心霊スポットで動画撮影しにきたらほんとに出てきちゃった 作:ムツヒロ
「やっと外に出られたわ!」
「なんか風が強いね・・・・」
非常用階段のドアを開け外に出た俺たち。風が強く吹いていて髪の長い女性陣の三人の髪を揺らしている。
「・・・・・・・?」
「どうした桜井?」
「あれって・・・・・・・」
桜井が何かを見つけた顔をしている。あの着ぐるみ野郎はさすがにこんなところにいるはずないしな・・・・・・・・・・
「奈々ちゃん?」
「どうかしたの?」
「ううん、なんでもない!」
二人になんでもないと返事する桜井。しかし近くにいた俺にはその後に小さい声で「気のせい・・・・・・・だよね・・・・・・・」と呟くのが聞こえた。
「とりあえず下に降りましょう!」
「お、おう」
桜井が先頭を歩き非常用階段を降りていく俺たち。
「・・・・・・・あれ、やっぱり・・・・・・・」
「奈々ちゃん・・・・・・・・・・?」
桜井が見ている上の方を生駒も見た。なんかあったのか?
「・・・・・・帽子?」
そこには室外機の上にちょこんと帽子が一つ乗っていた。
「あれがどうかしたのか?」
「あー・・・・・・・あれ、多分、友達の帽子だなって・・・・・・・」
「それって・・・・・・・」
「一緒にドッキリを仕掛けてたっていう?」
「うん。さっき非常階段に出たときに、帽子が飛んでいくのが見えたのよね」
なるほど、だからさっきあんなことを呟いたのか。
「やっぱりこっちの方まで来てたんだ・・・・・・・何か準備してて落としたのかしら」
「確かにありえるかも・・・・・・・・・」
「念のために拾っておきたいんだけど・・・・・・・」
「うん、いいよ」
「ええ」
「その友達も帽子失くしてこまってるかもしれないな」
「ありがとう、みんな」
桜井は早速室外機の上にある帽子を取ろうとするが・・・・・・・・・
「んぎぎ・・・・・・・!っはぁ・・・・・・・・・・・」
うん、やっぱり届かなかったね。
「だめ、全然届かない」
「あの距離じゃ私は無理だわ」
「じゃ、じゃあ杉元君は?」
「あ~俺も少し届かないな」
長身である俺と白石でもあの高さにある帽子を取るのはちと無理だな。
「う~ん、じゃあ奈々ちゃんが二人のどちらに肩車してもらえば取れるんじゃないかな?」
「えっ?」
「美桜!ナイスアイディア!」
「ちょっと、急に言われても・・・・・・・・・」
「そうね~杉元の方が背高いし力もあるから杉元に肩車してもらおうかしら!」
「ええっ!?」
俺か!?ま、まぁ、この中で一番背高いし支える力もあるからそうなるか・・・・・・・
「じゃあお願いね!」
「はいはい」
俺は桜井を肩車しようとしゃがみ桜井の股のの間に頭を突っ込もうとした。
「あっ、もし変なことしたら殺すからね♪」
「あっ、はい」
笑顔でそんな物騒なセリフを言う桜井。今のお前着ぐるみ野郎よりこえーよ。
「うん、しょっと」
「うわっ!結構高くなったわ・・・・・・・・」
「じゃあ、近づくぞ」
「お願い!」
桜井を肩に乗せたまま立ち上がり室外機の方へとゆっくり歩く。うぉっ、太ももやわらけぇなこいつ。そういえば妹にもこうして肩車してあげたことあったな~懐かしいな~
「う、う~ん・・・・・・・・・・・やったわ!一階に落ちたみたい!」
「ほんとか!?」
帽子に届いて一階の方へ落ちていったみたいだ。
「拾いに行きましょ!」
「うん!」
「ええっ!」
「おお!」
落ちた帽子を拾いに一階へと向かう俺たち。
「あったあった」
桜井が帽子を見つけて拾おうとしたその時だった。
「!!ひぃっ!?」
「ど、どうしたの!?」
「む、虫が・・・・・・・!」
「虫?!?」
帽子を見てみるとそこには内側に大量のウジ虫が湧いていた!
「嘘!?やだ!」
「ウジ虫・・・・・・だけじゃないよねこれ・・・・・・」
「もしかしてこれ・・・・・・血か?」
ウジ虫以外にも真っ赤な血がべっとりとついている。こ、これは只事ではないぞ!?
「ど、どういうこと?」
「血って・・・・・・・・ねぇ待って。それじゃあ、もしかしてあの子はもう・・・・・・・・・」
「だ、大丈夫だよ!暗いし、もしかしたら虫のいる錆びた水の中に落ちてたのかもしれないし!」
「で、でも、来たの今日なんだよ?この帽子の子にドッキリの準備してもらったのも・・・・・・・・・しかもこんな内側にばっかり・・・・・・・・・水に落ちてたなら付くわけ無いじゃん!」
「それは・・・・・・・そうだけど・・・・・・・」
「・・・・・・・・・ねぇ、もうやめようよ」
「白石?」
「これもあれも・・・・・・・・全部、奈々の仕込みなんでしょ?」
「えっ?」
「やり過ぎだよ・・・・・・・もういい加減ネタばらししてよ!」
突然、白石がこの帽子のことを桜井とその友達が仕込んだドッキリだと言い放った。
「ねぇ!奈々!これ全部動画のためのドッキリなんでしょ!?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「全部奈々がお友達と仕組んだことなんでしょ?そうでしょ?ねぇ、もう十分いい絵撮れたでしょ・・・・・・!これ以上続けて何になるの・・・・・・・いい加減やめるべきだよ。止めてよ、奈々・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、梓ちゃん・・・・・・」
「ねぇ!何とか言ってよ!奈々!」
「落ち着けよ白石!」
桜井に掴みかかる白石を止めようとする俺。桜井はさっきから無言のまま何も喋らないままである。
「・・・・・・・・・・・・・・・しょ」
「え?奈々ちゃん、今なんて?」
「そんなわけないでしょ!本当にもしそうならとっくの昔に止めてるわよ!」
桜井はうっすら目に涙を浮かべながら大きな声で白石に言い返した。
「たかが弱小配信者な一般人にのあたしに、こんな大掛かりな仕掛け・・・・・・!あの着ぐるみだって、誰が準備してくれるっていうの!?」
「そ、それは・・・・・・・・・」
「あたしなんかのために、こんな廃墟に置きっぱなしになってるモノに入って、誰があんなことするってのよ!」
「だからそれも全部、元からあったものじゃなくてドッキリとして持ってきたじゃないのって聞いてんの!」
「だから違うって言ってんじゃん!これ全部仕込みだったら良かったって、あたしだって思ってるよ!」
「嘘よ!!」
「嘘じゃないわよ!!」
「二人ともやめろって!!」
言い争っている二人を何とか止めようとするが止まる気配がない。
「あたしのせいで・・・・・友達が危険な目に遭ってるかもしれないのに!」
「何よそれ、そんなに犯人かもしれない友達のほうが大事?私たちはどうだっていいっていうの!?」
「梓ちゃん!!」
「!!」
生駒が暴走する白石を止めてくれたおかげで二人は言い争いをやめた。
「・・・・・・・そんなの・・・・・・・梓と美桜と杉元も大事に決まってんじゃん・・・・・・」
「違うの・・・・・・・・わかってる・・・・・・ホントにごめん、言い過ぎた・・・・・・・ただ、現実を認めたくなくて・・・・・・こんな訳の分からないことに巻き込まれて私もう・・・・・・・・」
「うぅん、こっちこそごめん。あたしがここに連れてきたのは本当だし・・・・・・・」
お互いに落ち着いたみたいで喧嘩は無事に治まったようだ。
「大丈夫、大丈夫だよ二人とも。誰のせいでもないよ・・・・・・・」
「美桜・・・・・・・」
「ほら、こんな所で喧嘩してたらそれこそ危険だよ。四人で協力すれば、きっと奈々ちゃんの友達にも会えるし、ここも出られるはず・・・・・・・でしょ?」
「・・・・・・・そうね。美桜の言う通りだわ」
「ありがとう」
生駒の言葉で元通りに戻った俺たちのグループ。生駒よ、お前がナンバーワンだ!
「とにかくまずは、出口まで行ってみよう」
「ええ」
「そうね。行こう」
「そうだな」
「あっ、一応帽子拾っておかなきゃ・・・・・・・・・」
「でもウジ虫が・・・・・・・・・・・」
「なんだ、虫ダメなのかお前ら?」
俺は帽子のつばの部分を持ち上下に振ってウジ虫を落としていった。
「ほれ、全部落としてやったぞ」
「さ、さすが男子ね・・・・・・・・・・」
若干引きつった顔をしている桜井に帽子を渡し俺たちは再びホテルの中へ戻っていった。
「杉元君、何見てるの?」
「さっきその辺に落ちてたスクラップブックの破れたページだよ」
移動中俺は落ちていた破れたスクラップブックを見ていた。当時の新聞記事が貼ってありその下にここのオーナーが書いたであろうメッセージが書かれていた。
『ファンタジーランドが閉園してから、予想はしていたものの経営が苦しい。「変な子供が現れた」というクレームがさらに増えている。このホテルで何が起こっているんだ?このままでは従業員も解雇せざる得ない。気が狂いそうだ・・・・・・・・・・・』とオーナーが経営に苦しんで悩んでいる内容だった。
「この変な子供って何だろう?」
「娘さんのことじゃないかな?」
「自分の娘を変な子供なんていう親がいるか?」
「も、もしかしたら頭がおかしくなって娘さんと判別できなくなったとかは・・・・・・?」
「まぁ、それもあるかもな・・・・・・・・・・」
店の経営なんてしたことないからわからないけどやっぱ相当ストレスとか溜まりそうだな。
「まさか幽霊だったりしてな」
でも幽霊が出る噂が流れたのってこのホテルが廃業になって親子が心中してからだ。
経営している間に幽霊が出てくるならここのホテルはもっと前から心霊スポットになっているはず。
「・・・・・・・・・・・・・・・ねぇ、杉元君」
「どうした、生駒」
生駒が急に立ち止まり何かを言いたそうにしている。
「あのね・・・・・・・・話しておかないといけないことがあるんだ」
「えっ、何?」
「う、うん、それは・・・・・・・・・・・」
「な、何よこれ!?」
「!?」
「なんだ?」
生駒が何かを話そうとしたその時先頭を歩いていた桜井たちの大きな声が聞こえてきた。
「どうした?」
「こ、これ・・・・・・・・・・・・・」
桜井が指を指した方を見ると俺たちが入ってきた入り口が髪の毛のようなものに覆われ塞がれている光景だった。
みんな三人の中で誰が好き?
自分は美桜ちゃんかな~