人界の守護者がダンジョンに来るのは間違っている!?   作:リーグロード

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なかなか更新出来ずにすみませんでした!!


下界の赫き守護獣

 田舎の村からオラリオの街まで馬車で数週間、その間にベルには戦闘技術のほかに、どうしようもない危機的状況に陥った際の対処法も教えておく。

 

「いいかい、ベル。世界は広大で数多くの者が生きている。その中には時として戦わねばならぬ敵も存在するだろう。当然、これから私達が向かうオラリオの街のダンジョンに生息するモンスターと戦うであろうし、意見や価値感、立場や人間関係などで人とも戦う場合があるやもしれん」

 

「そう……ですね。僕も、もしかしたら誰かと戦うことになるかもしれないんですよね……」

 

 心優しいベルは人と戦うかもしれないと聞いてその顔色に影を落とす。

 だが、その葛藤は今後の彼にとって必要なものとなるだろう。

 咄嗟の状況で悩み動けなくなるよりも、未来を考えて今悩み続けて朧気ながらでも答えを出していたら、その後に取れる行動に大きく関わってくる。

 

「ベルよ、今は悩みなさい。そして考え続けるのだ。ただ、この問題の答えはもしかしたら一生出ないかもしれない」

 

「だったら、そんなの考えるだけ無駄なんじゃ?」

 

「かもしれないな。だが、考え続けたという結果は残る。それは何も考えなかった自分と比べれば遥かに誇れるものだろう? なに、ベル、君にならきっと答えを出せるさ」

 

 そう言って私はベルの頭を優しく撫でた。

 それでも、ベルの顔は浮かないものだった。

 だから私は1つ、とっておきの策を教えることにした。

 

「それにな、ベル。もしそんな事態に陥ったのなら、その時は逃げればいい。刃を向けられて思わず引いてしまった。そんな時は逃げても構わんのだ」

 

「えっ!?」

 

 逃げてもいい。そんな後ろ向きな行動を取るように言われたベルは驚いた。

 英雄譚で戦いから逃げる英雄をベルは知らない。

 一番弱い、最弱と呼ばれている英雄ですら、強大なモンスターから逃げることなく戦ったのだ。

 

「言っておくが、これは相手が人でなくモンスターであっても同じように逃げなさい。相手が自分よりも強いと思ったのなら、他の何を差し置いても逃走を考えるのだ」

 

「い……いいんですか?だって、僕は英雄になるためにクラウスおじさんに師事してもらったのに……」

 

 逃げるだなんてそんなかっこ悪いことしたくない。そんな思いがベルの言葉の節々に込められていた。

 子供の考えだ。そう言うのは簡単だが、英雄にさせる為に育て続けた結果、その道から逸れる行動をベルは無意識のうちに否定的な考えを持つようになっていた。

 だが、ベルは決して感情のままに動く愚か者ではないし、誰かの意見を自分勝手な言い分で否定する程に自己中心的な者でもない。

 ならば、私はそんなベルに道を示そう。

 

「いいかい、ベル。確かに逃げるという行為は人には情けなく見えるかもしれない。だが、それは決して悪いことではないのだ」

 

「クラウスおじさん……」

 

 この人はいつだって正しい事を言っている。今だってそうだ、僕を無理矢理にでも言いくるめたり、怒るなどして考えを改めさせることは簡単なはずだ。

 それでも、この人はいつも難しい困難な道を行こうとする。

 まるでそれこそが正解なのだというように突き進む姿は、後ろでそれを見ている者の心を揺り動かし、共にその道を歩みたいと思わせる。

 

「誰だって初めから強い人間などこの世には存在しない。私だって幼き頃は弱く、今だって勝てない敵は存在する。それでも、逃げた先に明日があるのならば、皆、明日を目指して逃げ続けるのだよ」

 

 ああ、ずるいな。こんな真っ直ぐな眼で言われたから、納得しないわけにはいかないじゃないですか。

 その言葉に僕が納得したのだと分かったのか、クラウスおじさんは分ってくれて嬉しいといった顔で安心していた。

 

「だが、これも覚えておきなさい。逃げ続ける者には何れ限界が来る。その時は……」

 

「……時は?」

 

「逃げずに立ち向かい、そして戦って勝ち取りなさい。矛盾しているかもしれないが、そうすれば君はきっと、今よりも大きくなれる」

 

「……?よく分からないよ、クラウスおじさん」

 

「ああ、そうだね。でも、きっと君が英雄になる道を歩んでいれば嫌でも理解する日がくるさ」

 

 何故か悲しそうな顔でそう語るクラウスおじさんの言葉に疑問を抱きながら、僕は馬車に揺られながら今回言われたことを考え続けた。

 

「……今はまだ分からなくて当然だ。けれど、きっといつかの未来で君は選択する日が来る。その時までにどうか……」

 

 クラウスの語ったその言葉の意味が未だ未熟なベルには分からなかった。

 けれど、ベルがその意味が分かる未来はクラウスが言うように必然たる運命のようにベルの前に訪れることになる。

 

 そして、馬車はオラリオへと到着する。

 オラリオに着いたベルとクラウスは早速、宿をとって街を散策した。

 

「すまんが、ベル。悪いが君のファミリア探しに私は同行出来ぬ、これは君のこれからの物語だ。私に頼らずに自分で決めるその第一歩を始める時であると私は考えている」

 

「っ、大丈夫です。いつまでもクラウスおじさんに頼ってばかりの子供じゃありませんし、僕だって1人前の冒険者になるんですから、自分のファミリアは僕だけの力で見つけてみますよ」

 

 一瞬ショックを受けた顔になったが、それでも直ぐに気を取り直し、胸を張ってそう答えた。

 そんなベルの態度にクラウスは満足して大きく頷いた。

 

「では共にギルドに行こう。いくら自分の足で探すとはいえ、どこにどのようなファミリアがあるのか知らなければ無駄足を踏みかねるからな」

 

「そうですね!」

 

 そう言ってベルとクラウスはギルドに向かって歩き出した。

 

「うわぁ……」

 

 オラリオの街の賑わいに感嘆の声を上げるベル。

 辺境村で育ったベルにとっては、見るもの全てが初めてであり新鮮に感じた。

 そんな興奮しているベルを連れてクラウスはギルドに到着した。

 

「さあ、ここがギルドだ。中には受付嬢がいるから、その人に詳しいことを聞くのがいいだろう」

 

「へぇ~、やっぱり物知りなんですね、クラウスおじさんは!!」

 

「いや別に、これはとある友人からのアドバイスでね。もしベルを連れてファミリアを探すというのであれば、まずはギルドを通じて探すのが効率的だと教わったのでね」

 

 2人はギルドに入り、目の前にいる受付嬢に声を掛ける。

 

「はい、本日はどうなされましたか?」

 

「失礼、私達は今日オラリオの街に来たばかりなのだが、私は冒険者登録、この子は受け入れ可能なファミリアの紹介を目的に来たのだが」

 

 とても冒険者になりに来たとは思えない程に綺麗で礼儀正しいクラウスの所作に、一瞬呆気にとらわれた受付嬢だったが、即座に意識を切り替えて仕事を始める。

 

「まずは冒険者登録の方ですが、所属しているファミリアとご自身のレベルをここに記載してください。もし代筆を頼むようでしてら、手数料が発生しますが、いかがなさいましょうか?」

 

「いや、大丈夫だ。全て私の手で記載しよう。その間に、この子が入れそうなファミリアの情報を纏めてもらえないだろうか」

 

「よろしくお願いいたします」

 

 ベルもクラウスから必要最低限以上のしっかりとした礼儀作法を叩き込まれているため、口ごもることなく受付嬢に礼を伝える。

 ベルからのお礼を受けた受付嬢は、快く了承して奥からファミリアの資料を持ち出してくる。

 

「そうね、まずファミリアといっても目的によって所属するところは変わってくるわね。大体の人はダンジョンに潜る探索系のファミリアなんだけれど、武器を作る鍛冶系や薬を売買する商業系、他にも医療関係に携わる医療系に農作物を育てる農業系のファミリアがあるんだけれど、どうせ君が探したいのは探索系のファミリアでしょ?」

 

「はい!」

 

 あっさりと自分の目的を見抜かれたベルは元気よく答える。

 すると、受付嬢は呆れながら苦笑した。これくらいの子は素直で元気なくらいが可愛げがあって好まれるものなのだ。

 変に自分が特別だと勘違いして斜に構えた態度を取る子もチラホラとやって来ることもあって、こういった第一印象通りの子は受付嬢としても好感が持てるのだ。

 

「それじゃ、私が信用して紹介出来るのはこんな感じかな」

 

 資料から幾つかのファミリアの名前とホームの場所をメモした紙をくれる。

 有名どころのロキファミリアを始めとし、他にもチラホラと聞いたことのあるようなファミリアの名前が書かれていた。

 

「ふむ、見たところどれも良い噂ばかり聞く良識的なファミリアばかりのようだな」

 

「ふふ、当然ですよ。何年もこの仕事をしてきたんですもの、このくらいの内容の仕事なら任せてくださいってものです!」

 

 ふんす!と自慢げに胸を張る受付嬢に私は失言であったと苦笑しながら謝罪した。

 とにかく、これでベルのここでの用事は済んだ為、早速ギルドを出て入れるファミリアを探しに行った。

 

「さて、記載すべき点は全て書けたと思われるが、念の為に確認をお願いしてもよろしいかな?」

 

「はい!では、失礼ながら拝見させていただきますね」

 

 受け取った書類をしっかりと確認していくと、次第に受付嬢の顔色が変わっていく。

 

「あの、これって書き間違えとかではなく?」

 

「信じられないかもしれませんが、紛れもない事実です」

 

 淡々とした態度で答える私に、我慢出来なくなった受付嬢が身を乗り出す勢いで聞いてくる。

 

「事実ですって!?所属ファミリアがゼウスファミリアで、レベルも5だなんて、急に言われてもそんなすぐに信じられませんよ!!!あっ!?」

 

 つい勢いで重要な個人情報を大声で口にしてしまった事に気づき、慌ててて口を手で押さえるが、全て後の祭りである。

 その場に居た冒険者、職員が興味深げにこちらを覗き見ている。

 その好奇の視線にようやく気がついた受付嬢は口を塞いでいた手を離して即座に謝罪する。

 

「も、申し訳ございません!!!」

 

「いや、気にすることはない。どうせ、これから大きく騒がれることになる。早いか遅いかの違いでしかないのだから、君が謝る必要は無いのだよ」

 

「あ……ありがとうございます」

 

 さて、なんとか彼女を落ち着かせられたか。

 だいぶ注目を集めてしまったか、周りの者達が遠巻きながらにひそひそと言葉を交わしているのが聞こえてくる。

 だが、こうなればそろそろ目当ての人物が来るだろう。

 

「いったい何の騒ぎだ!?」

 

 ギルドの奥から他のエルフと体型が違う太った男がやって来た。

 この者こそ、長年の間ギルドの長を務めてきた男、ロイマンである。

 

「さて、どういうことか説明してもらえるのだろうな?」

 

「えっ、えっと……」

 

 騒ぎの原因である受付嬢に詰め寄ろうとするロイマン。

 受付嬢も自分の不手際が原因であるがゆえに、上手く言い返すことが出来ず、あわあわと口籠ってしまう。

 そこに私が助け舟をだす。

 

「すまない。事の発端は私にあるのです」

 

「お前は……」

 

 ジロジロと不躾な視線を向けてくる。

 普通の人間であれば、そのような視線を向けられれば不快な表情をするか、怒るかのどちらかの行動をとるだろうが、クラウスは特にこれといった行動を見せることなく、ロイマンの観察を大人しく受け入れる。

 

「赤い髪に獣のような人相、他を圧倒する肉体の持ち主。そうか、貴様が……」

 

「私の事情を知っている方でよろしいか?」

 

「さあな、私も詳しいことは聞かされてはおらん」

 

 その後、ついてこいと一言だけ告げて、ロイマンは無言でギルドの奥へと足を運ぶ。

 それに対してクラウスも疑問の声を出すことなく、その背に付き従ってギルドの奥へと消えていった。

 その場に残された受付嬢はただ一言「これ、どういう状況?」と退勤時間がくるまで頭を抱えるのであった。

 

 ギルドの長い廊下を歩きながら、後ろでついてくるクラウスに案内先にいる神物に対しての接し方を注意する。

 

「いいか、この先にいる御方はこのオラリオの創設当時からこの下界に降り立った神だ。決して失礼のないようにせよ!」

 

「勿論です、礼儀作法には心得がある方ですので」

 

「ならばよい。私はここまでだ。後は貴様1人で行け。いいか、くれぐれも失礼の無いようにな」

 

「分かりました、お心遣いに感謝します」

 

 ロイマンの厳重すぎる警告を受け、クラウスのみがその神が居るであろう祈祷の間に足を踏み入れた。

 

「っ……」

 

 そこで見たのは人というよりも巨人と評すべき巨体を持つ神であった。

 ゼウスとヘルメスという神を知っており、このオラリオで何度かすれ違った人とは違う気配を持つ、およそ神と思われる者の体格は総じて人間と同じサイズであった為に一瞬呆気に囚われかけたが、すぐに気を取り直して一礼を取る。

 

「お初にお目に掛かる、創設神ウラノス。私の名はクラウス・V・ラインへルツと申します」

 

「ふむ、聞いていた通りの人間のようだな」

 

「っといいますと、あそこで隠れている我が友人から私の事はお聞きになってるという事でよろしいでしょうか?」

 

 視線だけ奥の柱に向けると、ビクッとワザとらしいリアクションの声を上げて柱の影からヘルメスが姿を現す。

 

「あっはっは、やっぱりクラウス相手にドッキリは通じないか~」

 

「久しぶりだが、いつも通り元気そうでよかったよ、ヘルメス」

 

「君も相変わらずの紳士対応だな。他の連中ならこういう茶目っ気を唾吐くレベルでボロカスに貶してきそうなものだがね」

 

 確かに、人によってはヘルメスの態度は癇に障る者もいるだろう。例えばk・k辺りなんかであればヘルメスが目の前に現れたりなどすれば……。いや、これ以上は考えないでおこう。

 

「友よ……、友人からの忠告として、ふざける相手は慎重に選ぶことを進言するよ」

 

「おお、いつになく不穏な気遣いをされるとは。えっ、もしかして俺誰かに狙われてる?」

 

 別に狙われてはいないが、もし彼女(k・k)にこの世界で君に出会ったなら、即座に眼をつけられて狙撃されるかもしれんが……。

 まあ、こちらとあちらの世界を繋ぐ道はないので、ヘルメスが彼女に会うことはないのだろうし、これは無用な心配か。

 

「ゴホン!人と神の友情は素晴らしいが、その話しはこの話し合いの後でもよかろう」

 

「急な訪問であったのにもかかわらず、貴殿を蔑ろにしてしまい、申し訳ありません」

 

「よい、それでは本題に入るとしよう。お前がここへやって来た目的、世界を救うという偉業を成すためであることは知っている」

 

「ええ、私と我が主神の悲願である世界の救済。それを達成するには私1人の力では困難をきたす。ゆえに、この都市最強の2つの派閥に助力願いたく馳せ参じました」

 

 クラウスの決意を秘めた瞳を見たウラノスは「そうか……」と呟き、目を瞑る。

 しばらくした後、開かれたウラノスの目には神としての威厳ある強い意志が宿っていた。

 その表情の変化を見たヘルメスも引き締めた表情となって話しに聞き入る。

 そして、ゆっくりと重々しい声でクラウスに向かって答えた。

 

「残念だが、両ファミリアの助力は我々ギルドには強制力はない。強制任務(ミッション)として力を貸すことを命じることは出来るだろうが、世界を救う……すなわち、黒龍の討伐に手を貸せと言われて貸すかどうかは、両ファミリアの主神による判断でしかどちらも動かないだろう」

 

「やはり……」

 

 分っていたことだ。ギルドには強制任務(ミッション)というファミリアに対しての強制権があるが、それは絶対ではない。

 受けなければペナルティーが発生するが、ファミリアが壊滅するかもしれない危険を冒してまで回避するものでもない。

 というよりも、そこまで無茶な任務をギルドが発行すれば周りのファミリアを巻き込んでのデモ騒動に発展するやもしれない。

 それはどちらにとっても利は無く、無理に強制するのは悪手であるだろう。

 

「ですが問題ありません。それらは全て私がこの都市で実力を示し、共に世界を救うに足る人物であると証明すればよいだけのこと」

 

「ほぉ」

 

 クラウスの力強い言葉に、ウラノスはますます興味深そうに眼を細める。

 その発言が虚勢か如何かを測りかねているのだ。

 神の前では人間(子供)は噓をつけない。

 そんな神の眼から見て、クラウスの言葉は一欠片程も嘘の気配はなく、本気で自分ならば有言実行出来ると信じている……否、確信しているのだ。

 

「久しく見るな、これ程までの豪胆な性格ながら紳士的かつ正義の使徒である存在を。ましてや、その若さでここまでの自信を持つとは……、どんな人生を歩んできたのか気になるところだが、それも詮無きことか」

 

 そこでウラノスは一旦言葉を区切ると、少しだけ目を瞑り思案する。

 そして、再びクラウスの眼を見据えて、今度はヘルメスに問いかける。

 

「それで、この男はかつてのゼウスとヘラの再来になりえるか?」

 

「ああ、それは俺が保障するぜ!なにせ、現在のところ、クラウスが解決してみせた世界的大きな事件は4つだ!」

 

 ベルテーン国に巣食う古代の時代に地上に進出した沼の怪物の討伐に始まり、同じく古代の時代に精霊によって封印された蠍の怪物を抑えて再封印に成功。

 更には、ラキア帝国の暴走染みた領土拡大による戦争をたった1人で早期終結に導き、弱小の国や戦争に巻き込まれそうになった村々を救った救世主。

 とっておきとして、オリンピアに鎮座されている聖火の暴走をかの英雄エピメテウスと共に1人の犠牲者もなく収めたことまでヘルメスはウラノスに語る。

 

「なるほど、オラリオの外で起きている事件を解決している英雄がいると耳に挟んだことがある。確か、下界の赫き守護獣と呼ばれていたか」

 

「お恥ずかしながら、そのように身に余る2つ名で呼ばれております」

 

「謙遜することはない、お前の力は間違いなく英雄と呼ばれるに相応しい。そう、お前が本当にゼウスファミリアとしてあの頃の最強の再来となれば、この下界も安泰となる」

 

「恐縮です」

 

 クラウスは深々と頭を下げる。

 

 これで顔合わせは終わり、少なくともウラノスはクラウスの事を認めたのだろう。

 最初に顔を合わせた時よりもクラウスを見る眼が違っていた。それは懐疑心や見定めるようなものではなく、信頼と期待の両方の感情が入り混じったような眼だった。

 

「それでは、私はこの辺りで失礼します。また、何かあった際は遠慮なく連絡を下されば、この身を賭して馳せ参じましょう」

 

「うむ、それではまた会おう。クラウス・V・ラインへルツよ」

 

 まるで王と騎士のような別れであり、クラウスはそれに違わず、深々と腰を折ってその場を後にした。

 

「ヘルメス」

 

 クラウスが去った後、ウラノスは目を瞑りながらヘルメスに問いかける。

 

「何かな、ウラノス?」

 

「確か、この街にはあのクラウスともう1人、お前が目を付けた英雄候補が来たと言っていたな。それはあの男と並び立つような者なのか?」

 

「まさか、彼はまだ英雄の卵。雛と呼ぶにも烏滸がましい未熟で小さな存在だ。けれど、期待せずにはいられない。クラウス譲りの誠実さと純粋さを彼にも宿している。あの子が成長するのはまだまだ先になるだろうけど、その行く末を見守りたくなったんだ」

 

「なるほど、お前がそこまで言うか。ならば、私も期待していよう」

 

 この先の下界の未来を願って、今日もウラノスはダンジョンに祈禱を捧げる。




最近、フレデリカってゲームをYouTubeで見てハマったのが更新遅れた原因です。
あれマジで時間泥棒なゲームだから、暇人は買ってプレイした方がいいよ。
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