心霊スポットで動画撮影しにきたらほんとに出てきちゃった 作:ムツヒロ
「ここが非常口ね」
俺たちは非常口のドアの前で足を止めた。ちなみにここは二階の非常口で一階の方はなぜか鍵がかかっていて開けられなかった。非常口なのに……‥‥
「さぁ、出ましょう!」
「ええ…‥‥あれ?」
「どうした?」
「ここも開いてないわ‥‥‥‥」
「ここもか…‥‥‥」
「事務室とかに鍵とかないかな?」
「うーん……‥多分ありそうだし探しに行ってみましょう」
今度は一階の事務室の方へ向かうことにした。
「ここが事務室っぽそうね」
「なにか手掛かりがあればいいけど…‥‥」
「ダメ、開かない。ここも鍵がかかってるみたい」
「ここもかよ‥‥‥‥」
「なんでどこも鍵がかかってるのよ…‥‥‥」
「本当に中は当時のまま、朽ちていったって感じだね…‥‥‥」
「まぁ、この様子みればそうとしか言えないな…‥‥‥」
「うーん……‥真上の部屋に秘密の抜け道があってそこから入れたりしないかしら?」
「ゼルダかよ?」
「本気で言ってる?」
「半分くらい?」
「て、天井が抜けてたら上から入れるかも?」
「抜けてたとしても危ないわよ」
「ご、ごめん、そうだよね‥‥‥‥」
「まぁ、けど他に心当たりがあるわけでもないし、一回試しに上の部屋を見に行ってみない?」
「え~」
「この上の部屋ってなんだっけ?」
「確か、二階の一番奥の部屋だったかしら?」
「また二階に上るのかよ…‥‥」
面倒だな…‥‥‥
「ほら、行くわよ杉元」
「へいへい」
再び二階に上がり事務室の真上の部屋に向かう俺たち。
「?」
桜井が急に足を止めた。
「奈々ちゃん?どうしたの?」
「あの帽子……ほら、エレベーターの前」
「?」
桜井が指を指した方を見ると帽子被った人がいるのが見えた。
「ひっ!だ、誰かいるわよ!?」
誰かいることにビビる白石。俺も少しビビったよ。
「あれ、多分友達だわ!」
「えっ!?」
あれ桜井の友達なのか!?
「奈々ちゃんの友達!?無事だったんだ!」
「ええ!良かった、やっと見つけた!ちょっと声かけてくるわ!」
「ちょっ!?奈々!?危ないよ!」
「大丈夫だってば!」
「あっ、おい!」
白石と俺の静止を聞かずエレベーターの前にいる友達らしき人物の元へ向かう桜井。
「やっと見つけた!ねぇ、散々捜したのよ!今までどこに行ってたのよ!」
友達らしき人物に話しかける桜井。
「入口塞いだり、着ぐるみに追いかけさせたり、ドッキリ仕掛けたのあんたでしょ!?凄いビックリしたじゃない!」
「…………」
「今は?どこかでカメラ回ってたりするの?まさかこの辺にも仕掛けがあったりしないでしょうね!?」
「…………」
「……ねぇ、どうかしたの?何とか言ってよ?」
さっきからだんまりしている友達。なんか様子がおかしいぞ?
「聞こえてる?」
「…………」
桜井の問いに全く返事をしない友達。
「ねぇってば!」
さらに近づいて様子を見ようとする桜井。
「えっ……?」
友達の姿はスッと消え帽子だけがゆっくりと床に落ちていった。
<ガタン ガタン>
「な、何……?」
急な物音に周囲を見渡す桜井。すると
「ひっ……!」
どこからともなく着ぐるみ野郎が桜井の目の前に現れたのだ。
「桜井!?」
「奈々ちゃん!?」
「奈々!?」
俺たちは桜井の元へ急いで駆け寄った。だが
「い、嫌ああああああっ!触らないで!」
着ぐるみ野郎は桜井を捕まえてエレベータに乗り込もうとした。
「奈々ちゃん!」
「早くこっちに!」
俺たちは桜井を助けようと手を掴み着ぐるみ野郎から引き剝がそうとする。
「くっ……!なんて力だ……!」
三人がかりでもまったく剝がせない!力強すぎだろ!?
「嫌!死にたくない!美桜、梓、杉元!いやだ、助けて!」
桜井は必死に抵抗しようとするが着ぐるみ野郎の腕からは離れられなかった。
「奈々ちゃん!」
「奈々!」
「桜井!」
俺たちも必死に助けようとするがまったくだめだった。そして
「あっ……」
桜井の手が離れエレベーターのドアを抑えていた方の手も離れてしまいエレベーターのドアがゆっくりと閉まろうとした。
「くっ!」
俺はすぐにエレベーターに乗り込もうと走り出しギリギリのところで乗り込んだ。
「いやあああああああああああっ!!」
エレベーターから聞こえてくる奈々の絶叫。その後エレベーターはゆっくりと下の階へと降りていった。
「嘘……」
「な、奈々……杉元君……」
「……奈々ちゃんと杉元君を助けないと……」
二人を助けに行こうとする美桜。
「ま、待ってよ……美桜……」
助けに行こうとする美桜を止める梓。
「だって早くしないと二人が……!」
「待ってってば!」
「で、でも……!」
<ガタ ガタ ガタ>
「待って……エレベーターが動いてる……?」
突如動き始めたエレベーター。
「またこっちに来てる……!」
一階から二人のいる二階に戻ってくるエレベーター。
「奈々ちゃん?」
「そんなわけ……」
<チーン>
エレベーターが着きドアがゆっくりと開いた。そこには
「二人とも!!」
「杉元君!?」
大吾と奈々がエレベーターから出てきた。
「無事だったのね!」
「ああ!とりあえずどこかの部屋に隠れるぞ!!」
「う、うん!」
四人は空いている部屋に入り着ぐるみからやりすごすことにした。
「はぁはぁ……ここにいれば大丈夫だな……」
「そ、そうね……」
「…………」
落ち着く梓。奈々の方は顔は青ざめ震えている。
「杉元君、いったいどうやって着ぐるみから?」
「ああ、それは……」
『いやあああああああああああっ!!』
着ぐるみに捕まりエレベーターの中に引き込まれそうになる桜井。くそ!させるかよ!
『くっ!』
俺はエレベーターに無理やり乗り込んできた。
『この野郎!!』
俺は着ぐるみ野郎を殴り桜井は着ぐるみの腕から解放された。
『桜井!大丈夫か!?』
『う、うん……杉元!後ろ!』
『!?うおっ!!』
着ぐるみ野郎は持っていた大きな鉈を降り下ろそうとしたが俺は白刃取りで受け止める。
『ぐぬぬっ………』
『杉元!』
何とか持ちこたえているけどそこまで長く持たない!
<チーン>
『あっ』
エレベーターが一階に着いた。ナイスタイミング!
『どぉせい!!』
俺は着ぐるみの腹部に蹴りを入れて吹き飛ばした。
『上に戻るぞ!』
『う、うん……』
俺は急いで二階のボタンを押してエレベーターのドアが閉まり上へ向かった。
「ということがあった」
「そんなことが………」
「杉元君あいかわらずすごい戦闘力ね………」
「そうか?」
まぁ、腕力には自信あるけど………
「それより事務室に行かないと……」
「私は行かない……」
「えっ?」
「奈々ちゃん?」
「ここから出たらまたあいつに襲われるかしれないじゃない!なら、ここにいたほうが安全よ!」
桜井は着ぐるみ野郎に怯えてこの部屋から出ようとしなかった。
「けど、ここだって絶対安全とは限らないわよ!?」
「でも外に出るよりマシよ!私は絶対出ないから!!」
「奈々ちゃん……」
「桜井……」
いつまでもここにいても脱出することはできない。なんとか桜井を説得させないと……
「……桜井」
「何よ?」
「………」
「えっ?」
俺は桜井の手を優しく握る。
「頼む、一緒に来てくれ」
「だから、私はいかないって………」
「俺はみんなでここを出たいと思っている。誰一人欠けることなく………」
「…………」
「俺たちチームだろ?助け合っていけば必ずここから出られるはずだ。もしあいつがまた襲ってきたら俺がちゃんと守ってやるからさ!」
「杉元………」
「私も!奈々のこと守るから!」
「わ、私だって!」
「梓……美桜……あははっ、私何ビビッてんだろう」
顔を上げて立つ桜井。
「こんなところで怯えて隠れるなんて私らしくない!さぁ、行きましょう!」
いつもの調子に戻った桜井。ひとまず良かったな。
「三人とも!事務室へ行くわよ!」
「う、うん!」
「はいはい」
「おう」
俺たちは事務室へ向かうことにした。
「あいつはいないみたいだな……」
廊下に出た俺たち。着ぐるみ野郎はいないみたいだ
「あと着ぐるみ野郎に出会わないといいけど……」
運よく着ぐるみ野郎とさっきから出会ってないけどいつどこでまた襲ってくるかわからないから警戒しないとな。
「ねぇ、三人とも待って……」
「どうした?」
「どうしたのよ?」
白石の言葉に一旦足を止める
「誰かいる……!」
「へっ?………!!」
白石が指を指した方を見る俺たち。そこには体が半透明で顔の表情が見えない女の子が立っていた。
「女の子………?」
「間違いなく幽霊よね……あれ……」
「ああ……そうみたいだな……」
俺は今幽霊を見ている!本当に実在していたんだ……!
「あっ!」
「消えた!なんで!?」
女の子の幽霊は突然フッと消えた。
「お、落ち着きなさいよ梓!」
「今、あの子が消えた部屋って行こうとしてた事務室の上あたりの部屋だよね」
「確かに………」
「行ってみるか」
「やだよ!戻ろうよ!」
「大丈夫よ!あたしたちがついているから」
「ううっ……わかったわよ……」
白石を宥めて女の子が立っていたところにある部屋に向かい入る。
「この部屋がさっきの事務室の真上あたりよね?」
「大丈夫……?さっきの女の子、隠れてたりしてない?」
まだ女の子幽霊にビビっている白石。もういい加減なれてくれよ。
「うん、誰もいないみたいだよ」
「そう………」
「ここは普通の客室みたいだな……」
「流石に秘密の抜け道なんてないか……」
「当たり前でしょ……」
「床が腐り落ちてそうな所とかもないね」
「そうね……この部屋は比較的綺麗なまま残ってるみたい。まぁ、泊まれって言われたら泣きたくなるぐらいには廃墟感あるけど・・・・・・・・・」
「あはは、確かに……」
<ビシャッ!!>
「ひぃっ!?」
「なっ!?」
「な、何っ!?」
突如バスルームのドアに真っ赤な血のようなものが飛び散っている。
「な、何この光……」
「この音もなんだろう……お風呂場?やっぱり誰かいる……!?」
「もうやめてよぉ……!ここも奈々の仕掛けた部屋なの!?」
「流石に仕掛けた部屋に入るなら事前にちゃんと言うわよ・・・・・・・!」
「もう本当嫌……勘弁して……」
桜井の仕掛けではなくマジの心霊現象を目の当たりしている俺たち。すると……
「………」
「ちょ、ちょっと美桜!?」
「なんで見に行こうとするのよ!?」
生駒がバスルームの中の様子を見に行こうとする。正気かお前!?
「……あれ?消えた?」
「音も止んだ……」
血のような光も何かを潰すような音も消えた。
「何だったのよ今の……」
「……ちょ、ちょい生駒!?」
止んでもバスルームの中へ入ろうとする生駒。
「美桜!もういいでしょ!?」
「ちょっと覗くだけ……!」
そう言ってバスルームのドアを開ける生駒。中は一体どうなってるんだ!?
「ひっ!」
「……誰もいない……」
中は誰もいないし変な様子もなかった。
「何だったのかしら、さっきの……」
「本当に何もいない……?大丈夫……?」
「うん、本当に何もいないよ……ん?」
「こ、今度はなに・・・・・・・・!?」
「……鍵?」
生駒はどこかの部屋の鍵を拾ったみたいだ。
「もう、脅かさないでよ……けど、どうしてこんなところに鍵が?」
「わかんない……」
「これが事務室の鍵だったりしないかしら?」
「そんな都合のいい展開あるわけないだろう……」
「いや、きっと事務室の鍵よ!そうに違いないわ!」
「その根拠にない自信は一体どこから湧いてくるんだよ」
「けど、試してみる価値はあるかも。もしこれで開いたら、ラッキーだし」
「とりあえず持っていきましょ」
事務室の鍵らしき鍵を持っていき再び事務室へ向かう。これで開かなかったら無駄足だぞ?
<ガチャ>
「開いた!!」
鍵はどうやら事務室の鍵だったようでドアが開いた。
「中へ入りましょ」
「おう」
「う、うん……」
「何もでませんように……」
事務室の中へ入る。中はやはり当時のままになっていて書類などが床に散らばっている。
「だいぶ散らかってるな……んっ?」
「どうしたの?」
「日記の切れたページか?」
紙には日付と『オルゴール』と書かれたタイトルで内容は以下の通りだ。
『ファンタジーランドに行ったときに買ったオルゴールを娘は毎日嬉しそうに触っている。
土日にホテルへと連れてくる時もオルゴールを片時も手から離さない。
楽しかったもんな、遊園地。また いっぱい思い出作ろうな』
「これは……」
「たぶんオーナーが書いたもんだと思う」
こんな優しそうなお父さんが娘と無理心中するのはなんかおかしいな……なにかあるあもしれない。
「うーん……めぼしいものは無いわね」
「この引き出し鍵がかかってるわね……」
なにかないか探している桜井と白石。しかし結果はとくに出てない。
「あの神棚に何か隠されてたりしないかしら?」
「見てみる?ここに脚立あるから届きそうだし」
「お願い、梓」
「オッケー。こういうところなら任せて」
白石が棚の横にあった脚立を持ってきてそれに乗って神棚を調べることにした。
「よいしょ……っと」
「どう、梓?」
「うーん……普通の神棚ね。特に何もなさそう」
「まぁ、そうよねぇ……」
「ん?」
「どうしたの?」
「あ、いや。この神棚、神殿の扉が開きそうなのよ」
「だ、大丈夫?」
「そんなことしてバチとか当たらねえか?」
「シッ!珍しく梓が乗り気なんだから怖がらすようなこと言っちゃだめ!」
「そうだな……」
またパ二くられても困るからな。
「うーん……何か仕掛けがあるにかしら?何か中に入ってそうな感じがする」
「その戸開きそう?」
「だめ、開かない。鍵がかかってるわけでもなさそうだし……」
「どうやったら開くのかな?」
「……んっ?」
俺は観察していくうちにあることに気づいた
「どうかしたの?」
「花瓶に入ってるさ榊の木さ、枯れてなくねぇか?」
「えっ?確かにそうね」
「十五年以上経っているのに葉が一枚も落ちてないし入ってる水だってなくなるだろ?それに片方しかないってのも変だし」
「それもそうだね。こういうのって両方に榊の木が入ってるイメージあるし」
「これはなにかありそう……あっ!」
桜井が何かを見つけたみたいだ。
「どうしたの奈々?」
「これ、神棚の花瓶に入ってる榊の木と同じ木じゃない?」
「あっ、本当だ」
桜井が見つけたものは花瓶に入っている榊の木と同じものだった。
「しかもこれ本物の木じゃなくて作り物よ」
「ほんとだ」
「……奈々、その木こっちにちょうだい」
「えっ、いいけど……」
白石に作り物の榊の木を渡す桜井。白石のやつ何かに気がついたようだな。
「これをここに……やった!神棚の戸!開いたよ!」
どうやらあの花瓶に木を供えると開く作りになっているようだ。まるでバイオに出てくる仕掛けだな。
「でかした!何か入ってる?」
「うーん……あ、何かあるわ」
白石が中から何かを見つけ脚立から降りて俺たちにそれをみせた。
「何、これ?」
「中に黒い帯みたいなものが巻かれてるように見えるけど……」
「うーん……これ、どこかで見たような……」
「これ、カセットテープじゃね?」
「カセットテープ?」
「何それ?」
「今でいうCDみたいな感じでこれをラジカセに入れて音楽を聞いたり音声を録音したりするもんなんだよ」
「へぇ~こんなものに声を録音してたんだ。ん?でもそのラジカセ?っていうやつがないと聞けないの?」
「そうだな」
「不便ね」
ボロクソに言われるラジカセくん可哀想……
「ホテルが経営してた時代はまだスマホもデジカメも無いから……」
「このホテルのどこかにその機械があればいいんだけど……杉元君、そのラジカセってのは見たら分かる?」
「ああ、わかるぞ」
てか案外事務室の中にあったりして……
「あ、あった」
「はや!」
すぐに見つかったラジカセ。これでテープが聞けるな。
「う、動くのかな……?」
「ちょっと待ってろ……」
電池式みたいだから電気通ってないここでも使えるが経年劣化で動かない可能性もあるかもしれない。
「……よし、動きそうだ」
「いよいよ、このカセットの中身が聞けるのね……」
「側面にも何も書かれてないし……何が録音されているのかしら?」
「わざわざ神棚に隠されてたようなテープだしね。このホテルのことが分かるものだといいね……」
「そうね。それじゃあ、杉元。お願い」
「わかった」
テープをラジカセに入れて再生ボタンを押した。
『…………』
ノイズが続き中々音声が流れてこない。
『……はぁ……はぁ……お前か、お前が………』
しばらくすると金属を引きずるような音と息を荒くした男の声が聞こえてきた。
『お前が……お前が殺したのか!?』
<バリィン!!>
『お、オーナー!落ち着いて!そ、その持ってる……な、鉈を!おろして下さい!』
『あ、危ないですって!』
どうやら声の主はここのオーナーでスタッフらしき人たちの声も聞こえる。しかも鉈を振り回しているってことはあの着ぐるみ野郎と何か関係ありそうだな。
『お前が……ッ!お前がぁぁ……ッ!!』
オーナーは酷く混乱している様子で鉈を振り回してスタッフたちに襲いかかろうとしている状況が想像できる。
『お前がっ!お前が娘を殺したんだ!!』
『ち、違いますよ!!』
『こいつが……こいつが娘を殺したんだ!お前だって風呂場を見ただろう!!』
風呂場?まさかあの部屋のバスルームの血のような光は娘が殺されている瞬間だったっていうのか!?
『何言ってるんですか!?鏡に映ってるのはオーナーですよ!?』
『い、今救急車を呼んでますから!ね?落ち着いて?』
『お前は……お前だけは、許さない!』
<ガシャァァァァン!!>
『止めてくださいってばぁ!!』
『うるさい!!!!!』
<ガシャァァァァァンン!!>
『ぐっ……!?』
スタッフたちの説得に全く応じず鉈でガラスを壊していくオーナー。これはもう何言っても聞いてくれなさそうだ。
『待ってろ……今すぐお前を殺した犯人を全員殺してやる……』
『ツッ……!!オーナー!?オーナーぁぁぁっ!!!』
<ザシュッ!!>
オーナーがスタッフの一人を殺害したようだ。
『ひひっ……』
『うっ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
もう一人のスタッフの逃げる足音が聞こえて音声は切れた。おそらくもう一人もオーナーによって殺されたのかもしれない………
「………」
「………」
「………」
「………」
俺たちは惨劇の音声が入ったテープを聞き呆然としている。
「……終わったのかな?」
「多分……」
「……え……な、何よ、これ……?」
「誰か……人が死んだ……?」
「おそらくな……」
「趣味悪……元はスナッフビデオか何かかしら……けど、わざわざ音だけ別撮りにする……?」
「娘を殺した、がどうとか言ってなかった?」
「言ってたな」
「子供を殺して自分も死ぬ……無理心中って奴かな?」
「しかも鉈って言ってたな。もしかしてあの着ぐるみ野郎と関係があるかもしれない……」
「!さっき204号室に入ろうとしたときに女の子がいたわよね!?」
「うん、いたね」
「その後204号室で見たあの光景って、もしかして……」
「この音声直前の女の子が殺される直前の風景……ってことね」
「何を伝えたかったんだろう……」
生駒がそう呟いたその時
<ガガガピィーーーーーーー!!>
「えっ!?」
「な、なに!?」
ラジカセから高いノイズ音が鳴った。どうやらまだ音声は続いているみたいだ。
「なんだ……?」
『………2……0……4……お部屋……オル……ール……パパ………聞かせて………』
小さな女の子の音声が流れ今度こそテープに録音されていた音声は終わった。
「い、今のって………」
「やっぱり204号室になにかありそうよね……」
「オルゴールがどうとかパパに聞かせてとか言ってたな……」
やっぱりあの部屋になにかあるかもしれない……このホテルから出るための手掛かりが!
「とりあえず204号室に向かってみましょう」
「そうね」
「そうだね」
「そうだな」
事務室を出て改めて204号室に向かう。
「ここね……」
「そうね……」
目的地の204号室に着いた。ここに手掛かりがあるんだな。
「よし、入るわよ」
「うん」
「ああ」
部屋の中に入り手掛かりとなるオルゴールを探した。
「ねぇ、奈々ちゃん!梓ちゃん!杉元君!」
「どうしたのよ?」
「これ……」
生駒が着ぐるみ野郎のイラストが描かれた箱を見つけた。
「なんだろう、この箱……?」
「さっきまでこんな所にこんな箱あったかしら……?」
「無かったと思う……」
「それにあの着ぐるみ野郎が描かれてるぞ」
「ふーん……てことは堵替塚ファンタジーランド関連のものかしら?」
「あ、奈々っ!迂闊に触らないほうが!」
桜井が箱を開けると中には機械のようなものが入っていた。
「これ……多分オルゴールじゃないかしら?」
「本当だ。コームやシリンダー、ゼンマイもついてる」
「これがあの女の子が言っていたオルゴールか?」
「きっとそうに違いないわね」
「じゃ、じゃあこれであの着ぐるみをなんとかできるかもしれないわね!」
手掛かりとなるオルゴールを見つけ解決の糸口を掴んだ俺たち。あとはあの着ぐるみ野郎にこれを聞かせれば……!
「どんな曲が入ってるんだろうね?」
「ゼンマイは……うん、きちんと巻けそう!」
「よし、これを持って……」
<ガチャッ>
「?今の音……っ!!」
閉めたはずの部屋のドアが開く音がして振り返るとそこには
「えっ!?」
「う、噓でしょ……」
着ぐるみ野郎が部屋の中に入ってきたのであった。
「ど、どうしようっ!」
「どこかに隠れなきゃ!」
「どこに隠れるのよっ、もう見つかってるわよ!」
逃げ場なし隠れる場所もなし絶対絶命となった俺たち。
「ひ、ひっ・・・・・・・・・・・・・・!」
「奈々ちゃん!!」
着ぐるみ野郎が一番近くにいた桜井を標的にして近づいてくる。
「い、いや・・・・・・・・・・・来ないで・・・・・・」
「奈々!!」
「桜井!!」
桜井は恐怖のあまりその場から動けないでいた。
「奈々ちゃん!!」
近くにいた生駒が桜井を守ろうと着ぐるみの前に立つ。
「二人とも!!」
俺は走り出し二人の前に立つ
「杉元!」
「杉元君!」
「絶対守ってやる!」
着ぐるみ野郎は鉈を振り降ろした。