ドルアーガの冒険   作:まぁしい

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14 見習いメイジ

<ファイア>のルーンを身体に受け入れた次の朝、俺はさわやかに目を覚ました。

 

頭痛も完全に治まってスッキリした感じがする。もしも、魔法を使うたびにあんな目に遭うとしたら、魔法を使おうとは思わないだろう。

 

俺は<ファイア>が無事に受け入れられたかを確認する為、頭の中でスキルのコマンドを選んで開く。

 

すると多く並んだ剣技スキルと一緒に、その一番上の位置に<ファイア>がスキルとして登録されていた。

 

よく見ると、消費MPは2と読むことが出来る。<ファイヤーボール>は消費MP8だからかわいいものだ。

 

これぐらいだからあまりMPの無い村人にも使えるのだろう。アイリーンの<ファイア>が2~3回しか使えないというのも肯ける話だ。

 

消費が2MPなら自分の場合、MPの自然回復で何度でも使えるだろう。炎の大道芸人とか出来るかもしれない。

 

うれしくなった俺は、朝食でアドナーンにそのことを報告すると、早速ラジャフ街道で<ファイア>の訓練をすることにした。

 

当分の間、俺は”見習いメイジ”となるのだ。

 

 

 

 

 

ラジャフ街道での訓練場所について考える。火の魔法を練習するので、あまり木や枯れ草の多いところは避けたい。

 

誤って山火事にでもなったら目も当てられないからだ。出来れば水場や岩盤のあるところがいいと思う。

 

それで思いついたのはラジャフ街道のフィールド北東部にある”原石の岩”がある場所だった。

 

岩場のうえに近くに池があるため練習場所にはもってこいのところだ。

 

コウモリやクモ型のモンスターもいるが狩りながら練習出来る。人気が少ないので剣の動きを練習するにも丁度いい。

 

俺は街道をネズミやクモ型のモンスターを片手間で狩りながら歩くと途中で北東に道をそれ、人目の無いところでフェザームーブを使って高速移動して原石の岩を目指した。

 

 

 

 

原石の岩のある場所へ程なく到着した。近くには周囲1kmほどの池がある。

 

原石の岩は初心者クエストに登場する場所で、この岩の一部をラジャフへ持って帰ることでクリアできたと思う。

 

そのため、クエストの後はめったに来ない場所の一つだ。

 

岩場は高さ10m幅25m程度の大きさがあり、岩の色は主に薄い灰色で、花崗岩が風化したものに似ているようだ。

 

魔法を失敗しても他に影響するような環境ではないため、メイジ見習いの俺には安心だ。

 

ただし、コウモリ型のモンスターのスモールバットが2匹いたのでプロボで引き寄せた後、両手剣のブラックファルクスで両方とも袈裟切りにした。

 

邪魔者が消えたところで<ファイア>を練習することにする。

 

まずはステータスの250MPのうち2MPを使うイメージで岩の表面を左手で指差し、高さ15cm程度の火を思い浮かべながら<ファイア>と唱える。

 

すると岩の表面に高さ15cm程度の赤い炎が現れた。様子を見ていると燃焼物が無いためか、5秒ほどで消えてしまう。

 

同じことを何度かやってみたが、やはり炎は5秒程度しか持たないようだ。まあ、薪の焚き付けには十分と言える。

 

次からは炎の大きさを変えてみる。とりあえす5cm~50cmまでの炎をイメージして<ファイア>を使う。

 

同じMPなら炎の強さは小さいほうが熱量が多いようだ。大きい炎だと形が纏まらず安定しない。

 

ただし、小さければいいのかと言うとそうではなく、色が薄い黄色から青に近づいて強い炎となるが発火地点コントロールが難しくなった。

 

この辺は今後の訓練で安定させて行くしかない。あまり攻撃に使える訳でも無いのでほどほどでいいと思う。

 

それに使用MPが無制限ではないようで、20MP以上ではMPの量を増やしても炎の量に変化が無くなってしまうようだ。

 

こんな調子で2時間ほど訓練を続けていると少し離れたところに、クモ型モンスターのスモールスパイダーが2匹現れた。

 

休憩代わりに軽く狩ることにするか。俺はその手にまた黒い両手剣を持った。

 

そして練習がてらにあることを思い付く。接近戦での<ファイア>詠唱だ。

 

通常なら近距離でしか使えない<ファイア>を戦闘で使おうとは思わないが、このLvのクモ相手ならダメージをことはないので実験してみたい。

 

15mほど離れた所に居る片方のモンスターへプロボをターゲットして発動すると、ゆっくり動いていたクモが少し早足でこちらに向かって来た。

 

モンスターが5mぐらいまで近づいたところで俺は<ファイア>をクモの目を狙って詠唱した。

 

これは、クモなどの昆虫系生物には目蓋が無いので直接炎の熱を受けるのではないかと考えてやってみたのだ。

 

30cmほどの炎を発生させることには成功したが、距離が近い為に連続して詠唱出来ない。

 

モンスターが一瞬怯んだので多少の足止めにはなったようだが、クモの目は複眼で8つもあるため全ての機能を止めることは出来なかったようだ。

 

体長1.5mのクモが怒り飛び掛るように襲ってくるが、右手に持った剣を前に出し両手で正面から突き刺した。

 

すると一撃でモンスターは死亡判定となり、この場から淡い光と供に消えてしまう。まあ、ザコ相手ならこれでもかなりのオーバーキルだろうからな。

 

間を置かずにもう一匹のクモも攻撃を加えてくるが、横に避けながら足を2本同時に水平切りにする。

 

消えないところを見ると、これでは死亡判定は出ないらしい。部位破壊ではだめか。

 

バランスを崩して這い蹲るクモに俺は頭上から剣を突き刺して止めを刺す。

 

やはり<ファイア>は戦闘に向いていないようだ。対人戦なら使える様な気もするが、そんな酷いことをする予定は無いしな。

 

その後も同じ場所で1時間ほど<ファイア>の訓練をし、俺はラジャフに戻りながら移動途中で狩りをすることにした。

 

またアイリーンにお土産を持って行くか。ラジャフラットを両断しながら俺は宿へ肉を持って帰ることを考えていた。

 

あ、それとステイタスを見て分かったことが一つ。今まで何も表示が無かった称号に”見習いメイジ”と表示がある。

 

この世界ではゲームの様に称号は売ってないみたいだし。自分で表示させた覚えも無い。

 

初級魔法を覚えたので”見習いメイジ”に認定されたようだ。だれに認定されたんだろう?イシター神かな?

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

<補足>

 

プロボ:ソルジャーのスキル、ポロヴォーグの略称。一定のヘイトをモンスターへ与えて注意を引いきターゲットとなる。10~20m離れたモンスターにも有効。

 

ヘイト:モンスターが攻撃を受けた時に認識する負荷。パーティでは主にソルジャーやスカウト系の前衛職がヘイトを受けて後衛職であるメイジやドルイド系に攻撃が及ばないよう戦うのが基本。

 




誤字、脱字、誤り、勘違い等は適宜修正したいと思います。
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