心霊スポットで動画撮影しにきたらほんとに出てきちゃった 作:ムツヒロ
「な、なにこれ・・・・・・・・」
「こんなの、来た時はなかったよね・・・・・・?」
髪の毛らしきものによって塞がれた入り口を見て唖然とする俺たち。
「ええ・・・・・・・だって普通にここを通って入ってきたじゃない」
「というか、何なのよこれは?」
「わかんない・・・・・・・髪の毛・・・・・・?」
「はは・・・・・・・・・どんな育毛剤使ったらこんな生えるんだよ・・・・・?」
「冗談言ってる場合じゃないでしょが!!」
桜井に怒られる俺。す、すいません・・・・・・・・・・・
「で、でもほら、頑張れば何とか通れそうじゃない?」
「そうね。この得体のしれないものを頑張ってかきわけて行く勇気があれば」
「な、なら頑張るしかないわね!行きましょう!」
この髪の毛ジャングルを抜けてでも出ようとする白石。その時
「ま、待って!落ち着いて梓ちゃん!他の出口を探そう!?」
「嫌よ!私はもうこれ以上一秒たりともホテルの中にいたくないの!」
止めようとする生駒、それでもここから出たいという白石。
「で、でも!ここで時間取られている間にもしも着ぐるみが来たらここ、逃げられないよ?」
「えっ!?」
「確かに、生駒の言う通りだ。ここだと、袋のネズミだぜ」
髪の毛をかきわけている間に着ぐるみ野郎がきたらすぐに追いつかれて鉈で切り刻まれちまうな・・・・・・・・・・
「ここで三人にもしものことがあったら、あたし・・・・・・・」
「奈々・・・・・・・・」
「桜井・・・・・・・・・・・」
「奈々ちゃん・・・・・・・だ、大丈夫だって!きっとお友達も無事だよ!」
心配する桜井を励ます生駒。このメンバーで唯一冷静に状況を見れるお前は最高だよ。
「美桜・・・・・・・・ありがとう・・・・・・・・」
「じゃあ・・・・・・・・どうする?別の道を探してみる?」
「そうだな・・・・・・・一旦非常口に戻ってみるか?」
「そうしましょうか・・・・・・・・・・」
非常口から外に出てそこからこのホテルを出ることにした俺たち。が・・・・・・・・・・
「う、嘘だろ・・・・・・・・・・・」
非常口も正面入り口と同じく髪の毛で塞がれている。ドアノブに手をかけるのも無理そうで開くのは不可能だ。
「ここもだめ・・・・・・・・・ほ、他にないの!?」
「だ、だったら地下に降りるのはどうかな!?」
「地下?」
「地下・・・・・・・!そうね、確か駐車場があったはず!」
生駒が地下かから出ようと提案し桜井が地下駐車場があったことを思い出す。
「駐車場からなら外に繋がってるはずだよね」
「なら、そこにいくか」
「ええ、そうしましょう」
今度は地下駐車場へと向かうことにした俺たち。地下の出入り口は塞がれてないことを祈りながら足を動かした。
「・・・・・・・・・・・・何これ?」
「エントランスと非常用出口と一緒・・・・・・・?」
地下へ来た俺たちの見た光景はエントランスや非常用出口と同じ髪の毛で塞がれている光景だった。
「塞がれている・・・・・・・・・」
「こっちも通れないじゃん!だからさっきのエントランスから無理やりにでも出れば良かったのに!」
だんだんとヒステリックになる白石。まずいな・・・・・・・・・・・・・・
「奈々・・・・・・・・・他に出口はないの?」
「他の出口・・・・・・・・・・ごめん、思いつかない」
「そんな・・・・・・・・・・・」
「それじゃあ俺たち、このホテルから出られないのか?」
「そうね・・・・・・・・・・・」
出口が全て塞がれ脱出することができず絶望する俺たち。その時
「そうね・・・・・・・ってなに、他人事?」
「あ、梓ちゃん・・・・・・・・・!」
「し、白石・・・・・・・・・・・!」
白石がついに限界を迎えたようだ。
「私たち、殺されちゃうかもしれないんだよ!?」
「そんなこと分かってるわよ!だけど・・・・・・慌てたってしょうがないじゃない!あたしが何も考えてないとでも思ってる!?」
桜井が白石にそう言い返す。おいおいさっき仲直りしたばかりじゃねぇかよ。
「今も他の出口は無かったかって必死に思い出そうとしてるし、帽子だけ残して消えてる友達のことだってずっと考えてる!なんでこんなことになってるんだろう・・・・・・って!ただ面白い動画が撮れると思っただけなのに!」
「なによ・・・・・・なんで奈々が一番イライラしてるのよ!全部奈々のせいなのに・・・・・・・・・・」
「は・・・・・・・・・・?」
「ふ、二人とも!ダメだって!落ち着いて・・・・・・・!」
二人のケンカを止めようとする生駒だが・・・・・・・・・
「奈々がこんな場所で廃墟動画撮ろうなんて言い出さなければこんなことにはならなかったのに!!」
「何?全部あたしが悪いっていうの?だったら最初から梓が全力で止めれば良かったじゃん!」
「止めようと思ったよ!ホラー嫌いだし!だけど、奈々が楽しそうに話すから・・・・・・・・っ!」
「何それ、人の顔色ばっか気にして言えなかった癖にこんな状況になって初めて言うのずるくない?いつも一人クール気取ってあたしは巻き込まれてるだけです、みたいなスタンスなんなの?ホントむかつく!」
「実際その通りでしょ!毎回毎回、あんたの行き当たりばったりの企画に巻き込まれてばっかで迷惑被ってるのは事実じゃない!」
「ねぇ、二人とも・・・・・・・!」
「や、やめろって・・・・・・・・・・!」
ケンカがヒートアップする中それでも止めようとする俺と生駒。しかし・・・・・・・・・・
「あーそうですか!じゃあいいわよ!あれもこれもそれも全部!この企画を出したあたしが悪いわよ!」
止まるどころかさらに勢いが増した。
「じゃあどうしたらいいのよ!?あたしがここに一人残って死ねばいいの!?」
「今そういう話してるんじゃないでしょ!!」
「言ってるようなもんじゃない!あたしだって、それで三人が助かるなら、既にそうしてるわよ!!」
「もうやめてってば!!」
生駒が二人の間に入って止めようとする。
「美桜はひっこんでなさいよ!」
「きゃっ!!」
桜井が生駒を突き飛ばし生駒はしりもちをついた。
「ちょっと奈々!なんてことするの!?」
「なによ!ちょっと突き飛ばしたくらいで怒鳴んないでよ!この巨人デカ乳女!!」
「なんですって!?このチビまな板!!」
「いい加減にしろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「「!!?」」
俺の声が地下中に響き渡った。
「す、杉元君・・・・・・・・・?」
「桜井・・・・・・・・・嘘でも絶対そんな悲しいこと言うなよ・・・・・・・・・・・・」
「杉元・・・・・・・・・・・・・・」
「白石も・・・・・・・・・さっきからずっと言ってるんじゃねぇか・・・・・・・・なんで二人が言い争わなきゃいけないのかって・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「どっちが悪いとか、そういう話してる場合じゃないだろ?わかってくれよ、二人とも・・・・・・・・・・・」
俺がそう言い終えると地下は静寂に包まれる。
「悪い、急に怒鳴って・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・なんで、杉元が謝るのよ・・・・・・・・・」
「え?」
「杉元の言うとおりだわ。ありがとう、杉元。目が覚めた・・・・・・・・・・・美桜、突き飛ばしてごめん・・・・・・・・・・ケガしてない?」
「う、うん・・・・・・・・・・・大丈夫だよ」
桜井が差し伸べた手に掴まり立ち上がる生駒。
「梓も、ごめん!本当に色々・・・・・・・・ごめん」
「私の方こそ、言いすぎた。ごめん・・・・・・・・・・・」
桜井も白石もお互い謝り言い争いは収まった。
「まずはこのホテルから出ることだけを考えましょ!」
「そうね・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・あのね!」
「どうしたの?美桜」
急に何かを話したそうにする生駒。
「あのね・・・・・・・・・三人に先に話しておかないといけないことがあるんだ」
「どうしたの?急に」
「このホテルで起こっていることね・・・・・・ドッキリとか、誰かに仕掛けられているとかじゃ、絶対ないと思う・・・・・・・」
「どういうこと?」
「私ね・・・・・・このホテルに入ってすぐ、二人とはぐれちゃって着ぐるみに追いかけられて杉元君と別々で行動してた時、部屋に閉じ込められてその時、お風呂場の排水溝から伸びてきた長い髪の毛に殺されかけたの」
「髪の毛・・・・・・・!?」
なんだよそりゃ!?そんなところから髪の毛伸びてくるわけないしどうなってんだ!?
「なにそれ、こわ・・・・・・・・・」
「なんとか逃げ出したけど・・・・・・・お風呂場は、排水溝から生えた髪の毛でびっしり覆われてた。そんな量の髪の毛を動かすなんて、どう頑張ったって人の力では無理でしょう?」
「そうね・・・・・・・・・」
「そもそも美桜を閉じ込めるなんてこと、あたしの企画では考えてなかったし・・・・・・・・」
「だから、誰かがドッキリを仕掛けているとか、危ない人が潜んでいるとかじゃなくて・・・・・・・・・・・誰も想像できなかった何かが、今このホテルの中で起こってるんだと思う」
生駒の話で背筋がゾクッとなる。じゃあ、今までのおかしな出来事は全部マジもんの霊の仕業なのか・・・・・・・・?
「っ・・・・・・・・やだなぁ。足が震えてくる・・・・・・・・」
白石の足はプルプルと震えている。寒さで震えているのと同じように。
「そっか・・・・・・・・・・じゃあ、なおさらホテルの中を改めて調べる必要がありそうね」
「はっ!?」
「え、なんで!?」
桜井の発言に驚く俺と白石。今、調べるって仰りませんでした!?
「いや、だってホラーの鉄板じゃない。もしも原因が怨念とか地縛霊とか何か怨みを持つ奴なら、お悩みさえ解決してやれば外にでられるかもしれないし」
ま、まぁ、ホラー映画でよく見る展開だな。しかしそううまくいくか?解決したかと思ったら解決してないパターンでバットエンドになることとかあるぞ?
「あんまり見ないからわからない・・・・・・・・けど調べるって?どこを?どうやって?」
「梓・・・・・・あんた、心霊関係になるとほんと普段の知的な感じが完全に消えるわね・・・・・・・」
「べ、別に怖がってるわけじゃないのよ!?」
「ふっ」
「な、何よ?」
「あはは!」
「な、なんで笑うのよ!」
急に笑い出す桜井、笑われて戸惑う白石。
「いや、だって!何年の付き合いだと思ってんの!小学生からよ?あんたが怖がりなことくらい知ってるわよ。だからこの企画を立ち上げたところ、正直あるわ」
やっぱり気づかれてたみたいだな。
「やっぱり、気づかれてたね」
「うぅぅ・・・・・・・・・・」
恥ずかしがり顔を少し赤くする白石。やはり幼なじみの目は誤魔化せなかったみたいだな。
「はは・・・・・・・・・・・はぁ。本当に、こんなことになってごめんね・・・・・・・・」
「ううん。奈々こそ、大丈夫?」
「うん。とにかくまずは外に出ないとね!」
「あ・・・・・・・・・」
「ん?どうかしたのか?」
「事務室・・・・・・・・・」
「え?」
「あ~!確かにそうね。美桜、ナイスアイディア!」
「なに?」
「どういうことだよ?」
いきなりの提案でよくわからない顔をする俺と白石。
「はぁ・・・・・鈍いなぁ、梓と杉元は」
「ホテルって、どこかに事務室があるよね?」
「あるとは思うけど・・・・・・・・」
「そこに行けば、このホテルの情報とかが転がってたりしないかなってことよ!」
「「!」」
確かに事務室ならここの情報やらなんやらがあるかもしれないしもしかしたら脱出できる方法があるかもしれないぞ!?
「よし!それじゃあ、早速事務室を目指して再出発よ!」
桜井はそう言って先頭を歩き事務室へ向かっていった。
「ほら、梓ちゃんと杉元君も」
「・・・・・・う、うん・・・・・・!」
「お、おう!」
桜井に続き事務室を目指すことにした俺たち。なにがなんでもここから生きて脱出してやる!必ず!!
女同士のケンカって怖いね・・・・・・・・・・・・・