月の少年と再演のプレリュード   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。
少しオリジナル要素が入ってます。

それではどうぞ。


第5話 わたしの気持ち

「……ちゃーん! りんこちゃーん!」

「(あ、おとなりの……)」

 

近所の公園にて。燐子に声を掛けてきたのは、自分の家の隣に住んでいる同年代の女の子だった。

 

「ねぇねぇ、いっしょにあそぼー!」

「えっと、ぴあの……ぴあのがあって……」

 

一緒に遊ばないか?のお誘いだった。しかし燐子は今日、ピアノ教室で練習があるので、一緒に遊べないのだ……

 

「(そうだ……さそってもらったんだから、お礼いわないと……)」

 

とはいえ、せっかく誘ってもらったんだから、お礼は言わないと思い……

 

「あ、あのね……えっと……」

「なに? きこえないよー?」

「ねぇねぇ! はやくきてー! おっきい犬がいるー!」

「ほんとー!? じゃーね、りんこちゃん!」

 

お礼を言おうとしたが、他の子が大きい犬が居ると言い、その子も燐子にじゃーねとだけ言い残して、その場を去ってしまった……

 

「…………」

「りんこちゃーん」

「あ、ゆうりくん……」

 

すると先程の子と入れ違いで、幼馴染みである悠里が燐子に声を掛けてきた。

 

「もしかして、さっきの子と何かあったのー?」

「えっと……あ、あの……」

「うん。ゆっくりでいいよー」

 

自分の人見知りを解ってくれているのか、悠里はゆっくりでいいよと言う。

 

そして先程のやり取りを彼に話す。

 

誘ってくれてありがとうと言いたかったのに、自分が人見知りなせいで、相手に上手く伝わらなかったのではと……

 

「うーん、次会った時にまた言えばいいんじゃないかな? 僕もりんこちゃんみたいな事、あったもん」

「そう……なの?」

「うん、この間の事なんだけどねー……」

 

彼曰く、母の同級生が営む和菓子屋へお使いに行ったのだが、そこの看板娘である幼馴染みに一緒に遊ぼうと誘われたのだが、悠里は用事が入ってるから遊べないと断ったそうだ。

 

「だから僕もりんこちゃんの気持ち、分かるよ。そうだ! これ見てよ!」

「音楽……プレイヤー……?」

 

少し話題を変えようと、悠里が燐子に見せたのは子供でも持てるサイズの音楽プレイヤー。

 

「うん。昨日、部屋の片付けしてたら、見つけたんだ♪ そしたら夜くらいに母さんが慌てながら、『あの曲どこー!? 気分転換にピッタリのあの曲はー!?』って言ってたけど」

「……(それって……こまってるんじゃ……)」

 

そんな燐子の反応をよそに近くのベンチを見つけた悠里は、彼女の手を繋ぎながら、あっちで一緒に聴こうよと誘う。

 

「そーいえば、今日ぴあのがあるって言ってたけど、時間だいじょーぶ?」

「すこしなら……だいじょーぶ……ゆうりくんともうすこしいっしょにいたい……」

「そっかー♪」

 

燐子の言葉を聞いた悠里は嬉しそうに笑顔で返す。

 

「どんな曲なんだろ?」

「たの……しみ……」

「再生するボタンは……あった! ポチっとな☆」

 

そして音楽プレイヤーから再生された曲は……

 

 

 

 

「「((……そうだ。あの時、聴いた曲だ))」」

 

目の前で桃が弾いてる曲が、幼い頃に公園で聴いた曲だと思い出した燐子と悠里。

 

「ふぅ。こんな感じですが……どうでしたか?」

 

曲が弾き終わると同時に起こったのは、後ろから聞こえる拍手。

 

「……って、友希那!?」

「「…………!」」

 

その正体は友希那だった。リサだけでなく、紗夜とあこも驚いている。

 

「い、いつから部屋の中に……?」

「叶さんが演奏を始めたあたりかしら? 私もだけど、みんな演奏に夢中で気がついてなかったわ」

 

燐子の質問に答える友希那。なんと桃が演奏を始めたあたりから居たそうだ。

 

「そ、それならそうと声ぐらい掛けてください」

「そ、そうですよ~! も~、あこビックリしちゃった~!」

「演奏中に声を掛けるなんて無粋な事はしないわ」

 

紗夜とあこの言葉に、そんな無粋な事はしないと返す友希那。……まぁ、確かに彼女らしいが。

 

「桃先生。今の曲、凄いのもそうなんですけど……どっちかっていうと、懐かしいって感じました。偶然ですかね?」

「わ、わたしも……小さい頃に公園でゆうりくんと一緒に聴いた曲と全く同じで……」

 

先程の曲の感想……というか、疑問を桃に訊く悠里と燐子。

 

すると、桃はくすくすと笑いながら……

 

「懐かしいも何も、先生が今弾いてた曲は()()()()()()()()()()()()()()()()()なんですよ♪」

『えっ!?』

 

今の曲の正体を口にしたのだ。それを聞いて驚く6人。

 

それもその筈。悠里と燐子の母が作ったものだと桃は言うのだ。

 

「正確には学生時代に先生が考案した卒業論文ならぬ『卒業作曲』というやつです。ちなみに先生はお題は出してないので、お二人が作ったオリジナル曲なのです」

「…僕、初めて聞きました……」

「わ、わたしも……」

 

特に悠里と燐子は母達がそんな事を言ってる素振りがなかったので、桃の話は初耳だった。

 

「水無月ちゃんと白金ちゃんらしい最高の曲なのです。全ての楽器や歌に言える事なのですが、普段通りにやっても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のです」

『っ!』

 

その言葉はこの場に居る6人に突き刺さるものだった。

 

「さて。せっかくなので、ここに居るみんなでセッションしませんか?」

「……まーた、桃先生が突拍子のない事を言い出したよ。僕は構いませんが、()()()()()()()()()()とか出さないでくださいよ?」

「「「「「……(縛りプレイ染みたお題って、なんだろう((かしら))……?)」」」」」

 

桃の突然の提案にまた始まったよとばかりに軽く溜息を吐きながら突っ込む悠里。5人は彼が言った『縛りプレイ染みたお題』という単語が気になったが……

 

「湊ちゃんも居るんですからそんな事はしません、しません♪ 自由に音を合わせるのも醍醐味なのです♪」

「…友希那ちゃんが居るという言葉を桃先生が使った時点で、僕は不安しかないんですが……」

「というわけで湊ちゃん。今からこの曲をやるので、渡しておきますね?」

 

悠里の意見を笑顔で無視しながら、桃は友希那に1枚のスコアを渡す。

 

「? 歌詞とフレーズが一部だけ空白……?」

「ホントだ! あ、見たことのない記号がある!」

「こっちには『尚、この部分はギターとベースのみ異なる』って書いてあるわね……」

「えーっと……『ドラムは好きなタイミングで叩いてよい。出だし含む』って、ええっ!?」

「キーボードは……『さり気なく自分の好きな音を弾く。ただし、ほんとに出したいと思った時は主張を強くしてよい』……」

「…自由さとお題が詰め込まれた感じに見える曲だけど……未完成ではなさそう。この曲はなんなんですか?」

 

しかし渡されたスコアを見て友希那だけでなく、他の5人も驚いた。何故なら、一部の歌詞やフレーズ等が記されておらず、代わりに不思議な記号が記してあったのだ。

 

「それは()()()()が作った課題曲兼自由なセッション用の曲なんですよ♪」

「!?」

「えっ!? 友希那のお母さんが!?」

「厳密には()()()()()も巻き込んだ曲……と訂正した方が正しいですね」

「アタシのお母さんも関わってるんですか!?」

「はい♪ 湊ちゃんと今井ちゃんは『私達が思う感覚で作っただけ』と言ってましたが、先生から見れば、凄く画期的で世界に一つだけの曲と言っても過言じゃないです」

 

なんと、この不思議な曲の正体は、友希那とリサの母が作った曲との事。それを聞いた当人2人は特に驚いていた。友希那に至っては、スコアを何度も見返していたが。

 

「友希那、知ってた?」

「…初めて聞いたわ」

「それならセッションが終わった後に、湊ちゃんと今井ちゃんが()()()()()()()()()()()()()()()()する方法を先生が教えてあげましょう♪」

 

桃曰く、当時の母達は共通して苦手な課題があり、それを娘である友希那とリサが行えば、確実に反応してくれるからとの事。

 

「「……((お母さんの反応……すごく気になる))」」

 

この曲もそうだが、当時の事がすごく気になった友希那とリサは他の4人も巻き込んで、急遽この曲を中心にしたセッションを行うのであった。




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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