スキルチートなウマ娘になりまして。   作:coka/

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 今回、若干の暴力的表現があります。



第8R:厄介な担任教師

 

 評価オールCとかいう、あまりにもあんまりな成績表を貰った私は呆然としてしまう。

 いやいやいや、呆けている場合じゃないでしょ!?

 考えるまでもなく、流石にこれはマズい。

 いくらトレセン学園が寛大であるとはいえ、流石にこの評価がこのまま3年間続くのであれば、いくら筆記や実技の結果が良くても不合格にされるのはほぼ確実だと思う。

 一応転入試験という裏技もあるみたいだけど、それでもこの成績だけはどうしても戴けない。

 

 ……今年は担任の先生が何も言いに来なかったからって油断してたなぁ。

 まさかそれが超特大級の厄ネタフラグだとは思いもしなかった。

 ああ〜、憂鬱だ。これからまた教師を相手取らないといけないのかと思うとやる気がドンドン下がっていく……

 

 私のやる気が下がった。

 絶賛絶不調である……まあ、ウソだけど。

 

 そんなこんなで、先ずは担任の情報を集めないといけない。

 流石に無策で挑むなんて無謀なことはしないですよ。

 

「という事で、今年の担任の事を教えてください!」

「えぇ〜、今更?」

 

 はい、今更です。というか、まさか私も自分から担任の事を聞くことになるとは思わなかったよ。

 基本、保健医の先生以外とはあんまり関わらないからね……

 たまに校長先生とかが様子見に来たりすることがあるくらい?

 

 ということで、保健医の先生からの情報をまとめると。

 

 ・今年転任してきた男の先生。

 ・年齢は40代半ばでそこそこベテランの教師。

 ・良く言えばやる気のある熱血教師。

 ・悪く言えば価値観が古いままの頑固者。

 ・赴任時の職員会議で「イジメによる半不登校なんてのは甘えだ。まあワシが、二学期からちゃんと登校してくるようにしてやりますとも」とか言っていたらしい。

 ・私のこの成績は流石にやり過ぎだと他の先生方から声が上がったみたいだけど、担任がなんか無理やり押し通したらしい。対症療法だとかなんだとか……

 

 うん、めちゃくちゃ面倒くさい教師っぽいね。

 さ〜て、どうしたもんかなぁ?

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 今日は半日登校ということで、昼前に他の生徒は全員帰っていった。

 そんな中、私はまだ校内の廊下を歩いている。

 理由は勿論、担任と話をするためです!

 

 しかし、職員室に件の担任は居なかった。

 仕方なく、私は自分の席だけは残っているという教室へと足を運んでいたのだ。

 しばらくして教室に着き、中に入ると他に生徒は居らず担任だけがいた。

 

 

 ……そして、私の席であろう机の上には花瓶が置かれている。

 

 

 うわ〜、陰湿。というか、この担任それについては言及しないんだ。

 因みに花瓶に刺さっている花はサフランだった。

 うん、絶対わざとだよねぇ。

 私が心の中で苦笑いをしていると、担任が私に気がつく。

 

「うん? 誰だお前さんは? ……ああ、いやそうか。お前が噂の不登校児か」

「どうもはじめまして。今回はこの成績表について聞きに来たのですが」

「ふん、なにか文句でもあるのか? 授業に出ない、学校にも月に数回しか来ない。そんな奴にはその評価が妥当だろう? 今の時代は三段階でしか評価できないがな、昔ならお前さんの成績はオール1でもおかしくないんだぞ!」

「それは流石におかしいですよ。確かに授業には参加してませんが、毎月テストを受けて90点以上を取ってるし、課題や提出物もしっかりとやって出してます。授業態度なんかの項目でCならまだ納得しますけど、全部C評価になんてならないでしょ!」

「それを決めるのはお前さんじゃなくて担任であるワシだ。テストの点数だけで成績が決まるわけでもないしな。それにだ、たかがイジメを受けた程度の事で学校に来なくなるなんて、お前さん社会を舐めてるんじゃないのか?」

「学校や授業に行かなくても家でしっかり勉強をしてますし、毎日運動もしています。なんなら、私はこの学校の生徒の中では一番頭が良いんじゃないかと思いますが?」

「ふん、頭が良いだけじゃあ世の中やっていけないんだよ。今知れてよかったなぁ? それにだ、お前さんが社会に出て働き始めた時、イジメを受けたからってまた逃げるつもりか? 他人の迷惑も少しは考えたらどうなんだ? そんなんじゃ、碌な大人にならねぇぞ!」

「私はトレセン学園へ進学するつもりなので。それに、たかが大学を卒業して教師しかやってこなかった程度の貴方に、社会についてとやかく言われたくはないんですが?」

 

 こっちとら前世の知識があるんだから、社会舐めてるとか言われても正直釈迦に説法なんですよ。

 まあ、知識だけで実際に経験した事とかは忘れてるみたいなんだけどさ……

 

「はっ! トレセン学園だあぁ? バカバカしい、お前さんみたいなテストの点数だけの底辺ウマ娘が通えるはずが無いだろう。あそこは品行方正なウマ娘だけが通える聖地なんて呼ばれ方してるクソみたいな所だからな。今のままなら笠松は愚か、他の地方学園だろうと何処もお前さんを受け入れたりしないだろうさ。分かったら二学期からはしっかりと毎日学校に登校するんだな!」

「嫌です。私はこんななんの役にも立たない学校なんかに毎日通いたくない! それに、こんな卑怯な手に屈する位なら死んだほうがマシです!」

「はっ! 気軽に死にたいなんて言うんじゃねぇよ。どうせ死ぬ気もなけりゃ、自分から死ねるわけも無いんだからな! お前さんは口だけは達者な様だが、所詮はただの子供だ。ワシらの様な大人にはどうあがいても敵わないんだよ! 分かったら、次からはしっかりと登校しろ。それが嫌だって言うんなら、そんなくだらない夢なんてもんはすっぱり諦めるんだな。まあ、仮に合格できたとしてもお前さん程度のウマ娘では未勝利戦すら勝てないだろうが!」

「……なるほど。言いたい事はそれだけですか?」

「はっ、なんだ負け惜しみでも言うつもりか? 無駄だ無駄だ。さっきも言ったがお前さんはただの子供だ。ワシら教師の言う事にただただ従うしかないのだよ」

「……言いたい事はそれで御仕舞でいいですか?」

「ふん、そればっかりだな。そっちこそ、もう反論もできんみたいじゃないか。ほれ、ワシも暇じゃあ無いんだ。用が済んだなら帰れ帰れ!」

「……一つ聞きたいんですが、あの花瓶が置いてある机、私の席じゃないですか?」

「あん? おお、たしかにあの席はお前さんの席だな」

「あの花瓶、誰が置いたのかわかります?」

「はて、誰だったかな。ワシが担任になる前から既に置いてある様だし、花は造花みたいだから取り替える生徒なんかも居らんしな」

 

 なるほど。まあ、十中八九あの子だとは思うけど……

 

「ふん、良かったじゃないか。お前さんみたいな問題児にも心配して花まで添えてくれる友達が居てなぁ?」

 

 はっ? この人は何を勘違いしているのかな?

 あれが御見舞いか何かの花にでも見えているのだろうか?

 

 どう見てもあれは死者への御供え物じゃん。

 そういうイジメとか良くあるって聞くじゃん。

 何年も教師をやっていてそんな事も解らないの?

 しかもサフランの花言葉は『歓喜』とか『愉快』とかだ。

 うん、どう見ても嫌がらせでしかないよね?

 

「はぁ、なるほど。では、もう良いです。それでは失礼しました」

「おいおい、何だそれは? ワシはまだお前さんから答えを聞いていないのだが? ……まあいい。二学期からしっかりと登校するようにな!」

 

 私は担任の声を聞き流しながら教室を後にした。

 なんというか、思いの外ダメダメな教師だった気がする。

 まさか、私が無策で挑んだとでも本気で思っているのだろうか?

 いや、ただ文句を言いに来たガキとしか思ってないのかもしれない。

 そして、自分が問題児を言い負かした気になって得意げになっているのだろう。

 その鼻を今直ぐ明かしてやる!

 

 私はポケットからボイスレコーダーを取り出しながら職員室へと向かっていく。

 子供が大人の力に勝てないというのなら、もっと強大な力を持った別の大人達を味方に付けるだけだ。

 

 

 

 

 

「これはどういう事ですか先生」

「ふん、あの問題児のウマ娘が楯突いてきたから言い負かしてやった程度の事ですよ校長先生。これでアイツも反省して二学期からは登校してくることでしょう!」

 

 職員室では校長先生があの担任に詰め寄っていた。

 その手にはボイスレコーダーが握られており、先程の私との会話が一部始終流されていた。

 他の先生達はどこか見覚えのある光景に恐怖や呆れを感じつつ溜息をついている。

 あ、因みに私は応接用のソファと衝立てがある死角部分にて待機してます!

 いやはや、こんな事もあろうかとおばちゃんに許可を貰って登校する時は毎回借りておいてよかったよ〜

 

「それにしても、ボイスレコーダーまで持ち込んで会話を録音しておるだなんて、本当に卑怯卑劣もいいところですなぁ? まあ、軽〜く捻ってやりましたがね」

「はぁ……まったく、何を言っているんだね君は!! 彼女は今後は決められた登校日にすらもう来たく無いと言っているんだよ!? それどころか、一年生の時にイジメられていた事や、それが現在までなんの対策も行われずに続いていることをネット上でリークするとまで言っているんだ!! 一体、君はどう責任を取るつもりなんだね!?」

「はぁ!? 何を言っておるんですか? ワシのクラスにイジメなんてありませんよ!?」

「だったら、この音声で出ていた花瓶についてはどう説明するんだ! 明らかにイジメの証拠ではないか!」

「いやいや、あれは彼女を心配したどっかの生徒からの贈り物でしょう? なんだってそれがイジメの証拠なんかに……」

「……音声を聞いている時も思ったのだけどね、本当に気がついていないのかい? あれは通常、亡くなった生徒に贈る物だよ。しかし彼女は教室に来ていないだけで生きている。つまり、彼女を居ないもの扱いしてイジメているという証拠になりえるのだよ」

「はい!? いや、そんなバカな!?」

「君は何年教師をやっているんだ! こんなもの少し考えれば解ることだろう!?」

「も、申し訳ありません。しかし、うちの生徒がこんな事をするとは……」

「誰がやったなんて事はこの際どうでもいい。問題はこれだけではない!」

「はっ? と、言いますと?」

 

 校長先生は少し俯き、頭が痛いとでも言うように額をコンコンと叩いている。

 

「今回の事で彼女は精神的に傷付き、学校側に慰謝料を請求するとまで言ってきた! そして、君を民事で訴えるともね」

「はっ、バカバカしい。あんな子供に何ができると言うんですかい。大体訴えるって、ワシはなんの罪で訴えられると?」

「はぁ、そんな事はね正直些細な問題なんだよ。今回の事がリークされれば、イジメを放置していたという事でウチの評判はガタ落ちになるだろう。しかも担任まで成績を理由に脅迫紛いな事をし、我々はそれを黙認したとまで言われてね。だから、あの子の成績表に手を加えるなんてやり方には反対だったんだ!」

 

 校長先生は怒気を込めながら静かに言った。

 

「なら、その証拠の音声を今ここで消してしまえば良いでしょう!? どうせ録音されているのはそれだけでしょうからね!」

「はぁ、君という奴は……」

 

 まあ、そういう考えも思いつくだろうね。

 だけど、私がそれを許すはずが無いでしょ?

 

「無駄だよ。既に音声はこっちのSDカードにコピーしてあるから」

 

 私はこれ見よがしにSDカードを掲げながら彼の前に姿を表した。

 

「なっ!? お前さん居たのか!?」

「これで、社会を舐めているのがどっちか解りましたよね? 子供が何にもできないまま泣き寝入りすると思ったら大間違いですよ」

「チッ、それを寄越せクソガキ!」

 

 担任が私の方に走ってくる。

 どうやら、私から無理矢理SDカードを奪うつもりらしい。

 はぁ、自分から罪を増やそうとするなんてホントダメダメだよねぇ?

 

 担任が私からSDカードを奪い取ろうと右腕を掴む。

 私は掴まれた手首を捻りながら振り払い、自分の方へと引き寄せる。そうすることで、相手の手から逃れることができるのだ。

 そしてそのまま腰を落とし、脚を開きながら相手の鳩尾辺りを狙って突く。

 

「エイッ!」

「ガッ……」

 

 拘束から逃げられて油断していた担任は、そのまま私に殴られ悶絶した。

 いくら子供とはいえウマ娘。

 それも堂に入った中段突きをくらえば、大人だろうと辛いものだ。

 しかも、完全に油断してたみたいだから余計にね。

 

 いやはや、空手やってて本当に良かったと思ったよね。

 しばらくはおばちゃんと師匠には頭が上がらないよ。

 

「……反射的にやっちゃったけど、これ正当防衛ですよね?」

「あ、ああ。まあ、彼が先に君のSDカードを取ろうとしてたからね……」

 

 よしよし、校長先生からお墨付きを貰った。

 まあ、どう考えても窃盗未遂だもんね〜

 

 

 その後はまあ、色々ありまして……

 

 

 おばちゃんに連絡をして学校に来てもらい、事の経緯を説明。

 ボイスレコーダーの音声とかでおばちゃんが一気に不機嫌になった所で話を詰めて行く。

 とりあえず、花瓶の件に関してはやめさせる。

 といっても犯人探しまではしないみたい。

 一応、おばちゃんのスマホで証拠写真だけ撮っておいて学校側が回収していきました。

 あとは、ネットに上げる云々は半分冗談だったのでやらない方向で。

 ただ、おばちゃんが流石にキレ気味だったので示談という事にはなるみたいです。

 特に担任はマジで訴えるって話が出てました。

 まあ、未遂とはいえ強迫やら窃盗やらの証拠が私達の手元にあるもんね。

 で、肝心の私の成績表についてなんですが……

 

「まあ、これも経験や教訓だと思って諦めな。特に今回は運が悪かったという事さね。今後はアンタが事前に根回しでもしてみると良い」

 

 と、おばちゃんに言われてしまったのでこのままという事になりました。

 ……まあ、書き直す為だけに他の先生の手を煩わせるのもあれだし、仕方ないよね。

 

 そんなこんなで、一悶着はありましたがわたしは無事夏休みを迎えることができそうです。

 あと、半不登校状態も継続!

 ついでにお金も手に入って万々歳?

 因みにこれは私の入学金とかに使われるらしいですよ?

 世の中、結局お金が全てなのよね……

 

 あ、因みにどうでもいいことですが、あの担任は懲戒免職の後に教員免許剥奪になったらしいです。

 ワンチャンそれを恨んで自暴自棄に施設襲撃とかしてくるかな?とか警戒してましたが、流石にそんな事はありませんでした。

 はい、ドラマやアニメの見過ぎですね。

 

 兎にも角にも、今年も夏休みが始まりました。

 まあ、私は毎日がサンデーみたいなもんだけどね〜

 しかし、今年は空手の合宿とかもあるので濃い夏になりそうです。

 楽しみだな〜♪

 

 

「さ〜て、今日もトレーニング頑張るぞ〜!」

 

 

 





 なお、11歳編はここで終了の模様。
 正直、今回の話は色々と意見分かれると思ってるので、もし質問等々ありましたら感想欄にてお待ちしてます。

 次回、新キャラ登場!?
 そして初めての……
 来週もどうぞお楽しみに〜

 それでは、皆様良いお年を〜
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