心霊スポットで動画撮影しにきたらほんとに出てきちゃった 作:ムツヒロ
「さぁ、ここから廃墟の中に入っていこうと思います!・・・・・・やっぱり外から見た時より真っ暗で怖い~」
俺たち四人はホテルの中へ入り撮影を再開した。中の様子はというと辺り一面ゴミや瓦礫が散乱していて壁紙も剥がれていて屋根も穴がいくつか空いていて埃が経っていていかにも廃墟って感じがする。
「とりあえず噂の真相を確かめるべく、早速だけど三階を目指したいと思います!」
いきなりヤバい三階から行くのかよ。他のところ見てからにしようぜ~(泣)
「・・・・・・・・・・・・・」
「雰囲気ある場所だね・・・・・・・・」
「ひゃっ!?あ、梓ちゃん・・・・・・そうだね」
白石の呟きに驚く生駒。おいおい幽霊じゃないんだからそんな驚かなくても
「あれ?美桜、もしかして・・・・・・・・・」
「ち、違うよ、びっくりしちゃっただけだよ・・・・・・」
「そう?」
「ほんとに?」
「ほ、本当だって!」
俺と白石は驚く生駒を少し揶揄った。怒ってもかわいいなこいつ。
「ちょっと!三人とも喋ってないでこっちに集中してよ!」
おっと、我らのリーダー様の存在を忘れていた、、ごめんね~。
「特に杉元は撮影担当なんだからカメラ回すの遅れたらいい画が撮れないじゃないの!」
「わりぃ、桜井」
「ご、ごめん、奈々ちゃん」
生駒、お前も謝らなくても・・・・・・・・・・
「梓も。なんか今日いつもより表情硬くない?」
「そんなことないと思うけど・・・・・・・・」
「たしかにいつもより硬いぜ白石」
「杉元君まで・・・・・・・そんなに表情硬い私?」
「硬いわよ!あっ、もしかして怖いとか?」
「それはないわ」
桜井の発言をバッサリ否定する白石。嘘だな、これは多分。クールや強気な女の子は実は怖がりなのがお決まりだぜ?
「ずいぶん冷めてるわねぇ~逆に何だか怪しい」
「ないってば」
「つれないなぁ~、なーんてね。強い、賢い、美人の梓に怖いものなんてなさそうだもんね」
確かにいろいろとスペック高めな白石なら怖いものなそうなイメージあるけどやはり同じ人間だし何かしら苦手なものや嫌いなものの一つくらいはあると思うぞ。
「けど、ただでさえ顔に出づらいタイプなんだからちゃんとリアクションしてよね。後で梓も映るんだから」
「分かった。気を付ける」
「もちろん美桜もね」
「う、うん、わかったよ・・・・・・・」
「杉元もしっかり撮影お願いね!今回こそ動画バズらせて登録者数ズバッと稼ぐわよ!」
いつもより張り切っている桜井。どんだけ登録者数増やしたいんだお前は。
「な、なんだか今日は特に張り切ってるね。奈々ちゃん・・・・・・・」
「そうだね。あれは何かあったかな」
二人も桜井の様子が気になっているようだ。
「ふっふっふ、よく気が付いたわね!そう、昨夜からあたしは冴えているの!」
「うわ、聞こえてた」
小声で会話していたのにどうやら聞こえていたみたいだ。
「あたし、気付いちゃったのよ。こんな都心に近いわけでもない、情報も遅いド田舎の人間は何をしたところで所詮中堅止まりってことに・・・・・・・・・・」
いきなり語り始める桜井。あっ、これは長くなりそう。
「撮影スポットや名所もなく、最寄りのショッピングセンターは車で1時間・・・・・・・これじゃあトレンドを生み出すストリーマーになんていつまで経ってもなれっこ無いわ!」
おいおい!田舎の悪口をあまり言うな!!住んでいる人たちのライフはもう0よ!?
「そ、そんな」
「いや、動画はアイデア次第でしょ?」
「そうよ!アイデアよ!だからピンと閃いたの!このド田舎を逆手に取った『誰も知らないスポット』を紹介すればバズるんじゃないかなって!」
「で、それがこの廃墟探索ってわけか」
「その通り!探索系と廃墟系はやっぱ一定層の需要があるしね~しかも女の子だけでやっている配信者は意外と少ない。どう、需要あると思わない?」
まぁ、確かにそういう動画は人気あるしそれを女性がやっているのってあんま聞かないな。
「なるほどね。突然こんな場所で撮影するから来いって言われてびっくりしたけど・・・・・・」
「梓ちゃん、連絡来た時凄い渋い顔してたもんね」
「とにかく!爆発的に登録者数を伸ばすためにもきっかけとなる動画が一本ほしいの~!」
駄々をこねる子供かお前は。こいつから連絡来たときは俺も白石と同じく渋い顔をしたけどな。
「この廃墟探索を絶対それにしてやるんだから!そして目指せ!チャンネル登録者数100万人!!」
「まだ1万ちょっとしかいないけどな」
「うるさいわね!夢は大きい方がいいの!一回バズればあとは右肩上がりで伸びるんだから!」
「で、でも、もし今日何も起きなかったら?」
「大丈夫よ!こんだけ廃墟感醸しだしてる場所だよ?幽霊の一匹や二匹絶対いるわ!ほら、こうしている今にも梓の後ろに・・・・・・・・・!」
「!突然何よ・・・・・?」
「も~何なの、梓ノリ悪い~あっ!もしかして既に幽霊が乗り移って!!」
「なーな?」
「な、何よ・・・・・・?」
「やるなら真面目にやりなさい」
「わ、分かったわよ」
なんか母親と子供のやり取りみたいに見えるぞ。まぁ、白石は背高いし美人だから母親に見えるし桜井は低いし童顔だし言動も子供っぽいところあるからそう見えても違和感ないか。
「まぁ、美桜と梓、はビシッと廃墟を探索してる感のある画を収めてくれればいいだけだから!そして杉元は私が探索しているところをガッツリ撮る!ついでにちょっとビビってる美桜と梓の姿なんかもあれば廃墟探索の素材としては完璧よ!」
「はいはい」
なんか俺だけ注文が多くないか?まぁ、カメラマンだから仕方ないか。
「ちゃんと移るかな?今日はいつものカメラじゃなくてスマホ撮影だし・・・・・・・」
「突然の呼び出しだったしね」
「大丈夫だって、それにいつものカメラ予算不足でまだライト付いてないし」
貧乏配信グループのためライト付きのやつとかはまだ買えてないのだ。はぁ~お金が欲しいな~
「し、しかももしも本当に幽霊がいて襲われたら撮影している私達逃げられないんじゃ?」
「それは大丈夫よ!危なくなったら梓がお得意の格闘技で倒してくれるわ!」
「いや、動画を見るのが好きなだけで得意ってわけじゃ・・・・・・・・・」
「なら、杉元に守ってもらいましょ!男子なんだからか弱い女子を守って頂戴!!」
こういう時だけ俺を頼るのかよ。まったく、これだから女子は。
「てか、幽霊に物理攻撃が通用するのかよ?相手は透けてるんだぜ?」
「うーん・・・・・・・じゃあ、お経を唱えるとか?」
「唱えられるの?」
「もちろん無理よ」
「えぇ・・・・・・・梓ちゃんは?」
「流石に覚えてないわ・・・・・」
「す、杉元君も・・・・・・?」
「すまん、俺もだ」
お経覚えてる奴なんてお坊さん以外でいるのほとんどいないと思うぞ?
「とにかく!幽霊とかそんな出てから考えればいいのよ!早く奥に進みましょ!」
いや、出てからじゃ遅いって!襲われたおしまいなんだって!
「撮れ高稼がなきゃ!」
幽霊に襲われるかもしれないことを気にせず先に進もうとする桜井。殴ってもいいっすかこいつ?
「そうだね。ロケ場所は三階・・・・・・・からだっけ?とりあえず階段をさがそうか」
ロケ場所って・・・・・・・・生駒、一応俺たち不法侵入しているからね?犯罪ギリギリなことしてるからね?
「階段があるとした・・・・・・あっちの方かな?」
「ホテルだからエレベーターとか・・・・・・・・って、電気通ってないか」
「まあ、階段で上がってった方が動画の尺も稼げて丁度いいでしょ」
「そうか?」
「杉元、あたし階段でコケる演技するから下から撮影してくれない?」
「そんな素材使えるのか?見えるぞ?」
「そこは見えないようにギリギリを狙ってよ。まぁ少しはサービスシーン作らなきゃね」
おいおい、センシティブに引っかかるぞ?今だいぶ厳しくなってきてるし・・・・・・・・
「きゃっ、えへ☆ドジッコななちゃんアピールだよ♪」
試しにコケる演技をする桜井。あざと過ぎねぇか?
「はぁ・・・・・・・ほんと動画への熱意だけは本物ね、奈々は」
「だけってなによ!でも当然よ!それでこそ、ストリーマーってもんでしょ!」
「二人とも仲いいね・・・・・・・・」
「そうだな」
桜井と白石のそんなやり取りを眺めている俺と生駒。あの二人は子供の頃からの付き合い、ようは幼なじみで付き合いも大学で知り合った俺や生駒より当然長い。
そんな二人を見て俺と生駒なんだか蚊帳外にいる気分だ。
「ん?」
「どうした?」
「今、あっちで何か光ったような・・・・・・・・・・」
なにかを見たようなことをいう生駒。こんな暗い中ライトの光なしでよく見えたな。
「見に行ってみるか」
「う、うん・・・・・」
俺と生駒はその光ったものの方へいってみることにした。
「あれは・・・・・・・ショーケース?」
「何か飾ってるのかな?」
今いる距離だと中がよく見えないな・・・・・・・人形っぽいシルエットが見えるけどそれにしては結構大きいぞ?
「ねぇ!奈々ちゃん、梓ちゃん!こっちに何か・・・・・・・・・」
「どうかしたか?」
「二人とも、先に行っちゃったみたい・・・・・・・・」
さっき二人がいた場所を見てみるとそこには二人の姿はなくおそらく先に進んでしまったのかもしれない。
「はぁ、どうしよう・・・・・・?」
「後追いかけるか?」
「うーん、ちょっとだけ見に行ってもいい?あの中気になるしすぐに戻ってくればまだ追いつけそうだし」
生駒、お前意外と度胸あるな。普通、早く皆と合流したい!とか言い出しそうなキャラしてそうな感じがするのに・・・・・・
「まぁ、素材は多いほうがいいか・・・・・・・・」
「うん、奈々ちゃんも喜びそうだしね」
「うし、じゃあ見に行ってみるか」
二人と合流する前にショーケースの中を見に行くことにした。
「これは・・・・・・・・・・・」
「不気味な人形・・・・・・・?いや、着ぐるみ?」
中に飾られていたのはホテルのスタッフのような恰好をしたブタの着ぐるみのようなものが飾られていた。
「そう言えば、テーマパークがどうのって言ってたし、そこのマスコットキャラクターとかかな?」
「多分そうかもな。にしても汚れすぎてて、元がどんなか全然分かんねえや」
顔のとこなんてなんか塗料かなんかがついて血みたいに見えて気味が悪いな。
「うぅ・・・・・・何だか、この着ぐるみこっちを見ているような気が・・・・・・・」
「そうだな・・・・・・もう二人と合流するか」
「そうだね・・・・・・・・」
俺と生駒はショーケースのある場所を後にして先に行った二人と合流することにした。
「って、あれ?着ぐるみの足元・・・・・・・何か落ちてる?」
「これはこのホテルのマップか?」
ホテルの名前と1Fの文字それと見取り図のようなものが書かれていて多分ここのマップのようだ。
「廃墟だし出口分からなくなると困るから念のため撮影しておこうぜ」
「そうだね」
俺と生駒はそれぞれのスマホのカメラでマップの写真を撮った。これでどこがどこなのかがわかるようになったな。
「じゃあ今度こそ行こうぜ」
「うん・・・・・・・・」
改めて二人と合流するため先へ進むことにした。
「二人ともどこまで行ったんだろ?」
「まだ離れてそんなに時間経ってないし2階じゃないか?」
<ブッー!ブッー!>
「あっ、電話。梓ちゃんからだ。」
生駒のスマホに着信がきた。相手は白石のようだ。
「ビデオ通話だ・・・・・・・・・私たちがいないことに気づいて掛けてきてくれたのかな?」
「そうかもな。早く出てやれよ」
「う、うん・・・・・・」
生駒は電話に出ることにしてボタンを押して通話を始めた。
「もしもし、梓ちゃん?」
『み、美桜・・・・・・・!良かった・・・・・・繋がった・・・・・』
スマホの画面越しに映っている白石は心配している表情をしていた。
『杉元君も一緒みたいね』
「ああ」
『それより二人とも今どこ?』
「一階の廊下だよ。ごめんね、二人から勝手に離れちゃって」
「今2階に向かってるとこだ」
『そうなの?・・・・・・よかったぁ』
「?あ、そうだ。1階で気になるものを見つけたんだ。何だか不気味な着ぐるみでね・・・・・・・・・」
『ちょ、ちょっと美桜!やめてよ!』
着ぐるみのことを言おうとしたら白石が力強く止めてきた。あっ、これはもしや・・・・・・・・
「どうしたの?梓ちゃんさっきから変だよ?」
『・・・・・・・・・・・・・・・えっと・・・・・・あの・・・・・・・動けなくなっちゃったの・・・・・・・・』
「え!?怪我しちゃった!?」
「大丈夫か!?」
廃墟だし瓦礫が崩れてきたか床が抜けたのかもしれない!!急いで助けにいかねぇと!!
『そうじゃなくて・・・・・!あの、足が・・・・・・・・すくんで・・・・・・・』
「!!もしかして本当に幽霊が・・・・・・!?」
「出たのか!?」
怪我じゃないのは安心したけどまさか幽霊と遭遇したのか白石!?
『ち、違うの!そうじゃなくて、奈々がどんどん進んでいくから!その・・・・・・・・置いてかれちゃって・・・・・・・』
「「(白石(梓ちゃん)、怖がりだったんだ・・・・・・・)」」
俺の予想通り、白石はホラーがダメなタイプのようだ。目に薄っすら涙を浮かべてるし。
「電話は?桜井に掛けたのか?」
『掛けたんだけど出なくて・・・・・・・ひゃぁっ!?』
「梓ちゃん!?」
「白石!?」
突然驚く白石。一体どうしたんだ!?
『ご、ごめん・・・・・・・・何でもない。ちょっと虫がいただけ・・・・・・・・』
「そっか・・・・・・・・」
なんだ虫かよ・・・・・・・驚かせやがって。
「梓ちゃん、二階のどのあたり?」
『わ、分からない・・・・・・・けど、多分まだ廊下だと思う・・・・・・・』
「わかった。とりあえず向かうから梓ちゃんはうごかないでそこでじっと・・・・・・・」
<ザザッ!!>
「えっ!?」
「なんだ!?」
『な、何っ!?』
突然、画面にノイズが走り驚く俺たち。電波の調子が悪いからか?
「あ、明かりが・・・・・・・・・」
「点いた・・・・・・・?」
電気が通ってないはずなのに突如後ろの方の明かりが点いた。
『・・・・・・・・・・・・・・・・』
「梓ちゃん・・・・・・・・・・・?」
『ねぇ・・・・・・・・み、美桜と杉元君って・・・・・・・今、誰かと一緒ににいるの・・・・・・・・?』
「えっ?」
突然そんなことを言い出す白石。おいおい、今まで俺と生駒と会話してたから俺たちしかいないのわかるだろ?何言ってんだ?
「うぅん、私と杉元君の二人だけだよ?」
『じゃ、じゃあ・・・・・・・今、一瞬明かりが点いた時に後ろにいたのは・・・・・・・・誰?』
「はぁ?」
「ちょ、ちょっと梓ちゃん・・・・・・・・・やめてよ、怖がらせないでよ・・・・・・・・」
いきなり怖いこと言うなよ~自分が怖いからってさぁ・・・・・・・・・
「ほ、ほら、誰もいないって・・・・・・・・・」
スマホの内カメラで後ろの様子を白石に見せる生駒。確かに誰もいないな。
『で、でも・・・・・・・今、確かに・・・・・・・・』
「見間違いじゃねぇのか・・・・・・?」
<ザザッ!!>
『ひっ・・・・・・・!?やっぱり何かいるって!!』
「お、落ち着いて、梓ちゃん!」
「白石落ち着けって!何もいないって!!」
恐怖でパニック寸前の白石を落ち着かせようとしたその時
「・・・・・・・・・・・ッ!?」
「・・・・・・・・・・・なっ!!?」
生駒の背後に先ほどショーケースに入っていたブタの着ぐるみが立っていたのだ。
「え・・・・・・・・いやぁっ!?」
『きゃああああっ!!』
いきなりの出来事に混乱し始める生駒と白石。俺も何が何だかわからない状態になっているのだが!?
「き、着ぐるみが・・・・・う、うご・・・・・・・なん・・・・・・・で!?」
「生駒!!危ねぇ!!!」
「えっ・・・・・・きゃぁっ!!」
ブタの着ぐるみが何かを生駒に振り下ろそうとするのが見え俺は咄嗟に生駒を突き飛ばし躱す。
「いたたた・・・・・・・・・・・杉元君いきなりどうして・・・・・・・・!?」
「マジかよ・・・・・・・・・・・」
ブタの着ぐるみが振り下ろして手に持っていたもの・・・・・・・・・それは大きな鉈だった。
「な、なんで・・・・・・・・・?」
「生駒!立て!!」
俺は生駒を無理やり立たせてブタの着ぐるみから距離をとる。
「す、杉元君・・・・・・・ど、どうしよう!?」
「くっ・・・・・・・・・・・・・・・」
どうする!?生駒と一緒にあいつから逃げるか!?いや、俺が足止めして生駒を逃がすか!?どうすればいいんだ!?
分岐ルートどうやって進めていこうか・・・・・・・・?