現代に来たサキュバスさん   作:nyasu

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紙が使い捨てって嘘だろ!?

や、やっちまった。

交番とやらで憲兵の記憶を消して逃走するハメになった。

この世界の常識がないために、こんなにも早く偽造を見抜かれるなんて……いや、特殊な教育を受けた特権階級だったからかもしれない。

憲兵にしては身綺麗だった、いや身奇麗さは文明レベルに左右されそうだから貴族かどうか分からんぞ。

そもそも、貴族制を採用している国家なのだろうか。

身分証明を求めるとは一見平和に見えるが戦争している国なんだろうか。

それとも人種差別をしていて、特定民族を管理しようとしてるんだろうか。

 

「記憶を覗いた時にマンガ喫茶とやらにいる家出少女と思われていた」

 

言葉の意味を考えるなら、家出をする少女だ。

少女が家出をした場合、特殊な技能がない限り行き着く先は娼婦だ。

娼婦が宿を借りるのはリスクがある。

色々あるが治安とか宗教観的に迫害傾向があるため、危険なのだ。

 

「つまり、マンガ喫茶は脛に傷がある奴でも借りれる宿だ」

 

犯罪者予備軍の巣窟がマンガ喫茶に違いない。

早速、私はマンガ喫茶を探す事にした。

憲兵は警察官と言う存在、家出少女とはこのスマホなる四角い物体で客を取るらしい。

これは同じようなものを持ってる人間と連絡を取り合い、更に分からないことは調べ物も出来る。

食べ物の配達や記録媒体がないと出来ないような動画の撮影、写真の現像、音楽の再生。

意味が分からない、なんでそんなに機能があるの、魔道具でももっとシンプルだよ。

いや、軍人とか頭おかしい奴らは多機能なのもってるけど、きっと高価な物なんだ。

 

「だが、これでマンガ喫茶を調べれるのも……パスワード?」

 

コ、コイツ!?

まさか、使い魔契約されてるのか。

なんだ、パスワードって、パスワードを入力なんて知らないから出来ない。

し、指紋認証なんなんだよ、もう~!

 

「私はポンコツだ、なにも出来ないんだぁ」

「おねぇさん、大丈夫?」

 

所詮、私はサキュバスなんだ。

誰かに寄生しないと生きることも出来ないポンコツ種族なんだ。

 

「あぁ……」

「えぇ、泣いてる。マジぃ、大丈夫?どうしたの?」

 

目の前にいたのは、年若い女……女の子だ。

多分子供、顔が平べったいし幼く見えるけど夜に街を出歩いてるし、半袖に太ももが見える服だ。

娼婦だ、気持ち程度の布を纏うのは娼婦だ、私はサキュバスだから詳しいんだ。

 

「あっ、あっ」

「大丈夫そ?落ち着きなって、何?何なの?」

「ま、マンガ喫茶が、スマホが使えなくて、泊まるとこが」

「どういうこと?あー、終電と充電ないとか?いや、充電あるな」

 

目の前の娼婦は、金髪だった。

この国の民族は黒髪が多いから別の民族だろう。

エルフの血とか混じってると、だいたい金髪だ。

胸は小さい、エルフの血を引く者だ。

 

「ロックが、パスワードが」

「パスワード覚えてないの?嘘だろお前」

「うぅ……」

「あー、もう泣くなって。始発まで入れりゃいいんでしょ……っだぁ、もう仕方ねぇなぁ。終電無くなりそうなのに、マンガ喫茶まで連れてってやるから泣くなって、な」

 

娼婦の子は、ギャルだと言った。

ギャルは職業みたいなもんらしい、名前はユキという。

渋谷にはクラブと呼ばれる音楽とダンスをする場所があり、そこでいい男を探しに来たらしい。

踊り子兼娼婦って奴だろう、サーカスなどの巡業するヒューマンには多いと聞く。

エルフは接触を嫌うから、たぶんハーフエルフとかそんなだろ。

 

「ビームのネカフェは高いけど、綺麗だし無人だから登録さえすれば平気だから。カード作るから身分証明できるもんある?ないなら、内緒であたしと一緒」

「あ、な、ある、いやない」

「どっちよ!もう」

 

いや、あるけど免許は使えない。

この免許を使わないでいるためには、ないことにしないといけない。

 

「持ってないのね、まぁバレなきゃ平気よ。どうせ無人だし」

「う、うん」

 

ビルを進むと、マンガ喫茶に到着した。

そこはボロボロの古い宿ではなく、鋼鉄の柱に囲まれた大きな部屋の、その中にある店だった。

その店は中に植物があったり、高級品である本が無造作に置いてある。

ぶ、文明レベルが高すぎる!異世界は近未来的だ!

 

「フラットルームにするから、シャワーもあるよ」

「な、なにそれ?」

「シャワーがあること知らないの?」

 

ユキはシャワーの場所と使い方を教えてくれた。

すごい、これからお湯が出るのか。

なるほど、魔道具に似ているから大体仕組みは分かったぞ。

この世界のお金に関しては、あとで調べるとしよう。

 

「な、なんていうか……ヤバいわね」

「ふぇ?」

「アンタ、わざとやってんの。すっごいわね、うん」

 

シャワーの使い方を教えてくれたユキは、じっと私の胸を見ていた。

そして、匂いや鼓動の音、視線から興奮していると理解できる。

 

『うわ、えっろ。かわいいと思ってたけど、胸もデカいし、なんで触りたいって……女の子だよ、いや、むしろ合法的に触っても捕まらないし見てもいいのでは?』

 

あぁ、思考が、思考を覗いてみたら発情してらっしゃる。

くそ、おのれのサキュバス体質が憎い。こんなにエロいなら、サキュバス体質などいらぬ。

いや、性別問わずに誘惑して捕食しやすくなるように出来てるから仕方ないんだけどね。

 

「あの、あとで触っていいからシャワー使っていい?」

「は、はぁ!べ、別に触りてぇとかねーし!部屋間違えんなよ、先寝るから!」

「あ、うん」

 

いや、思い切り発情してたんだよなぁ。

 

 

 

お湯を浴びて、そのまま出てくる。

服も、自分の肉体を変化させて作ったものなので脱いだりする必要はないから用意しなくていいのは利点だ。

帰り際に本を手に取るが、厚みもなく植物と炭で出来ていた。

外側だけ羊皮紙のような物に顔料で彩色しているのだが、この世界にはどれだけの絵師がいるんだろうか。

それとも魔法で量産をしているのか、謎だ。

 

「あっ」

「あっ、あっ、あっ」

「あー、アンタも飲む?そう言えば名前聞いてなかった」

 

飲むって?

視線を向ければ手には白い物を持っていた。

なるほど、飲み物が入ってるのか。

後ろの機械がそうなのだろう、おぉ横に白いのがある。

横の突起を押せば……落ちてきた。

なんだこれ、紙?紙で出来てるのか!

 

「ど、どうするの?」

「えぇ、嘘でしょ」

「ごめん」

「どうやって生きてきたのよ、ここに置いて」

 

言われたとおりに置くと、ボタンを押すように言われる。

3つもあるよ、どうしろと……とにかく押してみるか。

うわっ!なんか出てきた、すごい飲み物だ。

なるほど、中に小さい樽が入っていて押すと押し出される仕組みなのか。

 

「ゲホッ!?」

「ちょ!?何やってんの!」

「だ、大丈夫……炭酸だった」

 

酒……酒じゃないけど発酵してた。

いや、でもエールでもここまで炭酸が強くないんだが、炭酸泉でも混ぜてるのか?

どこかに炭酸泉のような水、炭酸水が湧くという。

これは酒の発酵によって発生するレベルじゃないし、混ぜてるのだろう。

 

「シャワー浴びたばっかなのに何やってるの、服は付いてないか」

「ごめんなさい」

「子供か、もう紙ナプキンあるから平気だから」

 

一緒に床を拭いて、部屋に向かう。

使い捨てするなんて、紙がたくさんあるんだろうか。

また紙が出てくる、それを部屋の横に翳すと部屋が開く。

紙で認証しているのか、魔力は感じないけどなんだ?

 

中にはスライムのような弾力の黒い板があった。

ふわふわである、そして金属の箱。ガラスがハメられており、何やら絵が写っている。

 

「パソコン見過ぎでしょ」

「これ、なに?パソコン?」

「マジでどうやって生きてきたのよ……」

「ちょっと待って」

 

使い方が知りたかったので、ユキの目を見て視線で洗脳状態にする。

そして動かなくなったユキをそのまま抱きしめて、夢の世界へと誘っていく。

夢魔とも言われるサキュバスの手に掛かれば、夢の中に行くのも簡単だ。

この子の記憶を今から呼び起こして追体験する。

君にとっては人生の振り返りだけど、夢の世界だから現実では一瞬の出来事だよ。

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