ドルアーガの冒険   作:まぁしい

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13 魔導書購入

次の朝、俺は朝食を取ると魔導書を購入する為に書店屋へ行った。

 

村の中央にある円形の広場に面したところに書店屋はある。武器や防具などを売る店も広場に面しており、一番賑やかなところだ。

 

ログハウス風の広さが店に入ると、カウンターにがっしりした身体の50歳ぐらいの男と魔法使いとおぼしき60歳ぐらいの老婆が座っていた。

 

おそらく男の方は剣技スキルを扱う店員だろう。元は冒険者だろうか?まず、こちらから声が掛かった。

 

「いらっしゃい。旦那はどんな剣技スキルが必要なんだい?」

 

「いや。実は剣技ではなく魔法を身に付けようと思ってな」

 

「あんたはどう見ても戦士のようだがな?」

 

俺は 背中にロングソードを背負っている。そう思って当たり前だ。

 

「ああ、その通り戦士だ。しかし、今日は初級魔法を身に付けるために来たんだ」

 

「そうか。かなりの経験者だと思ったから、てっきりもう身に付けていると思った」

 

「他の国から来たんだが、俺の国では戦士が魔法を覚えることはなかったんだ。それで興味があって来てみたんだ」

 

「それでか。メリヤ婆、魔法だそうだぜ」

 

老婆がこちらを振り向いて少し驚くように声を出した。

 

「珍しいこともあるもんだね。戦士は魔法を使わない国なのかい?」

 

「ああ。メイジやドルイドしか魔法を使えなかったんだ。覚える方法も知らなかったし、戦闘職の人間は使えないものだと記憶している」

 

「そうかい。もしかしたら系統の違う魔法かもしれないね?」

 

「剣技スキルは同じようなんだが…、想像がつかないな」

 

もちろん、ゲームの中の設定だからどうしようもないとは答えられなしな。

 

「そうそう、今日はどんな魔法を覚えたいんだい?」

 

「まずは<ファイア>を覚えたい。剣技のスキルでは火の属性を使っているから相性は悪くないと思う」

 

「そうだね。そっちで十分使えてるなら上達するのも早いはずだよ」

 

「そう願いたいな」

 

「それじゃぁ、この水晶玉に手を乗せてくれるかい?どれぐらいの魔法か使えるか分かるんだよ。ルーンの発動は1回だけだから返品が利かないからね」

 

「ルーンを発動させてから使えませんでは困るからな」

 

「まあ、<ファイア>なら魔力が少しでもあれば使えるけどね。魔力の判定は色で分かるけど、初級は赤で、中級だと青に水晶玉の色が変わるんだよ。色が濃くなるほど魔力が強いんだ」

 

「ものは試しだ。やってみよう」

 

「あんたはかなり熟練の戦士のようだから、少し濃い目の赤が出るかもしれないね。この店でそんな魔導書は扱っていないけど上級を使うメイジは緑になるって言うよ」

 

俺は直径15cmほどの水晶玉に手を乗せた。すると少しどころか、かなり濃い赤が水晶玉に色付く。

 

「えっ!こんなに濃い赤が出るなんて…。あんた戦士なんだろ?こんな濃い赤なんて普通は出るはず無いんだがねぇ?この水晶玉がおかしいのかね…」

 

メリヤ婆が首をひねってぶつぶつ言っている。…よく考えてみたら俺は戦士職とはいえ2次職となり、Lvも中堅なのでステータスのMPは250程度だった。

 

別アカウントで使っていたLv30メイジのMPが350を超えるぐらいだったような気がするから、250だとLv20に近いメイジと同じぐらいかもね。

 

この世界ではLvの高い戦士いないようだから、このMPはチートになるらしいな。どうやって言い訳すればいいか…。

 

「もしかすると祖母のせいかもしれん。母方の祖母なんだが、かなり力のあるメイジだったと聞いている。親には魔力があると聞いていなかったんだがな」

 

「う~ん、隔世遺伝てやつかねぇ?それでなくちゃこの水晶玉が壊れてることになるんだけどね」

 

こんな程度の嘘で誤魔化すのは難しいと思ったが、勝手に納得してくれるようだ。

 

「取りあえず魔力があることは分かったから<ファイア>の魔導書を売るよ。50銅だよ」

 

俺は50銅をメリヤ婆に渡して<ファイア>のルーンが刻まれている羊皮紙を筒状に丸めた魔導書を受け取った。

 

換算すると5千円ぐらいだから意外と安い気がする。生活に密着した魔法だから需要が多い為かもしれない。

 

「いろいろな魔法を覚えるのもいいけど、一つの魔法を熟練させることも大切だよ。同じ魔法でも使う魔力量とイメージの強さで威力が違うからね」

 

「魔法によって使う魔力は同じじゃないのか?」

 

どんなゲームでも魔法によって使うMPは同じだったから少し驚いた。ゲームによってはスキルで使用MPを半減出来たりはしたが。

 

「魔法によって最低限の魔力は必要だけど、上限は自分で決めるんだよ。まあ、初級魔法にたくさん魔力を使っても威力は高が知れたもんさ」

 

宿でアイリーンが使っていた<ファイア>は焚きつけの小枝に火を灯す程度だったけど、俺が調節しないで使ったら火柱が立つかもしれないな。

 

「だけどあんたは魔力量が馬鹿でかい可能性があるから十分注意しないとね」

 

室内で誤って使って宿を全焼させては大変だ。ラジャフ街道の人気の無いところで練習するしかないな。山火事も注意だな。

 

俺は他にも魔法のことをいくつかメリヤ婆に聞いて礼を言うと宿に帰ることにした。

 

 

 

 

 

宿に帰って夕食を取った後、部屋でメリヤ婆に聞いた話を頭の中で少し思い浮かべる。

 

ある程度の経験を持った冒険者なら魔力を持っていて、経験が増えて実力が上がると魔力も増えるらしい。

 

これはLvアップでステータスが上昇するためだと分かる。前衛となるソルジャーやスカウトも少しずつではあるがMPは増えるのだ。

 

面白いのはメイジを目指していても魔力の上昇に伸び悩んでスカウトに転向したり、ソルジャーだったのに魔法の才能に目覚めてメイジになるものがいるらしいことだ。

 

水晶玉の判定のせいか俺にも「本当はメイジの方が向いてるかもしれないよ」と言っていた。

 

メリヤ婆も若い頃はメイジとして冒険者をしていたそうだが、そういう者を何人か見ているらしい。

 

魔法は使う魔力量とイメージの強さが大切らしいが、魔力量は数値で調節できそうな気がする。

 

また、イメージの方も本・マンガ・アニメで20年以上培った魔法知識があるから大丈夫だと楽観している。

 

精神的なものはメンタルコントロールが重要だから余裕があった方がいいはずだ。

 

そんなことを考えながら俺は<ファイア>の魔導書を開き、ベッドに座ってルーンをその身に受ける準備をする。

 

ベッドの上に開いた30cm四方程度の羊皮紙には、中心に半径15cmぐらいの簡単な円形魔法陣(ルーン)が刻まれており、それは蛍光塗料のように薄く発光していた。

 

メリヤ婆によれば、「<○○○>のルーンを我が身に」と言って開いた片方の手のひらを魔方陣の上に載せるだけらしい。やけに簡単だな。

 

頭が痛くなるのはいやだが仕方が無い。俺は右手を羊皮紙にのばすと、

 

「<ファイア>のルーンを我が身に」

 

と言って手のひらを魔方陣の上に載せた。

 

「ぐっ!」

 

こめかみの辺りに痛みが走る。思っていたより軽いが、ひどい二日酔いの朝と同じぐらいは痛い。

 

痛みが治まるまでベッドで横になるしかないようだ。毛布に包まって痛みをやりすごそう。

 

こうして俺は毛布の中で膝を抱えながらいつの間にか眠りに就いた。

 




誤字、脱字、誤り、勘違い等は適宜修正したいと思います。
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