"机の上に書類が無いのも久しぶりかな。"
最後の1枚に判子を押し、ひと息つく。
"仕事終わりにコレが待ってると思えば仕事もやる気になるね。
"チラッ
視線の先にはVRキヴォトス、最近コレをやる為に仕事を頑張っていると言っても過言では無いだろう。
さっそく装着する、起動した画面にはシャーレの風景が映し出され、右上辺りにミカのアイコンが浮かび上がる。
ミカ「やっほー☆先生、居るかな?」
"居るよ。"
ミカ「良かった、上がってもいい?」
"どうぞ。"
"今日はどうしたの?"
ミカ「えへへ、実はロールケーキが駄目になっちゃいそうでね?先生ぐらいしか引き取ってくれないだろうなって思って。」
紙袋を揺らしてみせる
"ちょっと見せてもらえるかな?"
ミカ「え?う、うん。」ガサガサ
"・・・"
"これトリニティ中央付近、角にあるスイーツ店の物だよね?"
ミカ「えっ!?なんで分かるの!?」
"スイーツには少し詳しくてね、しかもこれ最近でたばかりの奴でしょ?"
ミカ「そ、そうなの?見た目普通の奴を買ってきたんだけど、あっ...」
"ミカ?"
ミカ「ち、違うの!い、今のは間違いっていうか、その...」モゴモゴ
"正直に話して。"
ミカ「あう...」
ミカ「...とうは...生に...たくて」
"?"
ミカ「本当は先生に会いたかっただけなの、だけど理由もないのに会いに行くのはダメかなって、」
"そんな事ないよ。"
ミカ「嘘、先生は優しいからそうやって言ってくれる。でも本当は迷惑なんだよね?私を傷つけない為にそう言ってるんだよね?」
"会いたいから会いに行く、それの何がいけないの?"
ミカ「魔女って呼ばれてる私と会ってるって周りに知られたら先生だってどんな目で見られるか...」
"私はミカを魔女だと思ってないし、ミカが会いたいと思うなら時間を作るよ。大事な生徒の1人だからね。"
ミカ「ズルいよ先生、そんなこと言われたら私...自分を抑えられなくなっちゃう...」
そう言うとミカは先生の真正面に立つ
"ミカ、近過ぎる気がするんだけど。"
ミカ「もう一歩前に出たらどうなるか、分かるよね?」
"落ち着いてミカ、今お茶を煎れるから。"
ミカ「私は先生が好き、ライクじゃ無くてラブの意味で。」ガシッ
逃げようとしたがホールドされてしまい動けなくなる
"私は先生だよ?"
ミカ「そう言うと思った、でも先生は優しくし過ぎたの。だからこれは先生の責任でもあるんだよ?」
ミカ「答えて欲しいの、私の告白への返事はYESなのか、NOなのか。」
"それは..."
真っ直ぐ見つめるミカの瞳、諦めの中にもしかしたらという小さな期待が見えた
"ミカ"チュッ
ミカ「えっ?」
"私もミカが好きだよ"
ミカ「本当に、本当に私でいいの?」
"うん、ミカがいい。"
ミカ「嘘、えっ、ちょっと待って、???」
"どうしたの?"
ミカ「きょ、今日は帰るね?」
"あ、うん、気を付けてね。"
_________
ミカ「夢...じゃないよね?」ツネリ
ミカ「痛い、やっぱり夢じゃないんだ。」ヒリヒリ
ミカ「先生が私と付き合ってくれた、あんな事したのに先生は私の事彼女にしてくれたんだ。」
ミカ「これからは裏切らないようにしなきゃ、私が先生を守らなきゃ。」
ミカ「私にとって先生は大切な人だし、先生にとって私は大切な人だって分かったから...」
_________
ミカが帰ってから少ししてアツコのアイコンが浮かんできた
アツコ「おはよう、先生。」
"おはよう、アツコ。今日はどうしたの?"
アツコ「いつも先生に来てもらってばかりだから、今回は私の方から来ちゃった。」
"大丈夫だった?"
アツコ「別に問題はなかったかな。」
アツコ「それに皆からしても私がシャーレに居るのは好ましいことだと思うし。」
"どういう事?"
アツコ「シャーレが1番安全だからね。」
"私と会ってる事バレたら不味いような。"
アツコ「それはもう大丈夫。サッちゃんは先生の事信頼してるし、ミサキだって同じだよ。」
"ならいいけど、今日はどうしてシャーレに?"
アツコ「下見、って所かな。」
"下見?"
アツコ「そう、いずれ住むかもしれない場所を見に来たの。」
"誰が、何処に?"
アツコ「私が、シャーレに。」
アツコ「勿論先生が嫌だって言うなら無理強いはしないけどね。」
"急でビックリしただけだから大丈夫、でもどうして?"
アツコ「世間からアリウスに対する評価はマシになったけど、一部の人達からの印象は悪いからね。可能であればシャーレに住む方が安全って事。」
アツコ「皆も一緒にどう?って話をしたんだけど一網打尽にされる可能性があるからって。」
"なるほどね、何処か見たい場所はある?"
アツコ「それじゃあ、寝るところってある?」
"あるよ、こっち。"
仮眠室へ案内する
アツコ「あんまり使ってなさそう、それにベッドが1つしか無いみたいだけど。」
"あくまで仮眠室だからね。"
アツコ「この布団ふわふわだね。」
"寝てみる?"
アツコ「今はいいかな。次はキッチンが見たい。」
"キッチンは向こうだよ。"
アツコ「ふぅん。へぇ...」
アツコ「先生あんまり料理しないでしょ。」
"忙しくてなかなか出来てないんだよね、でもどうして?"
アツコ「調味料がぜんぜん減ってないし、これなんて封も開けてないよ?食器は洗ってるみたいだけどフライパンや鍋は洗ってないみたいだし。」
"アツコはよく見てるんだね。"
アツコ「まあね、今から何か作ってもいいんだけど」パカッ
アツコ「案の定冷蔵庫に食材は無いね、次までお預けって事で。」
その後もシャーレを見て回った
アツコ「ふぅ、ありがとう先生。」
"どういたしまして。"
アツコ「また来てもいいかな?」
"歓迎するよ。"
アツコ「じゃあ、次来る時は食材と寝る準備持ってくるね。」
"楽しみにしてるよ。"
アツコ「......ふふ。またね。」
_________
アツコ「また来てもいいんだ。」
アツコ「それにお泊まりもOKしてくれた。」
アツコ「しっかり準備していかなきゃね。」
_________
アツコが帰ってから程なくアリスのアイコンが浮かび上がってきた
アリス「パンパカパーン!」
"こんにちはアリス、今日も元気そうだね。"
アリス「はい!」
"ところで今日は何をしに来たの?"
アリス「シャーレという名のダンジョンを攻略しに来ました!」
"ここってダンジョンだったの?"
アリス「そして先生はシャーレのダンジョンマスターです!」
"そうだったのか..."
アリスがキラキラした目で見てくる、これは...
"『よく来たなアリス!シャーレを楽しんでゆくが良い!』"
アリス「よろしくお願いします!」パアッ
正しいもてなしだったようだ。
"取り敢えずお茶でいいかな?"
アリス「はい!アリスは面白そうなゲームを探してきます!」
最初は格闘ゲームで対戦する事に
アリス「負けませんよ!」
ドカっ!ガスッガスッ
アリス「隙ありです!」
"それはどうかな?"
アリス「カウンター!?」
YOU LOSE
アリス「もう1回!」
ドゴオッ!ビシッビシッ
アリス「これで終わりです!」
"これで、あっ"スカッ
YOU WIN
アリス「勝ちました!」
アリス「えーっと次は、、、」
その後も色んなゲームでアリスと対戦した
アリス「今日もありがとうございました!」
"楽しんで貰えたかな?"
アリス「はい!楽しかったです!」
楽しそうな表情から一転、真剣な顔で続ける
アリス「ところで先生、アリス知りたいことがあります。」
"どうしたの?"
アリス「最近先生の事を考えると胸の奥がギューッとなって苦しくなる時があります、アリスは何かのステータス異常に掛かってしまったのでしょうか?」
"自分で言うのは恥ずかしいんだけど、多分アリスは私のことを好きなんだと思う。"
アリス「アリスは元々先生の事好きですよ?」
"なんて言えば良いんだろう..."
さっきミカが言っていた言葉を思い出す
"ライクじゃ無くてラブって言えば分かるかな?"
アリス「ラブ、恋愛ゲームのような感じでしょうか?」
"多分"
アリス「なるほど!つまりアリスもミドリやモモイのライバルになったという事ですね!」
"うん?"
アリス「モモイもミドリも先生の事が大好きです、恋人になりたいと思っています!でもその話を聞いてる内にモヤモヤした気持ちになったりもしました。」
"ちょっと理解が追いつかない。"
アリス「先生は鈍感系主人公のようにのらりくらりとアタックを躱していますがモモイもミドリも結構アタックを仕掛けていますよ?」
"そうだったんだ..."
アリス「私も負けていられません!これから先生に猛アタックを仕掛けるので楽しみにしていてください!」
"アリス!?"
そう宣言するとアリスは元気よく帰って行った
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アリス「帰って作戦会議をしましょう!」
アリス「あれ?でもミドリとモモイは恋のライバルです...」
アリス「うわーん!アリスはどうしたらいいのでしょうか!!」
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アリスが帰った後少ししてユズのアイコンが浮かび上がってきた
ユズ「せ、先生、こんにちは。頼まれていた書類です。」
"ありがとうユズ。"
ユズ「あれ?アリスちゃんが来てた筈ですが...」
"アリスはさっき帰ったよ。"
ユズ「そ、そうだったんですね。」
ユズ「えっと、その。」
"どうしたの?"
ユズ「せ、先生さえご迷惑でなければ一緒にお茶でもどうかなと。お、お菓子も持ってきたので。」
"ちょうどいい時間だね、今紅茶を用意するね。"
ユズ「こ、紅茶も私が淹れます!」
"お客さんにそんなことはさせられないよ"
ユズ「で、でも...」
"じゃあお菓子を出してもらえるかな?"
ユズ「分かりました!」
"お待たせ。"
ユズ「こ、こちらも準備終わりました。」
小さなお茶会が始まった
ユズ「この紅茶凄く美味しいです!」
"口に合って良かった、このお菓子もすごく美味しいよ。"
ユズ「え、えっと、その、実は初めて買ったお菓子で...人気のものではあるんですが...」
"実はこの紅茶も貰い物だし、今日初めて淹れたんだよね..."
ユズ「そ、そうなんですか?」
"ごめんね..."
ユズ「あ、謝らないでください、むしろ私が謝らなければいけないのに...」
"じゃあお互い様ってことで。"
ユズ「そ、そうですね。ふふっ。」
ユズ「わ、わたし、先生が居なかったらバイトは勿論こうやって外に出るなんてこともし無かったと思うんです。きっとモモイかミドリに行ってもらってました。」
"ユズならいつか自分で出来たと思うよ、私は背中を押しただけ。"
ユズ「そんな事ありません!先生が来るまではロッカーに篭ってばかりでしたし...だから凄く感謝してるんです。」
ユズ「そ、それでですね、先生はいつ使ってくださるのかなーと思いまして。」
"何を?"
ユズ「ふ、フリーパスです。わたしに出来る事は限られていますが、少しでもお役に立てればなと。」
"パンと牛乳を買ってきてもらったような。"
ユズ「それぐらいならフリーパスを使うまでもありません!」
ユズ「例えばですよ?その、寂しい時一緒にいてくれる相手が欲しい、とか。」
ユズ「変な事は駄目と言いましたが、先生でしたら、その、え、エッチなことでも...」ゴニョゴニョ
"うーん、そうだなぁ..."
"今はまだ思い付かないかな。"
ユズ「そ、そうですよね。わたしはスタイルも良くないし、先生を満足させられるかどうかも分かりませんし...」
"ユズをそういう目で見れない訳では無いけど、先生と生徒っていう関係上手を出すのは憚られるし。ちゃんとした関係になってから自然な流れでするのが普通かなって"
ユズ「そ、それってもしかして、将来的には可能性があるって事ですか?」
"そうだね、かと言ってフリーパスを使って『彼女になってください』って言うのは違うよね?"
ユズ「はい...フリーパスの使い方としては最悪ですね...」
"ユズに魅力が無いって訳じゃないことは覚えておいて欲しい。"
ユズ「あ、ありがとうございます、先生!」
お茶を楽しんだユズは帰っていった。
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ユズ「先生はわたしの事を見てくれてるんだ。」
ユズ「きっとライバルは多いだろうけど、先生を思う気持ちでは負けてない。」
ユズ「これから頑張らないと、いつか先生とそういう関係になる為に。」
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"今回は比較的平和だったな、積極的なのもいいけどこういうのもたまにはね。"
VRキヴォトスを外しながら独り言ちる
"ユズのフリーパスか、何に使うか悩むんだけど結局使わないんだよね。"
"まぁそのうち丁度いい使い方を見つけるだろう。"
フリーパスをしまいシャーレを後にする。
『3人の生徒とほぼ恋仲になり1人の生徒と将来同棲する約束をしたのに平和とは、先生もなかなか豪胆というかなんというか。とはいえ先生の癒しになっているようで何よりです。最近は癒しと言うより日常の一部になっているようですがね。』
to be continued...