに来たァ!!!」

 新顔の円卓の座か。見た目からして力には自信があると見ていい。覇王色は無し、武装色に秀でているが見聞色は相応と言ったところか。速度は筋肉で無理矢理。正しく脳筋(ザ・パワー)だな。

 

「だははは!態々自分で二つ名を名乗るなんて余程気に入ってるらしいな」

「プルスウルトラ!!」

「───ッ?!!!!」

 

 次元が屈折っ?!ただの筋力じゃ無さそうだな。拳を振り抜く直前奴の右腕が加速して周囲の空間ごと上下左右に歪ませたのか。今ので左腕は暫く使い物にならない。さて、どうするか。荒くれ者の巣窟とはいえ、こうも周りから注目を浴びてしまえば円卓の座としても体裁が悪いだろう。

 

「俺ァの筋肉は全てを破壊する!」

「団体行動は苦手のようだな」

「アァ?あんな腰抜け共と一緒にされるとは相当殺されたいようだなァ!!!プルゥス!ウルトラァア!!」

 

 地面を深く抉ってイオリの元に近づきヒーローパンチのように真っ直ぐ突っ込んでくるのだが、先程と同様に空間を屈折させながら迫る。

 

「動きが単調で助かるよ。脳筋は所詮脳筋ってところか」

 

 イオリは左斜め下方向に低く体勢を傾けて避け、ハイリの懐へと入り込む。そのまま右掌でハイリの鳩尾に『王剱』を叩き込む。ハイリの勢いを殺さずにそのまま遥か後方へと吹き飛ばす。重い衝撃と共に筋肉の塊が吹き飛んでいく様に周囲の野次馬は大盛り上がりをみせる。

 

「ルフィ達に手を出されなければいいが……早めに帰るとするか」

 

 メリー号の元へと戻るとそこにはボロボロのルフィとゾロがチョッパーの治療を受けているところだった。なんでも酒屋で空島について情報を集めいたところベラミーという海賊に喧嘩を売られたそうだ。ルフィとゾロはやり返すことなくベラミーが飽きるまで無視を決め込んだという。

 

「それで空島については何か知れたのか?」

 

 先程から不機嫌な態度を露わにしているナミにウソップはオドオドしながらも尋ねるも首を横に振られ何も得られなかったという結論に至った。元々モンブラン・クリケットから話を聞いていた為、そこまで期待してなかった。恐らく、ナミの憤りは町でベラミーに笑われたことに対してだろう。

 

「そう怖い顔するな。喧嘩を売られたからって必ず買うもんじゃねえんだ」

「だけどあんな奴に好き勝手されて」

「だとしてもだ。相手がどんなにチンピラだろうが格下だろうが同格に成り下がる必要は無い。他人の夢を笑う奴なんてのは程度が痴れる。俺たちは海賊なんだ。下らねぇ連中に一々目くじら立ててたら身が持たねぇぞ」

 

 その後、俺たちはモンブラン・クリケットの言っていたサウスバードを探しに行くことになり、2班に別れて行動を開始した。夕方に差し掛かる頃には船の元に戻り、夜ご飯の支度を皆が始めることになっていたのだが、ここで問題が起きた。モンブラン・クリケットの集めていたお宝をベラミー一味が強奪したとマシラが泣きながら助けを懇願しにやってきたのだ。その際、モンブランも重症を負ってしまい現在はチョッパーが診てくれている。

 ルフィは「少し行ってくる」と残して町の方へと消えていったのを見送るとナミとウソップが居ないことに気づく。先程まで船の中に居たはずなのだが、不自然に扉を開けられた状態で船の中から人の気配が無くなっていた。ナミの部屋には『人質を丁重に返して欲しければ舘エトワールに一人で来ること♡』という一枚の手紙と嗅いだことのあるヤケに甘い花の香りが残されていた。

 

「ゾロ、サンジ。スマンが船を空ける」

「ナミさんを助けに行くなら俺も」

「サンジ、これは俺のビブルカードの本体の方だ。ナミが戻ったらそれを渡しといてくれ」

「イオリ、お前は俺たちとは比べ物にならねえ程強いってのは充分わかってる。俺たちがそんなに頼りねえのか?」

「頼りにしてるさ。俺の問題なんだ。───わりぃな」

「もしお前が帰ってこなかったら?」

 

 ゾロとイオリの視線が交錯する。ゾロから向けられているそれは仲間への信頼であることが分かり、少し嬉しくなってしまう。

 

「ダハハハ!そん時はそん時だな。ノックアップストリームに間に合うように出航してくれ。ルフィとナミの説得は難しいだろうがそこは何とかしてくれ。一応でんでん虫は持ってるから互いに連絡は出来るんだからよ」

 

 期限は次のノックアップストリームまで。残された時間は限りなく少ない。13人の騎士を数時間で倒せる程俺は万能では無い。彼らを逃がす、いや巻き込ませない為の戦いだ。ナミにはでんでん虫の存在もビブルカードの存在も教えている。説得が難しいのはルフィの方だろうな。仲間を置いていくなんてこと彼の心情的に難しいだろう。

 

「俺も舐められたものだ」

 

 

 

 ──────────────────────

 

 

 

 ピトッ、ピトッという一定のリズムで水が滴る音が響く。薄暗くジメッとした小さい空間にはボロボロになった長鼻の男と手錠を掛けられて気を失っているオレンジ髪の女が押し込められていた。

 

「ナミ!ナミ!起きてくれぇ〜頼むって!」

 

 長鼻の男、ウソップはミミズのようにボロボロの身体に鞭打ってナミの元まで這いずると、彼女の身体を揺さぶって小声で起きるように促す。二人はつい先程までメリー号で各々作業に耽っていたのだが、ナミの元に白いローブに白い髪の女が現れると速やかに拘束、異変に気づいたウソップが白い女に立ち向かうもワンパンで潰され、現在に至る。

 

「ん…っんぅ……?!ここどこよ!ってウソップ?!その怪我大丈夫?」

「俺のことはいいんだ!いいから早くここから出よう。俺にもなんなのかさっぱりでよぉ」

 

 二人で小声で叫ぶ器用な真似をしていると部屋へと近づく足音が聞こえて直ぐに押し込められているこの部屋の扉が開く。扉の先からは踊り子のような格好の女性と聖騎士風の軽鎧を纏った男性の2人が入ってくるとナミとウソップに付いてくるようにハンドサインを送る。

 

「てめぇらなんなんだよ一体?!」

「私たちをどうするつもり?」

 

 後ろについていきながら何とか情報を聞き出そうとするが不揃いな格好の2人は特に口を開くことも無く沈黙が続いた。ナミとウソップが押し込められていた部屋は地下にあったのか階段を数十段上り屋敷のような場所に出た。そこから更に1階上り幾つもある部屋を抜けた先の一室に案内される。その部屋には二人を誘拐した張本人である白い女が側に控える形で金髪の凛々しい麗人が座って待っていた。

 

「私たちを捕まえてどうするつもり?そもそもアンタ達一体何者なのよ」

 

 異様な雰囲気を感じ取り変な汗が出てくるが、平静を保って質問を投げ掛ける。

 

「我々は円卓の座(イスカリオテ)と呼ばれる世界政府直属の遊撃部隊。海軍とは別に、諜報員とは別に任務を遂行する特殊部隊。私の名はアルトリウス。この円卓の座を統括している第一席。君たちをここまで案内したのが、女の方はグィネヴィア。このヴァナディースを統括している第五席。男の方は第三席のガディウス」

「ボクはその円卓の座の顧問的立ち位置の第零席のマーリンさんだ。乱暴な招待だけど許してくれよ。君達は彼を呼び寄せるための道具。彼が来れば君達には用がない。大人しく帰ってくれていいさ」

 

 執務机と応接に使われるだろう対のソファと低い机、その傍に膝立ちで拘束されたナミとウソップの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。

 

「ど、どうしてイオリを狙うんだよぅ」

 

 ウソップは怯えながらも勇気をだして問い質す。

 

「君たちがそれを知ってどうする?」

「訳くらい教えてくれたって良いだろうが!」

「───彼は元々我々の所有物だ」

 

 アルトリウスを名乗るその麗人はイオリをモノ扱いする言い方にナミの頭は急速に熱くなっていく。

 

「所有物ですって?!イオリはアンタたちみたいな奴らのモノじゃない!」

「そういえば君は彼の周りを飛び回る小バエだったね」

 

 白い女から絶対零度の視線と息を忘れてしまうほど重い圧を送られる。

 

「ほう?その雌猫が」

「うん。方針転換だ。長鼻くんは返すと誓おう。だけど雌猫。君はボクの手で殺そう」

「よせマーリン。下賎な猫は勝手に野垂れ死ぬ。捨ておけ」

 

 ナミとウソップの後ろに立つグィネヴィアは突如豹変した彼らに「また始まった」と溜息を零す。マーリンがグィネヴィアに視線で連れてくるように合図を送ると2人に立つように命令する。

 

「どうやら彼もヴァナディースに来たみたいだ」

「そうか。では、舞台まで行こうか」

 

 マーリンが杖を地面に優しく当てると部屋の床に幾何学模様の魔法陣が浮かび上がると、同時に眩い光が発せられると直ぐに景色は移り変わる。

 

「ここは」

「王の間?」

 

 先程まで屋敷の応接室のような場所に居たはずが、一瞬にしてどっかの国の王様に謁見できるような広い広間に出たことに困惑が隠せない。何本も左右に柱が連なり、柱一つ一つに世界政府の旗が掲げられ、玉座の後ろには黒い龍が円を巻き真ん中に剣が描かれた旗が掲げられていた。恐らく円卓の座の旗なのだろう。そしてこの広間にはアルトリウス、マーリン、ガディウス、グィネヴィアの他に7人の人間が玉座を護るように突き立てられた剣柱の前に立っていた。1つ空席なのは何かがあって今は居ないということだろうか。玉座にアルトリウスが座り、その右にガディウス、左にマーリン、グィネヴィアは自分の定位置と思われる剣柱の元で他7名と同様に待機状態に。

 彼らの行動や今居る場所の光景に一体何からツッコめば良いのか、自分たちは無事に逃げれるのか、ナミは殺されてしまうのか、など上げればキリがないくらいには疑問が幾つも上がるこの状況に心からイオリに早く助けに来て欲しいと懇願していた。

 

 イオリがめちゃくちゃ強いってのはこれまでの働きで充分理解していた。世界にはイオリみてえに強い奴らがいっぱい居ることも。だけど、こいつらはやばい。一人一人がイオリ並に強い。ドラム王国で出会った政府の諜報員ってのより断然強いことくらい馬鹿な俺でも分かる!特に玉座に座ってる奴とその左側にたってる男が一番ヤバイ。何だこのオーラみたいなのは?!あんなに離れてるのに近く感じるくらいには重苦しい気配が漂ってきやがる。

 ナミはもう放心状態だ。俺が何とかしなきゃいけねぇのは分かってるけどよ。俺に何が出来る?俺が弱いことなんて俺が一番分かってる。これは罠だ。イオリを捕まえる?違う。それよりももっと恐ろしいことをイオリに強いるつもりなんだ。イオリ、来ちゃダメだ?!ダメなのは分かってるけど助けてくれえ………

 

 

「随分と揃い踏みじゃねぇか。ナミとウソップは無事なんだろうな」

 

 広間の天井から2つの影が地面に落ちてくる。大太刀を抜いた白銀の男が筋肉ダルマを地面に叩き付けるように押さえ付けて登場した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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