ドルアーガの冒険   作:まぁしい

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17 本格的な訓練

黒のオベリスクというフィールドは森か主で一部が草原となっており、その間を道がいくつか繋いで更にその奥のフィールドへ行くことが出来る。

 

黒オベに入ると道が少し左に反れて伸びており、右側には少しの草原と土が所々のぞく山肌が、左側には周囲2kmほどの池とそれを囲む木々が見える。

 

ただし、ゲームでは入口近くに必ずポップしていたオベリスクバットが見えない様だ。普段は森や林の奥へ隠れているのかもしれない。

 

そこで俺は右側の草原の奥にある林へと向かって行く。オベリスクバットがメインの狩場だったはずだ。

 

1kmほど歩いて丘を登り林に入ると一番近いモンスターをオートターゲットする。ウィンドウで確認するとオベリスクバットが近くに居るようだ。

 

残念ながらこのシステムのターゲットではマップ上にモンスターを表示することは出来ない。

 

そこで、オートアタックを敵に仕掛けることで自動的にモンスターへ向かって走るのだ。

 

 

 

走って行くとオベリスクバットが15m程先にいた。ヤツは体長2.5mほどのコウモリ型モンスターだ。全体的に濃いグレー色だが、翼の下側に蝶や蛾のような目玉に似た模様がある。

 

まずは10mまで近づいて通常の<ファイヤーボール>を詠唱し、オベリスクバットへ放つ。

 

しかし、通常版ではHPを10分の1程度しか減らせず、外傷も少し表面が黒ずんでいる程度のダメージしか与えられていない様だ。

 

すると案の定、攻撃を受けたモンスターがバサバサと羽音を立てながらこちらに向かってきた。

 

こうなることは想定内だったので、続けて意識を操作して<ファイヤーボール改>を至近距離で詠唱しコウモリへ放った。

 

小さな青白い火炎弾は少し狙いを外れてコウモリの翼の部分へ向かう。しまった、コントロールミスか。

 

ボウッ! 次の瞬間、翼を突き抜けた火炎弾が爆発してその被膜の一部を破壊した。

 

グギャッ! このため片翼をもがれたオベリスクバットは飛行を維持できずに地面へ墜落することになった。。

 

意外な展開だったが、俺は剣を振り上げてHPを3分の1程削られ地上でジタバタしていたそいつに3回剣で斬り付けて仕留める事に成功した。

 

倒せたのは良かったが、やはり<ファイヤーボール改>のコントロールは難しい様だ。横幅のあるコウモリ系だから当たったが、いつもこうとは限らない。

 

 

次は別の連携攻撃を試してみることにする。<ファイヤーボール改>→<ヒートボディ>→剣でアタックの順番だ。

 

再びオベリスクバットを探して見つけると遠距離から<ファイヤーボール改>を詠唱して火炎弾を放つ。

 

今回の火炎弾はオベリスクバットの下半身に上手く当たり、体内で爆発して大きなダメージを与えることに成功した。

 

拳銃の弾丸で例えれば、貫通性が高いフルメタルジャケット弾と目標内部を破壊するソフトポイントの中間のような物かもしれない。

 

次に俺は<ファイヤーボール>のダメージでふらふらになったコオモリにショルダータックルの要領で次のスキルを仕掛ける。

 

「<ヒートボディ>!」 ドゴッ!

 

近づいたところを俺の左肩からの火属性を持った強烈なショルダータックルを食らったコオモリは気絶して地上に落下した。

 

HPも残り僅かなモンスターに向かって剣を振り下ろすと、その身は淡い光を放って消えていった。

 

この遠距離から近距離の連携攻撃は悪くないと思う。練習して精度を上げていって自然にこの動きが出せる様にしたい。

 

俺はこの連携と<ファイヤーボール>の精度を高める為、1週間ほどこの一連の動きを訓練することにした。

 

 

 

 

 

連携攻撃を1週間続けた結果、俺は相手の反撃を殆ど許さずに敵を仕留められる様になった。

 

オベリスクバットの他にもクエストを受けたオベリスクスネークや、体長3mはあるオベリスクスライムも倒していたのでかなり量の素材も手に入れた。

 

なお、スライム系は金属をたまにドロップするのでいい稼ぎ相手になる。遊びで造ってみたい剣のために残すブロンズや鉄以外は売れるのだ。

 

問題は今後武器を持った敵に<ヒートボディ>を決めるのが難しいことだろうか。

 

ゲームなら無条件でファーストアタックを<ヒートボディ>に出来たのだが、準備無しで武器を持った敵にこれを仕掛けるのは無謀だと思う。

 

その為には武器を持ったモンスターと戦う必要がある。そして、黒オベならこれに合ったモンスターがいる。テインテッドスカルだ。

 

コイツは名前の通りガイコツのモンスターで、壊れた盾と武器を持って襲ってくる。

 

<ファイヤーボール>は十分通用すると思うが、<ヒートボディ>は盾で防がれると威力が弱まるのではないか?

 

そこで俺は対武器用の訓練の為、フィールド北部にあるテインテッドスカルが集中してPOPする丘へ向かった。

 

 

その丘は頂に古代遺跡の残骸があるところで、坂の途中に等間隔で7~8体のテインテッドスカルがPOPする。

 

また、シルバーファングの様なテインテッドスカルの格上の”ボーンオブオベリスク”と言うパワードモンスターが出現するのだ。

 

なお、テインテッドスカルはLV18~19、ボーンオブオベリスクもLv20なのでこちらがどうこうされる物ではない。

 

だからこそ剣の特訓が比較的安全に出来ると言うものだ。攻撃を受けても付くのは傷ぐらいなものだろう。

 

ただし、防御力が高いから装備に傷を付けていいとは思っていないし、そんなことでは強いモンスターに対抗するのは難しいだろう。

 

その為に習得したい技術が”パリー”だ。パリーは近接物理攻撃を受け流す剣技スキルで、ゲーム内では一定の確率で発動していた。

 

俺はそれを自分の意思で純粋な技術として習得したいのだ。

 

現在のメイン武器であるブラックファルクスは日本刀の様に反りの入った両手剣(ロングソード)なので剣道のイメージで試してみる。

 

 

まずは、半分壊れた武器を持ったテインテッドスカルに<ファイヤーボール>を放ちダメージを与えて1体だけを呼び寄せる。

 

うぅ、刃毀れした片手剣(ショートソード)を振り上げてゆっくりこっちへ走って来たよ。骨が擦れてガチャガチャいってるし、…グロいな。

 

ガイコツ野郎は盾を構えながら俺に向かって剣を振り下ろして来た。ここでパリーだ!

 

敵の剣を横なぎに弾いて防御し、再び素早く剣で相手を攻撃する。このガイコツは盾を持っているので、完全に崩せた時以外は<ヒートボディ>は使わない。

 

それと、こいつは動きがゆっくりなので注意すれば攻撃を弾くことは難しくない様だ。

 

その内に何度か攻撃を剣で弾きながらテインテッドスカルを仕留めることに成功する。ガイコツはカラカラと音を出して崩れると消えていった。

 

 

理屈としては敵の物理攻撃を剣で受け流して無効化するなのだが、スキルを使えるようにとなるとかなり難しいことが分かる。

 

自分がイメージするパリーは、最小限の動きで相手の攻撃を受け流さなければ自分の攻撃がすぐに出せないので意味がない。

 

パリーで相手の体勢を崩し、その隙に<ヒートボディ>や剣でのアタックを決める必要があるからだ。

 

個人的な理想は、昔見た剣道マンガ”六三四の剣”でライバルの修羅が主人公の六三四に対して決めた、相上段の面切り落とし面と言う技だ。

 

相手の面攻撃を弾きながら、弾いた剣で面を決めるんだからタイムロスが全く無い。かっこよかったもんなぁ。

 

そこまで行かなくとも相手を少しでも思い通りに崩す事が出来るよう時間を掛けて努力しよう。

 

こうして俺は毎日のようにラジャフから黒オベに通って連携攻撃の訓練をすることになった。

 

 

 

 

 

訓練の結果、最終的にはこの辺のLvのモンスターならば殆どパリーで近接物理攻撃を受け流す事が出来るようになった。

 

もちろん上位モンスターとやる場合は動きも早くなるので注意しなければならないし、更なる訓練も必要だろう。継続は力なりだ。

 

ただし、これを習得するまでの時間は2週間程掛かったんだけどね。とは言っても俺の感覚からすると早すぎる。

 

剣道でこれに近い技を使える人って全日本選手権でも極一部じゃねぇ?やっぱりガッツの異常な戦闘能力とチートな設定のせいなんだろうな…。

 

そして、その頃にはラジャフで俺の事がかなり噂になっていた様だ。黒オベで暴れすぎたかな…。




誤字、脱字、誤り、勘違い等は適宜修正したいと思います。
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