「どうですかボンドルドさん、我々ゲマトリアの仲間になる気は?」
そう言うのは黒いスーツに身を包む黒い体に顔に白く発光する目のような部位を持ちそこから罅が体に走る人物。黒服と呼ばれる存在でした。
時間は少し前まで遡ります。
ブルアカ世界に転生してから早数週間、アビスにもぐりオーパーツを掻き集め要らないものを売却しお金を稼いでいた頃、突如として私の元に一通の手紙が届きました。
手紙の内容は簡単に訳せば『貴方のその実力を見込み私達の仲間になりませんか?こちらからは資金や人手などをお出しします。』という事でした。差出人の名前は書いておらず場所と日付、時間が書いてあるだけでした。
如何にも怪しい手紙でしたが資金や人手は喉から手が出るほど欲していたもの。それに私を騙す事のメリットが余りにも少なすぎる事や最悪の場合でも命の失う事は無い為、行く事にしました。
そうして指定された場所についてみれば、黒服が手紙の送り主であったと言う事です。
「あのアビスに出入りし数多のオーパーツを持ち帰る実力。そしてそれを研究する頭脳。我々ゲマトリアと共に《崇高》を目指しうる人物です」
「いえ、お断りします」
「どうしてでしょうか?」
ゲマトリアに所属すれば人手や資金、情報と言った面で相当有利になるのは間違いないでしょう。しかし、そもそもの話私は崇高に興味がありません。
「あなたの言う崇高は私には必要ありません。もし仮に私が崇高を求めてもおそらくそれは結果であり過程にすぎません。あなた方の崇高を求めるという志しにそういう存在が入るのはよろしく無いでしょう。故に断らせてもらいます」
まあ、それは建前でゲマトリアに入るのは御免こうむるだけですが。先生や生徒達に敵として認識されるのは得策じゃありませんからね。
「それが貴方の選択なら仕方ありません。なら、ビジネスパートナーというのはどうでしょうか?」
「ビジネスパートナーですか?」
「ええ、ゲマトリアには所属せずに我々とは契約による関係です。我々からは資金や情報などを提供します。ボンドルドさんはこちらに獲得したオーパーツの一部の譲渡や研究資料の提供。どうですか?」
ふむ、ゲマトリアに入るか入らないかの違いしかありませんがメリットだらけですね。唯一の懸念としてゲマトリアの仲間と思われる可能性もありますが、あくまでビジネスパートナーで彼らの行動には関わらないスタンスならば問題無いですかね。
「黒服さんがそれで良いなら是非ともお願いしたいです。正直私一人では限界があります」
「クックック。では詳しく契約内容を詰めましょう」
心配は尽きませんがデメリットに比べてメリットが大きい。常に清くというのは理想ですがそれだけでは社会は生きて行けませんからね。
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「おお、素晴らしい」
私の目の前には一つの建物がありました。いえ、正確に言えば街のとも言えますね。その名前は
電力は近くに火山があることも関係して地熱発電を採用。
ここで働くのは現在私だけですがこれから増える予定です。
「本当に素晴らしい」
しかし、この仕事の速さと品質には目を見張るものがありますやはりミレニアム学園に高い金額ととある契約で依頼した甲斐はありました。
「そう言って貰えると私達も鼻が高いよ」
「おお、エンジニア部の皆さんですか」
前線基地が作られた事に感動している私の元にミレニアム学園のエンジニア部の皆さんがやって来ました。
この施設の機械群の殆どはミレニアム製で彼女達が手がけたものも多くあります。ミレニアム製のものは前世のものとは比べ物にならないほど質も機能も高い為非常に満足です。
「今回は大変ありがとうございます」
「こちらこそいい仕事をさせて貰ったよ。それにあの契約はとても魅力的だったからね」
彼女の言う契約とは大体がゲマトリアと同じでミレニアム側はこちらの依頼を優先的に行う事や依頼料の減額を引き換えにこちらが獲得したオーパーツの一部譲渡やこの施設の使用権などを与えました。ギブアンドテイクで助け合っていく姿勢、実にありがたいです。
「これからは末永く付き合って行く仲ですからこれからもよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく頼みます」
さて本格的に下準備を始める事ができます。シャーレの先生が来るにはまだ3年程の時間があります。それまでにキヴォトスの破滅を回避する方法を探りましょうか。