ヴリトラハン   作:雀盆

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なかなか執筆に時間を避けなかった…



別れと花柳界 後編

 

 ジャヤ周辺海域でノックアップストリーム海流が始まった。天気は大荒れ、雷雨時々隕石の大群。“回帰”による“無冠”と“世界蛇”の治療が完了したことで花街に巨大な影が2つ立ち上がる。

 

「“回帰”に“自動書記図書”……死者蘇生は不可能だが生きてさえいれば完全治癒が可能。スタミナ迄は回復出来ないみたいだが…」

「余所見とは余裕じゃのう」

 

 空へ打ち上がる海流に向かって進むメリー号の姿を見送りながらも眼下にて状況の整理を行っていたところに、老齢の男がいつの間にか背後に立っていた。

 

「儂らも舐められたものよ」

 

 “巌窟”バルボッサ。ヒト族でありながらも身長は3m。童話や物語に出てくるドワーフがそのまま大きくなったようなヴァイキングそのもの。扱う武器は戦斧とメイス。巨躯からは考えられない速度に、巨人の覇気パンチを片手で受け止めることが出来るほどの筋力を持って戦斧とメイスを振り回す。

 防ぐもの全てを力のみで破壊する戦斧でイオリは背後から地面へと墜落されそうになる。

 

「ホッホッホッ!儂の力は衰えておらんぞ?」

「はっ!脳筋ジジイがっ!森の中に引き篭っていれば良かったものを…態々殺されに来てくれるとはなっ!!!」

「────聖槍抜錨」

「っ?!!」

 

 軽く2tは越えてそうな戦斧を片手で扱うバルボッサの力は正直別次元だ。単純な力勝負ならカイドウとタメを張るだろう。全てを鑑みてもバルボッサを追加で相手するのは厄介だが不可能じゃねぇ。

 くそっ!あのスカした天竜人が。大人しく赤い土の大陸(レッドライン)で貴族生活を謳歌しておけよ。一体どんな考えになったら世界トップクラスの覇気使いになれるんだよ。何をどうやったら箱入り娘が覇気を高密度に纏めて射出出来るようになるんだよ。

 

「だははは!ジジイ!てめぇごと消える気か?!」

「エレインの為ならこの老骨くれやるわい」

「安心しろ、イオリ。この槍は貴方のみを貫く。────穿て【ロンゴミニアド】」

 

 高密度の覇気が彼女の持つ剣へと収束し、形状を巨大な槍へと象っていく。黄金の輝きを放つ彼女の覇気は並の海賊が充てられたら失神してしまうだろう。

 聖槍は空気を引き裂きながら神の征伐の一撃が放たれる。未だイオリはバルボッサから逃れられていない。

 

「いくら神の能力を得てもエレインの前には敵わん」

「だはははは!!そうでもしねぇと俺を殺せねぇもんなァ!!」

 

 バルボッサが相も変わらず地に叩き付ける勢いでイオリを離そうとしない。イオリはわざと力を抜き押し返すのではなく僅かに右へと逸らすことにした。バルボッサに対する反発力が急に無くなったことによって前のめりによろけたところをすかさずイオリはバルボッサの右脇腹を深く抉るように斬り付ける。

 イオリはエレインに対して防御姿勢を取ろうとした直後、下からボコボコと膨らんでくる銀色の何かが迫りきていた。

 

「ウルスズか?!!っち!」

天楼餓夢(アマルガム)

 

 無機質な中性的な声と一緒に、金属の隆起現象によって上空にいるイオリの四肢を流動金属によって拘束する。

「エレインのため、死んでもらおう」

 

 島全体に響く轟音と共に膨大な星の光がイオリを飲み込んでいく。 イオリを拘束していたウルスズの流動金属を抉り、世界の彼方に放出されていく光は星の質量の塊。ただの覇気を含んだ斬撃ではないのは顕著に表している。

 

「殺してないでしょうね」

 

 月歩を使ってこれまでの戦況を傍観していたグィネヴィアはジト目でエレインに抗議する。そもそも、ヴァナディースを支配している天性の妓女というのがグィネヴィアだ。彼女も一応天竜人である。と言っても神の騎士団の箱入り娘が1人の男に救われ外での生活に憧れた結果、ヴァナディースという新たな土地で支配者プレイをしていただけに過ぎない。

 エレインは特に何も言い返さず、イオリが吹き飛ばされたと予測できる方向を睨みつけるだけ。

 

「はぁ、私の街がこんな目に…そろそろ潮時かしらね」

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

「…ゼェ…ッ…ハァ………ど…ッ…こまで…ゼェ…飛ばされた?」

 

 その身を焦がすような灼熱と引き伸ばし押し潰すような質量を大した防御姿勢も取れずに受けたその身体は皮膚をズタボロに焼き付くし肉を裂き、骨の何本かがひしゃげていた。

 

「日に何度もこれを使うことになるとはな」

 

 人獣形態は未だ解けず残っているイオリは神酒(ソーマ)を全身に浴びる。肉が焼けるような音を鳴らし、傷口からは煙が上がる。

 神酒(ソーマ)。本来、神々と人間に栄養と活力を与え、寿命を延ばし、霊感をもたらす不老不死の霊薬という伝説上の飲料だ。しかし、ことONEPIECEの世界においての神酒(ソーマ)は元来の副作用でもある高揚感が大幅に増幅する代わりに、神酒を浴びた者を癒すことが出来る万病の薬。

 動物系の覚醒は能力者に異常なタフさと脅威的な回復力を齎す。そこに治癒力を活性化させる神酒が加わり、寿命という概念も能力のお陰で実質不老となった。端的に言えば、(イオリ)は無限に回復してくる魔王そのもの。これには五老星も度肝抜かれるだろう。何せ自身らと似たような存在が虫の中から誕生しているのだから。

 

「まぁそこまで万能じゃねぇがな」

 

 一日で2度も神酒を使う羽目になるとはロックス以来だな。そもそもこいつは使えてひと月に1回だ。連続に使用すれば効力は弱まり、治癒力が低下する。完全に治らねぇ訳じゃないが1回目よりも時間が掛かる。

 

「ここは海岸か。随分と先に飛ばされたな」 

 

 イオリの息が既に整っているのも流石動物系と言うべきだろうか。状況を理解したイオリは直ぐに見聞色を使って円卓の座(イスカリオテ)の気配を探っていた。先程のエレインの一撃で空の雷雲は掻き消えていたおかげで、イオリの万雷の霹靂(アイラーヴァタ・アヴァローダ)の結界は崩壊していた。

 聖槍によって大気諸共喰らい尽くされた空は、本来の青ではなく暗い宙を映しこんでいた。宙を見上げ、こちらに急速に向かってくる気配とは別の小汚い気配に対してどうするかイオリは思案していた。

 

「ゼェ…ゼェ……とんでもねぇ目にあったぜ!!ん?…お前は …ゼハハハハ!!!今日はなんて運のいい日だ!!帝釈天(インドラ)がボロボロでこんなところにいるなんてよォ!!」

 

 恰幅な身体の黒を象徴とした男が海から歩いてきていた。その男はイオリの顔見知りであり、気に入らない奴として認識していた。

 

「白ひげの見習い小僧がこんなとこで海賊ごっこか?海の中から登場とは随分海賊らしいな」

「ゼハハハハ!俺はもう白ひげの船員じゃねェ!イオリ!俺の仲間にならねぇか?」

「……」

 

 イオリの前に現れたのはドラム王国を滅ぼした首謀者であり、白ひげ海賊団にいた船員でもあった。“黒ひげ”マーシャル・D・ティーチ。彼は下品な笑い声を上げながらイオリを勧誘し始める。その真意はどうあれ、イオリは依然と警戒心を解くことはなく、円卓の座(イスカリオテ)へ意識を割く。

 イオリの身体は未だ治療中で、ひしゃげた腕が元の位置に戻っているだけで断裂した肉体の治療が続いている最中だ。

 

「普段のイオリならともかく、今のお前を殺すなんて容易なことだ」

 

 ティーチはそういうと身体から闇を噴射する。その異様な光景に一瞬イオリは目を見開く。ティーチの行動を合図に他4人のティーチの仲間と見られる者たちが各々の武器を構える。

 

「……ヤミヤミの実」

「ゼハハハハ!!そうだ!俺は遂に最強の悪魔の実を手に入れたんだ?!コイツがどんなのかなんてお前なら分かってるだろ?」

 

 ヤミヤミの実。自然系でありながらその性質から自然系特有の流動する身体が無く、全てを飲み込む闇としてその身に一心に受けてしまう。しかし、そんなデメリットは覇気を極めれば大分軽減される他、それを加味しても強力な力を手に入れる。ヤミヤミの実は悪魔の実の実体を捕えることが出来る。それはつまり、ヤミヤミの実の能力者に触られている間、能力者はただの人間に戻るということだ。

 

「1つ忠告しておく見習い小僧。能力が世界を征することは無い。覇気あってこその能力だ」

 

 イオリが言い終えると同時に覇王色の覇気を飛ばす。大気を震わす覇気はイオリを中心に波紋状に撃ち放たれ黒ひげの一味の意識を一瞬で刈り取った。

 

「?!…覇…おッぅ…s!」 

 

 砂浜に倒れ伏す彼らを無視してヴァナディースの街の方へと歩いていく。既に銀色の何かがイオリ目掛けて伸び続けているのを捉えていた。その何かに乗っているのが“無冠”と“自動書記図書(メーティス)”。その横をプテラノドンのような姿で空を飛ぶ存在が1匹。

 

「あれが…“四元素”ククルか。いつから円卓の座(イスカリオテ)は珍獣博物館になったんだ?サーカスでもする気か?」

 

 “無冠”がイオリを捉えると銀色の何かから飛び降り右手に持つ槍を振り下ろす。

 

「命は助かっても足りねぇ頭は助からねぇみたいだな?!だははは!お前じゃ俺には勝てねぇ!!」

 

 どいつもこいつも舐めてくれる。手負いなら勝てるとでも思ったのか。俺は激動の人外魔境の時代の更に昔から生きてんだぞ。リンリンや今のニューゲートの方がマシな戦いをする。

 

「今度は確実にその命刈り取ってやるよ。『王剱・鳴神(ナルカミ)』!!!」

 

 大振りの槍を右に避けヨトゥンの懐に入り込むと右手でヨトゥンの身体を─左脇腹を掴む。掴むと言うより指を食い込ませるように触れる。蜘蛛の巣上に発散される2億Vの雷撃が覇王色を纏ってヨトゥンの体内を破壊する。

 全身の穴という穴からぶくぶくと沸騰した血液が吹き出す。沸騰した血液の圧力に耐えきれず内臓は破裂していく。巨人の身体を持ってしても内臓を破裂されたら死ぬ。

 

「ヨトゥン?!!貴様ァァァ!!!」

 

 長髪の眼鏡を掛けた男が激昂する。散々イオリに倒された円卓の座を回復してきてた男だ。イオリ認識上円卓の座にいるヒーラーの能力を持っているのは第六席“回帰”ミュルヘン・シュタインという男だった。どんな能力なのか未だ検討もついていないが、一つだけ分かることは眼鏡の男“自動書記図書(メーティス)”もまた同じ能力を使用していたということ。

 

 “自動書記図書(メーティス)”ヴェイルの能力は不透明な情報ではあるが、彼の動作や彼の能力によって展開されるモノを見て何となく予想をたてる。

 ヴェイルが回復を施す際、必ず橙色の立方体を展開し、その中で治療を施していた。今もヴェイルの右手には赤色の直方体を全部で5つ、イオリの上空に展開させていた。

 

「京楽砲火ァァァァ!!!」

 

 扉が開くように直方体の底面が開くと、中から無数の砲弾が雨のように降り注ぎ、別の箱からは無数の武器が落下してきた。また、ある1つからは全てを飲み干す毒が津波のように襲いかかり、花吹雪を舞い散らせ、灼熱の業火が天を覆う。

 

「アレの中に別の存在を閉じ込めているのか。通りで治療の仕様が“回帰”とおなじなわけだ。あくまで箱の中に閉じ込めたモノを、その時の物理状態を殺さずに次箱を展開する時まで状態を保存し留める。奇っ怪な能力だな」

 

 だが、箱の色で大方の予想はつきそうだ。エレインの位置は先程から動いてないが、覇気を猛々しく溢れさせて次の攻撃に備えているって感じか。

 

「随分と怒るのだな。仲間の死は辛いか?」

「ック──がァッ!!」

「だっはははは!!! 大事な大事な仲間を救えなかった。目の前で死んでいく様は壮観だったろ!?」

「───貴ッ様ァァァァ!!!」

「人情劇でも演じてるつもりか?」

 

 完全に覚醒状態にあるイオリの煽りが相当効いているヴェイルは周りのことなど気にせずに能力を振り翳す。

 いつも啀み合っていたハイリのことはその精神性は嫌いだったが円卓の座(イスカリオテ)に同期で入った仲でもあった。ヨトゥンとはよく任務を一緒にこなしていた故に一番仲が良かったとも言える。政府に仕えることになり、友人と呼べる者など作ろうにも作れなかった。だからこそ、円卓の座での関係性は心地良かったのだ。

 

「それを──それを!!目の前で救えなかった気持ちが貴様には理解るか?!!」

 

 ヴェイルの思考にはイオリを殺すこと以外の考えはなかった。如何に残酷で非道で劣悪な殺し方をしてやろうかと思考をロックさせていた。ハコハコの実によって繰り出される弾幕攻撃によって巻き上げられた砂埃が粉塵爆発を起こすのは容易だった。

 故に、イオリの姿を一時的に知覚するのが遅れてしまった。

 

「一刀雷仙・神避」

 

 その一瞬の隙がヴェイルの身体を、胴体を二分させた。彼は思考する間も無く、その意識を消失した。

 イオリは目の前に転がる死体を気にも止めずに、残りの円卓の座(イスカリオテ)の動向を探る。イオリが常に気にしている人間は『“花の魔術師”マーリン』、『“巌窟”バルボッサ』、『“太陽の騎士”ガディウス』、『“辺獄”ウルスズ』の4名。グィネヴィアや『“回帰”ミュルヘン』に関してはイオリとの相性の問題から直接関わってくることは無いからだ。

 

 未だヴァナディースの上空でコチラを監視している翼竜は第九席『“四元素”ククル』。ただの翼竜が炎など吐くわけが無い。悪魔の実はリュウリュウの実幻獣種モデル“ケツァルコアトル”と見て良さそうだな。

 第七席『“琥毒”アジャルクス』の姿は見えないが、見聞色に反応しないということは戦意は無いと見ていい。13名中3人は殺した。“世界蛇”は治療されたとはいえ、まだ起き上がれる状態じゃないはずだ。

 先程から姿を現さず、巧妙に殺気を隠している男が1人。『“太陽の騎士”ガディウス』は戦闘が始まってから一度も俺の前に出てきてない。

 

「───ッ?!だっはははは!!いつから陰気な人間になった?神を守る騎士様が野盗みたいな真似をするとはなァ?!高尚な騎士様も堕ちたものだな!!!」

 

 イオリが丁度ガディウスに意識を向けた瞬間、背後から大剣を携えた大男が斬り掛かってきた。燃えたぎるような覇気を纏った斬撃を間一髪で左へ避ける。

 

「私がなんと言われようと勝手だが、これ以上エレイン様の夢を踏み躙るのはやめていただこう」

「随分と傲慢だな。他の人間の夢も希望も略奪しておいて自分の主はダメ。身勝手にも程があるだろう。お前の人生も奴に縛り付けられているようなものだろう?元“奴隷の王子”ガディウス君よぉ」

「私はエレイン様のおかげで今ここにある。この世界に絶望し全てを諦めかけていた私にもう一度光をもたらしてくださったのだ!」

「幻想を抱くのも大概にしろ。アレは貴様のことなど何も想っちゃいない。所詮無限にある玩具のお気に入りでしかない!!」

「ベラベラと減らず口を?!」

銀龍哭肆泉(ギンリュウ・コクシセン)!」

 

 幾度かの鋭い金属音が響きわたり、激しい火花を散らせしながら交錯する両者を囲うようにウルスズは金属の結界を張る。ピラミッド状に形成された細い鉄線のような金属は内部にも棘が広がるように乱雑に展開され、イオリとガディウスのいる空間を金属の網で閉じ込める。

 

「足場を形成し、自由に移動しやすくしたか」

 

 ウルスズの特性上、金属内部を流動するように変幻自在に移動する。網のように空間そのものを閉じ込めて居なくても、この空間内にいる限りウルスズにその場所を補足され続ける。正しく結界と呼べるものだ。

 その結界を外部から覆うように侵入してくるこの花の香りはマーリンの手によるもの。方向感覚を狂わせ、俺の能力を何時でも封じられるようにするつもりか

 

 エレインは自身の周りの重力を操作して空中に浮かびなから、ウルスズが展開した結界の様子を伺っている。その元に幾つかの罠と結界を張り終えたマーリンが近寄ってくる。

 

華魈(かしょう)を展開した。これで天気を操作される心配は無いね」

「油断するな、マーリン。彼は、イオリはまだ雷しか使用していない」

「確かにそうだったね。まだ能力の上澄みでしかないなんて本当にイオリ君は恐ろしいね……カッコよくて」

「………」

 

 マーリンは昔からろくでなしであり、人を人としか認識していなく、精神的にも終わっているのだが、素直に率直に感想を意見を述べることが出来た。イオリへと真っ直ぐに向き合いその感情を隠さず、余すことなく伝えていた。

 対して、エレインはマーリン同様出来る女だった。才能も天竜人とは思えないくらい素晴らしい逸材だった。しかし、感情を表に出すのが不器用なのだ。常に仏頂面で何処か達観した様子で喋るその様は王の威厳を指し示していた。だからこそ、イオリに対して想いを素直に伝えることが出来ず、剣で語るしか無かった。

 グィネヴィアは……アレは童話の姫を夢みている少女なのだ。それでいてイオリに対しては「私分かってるから」といった幼馴染ポジションに収まろうとした過去があるくらいにはとち狂っている天竜人だ。所謂、エレインやマーリンのお零れに預かろうとしているハイエナと言っていい。

 

「相変わらず表情には出さないけど、態度には表れるみたいだね。剣が震えてるよ」

「仕方ないだろう。彼をここまで追い詰めたのは何年振りだ?」

「漸く…漸くボク達の悲願が──まさかっ?!ッ有り得ない!!」

 

 銀龍哭肆泉を包む華魈の花はその内部まで侵略し、内部での戦闘継続を難しくさせていた。イオリの体力を削るように生気を吸い取る花と空気吸入によって麻痺させる神経毒がある鱗粉を撒き散らす蝶を召喚したのだ。

 結界内を駆け巡る毒とガディウスの巧みな剣技。そのどれもがイオリの能力を使わせる行為を邪魔させるものに繋がった。

 

 雷を展開させても鬱陶しいコレらを完全に焼失させることは出来ない。精々一時凌ぎになる程度。

 

「───流石に雷だけじゃあ…ちと厳しいな」

 

 イオリは右上手に持つ金剛杵“バジュラ”を刀の代わりに胸の前で構える。バジュラから眩い光と共に雷電が迸る。ソレはバジュラを中心に乱回転を繰り返し、螺旋に回る高電離気体の塊を形成する。

 

「ふはッ!太陽の騎士と謳うのであれば耐えてみよ」

 

 耳を劈くような音ともにソレがバジュラの元から切り離されると、イオリは即座に自分の身を守るように全身を分厚く雷の鎧で覆う。

 

灼雷(マハーヴァ・ラタ)

 

 号令と共にバジュラから離れたソレは突如と膨張を始め内から溢れんばかりの炎と雷が放射状に放たれた。

 

 

  

  

 

  

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 




マーリンは某F○teのプロトマーリンがモデルで、中身は全く違うけど何処か似ている恋してる乙女
エレインは黒王みたいな物静かだが食べ物やイオリに対してはキラキラと目を輝かせる乙女。
グィネヴィアは理解してる系幼馴染ヒロイン。彼女が一番拗らせている癖に3番目でもいいと思っている乙女

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