俺とGANTZとさしす組 作:GANTZサイコー!呪術廻戦サイコー!!
主に玉折の夏油関連。
時は過ぎ、2007年4月。
じゃんけん組は2年生から3年生になり、七海建人と灰原雄は2年生となり、新入生の入る時期。どうやら今年の新入生は1人らしい。
「ど、どどどうも......
呪術高専に入学式なんてものは無い。なので、後輩と関わろうとするなら自分から行かなくてはならない。
ので、じゃんけん組と後輩組はたった1人の新しい後輩のいる教室に殴り込んだ。
「うわっ。初期環より呪力低いじゃん。」
「悟。思ってても言わない方がいいよ」
「お前もな傑」
「老けてる顔してんね。ホントに高1?」
「よろしくお願いします。伊地知さん」
「よろしく後輩くん!!!何怖がってんの!?」
「(個性が強すぎる......!)」
第一印象は大体そんな感じだった。
じゃんけん組(家入硝子以外)がはしゃいで持ってきたお菓子やらジュースやらを、机を組みあわせた即席大テーブルに広げ、早速新入生歓迎会を行う。
じゃんけん組、後輩組が粗方自己紹介を終える。
「で、伊地知くん。術式と階級は?」
「4級で、術式はありません......」
「そうなのかい?何故呪術師に?」
「その......呪いは幼少期から見えていて、呪術の存在も子供の頃知りました。術式がないと自覚した時は別の道も考えたのですが、呪術界は人手不足だと聞き......後将来仕事に困らないので......」
「へぇ〜」
「(この家入先輩、ナチュラルにタバコを吸っている......不良だ......!)」
「オマエ、どうやって戦うの?」
「あっ......えっと、結界術を主に......【帳】はもちろん、色々な結界術を学びました。4級呪霊なら、なんとか倒せます」
元々小心者の伊地知潔高は、早速自分が呪術師としてやって行けるのか不安になっていた。
更に時は過ぎ、2007年8月。
「傑。お前に任務だ」
高専寮夏油傑の部屋。今日も今日とて結界術の本を読んでいた夏油傑は、訪ねてきた夜蛾正道の対応をしていた。
「悟と環は出払っている。硝子は2級に上がったが、今回は1級術師への任務だ。今対応出来るのはお前しかいない」
「了解しました。少々お待ちください」
扉を閉め、部屋着から高専制服に着替える。
現状、高専唯一の1級術師である夏油傑は、【特級である五条悟や願田環、特級相当の伏黒甚爾程の手を煩わせるほどじゃない】が【2級以下の術師に頼るのは少々頼りない】任務という絶妙な位置の任務を取り扱っていた。高専生に経験を積ませるため、ある程度任務内容は選別されているが、2日に1回程の頻度で任務がある。
「準備出来ました。行きましょう」
「あぁ。今回は少々遠出になる。ブリーフィングは車内で行ってくれ。」
夜蛾正道が任務の依頼書ファイルを夏油傑に渡す。
「(地図にも載ってない山奥の集落か......)」
ある程度任務内容を頭に叩き込み、車内でファイルをパラパラめくる。
「(1級かぁ......最近、
同期達3人は特級2人に2級が1人。そこに1級である自分が1人。バランスのいいチームだと思っている。
「(特級なんてただの階級に過ぎないし......貰える金が増えるのは嬉しいが、それに比例して責任も重くなる......いや待てよ。悟は言わずもがな最強だし、環との模擬戦では、領域展開なしとはいえ【うずまき】の力もあり最近は勝てるようになってきている......戦闘能力で言えば、私も特級になるべきなんだろうか......)」
「夏油1級術師。着きましたよ」
パタン。とファイルを閉じ、思考を切り替える。
「ありがとうございます」
「いえ。後、1級呪霊を祓った後の事なのですが、なにやら集落の村長が夏油1級術師とお話がしたいと」
「話を?......分かりました。任務が終わったら行ってみます。」
石畳を登り、目的地へ歩く。
難なく1級呪霊を取り込んだ夏油傑は、前の話通り近くの集落を訪れていた。
「(暑いな......)」
今日の最高気温は30°を越えるらしい。
格納呪霊を取り出し、呪霊の中から冷たいペットボトルの水を取り出す。それを数口飲み、また呪霊の中にしまう。
「貴方が夏油さんですか」
「えぇ。どうも」
いつもの貼り付けたような笑顔を浮かべ、村長らしき人物と会う。なんの用だろうか。
「実は、最近の連続失踪の原因を捕まえてですね。処分なりなんなり、そちらで決めて頂きたく......」
「(原因?)原因なら、さっき私が祓いましたが......」
「あぁいえ。そちらもそうなのですが、その......呪霊?を呼び寄せる者が居て......」
「(呼び寄せる物......呪物か何かだろうか)分かりました。案内お願いします」
「おぉ。いやはや助かります。何分村民100も超えない程小さな集落でして、どうすべきか悩んでいたのです......」
そして案内されるは、倉庫......というより、蔵?のような場所である。村長と村民が何人か居て、扉を開くと、中には昔ながらの木で出来た牢屋があった。
「............これは」
中には、姉妹と思しき女児が2人。
「この2人は可笑しい!不思議な力で、度々村人を襲うのです!」
「原因は私が祓いました」
こめかみに親指を当て、考え込む夏油傑。
「私の孫もこの2人に殺されかけました!」
「そ、それは【アレ】が......!」
「黙りなさい!貴方達の親もそうだったッ!」
「..................ふむ」
冷静になれ。1度頭を整理しよう。
五条悟ならどうするか。願田環なら、家入硝子なら、七海建人なら、灰原雄なら......
「皆さん、少し外へ出ててくれませんか。この2人は私が何とかします」
「おぉ!それは助かります!よろしくお願いします」
村長を含めた村民を全て外へ出し、蔵の中には【呪い】の見える檻に囚われた姉妹と夏油傑だけになる。
夏油傑は完全に扉を締め、牢屋の元へ戻る。
「「ひっ」」
夏油傑を見た姉妹が恐怖の声を絞り出す。
バガァン!!という音が蔵の中から鳴り、外で待機していた村民達は驚く。しかし、外に居て欲しいと頼まれた都合上、無闇に中に入る事は出来ない。やがて、蔵の扉が開かれ、中から夏油傑が現れる。
「げ、夏油さん。」
「安心してください。皆さん。【なんとか】しました」
笑顔のままそれだけ言って、村の出口に歩いていく夏油傑の背中を呆然と見る村民達。蔵の中を覗くと......
「こ、これは......」
「あの子達は......?」
蔵の中に入ると、向こう側の空の風景が見えるくらい破壊された牢屋があった。蔵の入口(出口)がもう1つ増えてしまった。もう牢屋だった面影はない。
「お疲れ様です。夏油1級術師」
壮年期終わり頃の、男性の補助監督の元に戻る夏油傑。
車の扉を開いてくれる補助監督に、手で待ったをかける。
「夏油1級術師?」
「すみません。少々お待ちを......」
人差し指と中指を喉の奥に突っ込み、嘔吐を促す。想定通り胃の中の物が対外に排出される。
「オエッ......伏黒先生はこんなことしてたのか」
手に握られているのは、自身の体を自身の口の中に格納し、ビー玉程にまで小さく丸まった格納呪霊。
「夏油1級術師。それは......」
補助監督の言葉を無視し、格納呪霊を拡大させ、中にいる【姉妹】を取り出す。
夏油傑の【呪霊操術】は、自身の体の中に呪霊を蓄積。使役する術式である。もちろんだが、人間は蓄積出来ない。
あの場で、とりあえず姉妹に冷たい水を与え、水分補給させた夏油傑は、君達は自身が保護する事、同じ力を持つ人々のいる学校に連れて行ってあげる事を告げ、格納呪霊の中に入るように促す。【人間を口の中に入れた呪霊】を呪霊操術により自身の体の中に蓄積する事は出来ない。どうやって運び出すか少し考え、伏黒甚爾がしていた【呪具や人間の運び方】を思い出し、実践してみることにした。最初は怖がっていた姉妹達だが、冷たい水をくれた優しいお兄さんを信じ、格納呪霊の中に入る。そして格納呪霊に自身を格納させ、飲み込む。久々に感じる不味い味に顔をしかめるが、仕方ない。
牢屋も過剰に破壊したし、村民はこの子達が【死んだ】。あるいは【消滅した】と思うだろう。
「集落で保護しました。呪いの見える子達です。このまま高専に連れて帰ります」
「は、はぁ......」
「ほら、行こう。2人とも」
ひんやりとした空気の流れ込む車内の誘惑に、姉妹は耐えきれず、恐る恐ると言ったふうに乗り込んだ。その後、夏油傑が乗り込み、補助監督が運転席に座り発進する。
「君達、名前は?」
格納呪霊から冷たい飲料と食料を取り出し、パクパク食べる姉妹に問いかける。どうやら長い間ご飯もまともに食べていなかったらしい。子供に、しかもこんな猛暑であんな蔵に長時間放置されたら死んでもおかしくない。
「
「
「そうかい。美々子ちゃん。菜々子ちゃん。年齢は?わかる?」
「4歳です」
「私も......」
話を聞くに、親も【見える】側の人間だったらしく、その体質を色濃く受け継いだらしい。昔から
「(胸糞悪いね......)」
小さな口で携帯食料をパクパク食べ、コクコクとジュースを飲みながら、少し泣いている枷場美々子と枷場菜々子を横目に、外を見る。
「(【弱者生存】【強い者は弱い者を守る為にある】......か)」
自分の信念を思い返す。
【
最初枷場美々子と枷場菜々子を見た時、少しだけ、ほんの少しだけその信念がゆらぎ掛けた。昔の......1年と少し前の自分なら、また別の選択肢を選んで居たかもしれない。
でも、夏油傑は
五条悟が。
家入硝子が。
願田環が。
「(私の信念は変わらない......)」
これからも仲間達と共に、胸を張って生きられる道を選ぼう。そう思った。
悪夢はもう見ていない。
「あ!夏油先輩!」
「灰原」
高専に戻り、しばらく経った。
枷場美々子と枷場菜々子が高専に馴染み始めた頃(2人とも夏油傑の部屋に住んでいる)、任務も授業もない夏油傑は、スウェット姿で枷場美々子と枷場菜々子を連れて、室内の自動販売機コーナーに来ていた。外は雨である。
そこで、偶然制服姿の灰原雄に出会った。
「あ、灰原さん!」
「こんにちは!」
「2人ともこんにちは!!!」
枷場美々子と枷場菜々子も大分人に慣れてきた。最初は夏油傑以外の人間にはビクビクだったが、呪霊の話や術式の話を目の前でポンポンする人達を見て、意外と自分達のような人間は居るんだなと思った。
「灰原。ジュースいるかい?奢るよ」
「いやぁ〜悪いですよ。コーラで!」
「ハハッ」
「夏油様夏油様!私オレンジジュース!」
「私おしるこ!」
「菜々子は随分渋いチョイスをするね......後夏油様は止めてくれと何度言ったら分かってくれるんだい......」
ベンチに座り各々のジュースを飲み、一息つく4人。
「夏油先輩。俺明日の任務遠出なんですよ〜」
「そうなのかい?お土産頼むよ。そうだなぁ......悟も食べるだろうから、何か甘い物と......環は抹茶味ならなんでもいいだろう。」
「リョーカイですっ!」
「私達も!あまいもの!」
「私はしょっぱいの......」
「アハハハハ!分かった!美々子ちゃんと菜々子ちゃんにも何か買ってくるよ!楽しみにしててね!」
そんな談笑をしていると、夏油傑が灰原雄に問いかける。
「......灰原。呪術師はどうだ。やっていけそうか?」
「え?......んー。ほうれふねー......自分はあまり物事をよく考えないタチなのですけど......まぁでも!」
コーラ缶を置き、自分の顔を親指でグッ!と指す。
「出来ることを精一杯頑張るのは、気持ちがいいです!」
「......ハハッ。そうか。そうだな」
コツコツ、という足音が前から迫ってくる。
誰だろう。と、4人が前を向く。
「君が夏油くん?」
スラリと伸びた足に、ノースリーブシャツを着る長身の女性が居た。
「どんな女がタイプかな?」
いやいやいや。
「誰ですか」
率直な意見を言う夏油傑。
「自分は、沢山食べる女の子が好きです!!」
こちらも率直な意見を言う灰原雄。
「私は夏油様すきー!」
「私も......」
「3人とも......」
まずこの高専に不審人物が現れた事を不思議に思えよ。と思った夏油傑だった。
「大丈夫ですよ!悪い人じゃないです!俺、人を見る目には自信があります!!」
「灰原ぁ......君って子は......」
「?なんですか?その呆れた様な目は?」
「実際呆れてるんだよ」
「ガーン!」
オノマトペを口に出して言う灰原雄に、笑う夏油傑。
「それじゃ、僕は失礼しまーす!バイバイ美々子ちゃん菜々子ちゃん!お土産楽しみにしててね!」
「バイバーイ!」
コーラ缶を捨て、自室へ戻る灰原雄に手を振る夏油傑と、謎の女性と、枷場美々子と枷場菜々子の4人。
「後輩くんかい?可愛いじゃないか。
それで?夏油くんの好きな女のタイプは?」
「まだ続けるんですか。その話題」
「気にしなくていい。率直に聞かせてくれ。心理診断みたいなものだよ」
じゃれてくる
「ちなみに女児でもいいよ」
「対象外です」
「ガーン!」
今度はミミナナががっくりしている。
「そうですねぇ......身体的にも肉体的にも強くて、生きるのに意地汚い人が好きです」
「ふーん......そっか!」
なんだったんだ今の質問は。と思うと同時に、まともに答えた自分が馬鹿らしくなってきた。
「今度は私の質問に答えてください。貴方誰ですか」
「特級術師、
現在日本にいる特級術師は3名。
五条悟。
願田環。
そして、九十九由基。
「へぇ。貴方があの」
「おっ。いいねぇ。どのどの?」
期待で喜色満面の笑みを浮かべる九十九由基に、聞いていた情報を頭の中で整理し、言葉にする。
「特級のくせに任務を受けず、海外をプラプラしてるろくでなしの......」
「えー?」
「仕事はするべきだと思います」
「............」
忌憚なき意見を述べると、不貞腐れてべんちに溶ける九十九由基。女児2人の追撃も痛かった。
「私高専ってキラーイ」
「貴方のせいで悟と環がどれだけ苦労してるか......」
「それは悪かったね。まぁ冗談さ。でも高専と方針が合わないのは本当だよ。高専がやっているのは対症療法。私は原因療法がしたい」
「原因療法?」
高専は、基本外から来た依頼を任務として学生や各呪術師に課し、祓う事で報酬が発生する。対症療法とはその事を言っているのだろう。では原因療法とは?
「呪霊を【祓う】んじゃなくて、呪霊の【生まれない世界】を作ろうよ、ってことさ」
「............」
すぐに浮かんだのは【無限空間】の事。あの世界に呪霊はいない。つまり九十九由基の言う【呪霊の生まれない世界】という事になる。
そも呪霊とは。
人間から織り成した呪力が折り重なり、形を成した物の通称である。それは恐怖だったり嫉妬だったり欲望だったり......そういった負のエネルギーが型取った物が、【呪霊】である。
「私の望む世界を作り出す方法は2つ。
1つ、全人類から【呪力】を無くす。
2つ、全人類に【呪力】のコントロールを可能にさせる。
1つ目はね、今の所結構良い線行ってるんだ。まだ会ったことは無いけど、
「モデルケース?」
「君も良く知ってる人さ。禪院甚爾......今は伏黒甚爾だっけ。天与呪縛により呪力が一般人並みに落ちるケースはいくつか見てきたが、【完全に】呪力がない人間は彼1人だけなんだ」
「あぁ、伏黒先生ですか......」
今でも体術訓練で壁や地面に幾度となく叩きつけられる
「彼の面白い点はそれだけじゃない。彼は呪力0にも関わらず、研ぎ澄まされた五感によって呪霊を認識出来た。呪力を完全に捨て去ることで肉体は一線を画し、逆に呪いの耐性を得たんだよ。正に超人。彼に勝った願田環くんには1度会いたいと思ってね。今日高専に来た理由でもあるんだ」
九十九由基が言うには、自分は3つの目的があって高専に来たらしい。
そのうちの1つが、伏黒甚爾に会う事。そして願田環に会う事。
「ここで話すのもなんです。環の所に行きましょうか。美々子、菜々子。2人は部屋に帰っていてくれ。暑いだろう」
「「わかった!」」
願田環の部屋につき、コンコンとノックする。
「はいはーい」
ガチャッと開けた扉の先には、いつものガンツスーツに白シャツ、青い短パンを履いたラフな格好(?)の願田環。
「傑じゃん。どったの。てか後ろの人誰」
「やぁ。願田環くん。私は九十九由基、って言えばわかるかな」
「九十九?あーはいはい。特級の」
「そう!特級の!」
「海外プラプラしてるろくでなしの」
「............」
どうやら願田環の頭の中の九十九由基と夏油傑の頭の中の九十九由基に違いは無いらしい。
「顔合わせッスか?」
「まぁそんなもんかな」
「環。九十九さんは君の【無限空間】の事について、色々聞きたいらしい」
「え?無限空間?なんで?」
「夏油くん?なんだいそれは」
そういえば話していなかったか。とわざとらしく言い、九十九由基に微笑みかける夏油傑。
「九十九さんの【理想の世界】ですよ」
「............これが」
九十九由基は困惑していた。
自分の呪力感知をフル活用しても、眼下の都市から呪力を感じない。偽物か、幻影か、錯覚か。そうとも思ったが、そんなチャチな真似を同じ特級がするとは思えない。
まさに九十九由基の【理想の世界】が広がっていた。
「環くん。ここはどこなんだい?」
「GANTZ......あぁこの球体。GANTZ曰く、【未来】だとか。」
「【未来】......いつか人類は、繁栄したまま、呪力からの脱却が成功するのか......!」
困惑の次に襲ってきたのは歓喜。
「環くん!ありがとう!!君のお陰で私の1つ目の仮説が地に足着いた気分だよ!!!」
願田環の両手を掴み、ブンブンと上下に振る九十九由基。九十九由基の人生で、これ程感動して、気分が高揚した事は無い。
「そうか!!!そうか!!!遠い未来!!!人類は呪霊の恐れから解放され、見事繁栄してみせるのか!!!!」
ハーハッハッハと笑う九十九由基を見て、願田環は最近の【未来】の仮説を思う。
「(ここが未来なのはGANTZが保証してくれてるけど、何億年......もしかしたら地球が爆発でもして1度種がリセットされ、ただ同じ世界の同じ座標の、似た都市のようなものなだけで、下にいるのは【人類】と呼んでいい存在なのかどうかも怪しい......とは言わないでおこう)」
【未来】とは【無限に存在する可能性】だと願田環は思っている。なので、たまたま【呪力を持たない人間】か【負のエネルギーを持たない死を克服した存在】が眼下の都市を作ったのかもしれない。と最近は思っていた。まぁ【無限に存在する可能性】なので、有り得なくはない。
「あっ、そうだ。最後の用事をすっかり忘れていたよ」
九十九由基はひとしきり興奮しきった後、懐からカードのようなものを取り出し、夏油傑に渡す。
「夏油くん。君の新しい学生証だ」
渡されたカードを見ると、今まで【一】と書いていた階級を示す場所に【特】という文字が刻まれていた。
「おめでとう夏油くん。4人目の特級術師誕生だ」
「すげーじゃん傑!おめー!」
「1ヶ月で特級になった君に言われてもね......」
これで
「それと、環くん。君、好きな女のタイプは何かな?」
「え?そうっすねぇ......」
夏油傑と肩を組んで学生証を眺めていた願田環が、九十九由基に向き直る。
「俺よりも
瞬間、九十九由基の脳内に流れる【存在しない記憶】
「由基。ただいまぁー」
「おかえり環」
台所で料理をしていた九十九由基が、帰ってきた
「料理もう出来てるよ」
「おっマジ?腹ペコ〜」
靴を乱雑に吐き捨て、リビングに走る夫。まったくもう。と思いながら、乱された靴を正しく整理する。
「うおっ肉じゃがじゃん!美味そー。ちょいとひと口......」
手掴みで肉じゃがを食べようとする夫の手を、ぺしっと叩く。
「いてっ」
「こーら。まず手を洗ってきて。ご飯はそのあと」
「ちぇっ。はーい......」
頭を掻きながら洗面所に歩いていくリーマンスーツ姿の夫。
今日もカッコイイな。なんて思ったり。
出会ってからいくら経ったっけ。なんて思ったり。
それから、それからそれから......
「............きさん......もゆきさん......九十九由基さん?」
「ハッ!!」
自身の顔を見る夫を見る。周りはマンションの一室。はて。自分は台所で料理の支度を......
「どしたんすか。いきなり黙って」
「......いや、なんでもない。」
【ちょっと】興奮し過ぎてしまった。
冷静になろうじゃないか。
「所で手は洗ってきたかい?肉じゃがの他にほうれん草のおひたしも作ったんだ」
「おーい。どこいってんだ〜」
目を瞑り腕を組み、うんうんと頭を縦に振る九十九由基の目の前を手でひらひらするが反応がない。
「もちろん肉多めだよ。君の好きなじゃがいもも安くてね。大量に買ってしまった。明日はアッシ・パルマンティエにしよう」
「ダメだこりゃ」
無限空間から戻り、なんとかトリップ状態の九十九由基を(物理的)に叩き直して気を戻させる。
「と、とりあえず。私の3つの目的は達成された。本当は五条くんにも会いたかったが、久々に環に会えたからよしとしよう」
「え?初対面ですよね俺ら。また殴りますよ」
「
「殴るか......」
「環。抑えるんだ。ダメだ環。スーツに力を込めるな。環。環!」
「それじゃ、私は帰るよ。」
必死に願田環を抑える夏油傑を無視して、バイクに乗り込む九十九由基。
「あぁそうだ。星漿体についてなんだが、心配しないでくれ。あの場に他の星漿体が居たか、新しい星漿体が生まれたか。どちらにしろ、天元は安定しているよ」
それじゃあまたね〜と言ってバイクで走り去る。
取っ組み合いながら「でしょうね」と思う願田環と夏油傑であった。
Q.何故環のタイプを聞いた九十九に【存在しない記憶】が流れ込んだの?
A.ケツとタッパのデカい女がタイプで、尚且つ自分より弱い人間というタイプに余りに自分が合致したので発生した世界のバグです。
Q.つまり九十九は自分が環より弱いって自覚があるの?
A.自覚はありませんが魂が理解しています。
直前に自身の理想の世界を叶えて見せた手腕も込みで。
戒玉編。好きなキャラは?
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五条悟
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夏油傑
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家入硝子
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願田環
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夜蛾正道
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庵歌姫
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天内理子
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黒井美里
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伏黒甚爾
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七海建人
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灰原雄
-
伊地知潔高
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GANTZ