ドルアーガの冒険   作:まぁしい

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2 ラジャフ村(1)

本当にこれは夢じゃなくて異世界転移なのか?

 

かんべんしてくれよw

 

それに、うろうろした人を見なかったところからすると、転移は俺だけっぽいし。

 

足早にラジャフに戻った俺は、不安になり人気の無い安全な場所で現状確認をはじめた。

 

装備はイベントリウィンドウで確認できた。同じく持ち物も確認できるが、どこにあるんだろう?

 

そういえば背負っていた皮製のナップサックのような荷物袋からは殆ど重さを感じないけどもしかして…。

 

荷物袋に手を入れて体力回復ポーションをイメージすると、手に堅いものが触れる。

 

取り出すと見覚えのある赤い液体が入った細長い試験管に似た器だった。

 

体力回復ポーションだ!これはマジックバックなのか!

 

イベントリウィンドウを確認するとポーションが一つ減っている。

 

ドラえもんの四次元ポケットみたいだなぁ。

 

しかし、本当に俺の夢で無いならばかなり困ったものだ。

 

小説や漫画ではよくあるパターンでも、自分に起こればただの悪夢でしかない。

 

だってそうだろう?

 

世界一安全で平和な日本からくらべると、剣と魔法の世界は危険が多すぎる。

 

だから創作世界の主人公たちはかなりチートな設定が認められていた。

 

その時は神様的な人がチートな望みを聞いてくれたようだったが俺には無いのだろうか?

 

・・・・・・無いらしい。

 

目覚めてから体感で2~3時間は経過しているはずだ。

 

これだけ時間が過ぎても反応がないんじゃそのパターンは無しか。

 

辺りを見ると空が薄暗くなり、夕闇が迫ってきているのがわかる。

 

野宿はごめんなので宿を探すことにする。

 

そういえば、ラジャフには宿屋が1軒あったと思うが?

 

中央の広場から東側に伸びる放射状の道を歩くと、職人たちがにぎわう通りで30歳ぐらいに見えるとぼけた顔の男が呼び込みをしていた。

 

「おいしい食事と安らかな睡眠を約束する夢屋の宿だよ!ラジャフ1番の宿はいかが~!」

 

あれは宿屋の若旦那、アドナーンか?

 

クエストに関係していたNPCだが、もし依頼があっても今はスルーして泊まろう。

 

「宿に泊まりたいんだが?個室で1泊いくらだ?」

 

「1泊なら20銅、朝と夜の食事付なら26銅だ」

 

1銅が100円~200円というところか?

 

懐はまだ暖かいのでその程度なら問題ない。

 

「食事付で頼む」

 

「よしきた!お一人様ご案内!個室で食事付だよ~!」

 

大きなログハウス風の宿に入る、外観もそうだが思っていたよりもかなり広いようだ。

 

「いらっしゃい!若女将のアイリーンと申します。部屋は2階の奥の1番になります。食事はすぐにめし上がりますか?」

 

20代前半と見えるかわいらしい顔の女性が迎えてくれた。

 

やるなアドナーン、うらやましいぞ。

 

「ガッツだ。部屋に荷物を置いたら食事を取りたい。とりあえず2泊はするつもりだ」

 

「ありがとうございますガッツさま。2泊だとサービスさせていただいて50銅になります。階段の横におけと水がありますのでお使いください。」

 

金を払って鍵を預かると、俺は水をはった木のおけを持って部屋に向かった。

 

部屋の鍵を開けて中に入ると縦長の6畳ほどの広さだっだ。

 

右側にベットがあり、左側にはちいさなテーブルと木の椅子がある。

 

先ほど使った部屋の鍵は簡易なもののようだったので貴重品は部屋に置けそうもない。

 

まあ、マジックバックがあるからその必要はないが。

 

バッグからコットンの布を出すと、俺はたらいで顔や手足を洗い、布でふきあげてさっぱりする。

 

食事をするのに全身鎧はつらいので、バッグの皮鎧に着替えると、念のため片手剣を腰に差した俺はバッグを背に1階の食堂へ降りていく。

 

空いているカウンター席に腰を下ろすと若女将のアイリーンが注文を取りに来た。

 

「今日のメニューは、イートラットの煮込みかベジタブルバットの姿焼きになりますがどちらにしますか?」

 

・・・・・俺にネズミかコウモリか、どちらかを選べというのか。

 

やっぱり悪夢じゃないのかこれ?

 

イートとかベジタブルとか、記憶しているモンスターの名前とは違う呼び名をしているから食用のようだが、所詮はネズミとコウモリだろう。

 

基本的に好き嫌いが無い俺だが、ゲテモノ系は別である。

 

しかし、俺の記憶ならばカピバラは南米の一部の地域で食用にされているはずだし、コウモリも東南アジアでは食用のものがあったようだ。

 

俺は勇気を出して聞いてみた。

 

「今日のおすすめはどっちだ?」

 

「やっぱり、イートラットの煮込みですかね?しっかり煮込んであるのでおすすめですよ」

 

「それでは煮込みをたのむ」

 

「わかりました。ラット煮込み1人前入りま~す!」

 

食堂で聞き耳を立てながら時間をつぶしていると、10分ぐらいたってから木の器に入った煮込みと木の皿にのった黒パンが運ばれてきた。

 

「おまちどうさま。イートラットの煮込みです。熱いので気をつけてお召し上がりください」

 

あまりおまちしていないかもしれないが…、見た目はポトフのような感じで悪くない。

 

お腹もすいてきたような気がするので、とりあえずスープを木のスプーンで飲んでみる。

 

塩が少し薄味だがおいしく感じる。

 

ニンジンや玉ねぎのような野菜が入っており、うまみも感じるしコクもあるようだ。

 

次に、思い切ってイートラットの肉を食べると豚肉のような味がする。

 

かみ締めるとさらに肉の味が口に広がり、しっかりとした歯ごたえが伝わってくる。

 

十分満足できる味だったので、黒パンと一緒にあっという間に完食した。

 

食わず嫌いは良くないな、次回はコウモリさんにチャレンジしてみるか?

 

食堂を後にした俺は、カウンターでランプを借りると部屋へ戻った。

 

テーブルにランプを置くと、荷物を窓際に下ろしベッドへ横になる。

 

ベッドはわらの上に毛布を敷いたもので、寝るときにはさらに毛布をかけるようだ。

 

わらの匂いは、子供の頃に農家の友人のところで遊んだ頃を思い出させる。

 

ハイジもこんなベッドに寝ていたのかなぁ。

 

慣れない狩りと異世界の雰囲気に疲れた俺はランプの火を消してねることにした。

 

詳しい情報収集は明日からにしよう。

 

俺はまぶたを閉じて、元の世界の戻れることを念じながら眠りについた。

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