前回の続きになります。
それではどうぞ。
後日。CiRCLEのスタジオにて。
「……今日の練習はこのぐらいにしましょう」
時間になったのか、友希那が他の5人に言う。
「りんりん、ゆうりん、おつかれさまー」
「あ、あこちゃん、お疲れ様……」
「…お疲れ様」
あこ、燐子、悠里がそれぞれ労う。
「ていうか、燐子はこれから残ってコンクールの練習をしていくんでしょ?」
「えっ? そうなの?」
リサの言葉を聞いたあこが驚く。
「うん、少しでも練習をしていこうと思って……」
「そっか。でもあんまり無理しちゃダメだよ?」
「ええ、少し疲れが出ているようだし、詰め込みすぎはよくないわ」
「え……? あの、わたしの演奏……おかしいところがありましたか……?」
紗夜にそう言われ、燐子は演奏の時にどこかおかしいところがあったのか?と彼女に訊く。
「演奏にミスはなかったわ。ただ、音が沈んでいるように感じたの。今井さんと宇田川さんと悠里さんも感じなかったかしら?」
理由を述べ、他の3人にも訊く紗夜。
「あ、えーと、いつもと感じが違うなとは思いましたけど……」
「う、うん。なんとなく元気がない感じはしたかも……」
「…ミスはなかったけど、所々で音が沈んでいたのは僕も思った。いつもの燐子ちゃんらしくないというか」
「……」
そう言われ、燐子は少し落ちこんでしまう。
「確かに、あなたらしくない演奏だったわね」
そして友希那も悠里と同じ事を言った。
「ゆ、友希那……ほら、新しい曲の練習だったし、燐子もまだ掴めてないだけだって」
アタシも何ヶ所かまだうまく弾けないところあったしさーと友希那に言うリサ。
「たとえ新曲でも、燐子はいつも曲の雰囲気を掴めていたと思うけれど」
「そ、その、曲の理解が足りていなかったのかもしれません……」
「理由が分かっているなら、私から言う事はないわ。次までに曲の理解を深めておいて」
「は、はい……」
友希那の指摘に返事をする燐子。
「……? 電話?」
すると悠里の鞄に入っているスマホから電話の着信音が鳴った。
「…あ、桃先生からだ」
なんと電話の相手は昨日カフェテリアで会った悠里のクラス担任、桃からだった。早速、電話に出る悠里。
「…はい、もしもし?」
『もしもしー、水無月ちゃんー? お買い物中でしたかー?』
「…いえ。昨日、桃先生が会った僕の友達がバンドを組んでるので、一緒に練習と微力ながらお手伝いしていて、たった今練習が終わったところなんです」
『あらあらそうだったんですかー♪』
「「「「…………(じー)」」」」
スマホの向こうから聞こえる可愛らしい声、そして悠里に対して羨ましい視線を向ける2年生組の4人。
『そういえば水無月ちゃん、先生が送った課題曲なんですが……』
「? 昨日、メールで僕に送っていただいた曲ですよね? それがどうかしました?」
『
「…ちょ、ま……」
『では、練習頑張ってくださいねー♪ 無理だけはしちゃダメですよー? それと場合によっては補習も覚悟してくださいねー♪』
そして悠里が何かを言うのを察したのか、桃は電話を切ってしまった……
「…そういう訳で、僕も残って練習する事になったから」
やられたとばかりな表情をしながら、自分も残って練習をすると言う悠里であった。
◇
数時間後。
「はあ……」
息抜きがてら、CiRCLEのロビーにやって来た燐子。練習が終わり、早速、課題曲を弾いていたのだが、結局、最後まで弾けなかったのだ……
「(もしかしたら、このまま本番でも弾けなくて、また……)」
「……燐子?」
「友希那さん……?」
そう不安に思っていると、友希那が燐子に声を掛けてきた。
「バンド練習のあとも残って練習をすると言っていたけど、まだ残っていたの?」
「は、はい……友希那さんも残っていたんですか……?」
正直、残って練習をしてるのは、自分と悠里だけかと思っていた燐子。友希那も残って練習をしていたのが驚きである。
「ええ、新曲の練習をしていたのよ」
まだ完璧に歌えているとは言えないものと質問に答える友希那。
「それで……こんな時間まで……」
「……随分、浮かない顔をしているわね。コンクールの練習、うまくいってないの?」
「はい……ずっと練習してるんですけど……うまく弾く事ができなくて……」
ちょっと息抜きに飲み物を買いに来たんですと友希那に話す燐子。
「そんなに難度の高い曲なの? そういえば課題曲を知った時、少し戸惑っていたわね?」
まあ、その課題曲を作ったのが、悠里のクラス担任だったというので、友希那と燐子も二重の意味で驚いたのだが。
「曲は難しいけど……弾けない曲じゃないんです……ただ、弾いてると……小さい頃の事を思い出してしまって……どうしても途中で指が動かなくなるんです……」
そして燐子は友希那に自分がピアノを始めた切っ掛けを話し始めるのだった……
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