心霊スポットで動画撮影しにきたらほんとに出てきちゃった 作:ムツヒロ
倒壊
「とあえず今の状況を桜井に連絡しよう」
リーダーである桜井に連絡を取ることにした。
<プルルルルルル>
『もしもし?』
「桜井!俺だ、杉元だ!」
『杉元!?あんた今どこにいるのよ!急にいなくなって私と梓が探してたのよ!』
「わ、わりぃ…‥‥って、それより!大変なんだ桜井!実はブタの着ぐるみを着た変な奴に襲われて!」
『はぁ?着ぐるみに襲われた?何言ってんの?』
信じてない反応をする桜井。
「と、とにかくここはヤバいから今すぐここから出るぞ!」
『はぁ!?まだ撮影終わってないのよ!?帰るわけいかないでしょ!』
「そんなこと言ってる場合じゃないって!お前今どこにいるんだよ!?」
『えっ?今は三階のリネン室にいるけど……』
「わかった!今向かうからそこ動くなよ!」
『えっ、ちょ、ちょっと!』
通話を切り三階のリネン室へ向かう。
「はぁ、はぁ、はぁ、ここだな」
三階のリネン室の前に来た。その時
「きゃぁぁーーーー!」
<ガシャアアアアアアンンン!!>
「!?」
今の悲鳴ってまさか桜井か!?中で何かあったのか!?
「桜井!!」
桜井を助けるためリネン室のドアを開けようとするが
「開かない……っ!なんでだよ!」
なぜかドアが開かない!鍵掛かってるのか!?
「桜井!!いたら返事しろー!!」
ドアを叩き桜井の安否を確かめる。
「……お、すぎ……。聞こ……な…」
微かに声が聞こえるが何言ってるのか聞き取れない!
「中で何が起きている!?さっきの悲鳴はなんだ!?」
「……お。聞こ……な……。……いし……は……ん!」
ダメだ、よく聞き取れない。けどなんか配信って言ってるように聞こえたけど……
「配信を見ろってことか?」
俺はスマホを取り出し配信アプリを開くと
「って、なに!?」
配信映像には桜井が倒れてきた棚を必死に抑えようとしている姿が映し出されていた。
「棚に挟まれている!動けないのか!?」
さっきの大きな音はこれだったのか!
「って、なんだこれ!?」
コメント欄を見ると赤いよくわからない文字でコメントが書かれている。
「気持ち悪いな……」
『杉元!聞こえる!?』
「桜井!?」
桜井が俺に呼び掛けている。
『ドアの前にあんたがいるのは分かってるだけどちゃんと声が……聞き取れないの!配信を見れたらコメント、してっ!』
「そうか、コメント……!」
その手があったか。よし、コメントを送ろう。
「とりあえず……『見えている。部屋に鍵がかかって開かない』っと」
コメントを入力し送信する。するとコメント欄に俺が送ったコメントが表示された。
『運営コメント……!良かった、聞こえてた……!』
よし、桜井も俺のコメントに気づいてくれたぞ。
『棚が倒れてきて、ここから動けないの……!助けて!お願い!』
「助けるって言われても……」
ドアを破るのに時間かかりそうだしどうやって……
「そうだ、コメントで指示を出せば中にいる桜井を助けられるかもしれない!」
いいこと考え俺は配信映像を見ながら何か棚を支えられそうな物を探す。
「えっと……あっ、掃除機…」
あれで支えられないか?よし、コメントを送るぞ。
『掃除機…?ちょっと……届かないわ……っ!』
ダメか。何か他には……
「あのラックならいけるんじゃねぇか?」
でも少し距離があるな。桜井が手を伸ばしても届きそうにないな……
「一応コメント送ろう……」
『奥のラックを引っ張り出せないか?』とコメントを送る。
『くっ……!無理!どう頑張っても届かない!何か、引っかけるものがあれば……!』
「引っかけるもの……あっ!」
あのバールなら遠くのものを引っ張り出せそうだ!早速コメント送信するぞ!
『……バール?こ、これのこと……?頑張れば何とかいけると思う……くっ!』
桜井は手を伸ばしバールをなんとか手に取る。よし、持てたみたいだ。
「『そのバールでラックをひっかけろ』っと」
『……やってみるわ!』
桜井はバールをラックの骨組部分に引っ掛ける。
『上手くひっかかった!このまま慎重に引っ張ってこれれば……』
ラックをゆっくりと引っ張っていき真横に止める桜井。そして
<ガシャアアアンンンン!!>
「桜井!?」
映像が乱れ砂嵐状態になり見れなくなった。桜井はどうなったんだ!?
『はぁ……はぁ……あぶなかった………』
よかった、無事のようだ。
『ありがとう杉元……おかげさまで生きてるみたいだけど……膝はがっくがくだけど……ひとまず合流しましょう』
そうだな、とりあえずこの部屋に入れるようにしないとな。
「とりあえずドアをぶち破ろう……フン!」
俺はタックルでドアを叩く。それを何度も繰り返していくこと数分
<ドガァン!!>
「うおっと!」
ドアが開いて中に入ることができた。
「杉元!」
「桜井!」
「無事でよかったぜ」
「あんたのおかげよ!」
「桜井が配信してくれてたからだ……んっ?このパソコン……」
ふと桜井の横に置いてある机の上を見てみるとそこには桜井の配信用のノートPCがあった。
「どうしてこんなところにお前のパソコンがあるんだ?」
「!!?え、えっと……それは、その……こ、今回の撮影に必要で……」
「どういことだ?今回は動画だし急だから、スマホで撮るだけでいいってお前が……」
「だから、え、えっと……」
「桜井?」
なにか言いにくそうな顔をしている桜井。そして少し間をおいて話すことをきめたような表情をする。
「ごめん!じ、実は…友達と一緒に、美桜と梓をドッキリに仕掛けようとしてました……」
「なに!?」
まさかのドッキリ発言!あの二人をドッキリに仕掛けようとしていたのか!
「全部お前の仕業だったのか!?」
「ごめん!それは本当に……で、でも、おかしいのよ!」
「おかしい?」
「事前に友達と話してた予定と違うことばかり起きるの!」
「どういうことだ?」
「元々あたしが美桜と梓、それにあんたも三階まで連れてくる予定だったのよ。なのにあんた達は途中でいなくなっちゃうし……仕方なく先に待ち合わせ場所にしてたリネン室に来たら友達はいないし、連絡も繋がらないし……挙句の果てにリネン室に閉じ込められちゃって……必死に開けようと色々している内に今度は棚が倒れてきて身動きが取れなくなって……」
「じゃあ……あの着ぐるみは……」
<ブブブブ>
「あっ、着信」
誰からだろう?
「誰から?」
「えっと……生駒だ」
着ぐるみ野郎から逃がした生駒から連絡がきた。あいつも無事だといいが……
「もしもし?」
『杉元君!?よかった無事で……」
「ああ、俺は大丈夫だけど、生駒の方は?」
『うん、私も梓ちゃんも無事だよ』
「白石もいるのか?」
『うん、なんとか合流できたよ』
白石も一緒にいてこれで全員の安否がわかりとりあえず一安心する。
「俺も桜井と合流している。そっちとも合流したいから三階のリネン室に来てくれないか?」
『うん、わかった。じゃあ今から向かうね』
「ああ、気をつけてこいよ」
生駒たちがここにくることになり通話を終える。
「美桜と梓、大丈夫だった?」
「ああ、二人ともここに向かうってよ」
「そう、よかった……」
「……二人が来たらドッキリのことちゃんと説明しろよ」
「わかってるわよ……」
しぶしぶと返事する桜井。それよりなんか只事じゃないようなことに巻き込まれている気がするな……
鍵なんていらない。筋肉で開ければいい(筋肉論破)