あれから数週間が経ち、私は無事に退院しました。
体調の改善や軽いリハビリ等で結局1ヶ月以上掛かっちゃった。
そして、今日から私はあのおばちゃんの所でお世話になる、のだが……
「なんか、ちょっとボロっちい?」
「ふん、アンタ生意気だね。まあでも、建物自体が少し古いんだよ」
おばちゃんの養護施設は昔ながらの木造の平屋建てだった。
どうやら色々と修繕はしてるみたいなんだけど、それが余計にボロさを醸し出している。
しかし、ただボロっちいだけではなくその施設には私からすればとても魅力的な物があった。
なんと、広々としたグラウンドがあるのだ。
「元は保育園とかだったみたいなんだけどね。合併とか少子化なんかの影響で取り壊しが決まりそうだった時に、私が格安で買い取ってウマ娘用の養護施設にしたって訳さ」
「ほへ〜」
「まあ、中は改装して綺麗だから安心しな。ほら、風邪引くからさっさと入るよ。」
「は〜い!」
そんなこんなで、私の施設暮らしがはじまったのであった。
◇◇◇◇◇
「アンタ、再来月から小学校に通いな」
「…………えっ?」
ココで暮らし始めて約3ヶ月。
おばちゃんや施設の職員さんに色々学びながら過ごしていた。
といっても、この世界の常識とか、ウマ娘に関する法律だとかだけどね。
炊事洗濯掃除は前世の知識があるおかげで問題なく手伝えてるし、本格的なトレーニングはまだ出来そうに無いので柔軟ストレッチだけしかしてなかったりする。
で、おばちゃんが急に妙なことを言い出した。
小学校????
「なんだいその間抜けな面は? アンタは今6歳で、再来月には7歳だろう? なら学校に行かないとね。日本には義務教育ってもんがあるんだから」
いやまあ、それは確かにそうなのだけれど。
そっか、私の年齢的に来年度から丁度小学一年生になる訳か。
色々考えることが多すぎてその辺すっかり抜けてたなぁ。
私、幼稚園・保育園とかに通ってなかったし……
「ということで、書類は全部書いておいたからね。ランドセルとかはお下がりのになるけど文房具ぐらいは買ってやるよ」
「いやまあ、あるなら全部お下がりでも問題ないんだけど……」
「ガキが遠慮なんてするんじゃないよ、まったく。」
そんなこんなで、私は4月からピッカピカの一年生となった。
◇◇◇◇◇
はい…………半年もしない内に通わなくなりました。
というか、なんかめちゃくちゃイジメられました。
いや〜、今時の小学生って怖いね。小1でがっつりイジメてくるんだもん。
同級生が言うには「髪色が気持ち悪い」とか「無表情なのが不気味な上に声は楽しそうだったりするから怖い」とかが理由らしいです。あ、あと親が居ない事とかも言われたっけ?
うん、まあ是非もないね。
私自身はあんまり気にしてはいなかったのだが、どうやら私の普段の顔は無表情で固定されているみたい。
一応、薄く微笑んだりとかはできるんだけど、あまり表情筋が動かないでいた。
担当医だった先生曰く、虐待等の影響ではないかとの事らしいです。
なのにも関わらず、声だけは楽しそうだったりつまらなさそうだったりと感情が分かりやすいので、不気味すぎて気持ち悪いと言われました。
髪色に関してはどうしようもないですがね!
こちらも栄養不足やストレス等の影響で、わりと濃いめのクリーム色だったものが、白っぽく薄いクリーム色に変わっていた。
その上、耳とアホ毛だけは黒色なので余計に気持ち悪く感じてしまうのかもしれない……
う〜ん、せっかくおばちゃんとか職員さんに、伸ばしっぱなしになってた髪を切ってもらったのになぁ。
そんなこんなで、私は入学後約半年にして不登校となりました。
おばちゃんとか職員さんは心配そうにしてたけど、私は全然元気です!
まあ、勉強に関しては前世の知識があるからある程度は大丈夫な筈。一応、学校で貰ったドリルとかで復習はするつもりだけどね。
さて、そんな感じで私には暇が生まれました。
そう、という事はつまり……なんの気兼ねもなくトレーニングができるということです!
最近は柔軟ストレッチに加えて、軽めのランニングを始めました。
せっかく広いグラウンドがあるんだから有効活用しないとね〜
まあ、100mのトラックなんて余裕でしょ!
なんて思っていたのですが…………
「ぜぇ〜ぜぇ〜、む〜り〜」
そう言いながら大の字で寝転がる私。
その記録、なんと一周。
はい、たった100m程度でもう一杯いっぱいでした。スタミナが全然ありません!
多分、アプリの数値的にはG未満とかになってたりするんじゃないかなぁ?
まだ7歳とはいえウマ娘の体。それでこれは流石にマズい。
ということで、当分の間は足腰を軽く鍛えつつ、スタミナ重視でトレーニングをしていきたい所存。
…………で、スタミナトレーニングってなにすれば良いんだっけ?
「そんなもん、今はいっぱい食べていっぱい運動していっぱい寝れば良いんだよ」
「え、それだけでいいの?」
おばちゃんにスタミナを付けるにはどうすれば良いのかを聞いてみたら、そんな答えが返ってきた。
それも、何をバカなことをとでも言いたげな感じで。
「今のアンタはウマ娘とはいえ只の7歳児だろう? その上、去年までは碌な生活を送れてなかったんだ。体力が無いのは仕方がないんだよ。だから、とりあえず今は少しずつスタミナを増やすために、いっぱい食べて運動してよく寝るを繰り返すしかないのさ」
ふ〜ん、それで良いんだ……いや、本当に良いのかな?
まあでも、他に良い案も思い浮かばないから、とりあえずはおばちゃんの言う事を信じてやってみようと思います!
◇◇◇◇◇
9歳になりました。
今ではうちの100mトラックを、余裕を残したまま全力で10周もできるようになりました。
おばちゃんの言った通りに毎日3食山盛りのご飯を食べて、毎日ヘトヘトになるまで運動して、毎日ぐっすり寝たおかげです!
あと、私は思い出したよ。ミホノブルボンが坂路でスタミナを鍛えていた事を。
ということで、最近は長い坂道とか神社の階段とかでもトレーニングを始めました!
でも、これでやっと1000m。確か、短距離レースが1200m〜1400mだから最低でもあと400mは走れるようにならないと……
それに、天皇賞(春)とかだと3200mだもんね~
今の3倍強……
「ま、まだまだ頑張らないと!」
そんな感じで、私は今日も今日とてトレーニングに励んでおります!
「…………ふむ、なかなかやるじゃないかい」
今回は一足飛びに現状把握回。
まさかの初手不登校になりました。
これで、いっぱいトレーニング出来るね♪
養護施設や小学校でのイベントは、そのうち幕間とかで出すと思います。
次回からは急なスタミナ強化回。
序章が長くなった元凶が始まります。
という事で、来週もお楽しみに〜