心霊スポットで動画撮影しにきたらほんとに出てきちゃった 作:ムツヒロ
「杉元!」
「杉元君!」
「っ!!」
着ぐるみ野郎から二人を守るため盾になる。
「(痛みは一瞬だ……!)」
痛みを覚悟し鉈を振り下ろされようとしたその時
<♪♪♪♪~♪♪♪♪~♪♪♪♪~>
「こ、この音色は・・・・・・・・・・・・」
「オルゴールか・・・・・・・・・・?」
壊れていたオルゴールが音を出し始めた。そして
「見て!着ぐるみが!」
「止まっている!」
着ぐるみの動きがなぜか止まり動かなくなっている。
「・・・・・・・・・!」
「あれは・・・・・・・・・・・」
すると生駒の隣に突然女の子の幽霊が現れた。
「何をする気だ・・・・・・・・・・?」
女の子の幽霊は着ぐるみの前に立ち何かを語るかのような仕草をした。
着ぐるみもそれに反応したか鉈を下ろして女の子の方を見た。
「何が起こってるの・・・・・・・?」
「わ、わからない・・・・・・」
しばらくして女の子の霊は動きを止めたかと思ったらこちらの方を向き手を振って着ぐるみと手を繋ぎながら消えていった。
着ぐるみも女の子の霊が消えたと同時に中身の抜けた感じに倒れ動かなくなった。
「な、何、今のは・・・・・・・?」
「あの着ぐるみ、崩れ落ちて動かなくなったね・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・っ」
「梓・・・・・・・・・?」
突然白石がその場にしゃがみこんで泣き始めた。
「梓ちゃん?なんで泣いているの?え・・・・・・・?怖かった?もう大丈夫だよ!」
「ちが・・・・・・・ちがうの・・・・・・・私達を助けてくれたのかな、あの霊・・・・・・・・女の子だったよね・・・・・・・?」
「うん・・・・・・・・・・・・」
「さっきの・・・・・・・・・」
「うん・・・・・・・・・・・・・」
「あの着ぐるみも・・・・・・・・あの音声で叫んでたオーナーさんだったのかな・・・・・・?」
「もしかしたら、オルゴールの音で何か思い出したもかもしれないな・・・・・・・・・・」
オルゴールの音色を聞いて動きが止まったしそうかもしれない。娘との楽しい日々を思い出して・・・・・・・・・・
「そうね・・・・・・・・・二人ともずっと同じところにいたのに・・・・・・・・・お互いのこと、見えてなかったのかな・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・同じところに逝けてたらいいわね」
「うん・・・・・・・・・・・・・」
俺たちはオーナーと娘さんが天国へ一緒にいけることを願った。これでもう大丈夫だな・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・あー!なんかちょっと、恥ずかしい。とっとと脱出しましょう!」
「あら、急にやる気出してくるじゃない」
「そうね、なんだかちょっと肩が軽いわ。このホテルのことも怖くなくなってきたかも?」
「良かったね、梓ちゃん」
今まで一番怖がってた白石も元気を取り戻しいつもの感じに戻った。
「ありがとう美桜。・・・・・・・・・・・・・・ところで、奈々」
「ん?どうかした?」
「とりあえず今夜の間は、いつもみたいに先に歩いてほしいんだけど・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
今怖くなくなったって言ってません出したか白石さん?
「白石・・・・・・・・怖いの平気になったんじゃあ・・・・・・・・・?」
「いや、ちょっとだけだからね!?そんな急に苦手意識って・・・・・・・・変えられないじゃない?」
すぐに克服はできないと言い訳する白石。やはりすぐには無理だったか~
「・・・・・・・・・ぷっ!」
「あははっ!」
「ちょ、ちょっと!二人とも笑わないでよ!」
「お、おい二人とも笑うのは良くないって・・・・・・・・・・・くくっ」
「杉元君まで!!」
俺も二人に連れられおもわず笑ってしまう。いや、我慢できるわけないでしょうが。
「これでも少しは頑張ってるのよ!前みたいに怯えて動けなくならないようにとか!」
「ふふっ、そうだね。・・・・・・・・・・ふふふ」
「そうね、とりあえず出口に向かってみましょ。もう追いかけられることもないだろうし」
「そうだな」
これでこのホテルともおさらばできるな。あ~疲れた~
「腹減ったな~」
「そうね。安心したらお腹空いちゃったわ~」
「二人とも呑気ね~ねぇ、美桜?」
「…………」
「美桜?」
「どうしたんだ?」
生駒のやつ何見てんだ?
「何かあったの?」
「う、ううん!なんでもない……」
「?」
なんだったんだ?まぁ、いいか。
「あれ……?」
「どうした桜井?」
今度は桜井が何かを見つけたみたいだ。
「この自販機、動いてるわ」
「えっ?あっ、本当だ」
「さっきまでは動いて無かったのにね……」
「電気通ってないはずなのにおかしいな………」
「結構メニューも豊富なのね。見たことないラベルがいっぱいある」
「そうね、やっぱりどの飲み物も年季が入っている」
「あたし、炭酸が飲みたくなってきちゃった……」
「ちょ、っとまって奈々。この自販機で買うの?」
「てか、買えるのかこれ?」
賞味期限あるはずだしそもそも買えるかもわからんだろ?
「た、炭酸は絶対冷えてない気がするなぁ……」
「そこじゃないわよ、美桜」
「炭酸だけじゃなくても全部冷えてないだろ?」
「いや、杉元君まで……」
「さぁ?こういうのって買えるのか試してみたくならない?」
「そ、そうか?」
俺は遠慮するが………
「ならないわよ!」
「私はちょっと気になるかも……」
「美桜~お願いだから乗らないで~」
「一緒に止めてくれよ」
これで2対2に分かれたか。うーんどうしよう?
「せめて水にしましょう。水なら、何か変なものが入ってたらすぐ分かるじゃない」
「分かったわよ。じゃあ、ん」
「???何、その手」
桜井が白石に手を出して何かをくれの仕草をする。
「お金」
「たかる気!?持ってないわよ!」
「嘘!?使えないわね!」
「あんたねぇ……!」
「わ、私も持ってきてない……」
「電子マネーならあるぞ……」
けど、この古い自販機じゃ電子マネー対応してないな……
「うーん、さすがに電子マネーは使えそうにないわねぇ……」
「じゃあ、しょうがないわよ。大人しく諦めましょう」
「そんなぁ……」
「そもそも、突然動き出す自販機に興味津々なのがおかしいだろ……」
「………あっ、そうだ!」
桜井は何かを思いついてしゃがみこんで自販機の下の隙間を覗き込んだ。
「って、何してるのよ奈々?」
「いやぁ、こういう時は自販機の下に運良くお金が落ちてたりするものじゃない?」
「みっともないからやめなさい!」
「あっ、見えた」
「ふん!」
「おごっ!?」
桜井のパンツを見てしまい股間を思いっきり蹴られた。
「っ~~~~~!!」
「見んなアホ」
「す、杉元君………」
「今のは杉元君が悪いわね……」
「うーん……暗くて見えないわね……奥の方までライトで照らせないかしら……」
「あ、奈々ちゃんがいつも使っている自撮り棒は?」
「それ、名案!でも、今日は持ってきてないのよね~」
「ってて………じゃあ、これ使ってみれば?」
「それは?」
「さっき作ったんだよ」
俺は火ばさみをガムテープで止めた簡易自撮り棒をだした。
なんか使えると思ってとりあえず作ってみたけどまさかこんなことで役立つとはな……
「でかした杉元!じゃあ、これにライトを点けたスマホを取り付けて……」
桜井は自身のスマホを自撮り棒に装着させる。
「そしてこれを中に入れれば!何があるのか一目瞭然よ!手の届かないところだったらこいつで引っ張れば取れるわ!」
自販機の下の隙間にスマホ付き自撮り棒を入れる桜井。これなら何があるかわかるし取れることもできるな。
「奈々ちゃん、凄いね……!」
「えっへん!」
「そういうとこ、頭の回転早いわね……」
「あと自撮り棒作ったの俺なんだけど?」
「よーし!早速、始めるわよ!」
準備ができたのでマネーハントが始まった。
「お金は落ちておらんかね~♪」
「なんなのその歌……」
「変な歌だな……」
「美桜~ちゃんと映ってる~?」
「大丈夫だよー。映ってる」
生駒のスマホとビデオ通話状態にさせてこれで自販機の下の様子が見れるようになっている。
「よーし!じゃあ動かしていくわよ!」
桜井は自撮り棒を動かし始めた。
「もうちょっと右!」
「おっけー……うーんこっちは何にもないみたい」
「もう少し奥を映してくれる?」
「はーい」
「もうちょっと左に行ける?」
「任せといて!」
桜井は生駒の指示通りに自撮り棒を動かしていく。
「もう少し手前お願い!」
「らじゃー!」
「もうちょっと右にいってくれる?」
「はーい」
「……奈々ちゃん!そこで止まって!」
「えっ、何!?」
「そこで何か光ってる!」
「これは……!」
生駒のスマホの画面を見るとそこに少し汚れた百円玉が一枚映っていた。
「そのまま引いてみろ!」
「う、うん!」
自撮り棒でゆっくり引いて百円玉を手前に出していく。
「やったー!百円玉みーっけ!」
「やったね奈々ちゃん!」
「さすがあたし達よね!」
「凄い無駄な時間を過ごした気がするわ……」
「何よ、ノリわるいわね~」
「それより早く水買えよ」
「わかってるわよ」
桜井は百円玉を入れて青く光っているボタンのところを押して水を買う。
<ガコン>
「あっ、出てきた」
「飲み物じゃないものが出てきたわ。何かしらこれ………ヒッ!?」
「どうした!?!!」
「な、何、それ……」
「く、首!?」
自販機からでてきたのは飲み物ではなく市松人形の首だった。
「え、えぇ……人形の首みたいね……ビックリしたぁ」
「人形とはいえ、首だけだと気味が悪いね……」
「そうだな。これを持っていくのは少し気が引けるなぁ……」
「持っていくつもりなの!?」
「うぅ……だって、見つけちゃったし……置いていく方がなんか罪悪感で……」
「……。外に出られたら神社にでも持っていきましょうか……」
結局、人形の首を持っていくことにした俺たち。気味悪いけどこのままにしとくのもあれだしね……
「………ねぇ、みんな」
「んっ、どうしたの?美桜」
「ここのホテル……まだ何かありそうな気がするんだ」
「ありそうって何が?」
「わからないけどそんな気がして……」
「?」
生駒のやつどうしたんだ?
「それに着ぐるみの中からこれが出てきたんだ……」
「これは……鍵?」
生駒は小さな鍵を取り出した。
「どこの鍵かしら?」
「わからない……もしかしたらまだ調べられてない、大事な場所の鍵かも……」
「調べられてない場所………あっ、そういえば」
「心当たりあるのか?」
白石がふと心当たりがある場所を思い出したようだ。
「事務室の机に一箇所だけ鍵のかかってるところがあって鍵穴的にもそれに合いそうだしもしかしたらそこの鍵かも」
「事務室の机の引き出しの鍵か」
「よし、事務室に行きましょう」
俺たちは事務室に向かい机の引き出しの鍵がかかっているところを開けにいくことにした。
「ここよ」
「ここね。美桜、鍵貸して」
「うん」
桜井が生駒から鍵を受け取り鍵穴に鍵を刺して回した。
<ガチャ>
「開いた!」
「開けてみろ」
「おっけー!」
鍵が開き引き出しを開けてみるとそこには紙が二枚と大きな木箱が入っていた。
「何かしらこれ?」
「これはホテルの見取り図だな」
ホテルの全体図書かれているな。んっ、ホテルの外になんか一か所だけ赤丸がつけられているな……
「こっちはスクラップブックの切り抜いたのね」
記事には『遊園地、建設地から無数の子供の骨 相次ぐ事故 関係か?異例の地鎮祭、供養と共に』や『子捨ての山から取り替え子伝説まで』や『呪われた土地、Tの歴史を辿る』などのタイトルで書かれた当時の新聞記事や市松人形写真が貼られていて写真には丸いペンで執拗に囲まれているページだった。
「『堵替塚が呪われた土地』って、どういうこと?」
「遊園地、建設地から無数の子供の骨、相次ぐ事故………」
「異例の地鎮祭行事、子捨ての山から取り替え子伝説まで………まさか!」
「もしかしたらあの子たちが事故やここのオーナーを狂わせた全ての元凶かもしれない」
「そ、そんな…………」
「……この写真の市松人形ってさぁ、さっき自販機からでてきた人形の首のやつと同じじゃないか?」
「えっ?」
「確かに………でも胴体はどこにあるのよ?」
「それは知らん」
胴体だけ行方不明なんだよな。どこにあるんだろうか?
「大事なものだしちゃんと保管しているはずよね………」
「………この木箱、中に何か入ってるみたい」
生駒が木箱を揺らして中に何か入ってると言っている。
「表面がパズルみたいになっているわね」
「これを解けば開くんじゃない?」
「じゃあ、私がやってみるわ」
白石がパズルを解くのにチャレンジすることにした。
「ここをこっちにして……これをこうで……」
「梓ちゃん、すごい」
「梓はパズルとか得意だから」
「へぇ~」
「あとはこうすれば……開いた!」
パズルが解け蓋が開くようになった。
「えっ………」
「ひぃ!?」
「人形の胴体だ……」
箱の中には首のない人形が入っていた。
「写真のやつだなこれ………」
「うん……………」
「さっきの人形の首を入れてみましょう」
「おう」
人形の首を胴体に刺してみることにした。
「………ぴったりだわ」
「でも、どうしてこんな鍵までかかった厳重なところに人形の胴体を隠してあったんだろう……?」
「それになんで事務室の棚に?」
「写真と記事通りなら、このお堂?みたいなところに、、祀られてるはずじゃないの?」
「し、知らないわよ……」
謎が増えた感じだ……その時
「誰かが、持ち出した……?」
「誰がそんな罰当たりなことを?」
「『持ってってもらった』って言ってる」
「え?」
「美桜?」
「お前何を言ってんだ?」
急に変なことを言う生駒。
「?どうしたの?みんな」
「ねぇ、美桜。誰がそう言ってるの?」
「誰って……ずっと一緒についてきてくれてる、その子……」
生駒が指さした方を見る俺たち。しかしそこには誰もいなかった。
「や、やだなぁ美桜。誰もいないよ?」
「そうよ。美桜そんな子どこにも……ひっ!」
「ひやっ!?」
「うわっ!?」
「ど、どうしたのみんな……!?」
生駒の背後を見るとそこには半透明の子供らしき者たちが何人もいた。
『ねぇ、何して遊ぶ?』
『ねぇ、何して遊ぶ?』
『ねぇ、何して遊ぶ?』
『ねぇ、何して遊ぶ?』
『ねぇ、何して遊ぶ?』
『あはははははははははは!』
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
白石の悲鳴が部屋中に響いた。壁には謎の落書きがいつの間にか書かれていて不気味さと恐怖が増した。
「出るぞ!!」
「美桜、こっち!」
「う、うん……!」
やばい雰囲気がして部屋から出る俺たち。
「はぁ…はぁ……」
「な、なんなのよ、あの子たち……」
「と、突然現れた……」
「遊ぶってなんなんだよ……?」
「美桜!ずっとあの子たち見えてたの!?」
「ご、ごめん!ホテルに入った時からずっといたから……みんなにも見えてると思ってて……」
「見えてるって……」
こんな時間にこんなところで子供がいるわけないだろうとツッコミたくなる。
「噓でしょ……」
「ご、ごめんなさい……」
「あぁ、違うのごめん!怒ってるんじゃないの。気付かなかったのが怖いだけなのよ……」
「ねぇ、美桜。あの子たち、持ち出してもらったって言ったのよね?」
「う、うん……」
「梓、杉元、さっきの記事、覚えてる?」
「子供の骨がいっぱい出てきたってやつだよね」
「事故も多発してたってのも」
「この場所では四十年近く遊園地があったし、このホテルも廃業されるまで長い間運営されていたはずよね?」
「まさか……!」
「多分、そのまさかよ。あの子たちが事故の元凶でこの人形があの子たちを封印する鍵だったんだわ。恐らく今の美桜と同じように、あの子たちに魅入られた人が居たんでしょうね……」
「この人形を封印から持ち出してしまった……」
多分、オーナーかオーナーの娘だと思われる。だからオーナーはあんな風に……
「じゃあ、今このまま外に出たとしても……!」
「多分、あのオーナー父娘と同じような道を辿る気がする」
「そんな……!」
「ど、どうしよう……そんな……あの子たち、私が危なくなる直前、いつも傍にいたから……」
「ど、どうすんだ……?」
「………人形を元の場所に戻したら……」
「えっ?」
「あたしも今同じことを考えてた。見て、この地図の場所。ホテルの裏側、非常階段の方にチェックがついてる」
「ここにもしかすると写真のお堂があるかもしれないってことね」
「……どうする?」
「行くしかないんじゃない?」
「ああ、そうだな」
お堂に人形を返せば今度こそここから出られる。なら、行くしかない。
「……ごめんなさい。私のせいで……」
「あぁ、誤らないで美桜。むしろ、気づいてくれてありがとう」
「そうね。このまま出口に向かっても出られる保障なんてないし……」
「とにかく一回、ホテルの裏側に向かおう」
「う、うん……」
俺たちはホテルの裏側へ向かうことにした。今度こそここから出るため……
後二回で奈々ルート終わりかな?