4月上旬、阪神レース場。
大歓声が鳴り響く地下馬道を、一歩一歩踏みしめながら歩く1人のウマ娘がいた。
その小柄な体躯の少女は勝負服に身を包み、肩の辺りで切り揃えられた薄いクリーム色の髪の毛と黒色の尻尾を揺らしながら、黒い耳を無意識にピクピクと動かしている。
そんな彼女が着ている上着の背中部分には、ロゴマークの様な刺繍が入っていた。
《天使の輪っかと一対の白い翼。その翼の間を通り、天輪から下へと雷の様に落ちるジグザグとした矢印》
その神秘的にも見える刺繍は彼女の小さな背丈と合わさって、どこかアンバランスさを演出している。
彼女は大きく息を吸い、それをゆっくりゆっくりと吐いていく。
深い深い深呼吸は彼女の心を熱く踊らせ、思考は冷静に研ぎ澄まされていく
「よう、緊張してるか?」
「そりゃまあ……少しはね♪」
担当トレーナーの男が声を掛けると、彼女はどこか楽しそうな声でそう答えた。
そんな少女の様子を見た彼は軽く笑みを浮かべる。
「なんだ。てっきりガチガチに緊張でもしてるのかと思ったんだが、余計なお世話だったか。それだけ余裕そうなら大丈夫だな?」
「そりゃあもちろんですよ! なんせ、ここからが本番だもんね〜」
本日行われるこのレースは大舞台と言っても過言ではない。
ここで勝利を収めることができるのか。それ次第で今後の予定にも影響してくる。
それに、もし万が一ここで躓くような事があれば彼女の目標叶わないだろう。
まさに最初の大一番と言ったところだ。
まあ、今までも本番ではあったんだがなぁ……と男は思う。
ウチの担当は鈍いのか肝が座ってるのか解らんが、呑気に物事を考えている節がある。
それでいて、走りやレースに関しては全然妥協しようともしない。
それが自分の生きる意味だと、そう示すかの様に走るのだ。
まるで、どっかの怪物様みたいなんだよなと男は時折考える事があった。
レースに絶対はない。
どんなに調子の良いウマ娘だろうと簡単に負けてしまうのが世の中の常だ。
しかし、男はこの担当ウマ娘が敗ける姿など全く想像できないでいた。
彼女がこんな所で躓くわけがない。
自身の良く当たる直感がそう告げている。
「よし、行って来い」
「うん、行ってきます!」
彼女は男の声に返事をしながらレース場へと躍り出る。
さあ、幕は上がったぞ。
この大舞台で彼女は天高く飛び上がり、勝利を射止める事ができるのだろうか?
スキルチートなウマ娘になりまして。
開幕
多分、オープニングテーマ曲は『走れウマ娘』
最近ぱかチューブっ!に上がったRemix版もイイヨネ。
ぱかぱかウラ話
☆4月上旬か12月上旬or中旬と迷いました。
あと、最初文字数が500未満しかなかったせいで無理矢理倍以上に伸ばしました。