心霊スポットで動画撮影しにきたらほんとに出てきちゃった 作:ムツヒロ
「ここが事務室っぽいわね」
事務室に辿りついた俺たち。何か手掛かりがあればいいけどな。
「じゃあ、入ってみよ」
「う、うん・・・・・・・・・」
生駒が事務室のドアのドアノブに手をかけて開けようとするが
「だめ、開かない。ここも鍵がかかってる・・・・・・・・・・」
「何でどこも鍵がかかってるのよ・・・・・・・・」
他の部屋同様鍵がかかっていた。
「本当に中は当時のまま、朽ちていったって感じだね」
「どうする?ドア壊して入るか?」
「ちょっと杉元、なんでもかんでも力で解決するんじゃないわよ。これだから脳筋は」
「誰が脳筋だ。じゃあ他に方法あんのかよ?」
「うーん・・・・・・・真上の部屋に秘密の抜け道があってそこからは入れたりしないかしら?」
「本気で言ってる?」
「半分くらい」
本気なのか冗談なのかわからない提案をする桜井。そんな都合よく秘密の抜け道なんてあるか?
「て、天井が抜けてたら上から入れるかも?」
「抜けてたとしても危ないわよ」
「ご、ごめん。そうだよね・・・・・・・・」
生駒もなんか無茶苦茶な提案を出すが白石に却下された。
「まぁ、けど他に心当たりがあるわけでもないし、一回試しに上の部屋を見に行ってみない?」
「え~・・・・・・・・・・」
結局事務室真上の部屋に行くことにした俺たち。本当に事務室に入れる抜け道とかあればいいんだけどな・・・・・・・・・・・・・・・・
「あと着ぐるみ野郎に出会わないといいけど・・・・・・・・」
運よく着ぐるみ野郎とさっきから出会ってないけどいつどこでまた襲ってくるかわからないから警戒しないとな。
「ねぇ、三人とも待って・・・・・・・・・・」
「どうした?」
「どうしたのよ?」
白石の言葉に一旦足を止める俺たち。
「あそこ・・・・・・・・・・・・・・誰かいる・・・・・・・・!」
「へっ?・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」
白石が指を指した方を見る俺たち。そこには体が半透明で顔の表情が見えない女の子が立っていた。
「女の子・・・・・・・・・・・・・?」
「間違いなく幽霊よね・・・・・・・・・あれ・・・・・・・」
「ああ・・・・・・・・そうみたいだな・・・・・・・・」
俺は今幽霊を見ている!本当に実在していたんだ・・・・・・・・・・!
「あっ!」
「消えた!なんで!?」
女の子の幽霊は突然フッと消えた。
「お、落ち着きなさいよ梓!」
「今、あの子が消えた部屋って行こうとしてた事務室の上あたりの部屋だよね」
「確かに・・・・・・・・・・・・・・」
「行ってみるか」
「やだよ!戻ろうよ!」
「大丈夫よ!あたしたちがついているから」
「ううっ・・・・・・・・わかったわよ・・・・・・・」
白石を宥めて女の子が立っていたところにある部屋に向かい入る。
「この部屋がさっきの事務室の真上あたりよね?」
「大丈夫・・・・・・・・?さっきの女の子、隠れてたりしてない?」
まだ女の子幽霊にビビっている白石。もういい加減なれてくれよ。
「うん、誰もいないみたいだよ」
「そう・・・・・・・・・・・・・・」
「ここは普通の客室みたいだな・・・・・・・・・・・」
「流石に秘密の抜け道なんてないか・・・・・・・・・・・・」
「当たり前でしょ・・・・・・・・・・」
「床が腐り落ちてそうな所とかもないね」
「そうね・・・・・・・・・この部屋は比較的綺麗なまま残ってるみたい。まぁ、泊まれって言われたら泣きたくなるぐらいには廃墟感あるけど・・・・・・・・・」
「あはは、確かに・・・・・・・・・・・・・・」
<ビシャッ!!>
「ひぃっ!?」
「なっ!?」
「な、何っ!?」
突如バスルームのドアに真っ赤な血のようなものが飛び散っている。
「な、何この光・・・・・・・・・・・」
「この音もなんだろう・・・・・・・お風呂場?やっぱり誰かいる・・・・・・・!?」
「もうやめてよぉ・・・・・・!ここも奈々の仕掛けた部屋なの!?」
「流石に仕掛けた部屋に入るなら事前にちゃんと言うわよ・・・・・・・!」
「もう本当嫌・・・・・・・・・・勘弁して・・・・・・・・」
桜井の仕掛けではなくマジの心霊現象を目の当たりしている俺たち。すると・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ちょ、ちょっと美桜!?」
「なんで見に行こうとするのよ!?」
生駒がバスルームの中の様子を見に行こうとする。正気かお前!?
「・・・・・・・・・あれ?消えた?」
「音も止んだ・・・・・・・・・・・」
血のような光も何かを潰すような音も消えた。
「何だったのよ今の・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・ちょ、ちょい生駒!?」
止んでもバスルームの中へ入ろうとする生駒。
「美桜!もういいでしょ!?」
「ちょっと覗くだけ・・・・・・!」
そう言ってバスルームのドアを開ける生駒。中は一体どうなってるんだ!?
「ひっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・誰もいない・・・・・・・・・」
中は誰もいないし変な様子もなかった。
「何だったのかしら、さっきの・・・・・・・・・」
「本当に何もいない・・・・・・・・・・?大丈夫・・・・・・・・・?」
「うん、本当に何もいないよ・・・・・・・・・・・・ん?」
「こ、今度はなに・・・・・・・・!?」
「・・・・・・・・・・・鍵?」
生駒はどこかの部屋の鍵を拾ったみたいだ。
「もう、脅かさないでよ・・・・・・・・けど、どうしてこんなところに鍵が?」
「わかんない・・・・・・・・・・・・」
「これが事務室の鍵だったりしないかしら?」
「そんな都合のいい展開あるわけないだろう・・・・・・・・・・・・・」
「いや、きっと事務室の鍵よ!そうに違いないわ!」
「その根拠にない自信は一体どこから湧いてくるんだよ」
「けど、試してみる価値はあるかも。もしこれで開いたら、ラッキーだし」
「とりあえず持っていきましょ」
事務室の鍵らしき鍵を持っていき再び事務室へ向かう。これで開かなかったら無駄足だぞ?
<ガチャ>
「開いた!!」
鍵はどうやら事務室の鍵だったようでドアが開いた。
「中へ入りましょ」
「おう」
「う、うん・・・・・・・・・」
「何もでませんように・・・・・・・・・・・・」
事務室の中へ入る。中はやはり当時のままになっていて書類などが床に散らばっている。
「だいぶ散らかってるな・・・・・・・・・・・・・んっ?」
「どうしたの?」
「日記の切れたページか?」
紙には日付と『オルゴール』と書かれたタイトルで内容は以下の通りだ。
『ファンタジーランドに行ったときに買ったオルゴールを娘は毎日嬉しそうに触っている。
土日にホテルへと連れてくる時もオルゴールを片時も手から離さない。
楽しかったもんな、遊園地。また いっぱい思い出作ろうな』
「これは・・・・・・・・・・・・・」
「たぶんオーナーが書いたもんだと思う」
こんな優しそうなお父さんが娘と無理心中するのはなんかおかしいな・・・・・・・・・なにかあるあもしれない。
「うーん・・・・・・・・・・めぼしいものは無いわね」
「この引き出し鍵がかかってるわね・・・・・・・・・」
なにかないか探している桜井と白石。しかし結果はとくに出てない。
「あの神棚に何か隠されてたりしないかしら?」
「見てみる?ここに脚立あるから届きそうだし」
「お願い、梓」
「オッケー。こういうところなら任せて」
白石が棚の横にあった脚立を持ってきてそれに乗って神棚を調べることにした。
「よいしょ・・・・・・・っと」
「どう、梓?」
「うーん・・・・・・・・・普通の神棚ね。特に何もなさそう」
「まぁ、そうよねぇ・・・・・・・・・」
「ん?」
「どうしたの?」
「あ、いや。この神棚、神殿の扉が開きそうなのよ」
「だ、大丈夫?」
「そんなことしてバチとか当たらねえか?」
「シッ!珍しく梓が乗り気なんだから怖がらすようなこと言っちゃだめ!」
「そうだな・・・・・・・・・」
またパ二くられても困るからな。
「うーん・・・・・・何か仕掛けがあるにかしら?何か中に入ってそうな感じがする」
「その戸開きそう?」
「だめ、開かない。鍵がかかってるわけでもなさそうだし・・・・・・・・」
「どうやったら開くのかな?」
「・・・・・・・・・・・・んっ?」
俺は観察していくうちにあることに気づいた
「どうかしたの?」
「花瓶に入ってるさ榊の木さ、枯れてなくねぇか?」
「えっ?確かにそうね」
「十五年以上経っているのに葉が一枚も落ちてないし入ってる水だってなくなるだろ?それに片方しかないってのも変だし」
「それもそうだね。こういうのって両方に榊の木が入ってるイメージあるし」
「これはなにかありそう・・・・・・・・・・・・あっ!」
桜井が何かを見つけたみたいだ。
「どうしたの奈々?」
「これ、神棚の花瓶に入ってる榊の木と同じ木じゃない?」
「あっ、本当だ」
桜井が見つけたものは花瓶に入っている榊の木と同じものだった。
「しかもこれ本物の木じゃなくて作り物よ」
「ほんとだ」
「・・・・・・・・・・・奈々、その木こっちにちょうだい」
「えっ、いいけど・・・・・・・・・・」
白石に作り物の榊の木を渡す桜井。白石のやつ何かに気がついたようだな。
「これをここに・・・・・・・・・・・・・・・やった!神棚の戸!開いたよ!」
どうやらあの花瓶に木を供えると開く作りになっているようだ。まるでバイオに出てくる仕掛けだな。
「でかした!何か入ってる?」
「うーん・・・・・・・あ、何かあるわ」
白石が中から何かを見つけ脚立から降りて俺たちにそれをみせた。
「何、これ?」
「中に黒い帯みたいなものが巻かれてるように見えるけど・・・・・・・・・」
「うーん・・・・・・・・これ、どこかで見たような・・・・・・・」
「これ、カセットテープじゃね?」
「カセットテープ?」
「何それ?」
「今でいうCDみたいな感じでこれをラジカセに入れて音楽を聞いたり音声を録音したりするもんなんだよ」
「へぇ~こんなものに声を録音してたんだ。ん?でもそのラジカセ?っていうやつがないと聞けないの?」
「そうだな」
「不便ね」
ボロクソに言われるラジカセくん可哀想・・・・・・・・・・・・・・
「ホテルが経営してた時代はまだスマホもデジカメも無いから・・・・・・・・・」
「このホテルのどこかにその機械があればいいんだけど・・・・・・・・・杉元君、そのラジカセってのは見たら分かる?」
「ああ、わかるぞ」
てか案外事務室の中にあったりして・・・・・・・・・・・・・・
「あ、あった」
「はや!」
すぐに見つかったラジカセ。これでテープが聞けるな。
「う、動くのかな・・・・・・・?」
「ちょっと待ってろ・・・・・・・・・・・」
電池式みたいだから電気通ってないここでも使えるが経年劣化で動かない可能性もあるかもしれない。
「・・・・・・・・・・・よし、動きそうだ」
「いよいよ、このカセットの中身が聞けるのね・・・・・・・」
「側面にも何も書かれてないし・・・・・・何が録音されているのかしら?」
「わざわざ神棚に隠されてたようなテープだしね。このホテルのことが分かるものだといいね・・・・・・・」
「そうね。それじゃあ、杉元。お願い」
「わかった」
テープをラジカセに入れて再生ボタンを押した。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
ノイズが続き中々音声が流れてこない。
『・・・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・お前か、お前が・・・・・・・・・・・・』
しばらくすると金属を引きずるような音と息を荒くした男の声が聞こえてきた。
『お前が・・・・・・・・・お前が殺したのか!?』
<バリィン!!>
『お、オーナー!落ち着いて!そ、その持ってる・・・・・・な、鉈を!おろして下さい!』
『あ、危ないですって!』
どうやら声の主はここのオーナーでスタッフらしき人たちの声も聞こえる。しかも鉈を振り回しているってことはあの着ぐるみ野郎と何か関係ありそうだな。
『お前が・・・・・・・・ッ!お前がぁぁ・・・・・・・・・・・・ッ!!』
オーナーは酷く混乱している様子で鉈を振り回してスタッフたちに襲いかかろうとしている状況が想像できる。
『お前がっ!お前が娘を殺したんだ!!』
『ち、違いますよ!!』
『こいつが・・・・・・・こいつが娘を殺したんだ!お前だって風呂場を見ただろう!!』
風呂場?まさかあの部屋のバスルームの血のような光は娘が殺されている瞬間だったっていうのか!?
『何言ってるんですか!?鏡に映ってるのはオーナーですよ!?』
『い、今救急車を呼んでますから!ね?落ち着いて?』
『お前は・・・・・・・・お前だけは、許さない!』
<ガシャァァァァン!!>
『止めてくださいってばぁ!!』
『うるさい!!!!!』
<ガシャァァァァァンン!!>
『ぐっ・・・・・・・!?』
スタッフたちの説得に全く応じず鉈でガラスを壊していくオーナー。これはもう何言っても聞いてくれなさそうだ。
『待ってろ・・・・・・・今すぐお前を殺した犯人を全員殺してやる・・・・・・・』
『ツッ・・・・・・・!!オーナー!?オーナーぁぁぁっ!!!』
<ザシュッ!!>
オーナーがスタッフの一人を殺害したようだ。
『ひひっ・・・・・・・・・・・・』
『うっ・・・・・・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
もう一人のスタッフの逃げる足音が聞こえて音声は切れた。おそらくもう一人もオーナーによって殺されたのかもしれない・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
俺たちは惨劇の音声が入ったテープを聞き呆然としている。
「・・・・・・・・・終わったのかな?」
「多分・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・え・・・・・・な、何よ、これ・・・・・・?」
「誰か・・・・・・・人が死んだ・・・・・・・?」
「おそらくな・・・・・・・・・・・・・・」
「趣味悪・・・・・・・・元はスナッフビデオか何かかしら・・・・・・・けど、わざわざ音だけ別撮りにする・・・・・・・?」
「娘を殺した、がどうとか言ってなかった?」
「言ってたな」
「子供を殺して自分も死ぬ・・・・・・・無理心中って奴かな?」
「しかも鉈って言ってたな。もしかしてあの着ぐるみ野郎と関係があるかもしれない・・・・・・・」
「!さっき204号室に入ろうとしたときに女の子がいたわよね!?」
「うん、いたね」
「その後204号室で見たあの光景って、もしかして・・・・・・・・」
「この音声直前の女の子が殺される直前の風景・・・・・・・・・・ってことね」
「何を伝えたかったんだろう・・・・・・・・・」
生駒がそう呟いたその時
<ガガガピィーーーーーーー!!>
「えっ!?」
「な、なに!?」
ラジカセから高いノイズ音が鳴った。どうやらまだ音声は続いているみたいだ。
「なんだ・・・・・・・・・・・・・?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・2・・・・・0・・・・・・4・・・・・お部屋・・・・・・・・・オル・・・・・・・ール・・・・・・・・・パパ・・・・・・・・・・・・聞かせて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
小さな女の子の音声が流れ今度こそテープに録音されていた音声は終わった。
「い、今のって・・・・・・・・・・」
「やっぱり204号室になにかありそうよね・・・・・・・・・・」
「オルゴールがどうとかパパに聞かせてとか言ってたな・・・・・・・・・」
やっぱりあの部屋になにかあるかもしれない・・・・・・・・・このホテルから出るための手掛かりが!
「とりあえず204号室に向かってみましょう」
「そうね」
「そうだね」
「そうだな」
事務室を出て改めて204号室に向かう。
「ここね・・・・・・・・・」
「そうね・・・・・・・・・・・・・・」
目的地の204号室に着いた。ここに手掛かりがあるんだな。
「よし、入るわよ」
「うん」
「ああ」
部屋の中に入り手掛かりとなるオルゴールを探した。
「ねぇ、奈々ちゃん!梓ちゃん!杉元君!」
「どうしたのよ?」
「これ・・・・・・・」
生駒が着ぐるみ野郎のイラストが描かれた箱を見つけた。
「なんだろう、この箱・・・・・・・・?」
「さっきまでこんな所にこんな箱あったかしら・・・・・・・・・?」
「無かったと思う・・・・・・・・」
「それにあの着ぐるみ野郎が描かれてるぞ」
「ふーん・・・・・・・てことは堵替塚ファンタジーランド関連のものかしら?」
「あ、奈々っ!迂闊に触らないほうが!」
桜井が箱を開けると中には機械のようなものが入っていた。
「これ・・・・・・多分オルゴールじゃないかしら?」
「本当だ。コームやシリンダー、ゼンマイもついてる」
「これがあの女の子が言っていたオルゴールか?」
「きっとそうに違いないわね」
「じゃ、じゃあこれであの着ぐるみをなんとかできるかもしれないわね!」
手掛かりとなるオルゴールを見つけ解決の糸口を掴んだ俺たち。あとはあの着ぐるみ野郎にこれを聞かせれば・・・・・・・・・・!
「どんな曲が入ってるんだろうね?」
「ゼンマイは・・・・・・・うん、きちんと巻けそう!」
「よし、これを持って・・・・・・・・・」
<ガチャッ>
「?今の音・・・・・・・・・・っ!!」
閉めたはずの部屋のドアが開く音がして振り返るとそこには
「えっ!?」
「う、噓でしょ・・・・・・・」
着ぐるみ野郎が部屋の中に入ってきたのであった。
「ど、どうしようっ!」
「どこかに隠れなきゃ!」
「どこに隠れるのよっ、もう見つかってるわよ!」
「あ、あ・・・・・・・・・」
鉈を引き釣りながら迫ってくる着ぐるみ野郎。
「やめて、来ないでっ!」
「美桜!!」
着ぐるみ野郎が最初に狙ったのは一番近くにいた生駒だった。マズい!!
「あ、ああ・・・・・・・・・・!」
生駒は恐怖のあまり動けないでいる。
「くっ!!」
俺は無我夢中で走り生駒の元へ向かった。
「(どうしよう!もうっ!)」
着ぐるみが私の目の前に立ちもう逃げることができなくなった。
「(誰か、助けてっ!!)」
そう願うが着ぐるみが鉈を上げ私に向けて振り下ろそうとする。
「(もう、ダメっ!!)」
私は目を瞑り死を覚悟したその時
「生駒ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
杉元君が私の元へ駆け寄り飛びついて突き飛ばすようにした。
<ザシュッ!>
「がっ!!」
「杉元君!!」
鉈が杉元君の肩を掠め彼の右肩から血が流れ出た。
「杉元君!大丈夫!?」
「だ、大丈夫だこんくらい・・・・・・・・・」
肩を押さえながら苦しそうな顔をしている杉元君を見る。私のせいで怪我を・・・・・・・・・・・・・・・
「美桜!杉元君!」
「後ろ!!」
「えっ?」
二人の声に後ろを見るとそこに再び着ぐるみが立っていた。
「生駒・・・・・・・っく!逃げろ・・・・・・・・!」
「そんな!嫌だ!」
私は杉元君の置いて逃げることはできず彼を庇う感じで抱きしめる。
「奈々!早くオルゴールを!!」
「う、うん!って、あれ!?鳴らない!!」
「そんな!何とかしてよ!このままだと二人が!!」
「ゼンマイ巻いても音が鳴らない!なんでよ!!」
オルゴールが鳴らないことを聞き絶望に叩き落された。
もうだめだ・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「い、生駒・・・・・・・・・!」
着ぐるみが鉈を上げ私達を殺そうとした。
その時だった
<♪♪♪♪~♪♪♪♪~♪♪♪♪~>
「こ、この音色は・・・・・・・・・・・・」
「オルゴールか・・・・・・・・・・?」
壊れていたオルゴールが音を出し始めた。そして
「見て!着ぐるみが!」
「止まっている!」
着ぐるみの動きがなぜか止まり動かなくなっている。
「・・・・・・・・・!」
「あれは・・・・・・・・・・・」
すると私の隣に突然女の子の幽霊が現れた。
「何をする気だ・・・・・・・・・・?」
女の子の幽霊は着ぐるみの前に立ち何かを語るかのような仕草をした。
着ぐるみもそれに反応したか鉈を下ろして女の子の方を見た。
「何が起こってるの・・・・・・・?」
「わ、わからない・・・・・・」
しばらくして女の子の霊は動きを止めたかと思ったらこちらの方を向き手を振って着ぐるみと手を繋ぎながら消えていった。
着ぐるみも女の子の霊が消えたと同時に中身の抜けた感じに倒れ動かなくなった。
「な、何、今のは・・・・・・・?」
「あの着ぐるみ、崩れ落ちて動かなくなったね・・・・・・・・・」
「オーナーと娘の霊が成仏したのか・・・・・・・・・・?」
「多分、そうみたい・・・・・・・・・・・・・」
「そうか・・・・・・・・・・いてて・・・・」
「大丈夫!?」
「今手当てするわね!」
「これでよしっと」
「ありがとうな、白石」
白石が傷の手当てをしてくれたおかげで痛みが少し和らいだ。
「梓ちゃんすごいね」
「母が看護婦だから簡単な手当てとかなら教えてもらったことあるから」
「すごいな・・・・・・・・・・」
リネン室にあったタオルを包帯変わりにして消毒液とかは事務室にあった救急箱から出して使った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「美桜、どうしたの?」
「ごめんね、私のせいで・・・・・・・・・・・・・・・・」
「えっ!?」
「ちょ、美桜!?」
生駒が突然泣き始めた。
「私を庇ったせいで怪我しちゃって・・・・・・・・・・・・ぐすっ」
「美桜・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「なぁ、生駒。俺は別に気にしてないぞ?」
「で、でも・・・・・・・・・・・・・・」
「これくらいの怪我大したことないしそれよりもお前が無事だった方がよかったと思ってるよ」
「杉元君・・・・・・・・・・・・・・」
「もう泣くな、俺たち助かったんだからさ」
「うん・・・・・・・・・・・・・」
泣き止み落ち着く生駒。
「とりあえずここから出ましょう」
「そうね、とりあえず出口に向かってみましょ。もう追いかけられることもないだろうし」
「そうだな。一応病院にも行きたいし・・・・・・・・」
「杉元君、立てる?」
「ああ、なんとか」
これでこのホテルともおさらばできるぜ。
「んっ・・・・・・・・・・・?」
「どうかした?」
「いや、なんか着ぐるみの中になんか入ってるんだけど・・・・・・・・・」
きぐるみの中からなんか黒いものがはみ出ていてそれを引っ張り出してみた。すると
「ひっ!?」
「に、人形!?」
それは市松人形だった。なんでこんなもんが着ぐるみのの中に!?
「どうして人形がこの中に・・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・誰かが持ち出した・・・・・・・・・・・・・?」
「美桜?」
生駒が急に変な事を言い始めた。
「・・・・・・・『持ってってもらった』って言ってる」
「え?」
「美桜?」
「?どうしたの?」
「なぁ、生駒。誰がそう言ってるんだよ?」
この部屋には俺たち四人しかいないしこの人形のことも知らない。一体誰と会話してるんだよ?
「誰って・・・・・・・・ずっと一緒についてきてくれてる、その子・・・・・・・・・・」
生駒の指さす方を見るが誰もいない。
「や、やだなぁ美桜。誰もいないよ?」
「そうよ、美桜そんな子どこにも・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・っ!?」
「どうしたの杉元・・・・・・・・・ひやっ!?」
生駒の後ろの方をみるとそこには半透明で顔がよくわからない子供が大勢いた。
「どうしたのみんな・・・・・・・・・・・!?」
生駒も子供たちに気づいて後退りする。
『ねぇ、何して遊ぶ?』