現代に来たサキュバスさん   作:nyasu

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焼肉の原価って大体100円くらいらしい

最近、生活が安定してきた。

シフトのある日は佐藤のとこでバイトして、なんか満席になるようになって2時間制になったけど。

シフトのない日は由貴と正式採用されたキャバクラで働いて、何故か指名が入りまくってお酒ばかり飲まされるけど。

 

でも、お陰で月収が100万を超えた。

やった!えっ、確定申告ってなんですか?使いすぎなきゃいい?

了解です!よく分からないけど、わかりました!

 

給料の時に店長になんか言われたけど、今日は佐藤とご飯である。

借金もちゃんと返さないといけないしね、お肉も食べるよ。

そういう話を由貴にしたら、色々と服とか買う羽目になったけど。

 

「えっ!?アンタ、男と飯!」

「仲のいい友達」

「……ちゃんとした服を買うわよ」

 

的なことがあって、フリルの付いた黒いスカートとか露出を控えたいと言ったら長袖のブラウスとか買わされた。

あと、マストと言うことでギャルのプライドとか言う厚底ブーツ、うーん攻撃力はありそう。

 

そして意気揚々と今日は佐藤とバイト先の最寄り駅で待ち合わせ。

滅茶苦茶、話し掛けられるから後半は透明化の魔法でやり過ごした。

佐藤が見えたらすぐに透明化を解くつもり……いた!

 

「佐藤」

「あっ、し、詩愛さん……」

「行こ、楽しみ!」

 

佐藤は知らないだろうけど、下調べはばっちしである。

案内のために、佐藤の手を引っ張って進む。

逸れたらまずいしね、ヒューマンは貧弱って図鑑にも書いてある。

 

「あっ、は、話したいことって……あっ、店に付いてからか」

「今日、借金返そうと思って」

「……なるほど、そっか……うん」

 

あれ、なんで嬉しそうじゃないの?

あー、大金だもんね。配慮が足らなかったかー。

 

「ここ!スゴイんだよ、焼肉がね、食べ放題!」

「まぁ、うん、チェーンだしね」

「えっ、佐藤知ってたの……」

「知ってるというか、有名だね」

 

な、何だって!ネットで調べて何度も目を疑ったのに……それもそうか牛肉なんて物を食べ放題出来るなんて有名になるもんね。

 

「王様カルビとかキムチとか美味しいよね」

「そうなんだ」

 

お店に入って自分の苗字を言う。

何を隠そう、初めて、ネットで予約をしたのだ。

正直スマホをポチポチしただけでどうして予約をできたのか知らないけど、由貴が言うには魔力みたいな電波と呼ばれるものがインターネットに繋がり、そこを経由してお店に連絡が行くらしい。

つまり、インター・ネットさんが沢山の人の連絡を捌いてるのだ。

すごい、働き者過ぎる。

 

「ネットさんは偉大って分かるんだね」

「あ、うん」

 

案内された席には穴が空いたテーブルがあった。

中に炭の入った籠を置かれる。

おー、これが噂の炭火……炭とか見たことあるけど、普通は製鉄用だから肉を焼くために使うのはおかしい。

あと、やはり貴重な牛を肉にするのもおかしい。

この世界じゃそんなことないってびっくりだけど。

 

「たぶれっと?でっかい、スマホ」

「あー、何頼む?」

「肉」

「えっ、種類は?」

「種類って?」

 

肉は肉じゃないんだろうか。

あー、由貴から手に入れた知識に偏りがありすぎる。

佐藤、砂糖の表示した肉の名前多すぎ!それは何なのだ。

カルビとロースとハラミって同じ肉じゃないのか!

 

「お通しの塩キャベツとタン塩でーす」

「えっ、頼んでない……」

「えっ?」

「あっ、あー!彼女外国の人で、チャージ料って奴だよ!」

 

ちゃーじ料?なんか置いてかれた。

こんな野菜とかいら……なんだこれ、ちょい塩辛くてサクサクしてて美味しい。

あと、この薄い肉はなんだ……焼けばいいのかな。

 

「早い、早いよ。じゃあ適当に頼んじゃうね」

「うん、佐藤食べていい?」

「早いよ、生焼けだよ……はい」

 

お皿に置かれた薄い肉、ちょっと脂が滲んでる。

佐藤がなんか掛けてくれる、レモン汁、あのレモンか!

肉にレモンを掛けて食べるのか、いただきます。

おっ、サクサクしてる。柔らかくて……少ない。

 

「なくなった。あっ、これ」

「封筒に入れてたんだ。どうも」

「あとキャバクラで働き始めたから、来てね」

「キャ、キャバクラ!?えっ、なんで」

「誘われて、No.1らしい」

「すごっ、いや、残当か」

 

佐藤にお金を渡したタイミングで、たくさんのお肉が乗った皿がやってくる。

あっ、なんか薄く切って提供するのか。

脂の量ごとに名前が違うのか。

 

「じゃあ、今」

「えっ?」

 

取り敢えずお皿ごと取ってひっくり返したら佐藤が固まった。

えっ、焼くんでしょ?私、何かしちゃいました?

 

「並べるから……落ち着こうね、詩愛さん」

「怒ってる?」

「怒ってないけど、盛られるまで食べちゃダメ。皿も触らない」

「怒ってる!」

 

手伝って上げようと思ったのに……あっ、これ美味しい!

カルビって言うのか、脂がすごい!肉も厚みがある!噛み切れない、飲み込む系だ。

 

「はぁ……えぇ、めっちゃ見る。何?」

「それ」

 

肉を焼いてる佐藤の方を見たら、何やら黒い紙を食べていたのを見つけた。

でも、美味しそうなので多分食べ物だと思われる。

 

「韓国海苔だけど……」

「食べてみたい」

 

口を開けて待ってみる、くれ!佐藤が渋々、口に入れてくれた。

うーん、塩の味しかしない。海藻の類か。

微妙、佐藤はずっと食べてるな。

 

「あっ微妙だったんだ」

「美味しいけど、お肉がいい」

「そうだろうね……そういえば俺、詩愛さんのことあんま知らねぇや」

 

言われてみれば、ナンパで知り合ったし、あの頃は周りに馴染もうと擬態してた時だったはず。

今は、日本人に多い黒髪!周りに馴染めるように平べったくして黒目、肌色は黄色人種、完璧である。

ジライケイって由貴が言ってた、なんかそういうジャンルらしい、よく分からないけど見た目の分類だろう。

 

「詩愛さんって、どこ出身なんですか?」

「えっと……外国かな?」

「あぁ、だから抜けてるところがあるんですね。ハーフなんですか?」

「親は両方とも生まれてすぐに死んだかな」

 

確か冒険者の父親を殺したら、その仲間に母親は殺されたはず。

寝取られ趣味だったから、恨まれたんだろうな。

 

「……ッスー、肉焼けましたよ」

「わーい」

 

ハラミ、そこそこの脂でさっぱりしてる。

でも食べごたえはこのロースかな、タンって奴も美味しいけどね。

タブレット、なる物を私もタッチして頼みまくってみる。

5皿も本当に来るんだろうか、おぉモツ系があるぞ。

腐りやすいのに食べれるってことは、店の中で捌いてるのかな。

 

「今は、あれ、ルームシェアしてるんでしたっけ」

「うん、こっち来たら住むとこなかったし頼れる人もいなかったからね」

「…………」

「どうしたの?焼かないの?」

 

お腹が空いたのか、佐藤が時たま動かなくなる。

仕方ないな、ほらあーんしな、食べさせてあげるよ。

さぁ、私のために肉を焼くのだ。

 

「詩愛さんって苦労してたんですね」

「そうなんだよ、戸籍作ったり口座作ったり借金とか大変だった」

「……あぁ、俺以外にも借りてたのか」

「もう返したよ!」

 

ホルモン、ネギ塩ラーメン、梅しそ冷麺、ミニビビンバ、いっぱいお皿がやってくる。

佐藤が困惑してるけど、大丈夫だよ!全部食べれるからね。

すぐに消化して肉体の一部にするから体積増えるけど、圧縮したら見た目は変わらないから大丈夫。

 

「相変わらず、すごく食べますね」

「昔、食べ物なくて死にかけたからね。食べれるときに食べるんだ」

「出てくるエピの闇が深すぎる……」

「まぁ、今は命の危機とかないし幸せだよ!」

 

前の世界より弱い奴しかいないし、武器持って襲ってこないし、食べ物は溢れてるし、謎の技術で生活は楽。

実験で死にかけたりしないし、喧嘩も売られない、住居は騒音とかないし、書類仕事押し付けられない。

 

「いやぁ、ほんと幸せだな」

 

まさかこの発言がフラグと言う奴になるなんて、焼肉を食べてる間は知らなかったのであった。

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