心霊スポットで動画撮影しにきたらほんとに出てきちゃった 作:ムツヒロ
「やっと外に出られたわ!」
「なんか風が強いね・・・・」
非常用階段のドアを開け外に出た俺たち。風が強く吹いていて髪の長い女性陣の三人の髪を揺らしている。
「とりあえず下に降りましょう!」
「おう」
桜井が先頭を歩き非常用階段を降りていき地上に一階に着いた
「・・・・・・・あれ、やっぱり・・・・・・・」
「奈々ちゃん・・・・・・・・・・?」
桜井が見ている上の方を生駒も見た。なんかあったのか?
「・・・・・・帽子?」
そこには地面の上にちょこんと帽子が一つ乗っていた。
「あれがどうかしたのか?」
「あー・・・・・・・あれ、多分、友達の帽子だなって・・・・・・・」
「それって・・・・・・・」
「一緒にドッキリを仕掛けてたっていう?」
「うん。さっき非常階段に出たときに、帽子が飛んでいくのが見えたのよね」
なるほど、だからさっきあんなことを呟いたのか。
「やっぱりこっちの方まで来てたんだ・・・・・・・何か準備してて落としたのかしら」
「確かにありえるかも・・・・・・・・・」
「念のために拾っておきたいんだけど・・・・・・・」
「うん、いいよ」
「ええ」
「その友達も帽子失くしてこまってるかもしれないな」
「ありがとう、みんな」
桜井は落ちている帽子を取ろうとするが・・・・・・・・・
「!!ひぃっ!?」
「ど、どうしたの!?」
「む、虫が・・・・・・・!」
「虫?!?」
帽子を見てみるとそこには内側に大量のウジ虫が湧いていた!
「嘘!?やだ!」
「ウジ虫・・・・・・だけじゃないよねこれ・・・・・・」
「もしかしてこれ・・・・・・血か?」
ウジ虫以外にも真っ赤な血がべっとりとついている。こ、これは只事ではないぞ!?
「ど、どういうこと?」
「血って・・・・・・・・ねぇ待って。それじゃあ、もしかしてあの子はもう・・・・・・・・・」
「だ、大丈夫だよ!暗いし、もしかしたら虫のいる錆びた水の中に落ちてたのかもしれないし!」
「で、でも、来たの今日なんだよ?この帽子の子にドッキリの準備してもらったのも・・・・・・・・・しかもこんな内側にばっかり・・・・・・・・・水に落ちてたなら付くわけ無いじゃん!」
「それは・・・・・・・そうだけど・・・・・・・」
「・・・・・・・・・ねぇ、もうやめようよ」
「白石?」
「これもあれも・・・・・・・・全部、奈々の仕込みなんでしょ?」
「えっ?」
「やり過ぎだよ・・・・・・・もういい加減ネタばらししてよ!」
突然、白石がこの帽子のことを桜井とその友達が仕込んだドッキリだと言い放った。
「ねぇ!奈々!これ全部動画のためのドッキリなんでしょ!?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「全部奈々がお友達と仕組んだことなんでしょ?そうでしょ?ねぇ、もう十分いい絵撮れたでしょ・・・・・・!これ以上続けて何になるの・・・・・・・いい加減やめるべきだよ。止めてよ、奈々・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、梓ちゃん・・・・・・」
「ねぇ!何とか言ってよ!奈々!」
「落ち着けよ白石!」
桜井に掴みかかる白石を止めようとする俺。桜井はさっきから無言のまま何も喋らないままである。
「・・・・・・・・・・・・・・・しょ」
「え?奈々ちゃん、今なんて?」
「そんなわけないでしょ!本当にもしそうならとっくの昔に止めてるわよ!」
桜井はうっすら目に涙を浮かべながら大きな声で白石に言い返した。
「たかが弱小配信者な一般人にのあたしに、こんな大掛かりな仕掛け・・・・・・!あの着ぐるみだって、誰が準備してくれるっていうの!?」
「そ、それは・・・・・・・・・」
「あたしなんかのために、こんな廃墟に置きっぱなしになってるモノに入って、誰があんなことするってのよ!」
「だからそれも全部、元からあったものじゃなくてドッキリとして持ってきたじゃないのって聞いてんの!」
「だから違うって言ってんじゃん!これ全部仕込みだったら良かったって、あたしだって思ってるよ!」
「嘘よ!!」
「嘘じゃないわよ!!」
「二人ともやめろって!!」
言い争っている二人を何とか止めようとするが止まる気配がない。
「あたしのせいで・・・・・友達が危険な目に遭ってるかもしれないのに!」
「何よそれ、そんなに犯人かもしれない友達のほうが大事?私たちはどうだっていいっていうの!?」
「梓ちゃん!!」
「!!」
生駒が暴走する白石を止めてくれたおかげで二人は言い争いをやめた。
「・・・・・・・そんなの・・・・・・・梓と美桜と杉元も大事に決まってんじゃん・・・・・・」
「違うの・・・・・・・・わかってる・・・・・・ホントにごめん、言い過ぎた・・・・・・・ただ、現実を認めたくなくて・・・・・・こんな訳の分からないことに巻き込まれて私もう・・・・・・・・」
「うぅん、こっちこそごめん。あたしがここに連れてきたのは本当だし・・・・・・・」
お互いに落ち着いたみたいで喧嘩は無事に治まったようだ。
「大丈夫、大丈夫だよ二人とも。誰のせいでもないよ・・・・・・・」
「美桜・・・・・・・」
「ほら、こんな所で喧嘩してたらそれこそ危険だよ。四人で協力すれば、きっと奈々ちゃんの友達にも会えるし、ここも出られるはず・・・・・・・でしょ?」
「・・・・・・・そうね。美桜の言う通りだわ」
「ありがとう」
生駒の言葉で元通りに戻った俺たちのグループ。生駒よ、お前がナンバーワンだ!
「とにかくまずは、出口まで行ってみよう」
「ええ」
「そうね。行こう」
「そうだな」
「あっ、一応帽子拾っておかなきゃ・・・・・・・・・」
「そうだね・・・・・・・・・・・」
帽子を持ち上下に振ってウジ虫を落として俺たちは再びホテルの中へ戻っていった。
「杉元君、何見てるの?」
「さっきその辺に落ちてたスクラップブックの破れたページだよ」
移動中俺は落ちていた破れたスクラップブックを見ていた。当時の新聞記事が貼ってありその下にここのオーナーが書いたであろうメッセージが書かれていた。
『ファンタジーランドが閉園してから、予想はしていたものの経営が苦しい。「変な子供が現れた」というクレームがさらに増えている。このホテルで何が起こっているんだ?このままでは従業員も解雇せざる得ない。気が狂いそうだ・・・・・・・・・・・』とオーナーが経営に苦しんで悩んでいる内容だった。
「この変な子供って何だろう?」
「娘さんのことじゃないかな?」
「自分の娘を変な子供なんていう親がいるか?」
「も、もしかしたら頭がおかしくなって娘さんと判別できなくなったとかは・・・・・・?」
「まぁ、それもあるかもな・・・・・・・・・・」
店の経営なんてしたことないからわからないけどやっぱ相当ストレスとか溜まりそうだな。
「まさか幽霊だったりしてな」
でも幽霊が出る噂が流れたのってこのホテルが廃業になって親子が心中してからだ。
経営している間に幽霊が出てくるならここのホテルはもっと前から心霊スポットになっているはず。
「・・・・・・・・・・・・・・・ねぇ、杉元君」
「どうした、生駒」
生駒が急に立ち止まり何かを言いたそうにしている。
「あのね・・・・・・・・話しておかないといけないことがあるんだ」
「えっ、何?」
「う、うん、それは・・・・・・・・・・・」
「なによこれ!?」
「!?」
「なんだ?」
生駒と話してたその時、先頭を歩いていた桜井たちの大きな声が聞こえてきた。
「どうした?」
「こ、これ・・・・・・・・・・・・・」
桜井が指を指した方を見ると俺たちが入ってきた入り口が髪の毛のようなものに覆われ塞がれている光景だった。
「な、なにこれ・・・・・・・・」
「こんなの、来た時はなかったよね・・・・・・?」
髪の毛らしきものによって塞がれた入り口を見て唖然とする俺たち。
「ええ・・・・・・・だって普通にここを通って入ってきたじゃない」
「というか、何なのよこれは?」
「わかんない・・・・・・・髪の毛・・・・・・?」
「はは・・・・・・・・・どんな育毛剤使ったらこんな生えるんだよ・・・・・?」
「冗談言ってる場合じゃないでしょが!!」
桜井に怒られる俺。す、すいません・・・・・・・・・・・
「で、でもほら、頑張れば何とか通れそうじゃない?」
「そうね。この得体のしれないものを頑張ってかきわけて行く勇気があれば」
「な、なら頑張るしかないわね!行きましょう!」
この髪の毛ジャングルを抜けてでも出ようとする白石。その時
「ま、待って!落ち着いて梓ちゃん!他の出口を探そう!?」
「嫌よ!私はもうこれ以上一秒たりともホテルの中にいたくないの!」
止めようとする生駒、それでもここから出たいという白石。
「で、でも!ここで時間取られている間にもしも着ぐるみが来たらここ、逃げられないよ?」
「えっ!?」
「確かに、生駒の言う通りだ。ここだと、袋のネズミだぜ」
髪の毛をかきわけている間に着ぐるみ野郎がきたらすぐに追いつかれて鉈で切り刻まれちまうな・・・・・・・・・・
「ここで三人にもしものことがあったら、あたし・・・・・・・」
「奈々・・・・・・・・」
「桜井・・・・・・・・・・・」
「奈々ちゃん・・・・・・・だ、大丈夫だって!きっとお友達も無事だよ!」
心配する桜井を励ます生駒。このメンバーで唯一冷静に状況を見れるお前は最高だよ。
「美桜・・・・・・・・ありがとう・・・・・・・・」
「じゃあ・・・・・・・・どうする?別の道を探してみる?」
「そうだな・・・・・・・一旦非常口に戻ってみるか?」
「そうしましょうか・・・・・・・・・・」
非常口から外に出てそこからこのホテルを出ることにした俺たち。が・・・・・・・・・・
「う、嘘だろ・・・・・・・・・・・」
非常口も正面入り口と同じく髪の毛で塞がれている。ドアノブに手をかけるのも無理そうで開くのは不可能だ。
「ここもだめ・・・・・・・・・ほ、他にないの!?」
「だ、だったら地下に降りるのはどうかな!?」
「地下?」
「地下・・・・・・・!そうね、確か駐車場があったはず!」
生駒が地下かから出ようと提案し桜井が地下駐車場があったことを思い出す。
「駐車場からなら外に繋がってるはずだよね」
「なら、そこにいくか」
「ええ、そうしましょう」
今度は地下駐車場へと向かうことにした俺たち。地下の出入り口は塞がれてないことを祈りながら足を動かした。
「・・・・・・・・・・・・何これ?」
「エントランスと非常用出口と一緒・・・・・・・?」
地下へ来た俺たちの見た光景はエントランスや非常用出口と同じ髪の毛で塞がれている光景だった。
「塞がれている・・・・・・・・・」
「こっちも通れないじゃん!だからさっきのエントランスから無理やりにでも出れば良かったのに!」
だんだんとヒステリックになる白石。まずいな・・・・・・・・・・・・・・
「奈々・・・・・・・・・他に出口はないの?」
「他の出口・・・・・・・・・・ごめん、思いつかない」
「そんな・・・・・・・・・・・」
「それじゃあ俺たち、このホテルから出られないのか?」
「そうね・・・・・・・・・・・」
出口が全て塞がれ脱出することができず絶望する俺たち。その時
「もう終わりだわ・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、梓ちゃん・・・・・・・・・!」
「し、白石・・・・・・・・・・・!」
白石がついに限界を迎えたようだ。
「私たちあの着ぐるみに殺されるんだわ・・・・・・・・・・・・あの大きな鉈でズタズタにされるんだわ!」
「あ、梓!しっかりして!」
「いや!触らないで!!」
桜井の手を払いのける白石。これはマズい!
「あはははは・・・・・・・・・・もう死んじゃうんだ私たち・・・・・・・あははははは・・・・・・・・・」
「あ、梓ちゃん・・・・・・・・・」
「梓・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
完全にまいっちまった白石の様子を見る俺たち。どうすりゃいい?いや、もしかしたらまだ正気に戻せるかもしれない・・・・・・・・・よし、あれやってみるか!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「杉元!?」
「なぁ、白石」
「なに?杉元君?」
「・・・・・・・・・・・・っ!」
「!?」
俺は白石にハグをして右手で背中を優しく摩った。
「大丈夫・・・・・・大丈夫だから!俺たちは死なないし絶対ここから脱出できる!」
「あっ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「俺がお前や桜井や生駒を守ってやる!絶対死なせたりしないから!」
「うぅっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・うわああああああん!!」
白石は俺の言葉を聞き泣き始め俺の胸元に顔をうずめる。
「よしよし、もう大丈夫だから・・・・・・・・・・・」
白石が泣き止むまでハグし続け背中を優しく摩ってやったのであった。
「ごめん、みんな・・・・・・・・取り乱しちゃって・・・・・」
落ち着いて正気に戻った白石。とりあえずなんとかなったようだ。
「元に戻ってよかった」
「そうね。もう大丈夫?」
「ええ・・・・・・・杉元君もありがとうね」
「いや、俺はそんな大したことはしてないよ」
いつもはクールな感じの白石があんなわんわん泣くところなんて初めて見たぜ。
「さて、これからのことなんだが・・・・・・・・・・・」
「まずはこのホテルから出ることだけを考えましょ!」
「あっ、うん、そうだな・・・・・・・・・・」
先に言われちった。
「そうね・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・あのね!」
「どうしたの?美桜」
急に何かを話したそうにする生駒。
「あのね・・・・・・・・・二人に先に話しておかないといけないことがあるんだ」
「どうしたの?急に」
「このホテルで起こっていることね・・・・・・ドッキリとか、誰かに仕掛けられているとかじゃ、絶対ないと思う・・・・・・・」
生駒のやつ、風呂場のことを話すんだな・・・・・・・・・・
「どういうこと?」
「私ね・・・・・・このホテルに入ってすぐ、二人とはぐれちゃって着ぐるみに追いかけられて杉元君と別々で行動してた時、部屋に閉じ込められてその時、お風呂場の排水溝から伸びてきた長い髪の毛に殺されかけたの」
「髪の毛・・・・・・・!?」
「なにそれ、こわ・・・・・・・・・」
「なんとか杉元君が助けに来てくれて助かったけど・・・・・・・お風呂場は、排水溝から生えた髪の毛でびっしり覆われてた。そんな量の髪の毛を動かすなんて、どう頑張ったって人の力では無理でしょう?」
「そうね・・・・・・・・・」
「そもそも美桜を閉じ込めるなんてこと、あたしの企画では考えてなかったし・・・・・・・・」
「だから、誰かがドッキリを仕掛けているとか、危ない人が潜んでいるとかじゃなくて・・・・・・・・・・・誰も想像できなかった何かが、今このホテルの中で起こってるんだと思う」
「っ・・・・・・・・やだなぁ。足が震えてくる・・・・・・・・」
白石の足はプルプルと震えている。寒さで震えているのと同じように。
「そっか・・・・・・・・・・じゃあ、なおさらホテルの中を改めて調べる必要がありそうね」
「はっ!?」
「え、なんで!?」
桜井の発言に驚く俺と白石。今、調べるって仰りませんでした!?
「いや、だってホラーの鉄板じゃない。もしも原因が怨念とか地縛霊とか何か怨みを持つ奴なら、お悩みさえ解決してやれば外にでられるかもしれないし」
ま、まぁ、ホラー映画でよく見る展開だな。しかしそううまくいくか?解決したかと思ったら解決してないパターンでバットエンドになることとかあるぞ?
「あんまり見ないからわからない・・・・・・・・けど調べるって?どこを?どうやって?」
「梓・・・・・・あんた、心霊関係になるとほんと普段の知的な感じが完全に消えるわね・・・・・・・」
「べ、別に怖がってるわけじゃないのよ!?」
「ふっ」
「な、何よ?」
「あはは!」
「な、なんで笑うのよ!」
急に笑い出す桜井、笑われて戸惑う白石。
「いや、だって!何年の付き合いだと思ってんの!小学生からよ?あんたが怖がりなことくらい知ってるわよ。だからこの企画を立ち上げたところ、正直あるわ」
やっぱり気づかれてたみたいだな。
「やっぱり、気づかれてたね」
「うぅぅ・・・・・・・・・・」
恥ずかしがり顔を少し赤くする白石。やはり幼なじみの目は誤魔化せなかったみたいだな。
「はは・・・・・・・・・・・はぁ。本当に、こんなことになってごめんね・・・・・・・・」
「ううん。奈々こそ、大丈夫?」
「うん。とにかくまずは外に出ないとね!」
「あ・・・・・・・・・」
「ん?どうかしたのか?」
「事務室・・・・・・・・・」
「え?」
「あ~!確かにそうね。美桜、ナイスアイディア!」
「なに?」
「どういうことだよ?」
いきなりの提案でよくわからない顔をする俺と白石。
「はぁ・・・・・鈍いなぁ、梓と杉元は」
「ホテルって、どこかに事務室があるよね?」
「あるとは思うけど・・・・・・・・」
「そこに行けば、このホテルの情報とかが転がってたりしないかなってことよ!」
「「!」」
確かに事務室ならここの情報やらなんやらがあるかもしれないしもしかしたら脱出できる方法があるかもしれないぞ!?
「よし!それじゃあ、早速事務室を目指して再出発よ!」
桜井はそう言って先頭を歩き事務室へ向かっていった。
「ほら、梓ちゃんと杉元君も」
「・・・・・・う、うん・・・・・・!」
「お、おう!」
桜井に続き事務室を目指すことにした俺たち。なにがなんでもここから生きて脱出してやる!必ず!!
怖がる梓が可愛く見えてきた