心霊スポットで動画撮影しにきたらほんとに出てきちゃった 作:ムツヒロ
あと、控えめとはいえ残酷描写がありますのでご注意を
悪夢
「暗いな‥‥…‥‥」
動画撮影のために心霊スポットと化した廃墟ホテルへ訪れた俺たち。
中を散策する途中でメンバーの三人と逸れてしまい俺は一人この廃墟を歩き回っていた。
「あいつらどこにいるんだよ…‥‥‥」
こんなやばいところ早く出たいんだよ、まったく‥‥…‥‥
<ガタッ>
「!?」
な、なんだ!?今の音は!?
「ま、まさか幽霊か‥‥…‥‥!?」
恐る恐る後ろを振り返るとそこには……‥‥
「…‥‥‥何もない」
何も無く暗い廊下が続いてるだけだった。
「なんだよ脅かしやがって‥‥…‥‥」
第一幽霊なんてこの世にいないんだよ。ただの気のせいなんだよ全部。
「はぁ~早くあいつら見つけないと‥‥‥‥」
そう言って再び前を向こうとしたその時
<ドン>
「わぷっ」
なにかに顔をぶつける。なんだこの柔らかい埃っぽい匂いのするもんは?
「なん…‥‥‥えっ?」
俺はぶつかった物の正体を見て驚愕した。
それは目や口から血のようなものを流した跡がある顔をしたブタの着ぐるみだった。
「なんでこんなところに着ぐるみが…‥‥!!」
後退りしてよく見るとその着ぐるみの手には血のようなものが付いた巨大な鉈のようなものが握られていた。
「なんだよこいつ‥‥…‥‥」
不気味な着ぐるみを見て恐怖する俺。その時
<ブゥン!>
「うわっ!?」
着ぐるみが鉈を振り回して俺に斬りかかろうとした。
こ、こいつ!動きやがった!!
「うわああああああああ!!」
俺は一目散に逃げた。
「な、なんだよあいつ!!」
人が入っているのか!?そんで俺をあのでかい鉈で殺す気だったぞ!?
「とにかくあいつから逃げないと!!」
俺は走り続けあいつから少しでも距離を離そうとした。
「きゃっ!」
「どわっ!」
曲がり角を曲がろうとした時に誰かとぶつかった。
「いてて…‥‥って、生駒!?」
ぶつかった相手はメンバーの一人である生駒美桜だった。
「杉元君?今までどこに行ってたの?」
「あっと・‥‥‥‥そんなことより逃げるぞ!!」
「えっ、逃げるって?」
「いいから!!」
「えっ、ちょっ!?」
俺は生駒の手を引いて再び走り出した。
「生駒!白石と桜井はどこだ!?」
「梓ちゃんと奈々ちゃん?二人なら三階のリネン室にいるけど……‥‥」
「そうか!」
他の二人とも合流して一刻も早くここから出ないと!!
「はぁはぁはぁ‥‥…‥‥ここだな!」
三階まで上がりリネン室の前に辿り着いた。
<バァン!!>
「白石!桜井!大変だ!」
「えっ!?杉元!?美桜まで!?」
「急にどうしたの!?」
リネン室のドアをおもいっきり開けると中では白石と桜井が探索をしている途中だった。
「こ、このホテルにはブタの着ぐるみを着た殺人鬼がいるんだ!でっかい鉈で俺のこと殺そうとしたんだよ!!」
「着ぐるみを着た殺人鬼?」
「でっかい鉈を持って‥‥‥‥」
「あんたのこと殺そうした?ぷっ、あははははは!なにそれ!?」
俺の言っていることを嘘だと思い大笑いする桜井。
「本当なんだよ!信じてくれ!」
「あんた怖がり過ぎでしょ?梓じゃないんだから!」
「奈々~それ言わないでよ~」
白石って怖がりなんだ…‥‥って今はそんなこと言っている場合じゃない!!
「早くここから出るぞ!!じゃないとみんな殺されるぞ!!」
「はいはい。じゃあ、一階調べたら引き上げるわよ」
一階…‥‥まずい!あいつがいるじゃねぇか!
「一階はダメだ!あいつがいる!」
「はぁ?一階まで行かないとここから出ることもできないのよ?」
「外に出るなら非常口からでもできるだろう!とにかく一階に行くのはだめだ!!」
「わけわかんないわね~とにかく行くわよ!」
桜井は俺の言う事を聞かずそそくさと廊下に出ていった。
「ま、待って~!」
「奈々!杉元君の話もう少しちゃんと聞きましょう!」
「はいはい後でね。あっ、エレベーター使えるじゃん!」
はっ?エレベーターが使える?電気なんて通っているのか?
「これで一気に一階まで行けるわね♪」
桜井は下に降りるボタンを押してエレベーターが来るのを待っていた。
<チーン>
「あっ、来た来た」
エレベーターが来てドアがゆっくりと開いた。
「っ!?」
「えっ…‥‥‥?」
俺たちは足を止めてエレベーターの中を見て驚愕した。
「?ちょっと三人とも!何してんのよ!早く乗るわよ!!」
「あっ‥‥‥‥ああっ‥‥‥‥!」
「な、奈々ちゃん…‥‥‥」
「?どうしたの?」
「今すぐそこから離れろ!!」
「えっ?あっ……‥‥」
桜井は振り返りエレベーターの中を見るとそこにはあのブタの着ぐるみがいた。
「ブタの着ぐるみ…‥‥‥?」
<バッ!!>
「きゃっ!?」
ブタの着ぐるみは桜井を捕まえて無理やりエレベーターの中に入れようとしていた。
「桜井!?」
「奈々ちゃん!?」
「奈々!?」
俺たちは桜井の元へ急いで駆け寄った。だが
「い、嫌ああああああっ!触らないで!」
着ぐるみ野郎は桜井を捕まえてエレベータに乗り込もうとした。
「奈々ちゃん!」
「早くこっちに!」
俺たちは桜井を助けようと手を掴み着ぐるみ野郎から引き剝がそうとする。
「くっ……!なんて力だ……!」
三人がかりでもまったく剝がせない!力強すぎだろ!?
「嫌!死にたくない!美桜、梓、杉元!いやだ、助けて!」
桜井は必死に抵抗しようとするが着ぐるみ野郎の腕からは離れられなかった。
「奈々ちゃん!」
「奈々!」
「桜井!」
俺たちも必死に助けようとするがまったくだめだった。そして
「あっ……」
桜井の手が離れエレベーターのドアを抑えていた方の手も離れてしまいエレベーターのドアがゆっくりと閉まり……‥‥‥
「いやあああああああああああっ!!」
エレベーターから聞こえてくる桜井の絶叫。その後エレベーターはゆっくりと下の階へと降りていった。
「嘘……」
「な、奈々………」
「桜井‥‥…‥‥」
桜井の悲鳴を聞いた俺たちの顔は青ざめていた。
「……奈々ちゃんを助けないと……」
桜井を助けに行こうとする生駒。
「ま、待ってよ……美桜……」
助けに行こうとする生駒を止める白石。
「だって早くしないと奈々ちゃんが……!」
「待ってってば!」
「で、でも……!」
<ガタ ガタ ガタ>
「待って……エレベーターが動いてる……?」
「えっ?」
突如動き始めたエレベーター。
「またこっちに来てる……!」
一階から俺たちのいる三階に戻ってくるエレベーター。
「奈々ちゃん?」
「そんなわけ……」
<チーン>
エレベーターが着きドアがゆっくりと開いた。そこには‥‥…‥‥
「い、いやあああああああああああ!!!!」
「奈々ちゃぁぁぁああああんんんん!!」
体を血で真っ赤に染め表情は恐怖に怯え涙を流したように見えエレベーター内は桜井の返り血が飛び散っていた状態だった。
「嘘だろ‥‥…‥‥?」
目の前で起こったことを信じられずただ茫然と立ち尽くす俺。
さっきまで普通に話していた仲間が今は動かない人形のようになっているのだから…‥‥
「奈々ぁぁぁぁ!!奈々ぁぁぁぁぁ!!」
白石は桜井の亡骸にしがみつき大泣きしている。
幼馴染がこんなことになってしまったのだから無理もない。
「ううっ…‥‥奈々ちゃん…‥‥」
生駒も涙を浮かべ口元を抑えながらその場にへたり込む。
「‥‥‥‥二人とも、とにかくここから出よう。またあいつがここに来るかもしれない‥‥‥‥」
「そうだね‥‥‥‥」
「私はここに残る…‥‥‥」
「白石‥‥…‥‥」
ここから動かないと言う白石。
でもここがずっと安全というわけではない。早くこのホテルから脱出しなくちゃいけない。
「気持ちはわかるがここから出ないとヤバいぜ?あとのことは警察に任せて…‥‥‥」
「嫌よ!一階に行ったらあの着ぐるみがいるかもしれないし!それに奈々をここに置いてはいけないわ!!」
「‥‥…‥‥」
白石は一階に行くのは危険で桜井の亡骸を置いてはいけないと言って動かなかった。
「…‥‥‥奈々ちゃん」
「美桜・‥‥‥‥?」
「ここから出よう?私達が今することは生きてここから出ること……‥‥亡くなった奈々ちゃんのためにも…‥‥‥」
「ううっ‥‥‥わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんんんん!!」
白石は生駒に抱きついて泣きじゃくった。
「よし、脱出するぞ」
「でもどうやって?」
「まず非常口から一旦外に出る。それからまた中に入ってロビーに向かって入り口から出る」
「で、でも、下にはあの着ぐるみが…‥‥‥」
「それなら大丈夫。エレベーターで一階に行くようボタンを押しておく」
これならあの着ぐるみが俺たちがエレベーターで一階に向かっていると思い込みエレベーターの前で待ち伏せする。
その隙に俺たちはここから出るという作戦だ。
「もしバッタリ鉢合わせちまったら消火器で少しの間足止めできるはずだ」
近くに置いてある消火器を持っていくことにした。
こいつの煙で目くらまししてやるぜ。
「じゃあ、行くぞ」
「う、うん……‥‥」
「奈々、必ず戻ってくるからね‥‥‥‥」
桜井の亡骸にそう告げる白石。
生きて戻れたらちゃんと弔ってやるからな。
「降りるボタンを押してっと‥‥…‥‥」
一階に降りるボタンを押して素早く出て非常階段の方へ向かう。
「よし、出るぞ」
「うん」
「ええ」
ドアを開けると風が体を突き抜けるように吹いた。
「一気に駆け降りるぞ!」
俺たちは非常階段を一気に駆け降りていき一階のドアの前まで着いた。
「さて、蛇が出るか鬼が出るかだ‥‥…‥‥」
できればどっちも出てきてほしくないけど…‥‥‥
「さぁ、入るぞ」
「「……‥‥」」
二人は無言で頷き俺はドアをゆっくり開ける。
中は相変わらずシーンと静まり返っていた。
「あいつは…‥‥‥いないみたいだな…‥‥‥」
上手くおびき寄せているみたいだな‥‥…‥‥
「早く入り口まで行こう‥‥‥‥!」
「ええ……‥‥!」
俺たちは音を立てずに早足でロビーの方に向かった。
「ロビーよ‥‥‥‥!」
「これで外に出れ‥‥…‥‥!!」
ロビーに着いてやっと外に出れると思った。
しかし俺たちがそこで見たのは‥‥‥‥
「な、なにこれ・・・・・・・・」
「こんなの、来た時はなかったよね・・・・・・?」
髪の毛らしきものによって塞がれた入り口を見て唖然とする俺たち。
「だって普通にここを通って入ってよな…‥‥‥?」
「というか、何なのよこれは?」
「わかんない…‥‥髪の毛‥‥‥?」
「なんでこんなもんが…‥‥‥」
これじゃあ外に出れねぇじゃないか。
<カラカラカラ‥‥…‥‥>
「!!この音!?」
「あいつだ!」
もう戻ってきたのか!?
「一旦どこかの部屋に隠れるぞ!」
俺たちは空いている部屋に飛び込むように入った。
「はぁ‥‥‥はぁ‥‥‥ここなんの部屋だろう?」
「作業机と応接用のソファに工具や書類が入ったバインダーが収納されている棚‥‥‥‥」
「多分、事務室ね…‥‥‥」
事務室に入っていた俺たち。
中はやはり当時のままになっていて書類などが床に散らばっている。
「散らかってるな・・・・・・・・・・んっ?」
入り口の扉の近くに管が通った細長い入れ物がいくつか並んでいた。
「これは確か‥‥…‥‥‥」
エアシューターってやつか?これで部屋から鍵を返したりするのか?
「ボタン押したらなんか出てくるかも‥‥‥‥」
俺はボタンを押していくが特に何も起きなかった。
「何にも反応しないな…‥‥‥んっ?」
一番端のエアシューターのカプセルの中になにかワイヤーのような細い線みたいなのが引っかかっているぞ?
「抜いてみるか」
線を引っ張ると特に抵抗なくとることができた。
「意外と簡単に抜けたな‥‥…‥‥」
結構長いなこれ……‥‥‥一体何に使うんだ?
「杉元君、何か見つかった?」
「ああ、これなんだけどさぁ」
「ピアノ線?この機械のパーツだったのかしら?」
「多分そうだと思う」
ああ、これピアノ線っていうんだ。なんかワイヤーにしては細過ぎるなーって思ったぜ。
「うーん…‥‥これ、何かに使えたりするかな?」
「サスペンスだと定番の凶器だけど…‥‥」
「そうなのか?」
「うん。見たこと無い?人の首に巻きつけて絞殺したりとか…‥‥あと、道路にこのピアノ線を張っておいて、通った人を殺害するトリックとか」
「あぁー」
急にバイオレンスなこと言う白石。ちょっと怖いよあなた。
「…‥‥‥これ使えるんじゃないかな?」
「えっ?」
「エントランス頑張れば出れそうだけど行き止まりで着ぐるみが来たらひとたまりもないよね?」
「そうね」
「それがどうかしたのか?」
「これ、エントランスにつながる通路にこのピアノ線を張っておけば足止めになるんじゃないかな!?」
「あっ!」
「そっか!確かにこれなら見えにくいし引っかかってくれるかも!」
「確かに長さもあるし、退治はできなくても時間稼ぎはできるかもしれないな!」
「一か八か‥‥‥‥試してみる?」
「よし!エントランスへ向かおう!」
「うん!」
脱出できそうな手段を発見しエントランスへ向かう俺たち。
ピアノ線、上手く仕事してくれよ!
「よいしょ、こんな感じでいいか?」
俺たちはエントランスに着き作戦通りにピアノ線を公衆電話と柱に結んだ。
着ぐるみはどこかに行っていなかったのが幸いだ。
「多分、大丈夫じゃないかな?」
「作ってみると案外細すぎて不安になるな‥‥‥‥コレ」
「や、やめとく……‥‥?」
「いや、やれることはやった。あとは見つからないことを祈りながらあの髪の毛みたいなのを攻略しましょ」
「そうだな」
俺たちは出入口に向かい大量の髪の毛のようなものを見て気味悪がった。
「うわっ……‥何度見ても気持ち悪い‥‥‥‥これをかき分けていかないと出られないの…‥‥‥?」
「多分…‥‥‥‥」
「でも隙間から外がちょっと見えてるぞ」
「頑張るしかないわね‥‥‥‥」
「じゃあ開いたら俺が先に行くよ」
「だ、大丈夫?」
「ああ、それにさっきこれ見つけたから」
俺はさっき事務室で見つけたカッターナイフを出した。これで髪の毛を切っていきながら道を作っていく。
「気をつけてね‥‥‥‥」
「ああ…‥‥‥」
俺は先頭に立ち髪の毛を掻き分けて進んでいく。
「ん‥‥‥‥っしょ。っち、意外と硬いな…‥‥‥‥」
髪の毛は意外と硬くカッターの刃が中々通らない。
「んしょ‥‥‥‥!よし、開いてきてるぞ!」
あと少しで一人ずつなら通り抜けれそうだ!
「ん~!」
「あともうちょい!」
後ろの三人も髪の毛を掻き分け進んでいる。その時だった
<カラカラカラカラ…‥‥‥‥>
「!?」
今の音、まさか!
「三人とも、止まって!」
「えっ!?」
「な、何よ」
「アイツがいる…‥‥‥!」
「やっぱり来たか‥‥‥‥!」
予想通り着ぐるみ野郎が来やがったか…‥‥‥‥
「梓ちゃん、早く!」
「ダメ、気づかれた!」
「ど、どうしよう!?」
「………‥‥」
「梓ちゃん!?」
白石が少し歩きだした。何をする気だ!?
「私があの着ぐるみの気を引いてくる」
「え?梓ちゃん!?」
白石のやつ自分が囮になって着ぐるみ野郎を引きつけると言った。
「おい!何言ってんだ白石!囮なら俺が…‥‥!」
「杉元君は美桜を連れて先に出て!」
「で、でもよ!」
「っ!」
「待て!白石!」
白石はそのまま着ぐるみ野郎の方へ走っていった。
「こっちよ!」
着ぐるみ野郎の視線を自分の方に引きつける白石。
「梓ちゃん!」
「早く行って!」
「で、でも!」
「行くぞ!」
俺は生駒の腕を掴んで外に出ようとした。
「杉元君!梓ちゃんが…‥‥‥!」
「分かってる!けど、俺達はこっちだ!」
俺は髪の毛を掻き分け出ようとしている。
「っ!梓ちゃん!!」
「お、おい!?」
生駒は俺の腕を振り払い中へと戻ってしまった。
<ズチャッ>
「キャッ!!」
「白石!?生駒!?」
何かが崩れ落ちる音がしたが‥‥‥‥まさか!?
「おい!大丈夫か!?」
「す、杉元君!?」
白石と生駒は見たところ無傷のようだ。じゃあさっきの音は?
「!!これは…‥‥‥」
地面を見るとそこには東部が転げ落ち胴体もうつ伏せで倒れている着ぐるみ野郎いた。
ピアノ線が上手く仕事してくれたか!?
「大丈夫、梓ちゃん!?」
「だ、大丈夫よ……‥‥」
「うまく行ったのか?」
「みたい…‥‥‥‥?」
「梓ちゃん!近づかないで、危ないよ!」
白石は倒れている着ぐるみ野郎に近づいた。お、おい!危ないぞ!?
「……‥‥‥はぁ、大丈夫そう…‥‥‥」
「よかったぁ…‥‥‥‥」
「心臓が止まるかと思ったぜ‥‥‥とにかくここから早く出るぞ」
髪の毛をだいぶ処理で来てもう少しで出られそうだ。
「開いた!とっとと出るぞ!」
入り口が開きこれでこのホテルから出ることができるぞ!
「……‥‥‥」
「梓ちゃん!なにしてるの!?」
白石は着ぐるみ野郎をじっと見つめていた。
「あ、ごめん!安心してボーッとしてた‥‥‥‥」
「先に出るぞ!お前も早く来いよ!」
「う、うん!すぐに行く!」
俺たちは先に外に出た。
「やっと出られた!」
「外だ…‥‥‥!」
ついにホテルから脱出することができた俺たち。ほんとエラい目にあったぜ~
「!待って、出口が塞がってきてる!」
「なに!?」
出口がゆっくりとだが再び髪の毛によって塞がろうとしていっている。
「梓ちゃん!早く!」
「ちょ、ちょっと待って!」
白石は急いで入り口に向かって走って出ようとしたその時だった。
「へっ……‥‥?」
着ぐるみ野郎が鉈を持ち上げたまま白石の方へ走ってくるのが見えた。
「梓ちゃん!!!」
「白石!!!」
あの着ぐるみ野郎!なんで復活してんだよ!?
「助けなきゃ……‥‥!」
助けに行こうする生駒。だが
「入り口が…‥‥‥!?」
髪の毛が急に伸び入り口を塞いでしまった。
「こいつ!邪魔すんじゃねぇ!!」
俺はカッターで髪を切ろうとするが刃が通らず切ることができない。
「いや‥‥‥‥いや…‥‥美桜‥‥‥‥杉元君…‥‥‥」
<ザシュッ>
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「梓ちゃん!」
「白石ーーーーー!!」
何かが潰れるような音がして白石の悲鳴が轟いた……‥‥‥
あれから俺と生駒は塞がれた出口をなんとかこじ開けようとしたが完全に閉じきった出口はどんなに頑張っても開くことはなかった…‥‥‥
夜が明けて陽が昇ると入り口を塞いでいた髪の毛のようなものは消えていて中をくまなく捜したが中に取り残された白石、桜井の死体、着ぐるみの姿もなかった。
途方に暮れた俺たちは結局どうすることもできずに一度それぞれの家に帰ることにした。
「……‥‥‥警察に通報……‥‥けど、どう説明すればいいんだ‥‥‥‥?」
人が死んで殺人事件が起きてるわけだし……‥‥けどあの髪の毛や着ぐるみのことをどう話せばいいんだ?」
<ピンポーン>
「ん?」
インターホンが鳴り誰か来たようだ。
「はーい?」
「……‥‥‥…‥‥杉元君…‥‥私…‥‥‥」
「生駒?」
どうやら生駒が来たようだ。
「ちょっと‥‥…‥‥話したいことがあるの…‥‥‥開けて…‥‥‥」
「おう、ちょっと待ってろ」
俺は玄関に向かい鍵を開けてドアを開ける。
「ちょ、生駒!?」
ドアを開けるとそこにはバスタオル巻いて頭や体が水で濡れている状態だった。
「お前!なんて恰好してんだ!?とにかく中へ入れ!」
俺は生駒を中に入れた。
こんなほぼ裸みたいな恰好で外出るなんて何考えてんだよ!?
「今拭くものと着替え持ってくるから!」
俺はタオルと着替え用のシャツとズボンを取りに行こうとしたその時
「‥‥‥…‥‥」
「うおっ!?」
生駒が俺を押し倒し両腕を抑えられてしまった。
「な、なにすんだ!?」
「……‥‥‥」
生駒は何もいわずただ俺を見つめる。
てか、こいつなんて力だ!?俺の方が力あるはずなのに全く動けねぇ!!
「おい!いい加減に離せ!!」
「‥‥‥…‥‥」
「んぐっ!?」
生駒は俺の口に唇を重ねキスをする。
「ぷはっ!お前、何を‥‥…‥‥!?」
「‥‥…‥‥杉元君も…‥‥行こう……‥‥?」
「はっ!?」
何言ってんだこいつ!?ちょっとエロい雰囲気してまさか痴女か!?
「ちょ、ちょっと落ち着けって!!」
「‥‥…‥‥杉元君も…‥‥行こう……‥‥?」
「だから話を…‥‥‥!!」
生駒の表情が徐々に禍々しくなり瞳は黒く塗りつぶされ目や口から血が流れて青白くなってきた。
「い、生駒!?」
「‥‥…‥‥スギモトクンモ…‥‥イコウ……‥‥?ミンナモマッテルカラ……‥‥」
「みんなもって‥‥‥…うわっ!?」
足の方を見るとそこに生駒と同じ顔をした白石と桜井が俺の足にしがみついていた。
「…‥‥‥スギモトモコッチニ…‥‥‥」
「…‥‥‥ミンナデズットイッショニイヨウ…‥‥?」
「うわああああああああ!!離せえええええ!!!」
俺はじたばたと暴れるが拘束から解かれることはなかった。
「誰か!!助けてくれええええええええええっっ!!」
必死に助けを呼ぶが誰も来ることはなかった。
「スギモトクン・‥‥…‥‥ス……‥‥キ…………‥‥ズット…………‥‥イッショダヨ…‥‥‥?」
「うわあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
俺の意識は暗闇に落ちていき二度と目覚めることはなかった‥‥‥‥……‥‥
さすがの筋肉でも勝てないことがある‥‥…‥‥