ドルアーガの冒険   作:まぁしい

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読んでいただきありがとうございます。

29話はストーリーと大きく係わらないためスルーで。


30 襲われた旅人(1)

どうしたらいいんだろ・・・。

 

俺はこの世界へ呼び込んでしまったかもしれない三人の所在を確認する方法を考える。

 

一番なのは、やはり王都であるバビリムで情報を集めることだろう。こうなると、今まで以上にバビリムまでの街道の情報を集める必要がある。

 

その日から俺は、パーティで活動していない時間に同じ宿に泊まる冒険者や旅人、バビリムから来た衛兵などから積極的に情報を集めることにした。

 

これまではこの世界の事情を知らないこともあり、他人と積極的に話をしなかったのでアドナーンからは社交的になったと言われたほどだ。

 

俺もラジャフでは名が知られてきたので相手もいろいろと教えてくれた。反対にモンスターとの戦闘について話をしてくれとせがまれることも多かったのだが…。

 

そして、最近の俺はもっぱら金属の鎧ではなく、皮鎧に黒いマントを羽織っている。プレートメイルは重すぎて動きにくいし、このあたりのモンスターと戦うには無用の長物と化しているからだ。

 

マントはどこでも売っていなかったので迷いの森で狩った”メンズハンター”という豹に似たモンスターの皮を防具屋でなめして作ってもらったものだ。

 

ゲームではこんなマントの装備は仕様が無くて着ることが出来なかったが、今のスタイルは原作のガッツに近いので自分でも満足している。

 

しかし、この情報収集も一時休みだ。明日からはルエリアとルウアを連れて再びドルアーガの塔へ行く予定なのだから。

 

 

 

 

 

「ふぅ。これでやっと10個目ね」

 

「蛇の毒袋を集めるなんて、精神的につらいクエストですよね」

 

 

俺たち三人はクエストのためドルアーガの塔の東にある”バビリム平原”というフィールドへ来ていた。

 

最初は村長のタムドから来た話が発端だった。冒険者の試験をした塔の監視者であるエムドが同僚のニメスの依頼を引き受ける冒険者を探して欲しいとの頼みがあったそうだ。

 

ちなみにタムドとエムドは親戚らしく、ルエリアのことも子供の頃に見ているらしい。まさか冒険者になるとは思わなかったろうが。

 

そういった訳でタムドから一番手近な俺たちに依頼が回ってきたのだ。ゲームでも一人でやった簡単なクエストなので軽い気持ちで引き受けた。

 

バビリム平原のバビリムスネークはLv6~7と強くはない。ルエリアとルウアも既にバビリム街道で鍛え、Lv8に達しているので狩るには手頃な相手である。

 

しかし、やってみると思ったよりも大変だった。集めるのが蛇の毒袋だったため、急所である頭部を攻撃すると毒袋を傷つけてしまい取得できないことが戦ってみて分かったからだ。

 

仕方なく俺が牽制して胴体をルエリアとルウアが攻撃したのだが、急所を攻撃出来ないためHPを削るのに少し手間取ることとなった。

 

また、胴体を切ったり叩いたりしてもしぶとく生きるバビリムスネークの様子にはルエリアとルウアも引き気味だったようだ。

 

「ニメスのところへ報告に行くぞ。もたもたしていると日が暮れるからな。」

 

「わかったわよ」

 

「了解しました」

 

 

 

 

 

「おっ、来たね。これで兵士たちの使う解毒薬を作れるよ。塔の近くで魔力を受ける兵士のための物だから切らしたくなかったんだ」

 

「そうか。これが頼まれた蛇の毒袋だ」

 

俺は冒険者のタブレットをニメスに触れさせて収納しているアイテムを確認させてた。

 

「助かったよ。今度はこれに塔の中で取れる”魔素の欠片”を調合すれば、この薬が完成になるんだ。塔の中で調合することになるからね」

 

「塔に入るのは明日でもいいか?二人を少し休ませたい」

 

「美人さん二人に無理は言えないからしょうがないね。解毒剤も在庫がまったく無いわけじゃないし。魔素の欠片は、塔の三階にいる”魔素の管理人”から説明を聞いてくれよ」

 

「分かった。明日は解毒剤を届けると約束する」

 

「じゃ、頼んだよ!」

 

俺たちは塔の周辺にある宿へ向かい明日に備えることにした。

 

「ねえ、ルウア。あのニメスって人はエムドさんと違って軽い感じよね?」

 

「そうですね。エムドさんは50歳ぐらいですけど、ニメスさんは30歳ぐらいと少しお若いからでしょうか」

 

ルウアが優しくフォローする。ええ娘や。

 

「若いのに塔の監視者をしているならば優秀だということだろうな。見かけでは判断できないもんだな」

 

「バビリムから派遣されて来るなんて優秀な人なんでしょうけど、やっぱり男は力がなくちゃねぇ」

 

「そうですね。仲間を守る力は欲しいですよね」

 

いやいや、二人とも俺に熱い視線を向けないでくれるかな。痛いですから。

 

ルウア、腕を組んで何気にその暴力的な胸を俺の腕に当てるのはやめてくれない? ルエリア、ルウアに対抗して後ろから首にぶら下がるのは勘弁してくれよ…。

 

周りの男どもから白い目で見られながら俺たちは宿へ歩いていった。遠くから聞こえた『リア充死ね』という言葉はたぶん幻聴だと思う。

 

こうして俺たちは宿で一夜を過ごした。もちろん俺は一人寝ですよ。ちゃんと昨日の夜に例のムフフなところで発散してますからね!

 

 

 

 

 

俺たち三人は朝から塔へ入って魔素の管理人がいる三階を目指した。

 

既に一階を攻略したことのある俺たちは順調に二階へたどり着き、ブラックスライムを2匹倒してエニグマを解くことに成功してアイテムも手に入れると、三階へと上る階段の扉を開ける鍵を早々と手に入れた。

 

俺たちが階段を上ると、そこにはメイジが好む黒っぽいローブを纏った魔素の管理人バーキルが待っていた。

 

「あんたがバーキルか?ニメスから頼まれて蛇の毒袋を持ってきたガッツだ。魔素の欠片について聞くように言われたんだが」

 

「私がバーキルです。ここまでご苦労様でしたね。早速なのですが、解毒薬に必要な魔素の欠け片を手に入れるためには、この階にいる”ブルーナイト”たちから採取する必要があるのです」

 

「ブルーナイトか。鎧を着たモンスターだな」

 

「はい。ブルーナイトを倒すことで魔素の欠片が手に入ります。一つで大丈夫ですので、それを持ってきたら毒袋に入れて煎じて解毒薬を作ってあげましょう」

 

「分かった。魔素の欠片を一つ持ってくればいいんだな」

 

「そうなのですが、ひとつ問題があります」

 

「問題とはなんだ?」(知ってるけど決まり文句だからな)

 

「魔物から魔素の欠片を入手するには、特殊な呪文を唱え、効果が切れるまでにブルーナイトを倒す必要があります」

 

「呪文の効果が残る時間は?」

 

「20分ほどです。この時間内にブルーナイトを倒してください」

 

「分かった。すぐにブルーナイトを倒してこよう。行くぞ、二人とも」

 

「「はい!」」

 

 

 

 

 

 

俺たちは三階を徘徊するグリーンスライムを倒しながらブルーナイトを見つけると、連携して攻撃を行いバーキルのところで呪文を受けてから10分ほどで魔素の欠片を手に入れた。

 

バーキルは魔素の欠片と蛇の毒袋の調合を20分ほどで済ませると、俺たちに解毒薬を渡してくれたのだった。

 

「これが解毒薬です。ニメスさんに早く渡してあげてください」

 

「すぐに届けに行こう。世話になったな」

 

「いえいえ。また何かあったらご協力をお願いします」

 

「機会があればな」

 

こうして三人は解毒薬を手に入れて塔の管理官の一人であるニメスへ届けることに成功した。そのお礼として三人はニメスから兵の装備品としても使われている短剣や魔法用の杖、銅の斧をもらった。

 

「あとはラジャフへ戻るだけですね」

 

「そうね。早く戻らないと日が落ちるから急がないとね」

 

「夜のウルフは昼より手強い。無用な危険は出来るだけ避けたほうがいい」

 

世の中臆病な方が長生きするんだよね。多少不健康で病院へよく通う人の方が、病院にほとんど掛かったことがない人よりも長生きするってこともあるからね。

 

 

 

俺たちはドルアーガの塔を後にして街道をラジャフに向かって進んだ。すでに空は少しづつ西の方から茜色に染まってきており、沈みゆく太陽は三人の影をだんだんと伸ばしていった。

 

それはウルフの出るエリアを抜け街道の森の近くを通った時に聴こえた。

 

「ガッツ、あの音は何かしら?」

 

耳のいいルエリアがいち早く反応した。遠くから金属のぶつかり合う音がする。戦いが起こっているのだろうか?

 

「様子を見に行こう」

 

俺は用心してルエリアとルウアに姿勢を低くするよう指示すると、ゆっくりと金属音の聞こえてくる森へ近づいていった。

 

すると、森の中には血を流して倒れている男やそれを襲う短剣を持った男たち。フードを被った小柄な人物を守る若い男などが見えた。

 

そこでは、初めて見る人間同士の戦闘が行われていたのだった。

 

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