ドルアーガの冒険   作:まぁしい

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移転しました。よろしくお願いいたします。


1 物語のはじまり

「ふう。仕事の後のビールはうまいなぁ」

 

今の時間は10時半を少し回ったところ。

 

菓子の卸問屋で営業をする俺はビールを片手にコンビニで買った弁当を食べる。

 

職場でも中堅となった俺は、得意先まわりはもちろんのこと、後輩の指導や書類整理までこなしておりなかなか忙しい。

 

やっとお腹を満たし、軽くシャワーを浴びた俺は、PCにむかいゲームを始める。

 

もう、3年以上続けているネットゲーム THE ONLINE RPG ドルアーガの塔 ~the Aegis of URUK~ だ。

 

ネットで見た関連アニメに釣られてやった初めてのMMOゲーム。

 

基本無料ということもあり、やってみると最初の頃はレベルも簡単に上がって楽しめたので嵌ってしまった。

 

攻略サイトを見ると同じ戦闘職であるスカウトの方が有利だとの説明もあったがソルジャーにした。

 

理由は簡単。ドルアーガの世界で”ベルセルク”の”ガッツ”をやりたかったから。まぁ、お子様的な発想だ。

 

ソルジャーはガッツ愛用の両手剣を使えるのとともに、2次職でベルセルクへ転職できる。

 

それに、よく見ると同じような考えのガッツに似たプレイヤーもいたりしたのだ。

 

ゲームはレベルアップとともにやれるスキルも増えたり面白くなっていったが、Lv20を越えたあたりから無課金でプレイするのが大変になってきた。

 

多少の金もあったので課金できないわけではなかったが、どこか意地になって無課金でプレイしていた。

 

それでも、カンストが多数いる大手ギルドに誘ってもらい、仲間の支援を受けながらやっとクエストをクリアしてベルセルクに転職することができた。

 

目標のベルセルクとなり、俺としてはそこでやめてもよかったのだが、ギルドの仲間にお世話になった分を少しでも返せればと思い、フレや他のメンバーのクエストをサポートしたりして細々と続けていた。

 

最近は仕事の忙しさから、週末だけどころか1ヶ月以上間をおいたINも珍しくないが、ベルセルクがLv50で装備できる両手剣のためにこつこつソロでプレイしている。

 

その両手剣とは”クレイモア”。そう、ジャ〇プ系で連載している”クレイモア”が想像できる大型の両手剣。

 

あの漫画も好きなのだよ。まあ、ただの自己満足ではあるが小さな目標は大切なのだ。(ちなみに、同じ作者のヤンキーものも好きでした)

 

そこで、不遇のLv49ベルセルクである俺は、今日も格下のモンスターをストレス解消もかねてこつこつと狩っていたのであったが、安全地帯で回復中に仕事の疲れからか、ゲーム中にいつもの寝オチ状態へと陥るのだった。

 

 

*****

 

 

『ああ、また寝ちまった』

 

俺は目をこすりながらPCを見ようとした。

 

『何だここは…』

 

俺がいたのは自分の部屋ではなかった。どこかの町の一角で石畳の上に座り込んでいたのだ。

 

そして、周りにいる人々はどう見ても日本人には見えない人ばかりだ。

 

西欧風の神官や皮鎧を付けた男女、魔道士のようなローブをまとった人。

 

座っていたのは広場で、周りをよく見ると建物の形や配置に何となく見覚えがある…。

 

中世の農村がイメージできる、ログハウス調の木造の建築物が立つ町並み。

 

町の広場の中心部には光り輝く魔方陣で巨大な岩が浮いていおり、外れには神々しい雰囲気を持った神殿見える。

 

俺の記憶が確かならば…、ここはラジャフ村なのか。

 

それはMMORPGドルアーガのプレイヤーにとって“はじまりの村”。

 

ありえね~。どうやらここはドルアーガかそれに近い世界らしい。俺は厨二かっ!

 

『…そうか。ゲームをしながら寝ちまったからその夢を見てるんだな』

 

俺は、夢の途中でその世界が夢であることを認識して楽しむということを何度か経験している。

 

自分のイメージを夢で具現化し、鳥になったように空を飛んで遊覧飛行などをするのは楽しいものだ。

 

そのため、また夢の世界で遊んでみるかと軽い気持ちになった。

 

『最近は、ログ・ホラとか異世界物の小説をネットでよく読んでいたからこの夢を見たのかなぁ』

 

自分の装備を確かめるとフルプレートメイルに両手剣を持っており、寝オチした時の装備を身につけているらしいことが分かる。

 

『ここから初期状態の装備だと悲しいからなぁ。そう言えば、俺はどんな顔なんだ?』

 

俺の顔は、のっぺりしたやや面長の顔で、眼鏡を掛けている。残念ながら3枚目な顔だ。

 

近くの水辺に行って自分の顔を見ると、かなりワイルドなイケメン顔があらわれた。

 

鋭い目にシャープな顔立ち。そして、黒髪のツンツンした頭とくれば。

 

『おお、ガッツだ!傷がない若い頃のガッツの顔じゃないか?』

 

多分、20台前半と見える顔だ。顔に傷が無いところを見ると、まだ”蝕”には係わっていない頃の顔だな。

 

渋めのクールな顔だな、いい感じだ。この顔ならリアルでモテナイ俺でもモテソウナキガスル。

 

でも、この状態で俺は何が出来るんだろう。他の異世界設定ではウインドウが開いたりしたけど…。

 

・・・開いたよウインドウ。

 

思考を集中すると視界の上のほうに半透明で表示されるんだ。

 

さすがに俺の夢だけあるわ、うん。

 

そこで俺はシステムウインドウでアイテムと装備を確認する。

 

中身は赤と黒が印象的なデザインのLv40鎧(強化版)だが、幻想装備であるアニメでウトゥが装備している鎧を纏っているため、外観はグレーの無骨なフルプレートメイル(全身鎧)に見える。

 

アイテムは格下モンスター狩りの途中だったのであまりたいしたものが入っていない。

 

布系とか糸がメインだ。…しょぼいな。

 

回復ポーションは多少あるけどNPCでも売ってて特別なヤツじゃないし。

 

まあ、手元に50銀ぐらいはあるから問題ないな。夢の中だし、実際に減るわけじゃないからな。

 

ステータスを確認すると、性別も職業も以前と同じだが名前がガッツ変わっていた。

 

名前は変えられないはずなのにガッツになっちゃってるよ。うれしいかも(^^)

 

それに、ここがラジャフ村だとすると近場には強いモンスターいないし、戦えば無双状態だ。

 

様子を見る時は弱いやつからが基本とくれば、バビリム街道に向かえばいいよな。

 

Lv1のネズミ狩りといきますか。

 

中央の広場を通り過ぎてバビリム街道へ歩くのだが、思ったよりも距離がある。

 

ゲームよりも村の建物がかなり増えているようだ。

 

ゲームで見た建物だけじゃ村の生活が維持できないもんなぁ。

 

その分、村が全体的に広くなってるんだ、よくできてるもんだよなぁ。すげーぞ俺!

 

俺は村の町並みを見ながら街道への入り口にいた衛兵に目礼すると、特に咎められもせずに最弱モンスターのいる街道へ出た。

 

草原につづく街道を歩いたが、ゲームのようにすぐにはモンスターを見つけられないようだ。

 

本来だと村にモンスターが近づくことはないのだから本来は容易に出会うものではないのだろう。

 

それでも、10分ほど街道を歩くと巨大ネズミを発見した。

 

ゲームで見たおなじみのモンスターであるスモールラットは体長1.5mほどで、カピバラをさらに二周りぐらい大きくしたような感じだ。

 

プレイヤーが初めて出会うモンスターの一つだ。

 

しかし、今の私は初心者のころとは違うのだよ、フフフ…。

 

Lv45両手剣(強化版)を振るかざすと、Lv1スモールラットへ上段から真っすぐに振り下ろした。

 

ズサッ。ドスッ。

 

斜め右から切り下ろした剣は、そのパワーとスピードで予想以上に勢いが付き、スモールラットの肉体を両断した後で地面に突き刺さってしまう。

 

ネズミくんは小さな断末魔と血飛沫をあげながら昇天し、光を残してその身は消えうせた。

 

モンスターを切った感覚は剣を通して手に残り、一瞬飛び散った血の匂いだけが辺りに漂う。

 

『本当に夢なのか?匂いがある夢なんて俺は見たこと無いぞ?』

 

これは、俺が夢を認識する場合、匂いや味が感じられないという経験が何度もあるからだ。

 

俺は五感が正確に働かないことには敏感らしい。

 

イメージとしての味や感触を夢の中で認識しても補正が働くらしく、どうしても違和感を感じてしまうことが多いのだ。

 

もちろん、この感覚には個人差があるかもしれないが…。

 

その後も何匹かスモールラットや、それより一回り大きいディンギィラット、両翼2mはある巨大コウモリのブラックフライを軽く一撃で葬ったのだが、やはり血の匂いがした。

 

俺はここにいたって、初めてこの世界が夢ではないという不安に取り付かれたのだった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

<補足>

 

ステータス(補正なし)

名前 :ガッツ

称号 :なし

性別 :男

職業 :ベルセルク

戦闘Lv:49

HP :620

MP :216

攻撃力:253

防御力:287




読んでいただきありがとうございました。
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