スキルチートなウマ娘になりまして。   作:coka/

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 皆さんヴィブロス引きましたか? 私は40連でした。
 実装待ちの推し用貯蓄が溶けなくてあんし〜ん♡

 あと、シングレ春まで休載が地味に痛いのです……



第10R:いざ、府中へ!

 

 あの初レースから季節は巡り、ついに12歳になりました。

 来年の4月には晴れて私も中学生の仲間入り。

 つまり、トレセン学園に通う事が出来る様になります!

 まあ、その前に願書出したり試験受けたりしないといけないんだけどね?

 

 そして、今日はおばちゃんと保健医の先生との三者面談の日。

 一昨年に色々あったせいで、最終的に保健医の先生が私の担任扱いになりました。

 というか今更だけど、養護教諭と小学校教諭の免許両方持ってるのって地味にすごくない……?

 

「それで、進学希望のプリントを書いてきてもらったと思うんだけど」

「はい、これです」

「うんうん…………えっ、マジで?」

「マジです」

「えっと、園長さん的には()()どうなんですか?」

「……まあ、本人が行きたいって言ってるんだから、とりあえず試験だけでも受けさせてみて良いんじゃないかとは思ってますけどね」

 

 先生は驚いているけど、おばちゃんの方はなんか淡々としている。

 というか、おばちゃんどころかお姉さんすら私の進学希望先に全然驚いてなかったんだよね……

 むしろ、ああやっぱりかみたいな納得顔だったというかなんというか。

 

「はあ、そうですか。いや、それにしてもトレセン学園を受ける事は知っていたんですが、まさか笠松ではなく中央とは……」

「そりゃ勿論、行けるんだったら府中にある中央トレセンの方で申し込みたいとは思いますよね?」

「…………基本、この辺の小学校に通うウマ娘は家の繋がりとかもあって笠松の方に行く子が多いんですよね。だから、君が中央を目指すっていうのは、正直ちょっとだけ意外というかなんというか」

「えっ、なんで?」

「いや…………イジメた子を見返そうとしたりするのかと」

「はん、この子はそんな事には微塵も興味ないみたいですよ。まあ、結果的にはそうなるだろうけど」

「あ〜、まあ、それはそうですね。バカにしてイジメてた子が中央に行くとか、ウマ娘からしたら屈辱以外のなにものでもないですから……」

 

 おばちゃんと先生がそんな事を言っていた。

 なんていうか、二人共普段から若干毒舌気味だからか相性が良いみたいなんだよね……

 ああ、あとあの子が黒幕って事は二人共前々からなんとなく勘付いてはいたみたい。

 私からしてみると、あんなに敵対視されてる理由がよくわかんないんだけどね。

 ただの嫉妬、ってだけじゃない感じもしてたし。

 

「とりあえず、進路の確認はできました。まあ、内申点の方は正直問題しかないのですが、あそこは一芸特化だろうが迎え入れる能力至上主義ですからね。筆記実技共に成績の良い君なら、本当に入学できるんじゃないかと私も思ってるよ」

「はい、ありがとうございます!」

「うん、それじゃあ早速今から願書を書きましょうか」

 

 府中にある中央トレセン学園の入試は通常の学校受験よりも早い11月頃に行われ、その約二週間後に合否の発表がされる。

 現在は9月。願書の受付は、この時期から丁度始まっていた。

 そして、あと2ヶ月後には私を含む数多くのウマ娘達が入試に望むこととなるんだよね。

 

 因みに地方のトレセン学園は中央の後に入試が行われている。

 まあ、本命の中央に落ちたウマ娘が滑り止めとして受けられる形にしているみたいです。

 …………昔は編入試験とかも無くて、URAとNAUが競い合うみたいに同時開催で入試を行ったりしていたらしい。

 その為、地方に有力なウマ娘が全然来なかったり、中央で落ちてそのまま夢破れるウマ娘が続出してしまったりしたので、なんとか今の形に落とし込んだんだって。

 

 閑話休題。

 

 入試に関して、不安はない。

 テストに関してはいつも通りだし、レースやウマ娘に関する知識の方もおばちゃんやお姉さんに教えてもらいながら詰め込んだ。

 脚だって問題ない。

 いつも通りトレーニングを行い、今年の高地トレーニングも既に済ませてある。

 と言っても、今年は初日から御嶽山の頂上まで登り、そこで2日間過ごした後に下山。その後は延々とゴルフ場の芝を走らされ続けたんだけどね……

 あ、因みにライチョウさんは相変わらず元気そうでした。

 

 私がカサマツトレセンの方を受けるのであれば、ダートコースを試験練習って事で使わせてもらう事も出来たらしいんだけど、まあ私が目指してるのは中央だからね。あと、芝のコースはそもそも無いし……

 という事で、今年はなんか事あるごとにゴルフ場で走らされてました。

 夏休み期間中とか、お姉さんやアルマちゃんも連れてずっとあそこに居た気がする。

 そのせいで、今年はレースにも参加してません。

 

 ……もう一回ぐらい笠松で走りたかったんだけどなぁ〜

 

 そんなこんなで、私は完全に準備万端。

 後は試験の日までこの状態を維持し続けるだけです!

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 そうして迎えた、11月上旬。

 ついに入試の日がやって来ました!

 

 ……なにかしらオチが付くとでも思った? 残念、今の私はすごく絶好調です!

 

 私はおばちゃんと一緒に、東京都は府中にあるホテルに前乗りして、とうとうあのトレセン学園へと足を踏み入れた。

 これってある意味、聖地巡礼なのでは……?

 

 そんなトレセン学園の前には沢山のウマ娘達が押し寄せ、今か今かと試験場所の開場が待ち望まれている。

 うわ〜、これ全員が今日試験を受けるウマ娘なんだよね。

 流石は中央。多分これ余裕で千人超えてるんじゃない?

 

 そうして、時刻は午前9時現在。

 ついに扉は開き、雪崩込むかの様にウマ娘達が係の人に受験番号を告げて、会場内へと誘導されていく。

 私もおばちゃんと別れて列に並び、番号を告げて筆記試験を行う教室へと向かった。

 さて、それじゃあ第一関門頑張りますか!

 

 

 

 

 

 筆記試験は強敵でしたね。

 

 はい、とりあえずケアレスミスがあったとしても、いつも通り高得点を取れてると思います。

 レース関係の問題も余裕を持って解くことができました。

 おばちゃんとお姉さんに感謝だね!

 

 そして筆記試験が終わったら、次は実技試験です。

 試験の内容は結構単純で、芝またはダートで1000mを走って目標タイム以下を目指すというもの。

 しかも、試験の効率と実際のレースを意識して9人で走る事になります。さらには、着順と着差も評価に少し影響されるみたい。

 なんというか、やっぱりこの辺シビアだよね……

 

 前世の実だとゲート試験とかがあった気がしてたんだけど、それは基本的に入学してから選抜レース等の参加資格を得る時に行われるらしく、この入試の段階ではやらないみたい。

 

「では次、受験番号101番から118番の方集まってください」

 

 集合がかかったので試験官の所に集まる。

 因みに私の番号104番でした。

 

「事前にくじ引きで芝かダートどちらを走るのか決めてあります。今から渡す札を持って移動してください」

 

 渡された木製の札には〘 芝 〙と彫られていた。

 あっ、やった〜。初めての芝のコースだ!

 

 そうして、私と同じ芝を走る8人と共にコースに並ぶ。

 うん、ゴルフ場の芝生よりも感触が良い気がする。

 

「それでは、よ〜い…………ドンッ!」

 

 試験官の人の声に合わせてスタートダッシュを決める。

 前回の笠松でのレース同様、私は逃げをとる事にした。

 後ろは一切気にならない。

 前だけを見てひたすら走り続ける。

 ゴール板はいつの間にか越えていた。

 

「一着104番、1分9秒81。…………二着――――――」

 

 私の結果は1分10秒を切っていた。

 でも正直、これが良いのか悪いのかはよくわからない。

 芝1000mのレコードって確か53秒ぐらいだったと思うから、私の歳でこれは悪くはなさそうなのかな?

 

 後から聞いたら、結構良い成績だったそうです。

 

 

 

 

 

 さて、実技試験が終わったら次は面接です。

 筆記と実技が良いなら面接はそこまで重要じゃなさそう……なんて侮ることなかれ。

 むしろ、この面接が大事になってくるとすら私は思っている。

 だって、筆記実技共にボロボロだったらしいハルウララが、面接のみで合格しているぐらいなんだから。

 つまり、その逆の事が起きるなんてことも全然あり得るのだ。

 しかも、私って基本無表情だし、不登校だったしね。

 

 まあ、今更考えても仕方ない。

 私は満を持してコンコンコンッと、面接会場になっている教室の扉をノックする。

 

「歓迎ッ!! どうぞ入ってきてくれたまえ!」

 

 その声を聞いた瞬間、私はドキッとしてまった。

 あの声、そしてあの口調はまさか……

 

 私は意を決して扉を開き、失礼しますと挨拶をしてから入って自己紹介をする。そして、椅子に促されて座った。

 

 いやそれにしても、まさかこの人が面接官の1人とは……

 

 私の正面には予想通り、言わずとしれたロリ理事長こと『秋川やよい』が面接官として座っていた。

 その両隣には教師かトレーナーと思われるヒトが座っている。

 流石に某代理とか某秘書とかまでは出てこなかったみたいで少し安心しました。あと生徒だけど、某会長とかね。

 

「では、まず初めに今回我が校を希望した理由を聞かせて下さい」

「はい、私は小さな時から走るのが好きで―――――」

 

 その後の質疑応答は淀みなく行われていった。

 3人の面接官の内、女の人と理事長さんが色々と質問をして、それに私が答える。

 事前に先生やおばちゃん達と練習したかいあって、スラスラと答えることができました!

 しかし、ここで少し問題が発生する。

 

「すいません、私からもいくつか良いですかな?」

「はいどうぞ!」

「ふむ、失礼ですが貴女は1年生の秋頃から今日までずっと不登校状態だったと資料に書いてありました。それはなぜでしょうか?」

「あ〜、はい。それは私が小学一年生の時にイジメを受けていたからです。その為、普段は自宅でトレーニングをしつつ、月に数回程テスト等を受けるために別室で登校しておりました」

「なるほど、それはお気の毒でしたな。しかしね、こう言ってはなんだがもしもこの学園に入学した暁にはそんな特別待遇をすることは一切できません。つまり、他のウマ娘と同じ教室、同じ寮で生活をしてもらう事になりますが、それは大丈夫ですか?」

「………………」

 

 教師なのかトレーナーなのかは判らないが、男の人が私の不登校について切り込んできた。

 理事長さんは、自身の左側に座るその男性の方をチラリと一瞥して、無言のまま私の事を見てくる。

 

「はい、勿論それは大丈夫です!」

「ほう、そう言えるのはなぜでしょうか? 5年半以上、他の生徒と交流することも無く過ごしてきた貴女にとっては、教室に通うというのは辛いものなのでは? ましてや、他のウマ娘と同じ部屋で生活するなど……」

「いえいえ、そんな事はありません。私はトレーニングを優先して不登校を続けていただけで、ある程度他人とコミニュケーションはとれますし、勉強も疎かにはしておりません。実際に、同じ施設で過ごしているウマ娘とはとても仲が良いです。ですから、トレセン学園に入学できた際には、心機一転友達作りができたらと思っております!」

「では、なぜ地元にあるカサマツトレセン学園ではなく、態々この中央のトレセン学園を受けたのでしょうか? 貴女は最初、走るのが好きでトゥインクルシリーズに出たいと仰っていましたがね、それは別に笠松の方でも良かったのではないですかな?」

「……疑問ッ!! 先程から君は何を言いたいのか、私には理解できかねる!」

 

 男の人がそう言うと、我慢できなかったのか理事長さんが叫んだ。

 

「はあ、わかりませんかな理事長。私はこんな不真面目かつ育ちの悪いウマ娘を入学させるのは正直反対だと言っているのです」

「驚愕ッ!? 君はなんということを言っているのだ!!」

「一々説明しないといけませんかな? イジメを苦に不登校となったのに、頭だけは良いからと特別扱いを受け、自宅でトレーニングばかりをするような問題児。更にはいくつか教師相手に問題を起こしており、その影響なのか四年生一学期の成績は全て最低評価です。そして父親は失踪、母親は彼女への虐待等で逮捕されている。これで、血統が少しでも優秀なものなのであれば話は別なんですが、調査してもらった限りではそんなもの一切ありゃしない。そんなウマ娘を本気で迎え入れる気ですかな? そんな事をすれば、中央トレセン学園の評価は地の底へと落ちることになるかもしれないのですよ? 前理事長である貴女のお母様も悲しむでしょう。 やはり、私は断固反対ですな」

 

 …………あの、せめてそういうのは私がいない所でやってもらえませんかね?

 というか、私の面接が終わった後じゃダメだったのかな?

 

 なんて事を思っていると、ふと正面から殺気を感じた。

 ああ、間違いない。あの表情はおこだ。

 一見すると、理事長さんはニッコリと笑みを浮かべている様に見えると思う。

 でも、良く見れば目が全然笑っていない。

 むしろ、(はらわた)が煮えくり返っているとでも言うように鋭くなっていた。

 

 笑顔とは本来云々かんぬん。

 

 あっあっ、理事長さんの右隣に座ってる女性が震えちゃってるんですが……

 

「……ふむ、なるほど。君の言い分は良ぉくわかった」

「おお、納得してくださいましたか。という事で、申し訳ないんだがもう帰ってもらっても構わないよ。受け入れてもらえるかは知らんが、地方のローカルシリーズの方で――――――」

「慎口ッ!! それ以上、君が発言することを禁ずる!」

「はっ?」

 

 ついに耐えきれなくなった理事長さんが叫ぶ。

 そして、申し訳無さそう表情でこちらを見てきた。

 

「まずは、陳謝ッ!! この様な事に巻き込み、君に嫌な思いをさせてしまったこと、誠に申し訳ない! 深くお詫び申し上げる!」

「「り、理事長!?」」

 

 理事長さんが私に向かって頭を下げた。それも机に額を擦り付ける様に深く。

 両隣の面接官は驚きのあまり、声を上げながら立ち上がっていた。

 

「えっ、いや、まあ、そこまでしてもらわなくても大丈夫です! ほら私、こういうのは慣れてるので。だから頭を上げてください理事長さん!」

「感謝ッ!! 君の寛容な心には深く敬意を表する!」

 

 頭を上げた理事長さんは、そう言って男の人の方に顔を向けた。

 

「聞け、教頭よ。君の懸念と指摘は確かに的を射ているのかもしれない! しかし、我々はウマ娘を心から愛し導いていくトレセン学園の職員として、彼女達がどんな境遇であろうとも、それを受け入れ支えいていく義務があると私は思っている!」

 

 あっ、この人教頭先生だったんだ……

 というか、その話続けるんですね。

 

「……発言よろしいですかな?」

「……許可ッ!」

「理事長の仰られた事は、勿論そうであると私も認識しております。しかし同時に、それは理想論なのではないでしょうか? ただただ理想を語るだけであれば、誰にでもできる事です。また、彼女が不穏分子となりえる存在であることは疑いようもありません。貴女に彼女を受け入れる覚悟がおありなのですかな?」

「愚問ッ! 私は既に彼女をこの学園に迎え入れようと思っている!」

 

 はいっ!? なんか急に合格判定つき付けられてない!?

 

「ほう? 事前に経歴等が解っているとはいえ、まだ他の試験の結果が出ていないのにも関わらずそう仰られるのですかな? そういうのを依怙贔屓というのでは?」

「む、それは……」

「まあ、私も言い過ぎた部分はありました。そこは謝罪しましょう。君、すまなかったね」

 

 そう言って、教頭先生は私に頭を下げてきた。

 

「あっ、いえ……はい。聞かれそうだなとは思っていたのでそこは別に……」

「そうですか。では、今回の面接はここまでです。色々と混乱しているかもしれないが、結果は後日しっかりと通達されます。それでよろしいですな、理事長?」

「うむ…………」

 

 どことなく意気消沈といった感じの理事長さん。

 面接はまだ続くんだけど、大丈夫なのかな?

 

「最後になにか言いたい事はありますかな?」

「いえ、特にはありません。本日はありがとうございました」

「はい、お疲れ様でした」

 

 そんなこんなで、面接も無事(?)終わりを迎え、私の入試は終わったのです。

 泣いても笑っても、結果を待つのみだね~

 

 

◇◇◇◇◇

 

 あれから2週間程が経ち、ついに結果発表の時が来ました。

 発表はよくある現地の掲示板で自分の番号を探すか、学園のホームページ内で番号を入力するタイプの2種類がある。

 私は今回、ネットで確認することにしました。

 施設に設置してある共用のパソコンで、トレセン学園のサイトを開く。

 因みに、私の後ろにはおばちゃんとお姉さんとアルマちゃんが居て、画面を覗き込んでます。

 さてさて、それじゃあ結果の方はっと……

 

 

 104番 『合格』

 

 

 祝、サクラサク!

 お姉さんとアルマちゃんが後ろで大盛りあがりです。

 おばちゃんもどこかホッとした様子。

 

 という事で、来年から私もトレセン学園の一員です!

 いや~、本当に良かったぁ……

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 それから、あれよあれよと時は過ぎ。

 私は卒業式の日を迎えた。

 

「卒業おめでとう」

「ありがとうございます!」

 

 いつもの別室で校長先生から卒業証書を受け取る。

 

「すまないね、最後の最後までこの様な形になってしまって」

「いえいえ、私としても今更感がありますし、変に混乱を招きたいわけでも無いので……」

 

 なぜ私がいつもの教室で卒業式を行っているのか。

 その理由は私の服装にあった。

 この小学校の卒業式では、来月から通う中学校の制服を着てくるのが慣例となっている。

 つまり私も、あの紫の制服を着ているのです!

 

 はい、どう考えてもヤバイよね。

 他の生徒や保護者からすれば、どこのウマの骨ともわからないウマ娘が、突然中央の制服を着て卒業式に出てくるんだから。

 まず、間違いなく混乱は必須。ついでに、変に絡まれたりする可能性すらある。

 なので、私の卒業式はいつものこの教室で粛々と行われることになりました!

 

 あと、来賓には()()()の親も居るらしい。

 絶対に面倒臭い事になりそうだよね……

 だから正直、私からするとこの処置はめちゃくちゃありがたかったりするのです。

 でも、卒業式用に練習した歌が歌えなかったのはちょっとだけ心残りかも。

 

「結局、最後まで教室に戻す事ができなかったな〜」

 

 簡易版卒業式も終わり、保健医の先生と話していたらそんな事を言われた。

 

「あ〜、なんかごめんなさい」

「いやいや、君が謝る事でも無いんだけどね。一応、それがメインのお仕事だったからさ〜」

「はい……」

「でも、何だかんだこういうの楽しかったし、それに良い経験にもなったよ。次の学校でも頑張らないとね〜」

 

 そう、この先生は今年度で別の学校に転任することが決まっている。

 というか、私のせいで異動が延びてしまっている状態だった。

 通常、教師は3年以上同じ学校に勤務すると異動対象となる。6年以上同じ学校に居るのは結構稀なんだけど、私の担任扱いにされてしまったので卒業する今年度まで延びていたらしい。

 まあ、なんだかんだ小1からの付き合いだもんね。

 

「先生には本当にお世話になりました」

「こちらこそありがとうございました。改めて、卒業おめでとう! トゥインクルシリーズでの君の活躍、応援してるからね」

「先生が、あのウマ娘は私が育てた!って言えるように頑張りますね」

「あははははっ、期待してるよ!」

 

 

 といった感じで、私は小学校を卒業することができました。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「忘れものは無いね?」

「うん! 私の物は全部詰め込んだよ」

 

 ついにこの日がやって来た。

 私は荷物を積んだキャリーバッグを持って、施設の門の前に立つ。

 今日は私がトレセン学園に入寮する日だ。

 

 既に、お世話になった近所の方々や空手道場への挨拶は済ませてあった。皆応援してるって言ってくれたよ。

 

「いやはや、ついにこの日がきたんだね〜。というか、全部配送してもらっても良かったんじゃない?」

 

 職員のお姉さんが、シミジミとした感じで聞いてくる。

 

「いやいや、流石にそんな大荷物とか無いからね? これで充分なんですよ」

 

 実際、私の荷物は大きめのキャリーバッグとその上に乗せたボストンバッグのみである。

 いや~、普段からそんなに物が多くないとはいえ、詰めるのに割と苦戦したよね。

 

「とっ、そうだ園長先生、あれあれ!」

「ん、そうだったね」

 

 そう言って、おばちゃんが細長い箱を取り出した。

 

「合格と卒業祝いさね。開けてみな」

「えっ、ありがとう」

 

 まさかそんな物まで用意してくれてたなんて……

 少し驚きつつ箱を開けると、中には組紐とリボンを組み合わせた赤い耳飾りが入っていた。

 

「わぁ〜、可愛い」

「気に入ったなら良かったさね。まあ、アンタもトレセン学園に入るなら耳飾りの一つでも身に着けておかないとね」

 

 ああ、なるほど。私の場合は最初から着けてなかったし、前世の記憶もその辺が曖昧だから全く気にしてなかったけど、学園に行くのであれば必要になってくるよね……

 

「ほら、着けてあげるよ。どっちの耳にするんだい?」

「えっと……」

 

 正直どっちでも良いんだけど……

 う〜ん、じゃあ……

 

「左耳で!」

「ん、了解。うん、良く似合ってるよ」

「ありがとう、おばちゃん!」

 

 はい、左耳にしました。

 特に理由があるわけでも無く、アルマちゃんやお姉さんが左耳に着けてるから、お揃いにしようと思っただけなんだけどね。

 いや〜、それにしても。これを着けてると私も遂にトレセン学園に入るんだな〜と実感が湧いてくるね!

 なんて事を考えていると、ボスンッと何かが私に抱きついてきた。

 まあ、何かというかアルマちゃんです。

 

「…………お姉ちゃん。私も来年そっちに行くから待っててね」

「……うん。アルマちゃんなら直ぐ合格できると思うから楽しみにしてるね!」

 

 私も彼女を抱きしめ返しながらそう言った。

 うん、本当に直ぐ受かると思う。

 

 だってこの娘、私のスキル殆ど吸収していったからね!!

 

 いや、実際にスキルが発動してるのかどうかまではわからないんだけど、確実に私がスキルを使ってる時と同じ動作、同じタイミングを身につけてたからね……

 それで、加速とかコーナリングとかがすごく上手くなってたし……

 やっぱり天才っているんだね……めちゃくちゃ悔しい!!

 あと、地味に一度も身長で勝てなかったのも悔しい!!

 結局、私の身長全然伸びなかったんだよねぇ……

 

 

「えっと、それじゃあ……お世話になりました」

 

 アルマちゃんが離れた後、私は三人と施設に向かって深く頭を下げながら言う。

 色々あったけど、ここで過ごした約6年間本当に楽しかった。

 だから、ありがとうございました……

 

 すると、私の脳天に衝撃が走る。

 おばちゃんのゲンコツだ。

 

「いっった〜!」

「はっ、今更なに寝ぼけたこと言ってんだい。今生の別れでもあるまいし」

「そうそう、いつでも帰ってきていいんだからね〜?」

「…………いいの?」

「良いに決まってるだろう? ここはアンタの家で、私らは家族なんだからね。どうせまた山にも登るんだろうから、 夏休み辺りに帰ってきな」

「…………うん!」

 

 涙で視界が滲んだ。

 とっくの昔に枯れてしまったと思っていたんだけど、全然そんな事なかったね。

 帰る場所がある。帰ってきて良い場所がある。

 その事実が、今更ながら私の心を熱くさせてくる。

 頬の筋肉が緩んでいくのが分かった。

 ああ、私は今しっかりと笑えてるだろうか?

 

 

「「「いってらっしゃい」」」

 

「いってきます!」

 

 私は涙と微笑みを浮かべながら歩き出した。

 

 

 

 

 

 

序章 完

 

 





 誰だよ教頭って()
 ……その時、ふと閃いた! このアイディアは今後の展開に活かせるかもしれない!

 といった茶番は置いといて。
 無事、主人公は中央トレセン学園に合格しました!
 でも未だに名前は出ない。来月には判明するから……
 あと、初めて原作キャラが出ましたね。
 彼女のサポカ超欲しいんですけど来ないんですかねぇ?
 
 それにしても幼少期篇だけで3ヶ月も掛かりました。
 長かったですね〜。大体登山のせいです。
 とまあ色々と語りたい所ではあるんですが、絶対長くなり過ぎるので今回はここまでとします。

 次回はまた幕間です。
 おばちゃんやお姉さん達の内心、気になりませんか?
 という事で、来週もどうぞお楽しみに〜


ぱかぱか裏話
☆現時点でのオリジナルウマ娘の耳飾り
左耳→職員のお姉さん・アルマちゃん・主人公(NEW)
右耳→クサノギアーク
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