ゆっくりと12月のあかりが灯りはじめるキヴォトス
慌ただしく踊る都市を誰もが好きになる。
店員「いらっしゃいませ」
"こんばんは"
店員「こんばんは、予約されていた先生ですね。」
店員「大きいので気を付けてお持ち帰りください!」
"ありがとうございます"
ケーキを買い歌いながらシャーレへと急ぐ先生。何故こんなウキウキなのか、昨日の様子を見てもらおう……
_________
"フウカ、ちょうど良かった。"
フウカ「あ、先生!明日はよろしくお願いしますね!」
"その事なんだけど、明日は来なくてもいいよ。"
フウカ「 」
フウカ「…えっ?」
"うん?"
フウカ「ど、どういう事でしょうか、ほ、他の方が担当することになったとか?」
"そういう事じゃないよ"
フウカ「ではどうして…」
"折角のクリスマスなんだからシャーレの当番より皆とパーティーした方がいいかなと思って"
フウカ「そ、そんな事ありません!」
"とにかくそういう事だから"
フウカ「あっ、ま、待ってください先生!」
シャーレに戻ってきた先生
"明日はクリスマス…か。"
クリスマスと言えばキヴォトスでもかなりの盛り上がりを見せるらしい。
実際12月に入る前からクリスマス関連の書類が増え始め、現場の下見やイベント開催のための会議など仕事量がいつもの2倍から3倍に増えた程である。
なんとかクリスマス関連の仕事を終わらせたのだが、その他の書類もいつも通り増え続けていた訳で…
"クリスマス当日も書類の片付けで終わりそうだな…流石に当番の生徒を捕まえてこれを手伝えなんて言えないからね。"
その時ふと思いつく
"クリスマスならアレをやっても許されるのでは?"
昔見たアニメ。クリスマス当日ウキウキで準備をしたものの招待した人が誰も来ず部屋をめちゃくちゃにするシーン。
"ガラスも1枚割るぐらいなら大丈夫か…そうと決まればうんと大きなケーキを注文しよう!"
_________
ブィーン
"外は冷える…あれ?暖房付けっぱなしで出掛けちゃったみたいだ"
綺麗に飾り付けられた部屋、カラフルなテーブルクロスに複数人分の椅子、クリスマス料理…は出来ないので空き皿を並べてある。
ケーキの箱を机のど真ん中に置きトイレへと向かった。
トントントン
"ふぅ…ん?"
シャーレには1人だけのはず、しかし台所から音がする
"フウカ…?"
フウカ「あっ、先生。急にごめんなさい。」
今日は来なくてもいいと言ったはず…
フウカ「お皿があるのに料理も食材もないので作ってしまっていますが…お邪魔でしたか?」
気付かないうちにVRキヴォトスを起動してしまったのだろうか?
フウカ「あ、あの…何か言って頂けると…」
"ごめん、ちょっとぼーっとしてて。ありがとう"
フウカ「いえいえ、こちらこそ突然お邪魔してしまって。」
"今日は1人の予定だったからフウカが来てくれて嬉しいよ"
フウカ「え?でもこの大きなケーキや席に並べられたお皿は…」
"今日も一日書類漬けだったから…"
フウカ(先生が変な事を…もしかしてかなりお疲れなのでは…?)
"とにかく気にしないで大丈夫、何を作ってるの?"
フウカ「取り敢えず七面鳥を下ごしらえしてオーブンに入れた後シチューを煮込んでいます、それに付け合せのサラダを」
"理想的なクリスマス料理だね"
やはりこれはVRみたいだ、食べたいメニューばかり作ってくれている
フウカ「ただ、お皿の枚数分作ってしまったのでかなり余ってしまいますね…」
"シチューとケーキは明日皆で食べるとしてチキンを頑張ろう"
フウカ「2人で、ですか?」
"うん今日はフウカと2人きりで過ごしたいから"
フウカ「~~~!先生はまたそういう事を、、、」
料理しているフウカの後ろ姿、なんだか抱きしめたく…
フウカ「先生、それは駄目です。」
"後ろに目でも付いてる?"
フウカ「気配ですね、料理中は駄目です。もうすぐ終わりますから。」
サラダを盛り付けオーブンから七面鳥を取り出し机に並べる
フウカ「お待たせしました、前からでも後ろからでも大丈夫ですよ?」
"じゃあ後ろから"
先程まで料理をしていたからか、様々な食材や調味料の香りがフウカの匂いと一緒に鼻腔をくすぐる。
カプッ
フウカ「ひぁあっ!」
ペロペロ
フウカ「ちょ、ちょっと先生、待って…」
咄嗟に距離をとるフウカ
"美味しそう匂いがしたからつい"
フウカ「もしかして相当お腹がすいてるんですか?」
"かもしれない"
フウカ「じゃあ早速いただきましょうか」
フウカ(あのまま逃げなかったらどうなっていたんでしょう…)
フウカ「では切り分けますね」
切った断面から様々な野菜が顔を出し、少し遅れていい匂いが部屋に充満する
"いただきます"
口に含む前からわかっていたが美味しい、丸ごとの七面鳥は初めてだが将来これ以上は望めないと思うくらい美味しい
フウカ「どうですか?」
"凄く美味しい"
フウカ「ふふっ、ありがとうございます」
"毎日食べたいぐらい"
フウカ「毎日七面鳥は流石に飽きると思いますが…」
他愛もない会話をしながら目の前の七面鳥を平らげていく
"なんとか食べきれた…"
フウカ「案外何とかなりましたね、今胃薬を持ってきます」
そういえばこの辺に………あった
棚の中から目当てのものを見付ける
フウカ「こちらをどうぞ」
"ありがとう、ちょっといい?"
フウカ「何でしょうか?」
"これを、メリークリスマス"
フウカ「これって…ネックレスですか?」
"うん、以前自分用にって買ったんだけどよく見たら女性用でさ"
"気に入らなかったら無理に受け取らなくても大丈夫だけど…"
フウカ「あ、、、その」ぽろぽろ
"フウカ!?"
フウカ「違うんです、その、嬉しくて…」グスッ
"大丈夫?"
フウカ「大丈夫です。でも、もし宜しければ…着けて貰えますか?」
"分かった"
フウカの首に手を回しネックレスを着ける
フウカ「ありがとうございます、私今とても幸せです。」
"喜んでもらえて良かった"
フウカ「っと、食後のお茶がまだでしたね。今淹れてきます。」
"ありがとう"
返事をした途端急に眠気が襲ってきた、連日の徹夜が祟ったらしい。
抗う間もなく倒れてしまった。
フウカ「お待たせしました、先生?先生!!」
""スヤァ
フウカ「眠っているだけですか」
ホッ、と胸を撫で下ろす
フウカ「あれだけ言ったのにまた無茶をしたんでしょうね、よいしょ…っと」
先生をお姫様抱っこして仮眠室へ運ぶフウカ
フウカ「全く、襲われても文句言えませんよ?」
キョロキョロ
フウカ「誰も居ませんし、もう1つだけクリスマスプレゼントを貰っても良いですよね…」チュッ
次の日の朝
"ん…"
"朝?どうしてベッドに?"
"フウカと夕食を食べて…いや、VRか。その後の記憶が無い…"
VRキヴォトスは元の場所に戻してある、という事はなんとかベッドに辿り着いてそのまま寝てしまったのだろう。
"クリスマスの日に素敵な夢を貰っちゃったな、溜まった書類は…今日何とかしよう。"
_________
ジュリ「フウカ先輩、素敵なネックレスですね」
フウカ「ふふふ……ありがとう」
フウカの胸元には昨日貰ったネックレスが輝いている
To Be Continued……