俺とGANTZとさしす組   作:GANTZサイコー!呪術廻戦サイコー!!

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※このシリーズは原作の呪霊学校のように完全に「存在しない記憶」です。
原作とも関係ないですし、本編とも全くもって関係ないです。
本編開始〜最新話まで振り返りながら酒を飲みます。
俺も飲んでます。てへ。
ファンブックの拡張術式とでも思ってください。

それはさておき、まず、メリークリスマス!!
皆さん良い夜を〜!

あ、関係ないし読んでも得ないけど読んでください(脅迫)


存在しない記憶
振り返りの時間〜壊玉編〜


 

 

 

「はい始まりました。第1回【俺とGANTZとさしす組】振り返り特番〜。パーソナリティはこのわたくし、願田環が務めます。イカよろしく〜」

 

 某有名イカゲームのように手を虚空に向かって振る願田環に、その場にいた大人達はクエスチョンマークを浮かべた。

 

「なにしてんだ?お前」

 

「別に?さ、乾杯しようか」

 

 ビールとタバコを両手に持った氷川が願田環に話し掛ける。ビールは並々と注がれており、未だ一口も手がつけられて居ない事を指している。

 

「そんじゃ、カンパァァイイ!!」

 

「「「『『カンパァァイイ!!』』」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『宿儺の器......じゃなかった。虎杖達は呼ばんのか』

 

 呪霊の為酔えない体質なのだが、周りに合わせて芋焼酎を飲んでいる漏瑚。

 

そうですよ。彼らも呼べばいい

 

 それに同調する花御。ちなみに彼女(?)はフラワーカクテルを飲んでいる。

 

「今日は、お酒が飲める大人だけの会ですよ。彼らはまた後日です......花御さん、それってツッコミ待ちですか?」

 

(おれ)も気になってた』

 

『ぶふぅ〜!』

 

 夏油傑がワイン片手に自然特級呪霊組の卓に付いた。彼女(?)は花の呪霊ならぬ花の精霊なのだ。そんな彼女が、フラワーカクテル......すなわち花を喰らっている事はツッコミ待ちなのだろうか?

 

よくぞ気付きましたね

 

「そりゃ気にもなりますよ......」

 

「漏〜瑚〜!!」

 

『真人お前!!酔ってるな!!酒臭いぞ!!』

 

 呪霊の中でも最も人間に近い呪霊。人が人を恐れる負のエネルギーから生まれた呪霊の真人が漏瑚にだる絡みする。

普通なら酔えないが、彼は自分の術式【無為転変】を使って酔える体になった。しかもすぐに酔える体に。

 

 パンパン

 

「はい皆さんちゅうもーく」

 

 自称パーソナリティの願田環が手を叩き、酒を飲み始めた大人達に声をかける。

 

「えー。長ったらしい話は嫌いなのでしませんが......とりあえず、お疲れ様です」

 

「「「『『あ、お疲れ様です』』」」」

 

「さて、とりあえず皆さん、振り返りをしましょうか。」

 

 周りは何処ぞのホテルの大広間かのような部屋。その全員が見れるように、大きなスクリーンが降りてくる。

そして、カチャカチャと伊地知潔高がプロジェクターを弄り、映像を映し出し、室内が暗くなる。

 

「被ってるぞー」

 

 下戸で酒が飲めない五条悟はオレンジジュース片手に野次を飛ばす。

 

「あ、失敬」

 

 願田環がいそいそとスクリーンから離れ、赤いペンライトとコントローラーを取り出す。

そして、映し出されたのは高専の校舎。

 

「はい、まずは俺が悟に喧嘩売るシーンですね」

 

 プロジェクターが光る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「願田環です。特級呪術師です。五条悟をぶっ殺す為に来ました。」

 

 瞬間、五条悟の額に青筋が浮かぶ。

 

「はぁ〜〜??なぁに行ってんだお前。お前なんか1秒で消し炭だわww」

 

 売り言葉に買い言葉。五条悟とはそういう人間である。

 

「だからボンボンは嫌いなんだよ。無駄に他人を嘲り驕り、3流のひな壇芸人を思い出すね。」

 

 更に環の追随。事前に夜蛾先生から聞いていた五条悟の情報をあらん限り詰め込み煽り散らかす。

願田環とはそういう人間である。

 

「表出ろや」

 

「真昼間から1人でトイレにも行けねーのか五条悟ゥ?」

 

 この教室たった2人の特級呪術師がバチバチと火花を鳴らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「餓鬼だな」

 

「餓鬼、だね」

 

『餓鬼じゃの』

 

「わけぇなオイ」

 

 上から願田環、夏油傑、漏瑚、氷川である。

満場一致で、このシーンは【餓鬼】判定された。まぁ納得である。

 

「この時は悟も環もバチバチだったね」

 

「俺は本気出してねーけどな」

 

 五条悟が強がってそう言い、オレンジジュースを飲む。そんな親友を見てやれやれと思う夏油傑であった。

 

実際、なんで喧嘩を?

 

「花御さんはよく知らねーか。俺は単純に言えば怖かったんだよ。特級って名前と五条悟がな」

 

「俺が?」

 

 あの時の頃を思い出す願田環。

 

「次の話で長々と話したけど、五条悟におんぶにだっこの世界が怖かったんだ。支柱が1つしかない家とか怖くて住めないだろ?あんな感覚だったんだよ」

 

 呪術界に入るまでの1ヶ月間、願田環はただひたすらに夜蛾正道から呪術界の事を知った。もちろん過程で五条悟の事も。昔から観察力のあった願田環は、すぐに呪術界の支柱が殆ど五条悟という()()1人で成り立ってしまっている事実に気付き、危うさに驚き、恐怖した。

 

「今甚爾とか仲間に引き入れてる理由もそうなんだけど、もっと呪術界には牽引していく優良な人々が必要なんだよ」

 

『耳が痛いのぉ』

 

 耳に当たる場所にある栓を弄る漏瑚。彼は呪霊なので、呪術界なんてどうでもいい......いや、崩壊して欲しい側の存在なのだ。伏黒甚爾や願田環等の強力な術師が台頭するのは頭の痛い話だ。

 

「まぁまぁそれは本編でね。はい次、GANTZとさしす組が初めて会うシーン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひらひらと両手を振りながら、黒い球体の横に立つ願田環。コンコンと黒い球体を叩き、話しかける。

 

「おーいGANTZ(ガンツ)。俺の同期。お仲間だよ」

 

『うるちい』

 

「......文字?」

 

 【さ】なのか【ち】なのか、ぶれて分からないが、恐らく【うるさい】と言いたがっているGANTZ(ガンツ)と呼ばれた黒い球体。前面に文字が浮かび上がり、それが【うるちい】となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「驚いたよねー」

 

 最初に口を開いたのは家入硝子だった。手にはウーロンハイが握られている。

 

「そうだね。環の術式もそうだが、GANTZの存在は未だ謎が残る。」

 

「それは俺もドーカン。」

 

「けっ。環に分からないのに僕達に分かるかっての」

 

 グビっと焼けオレンジジュースをする五条悟と、ワインを少し飲む夏油傑。

GANTZは謎が多い。

いつ?

だれが?

なんの為に?

なぜ?

ちなみに彼女はマンションから出られないのでお留守番である。

 

「ここだけの話、GANTZの設定はある程度決まってたり〜......」

 

 首を右に傾ける。

 

「何!?」

 

嘘ォ!?

 

 驚く真人と花御。

 

「決まってなかったり〜......?」

 

 今度は首を左に傾ける。

 

「まぁそれも追々、ということで。次、星漿体事件ですね。甚爾、理子ちゃん、黒井さん、出番ですよ」

 

「......」

 

 酔えない体質(フィジカルギフテッド)の伏黒甚爾はずっと機嫌が悪い。

 

「えー?ホントに流すの......?」

 

 若干黒歴史になりつつある星漿体時代を掘り返される事にぶつくさと未だに文句を言っている天内理子。ちなみに彼女は日本酒である。

 

「なんか恥ずかしいですね......」

 

 同じく黒井美里も日本酒を飲んでいる。

 

「まぁまずは呪詛師集団【Q】襲来ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 早速【星漿体】の場所に向かう3人。

 

「あのホテルか」

 

 星漿体が居るホテルに着き、五条悟はホテル下で待機、願田環は隣のビルの屋上から敵が居ないか検知、夏油傑は星漿体のお迎えに行った。

 

エレベーターに乗る夏油傑。

 

「あのねぇ悟。前から思ってたんだが、一人称「俺」は辞めた方がいい。「私」か......せめて「僕」にした方が、親しみやすいと思うよ」

 

 電話で五条悟と会話している。

 

「あ?それで言ったら環だって「俺」じゃん。」

 

「だから言ってるんだよ。環にも言ったし、何より私の同期2人が上に高圧的なのは如何なものかと思ってね。確かに色々と文句を付けたいのは分かるが......まぁいい。この話は今度にしよう」

 

 やがて星漿体が居るであろう部屋に着き、インターホンを押す。

 

 

「はーい」

 

 

ピーーーーー

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こん時どうだった?」

 

「別になんとも?環の援護もあったし、なによりあの程度なら私1人でも事足りた」

 

「私記憶ないんだよねー。襲われる前はお風呂に入ってたんだけど、あがって服着て黒井に会って......?うーん」

 

 天内理子は当時の記憶を掘り返そうと躍起になっていた。

この後待ち受ける地獄も知らずに。

 

「はい次。理子ちゃんと初めて会うシーン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ」

 

 パチリ。と目を開けた天内理子と、天内理子を抱える五条悟の目が合う。

 

「起きた」

 

 五条悟がそう言うと同時、天内理子の強烈なビンタが五条悟に炸裂する。まさか攻撃してくるとは思わず、【無限バリア】による防御も間に合わなかった五条悟は、モロにビンタを食らう。

 

下衆(げす)め!妾の命が欲しくば、まず自分の命を差し出してみよ!!!」

 

 元気いっぱいハツラツ200%の天内理子にキレそうになる五条悟の肩に手を置き、窘める夏油傑。

 

「まぁまぁ悟。理子ちゃん。僕達は君の味方だ。さっきのヤツらとは違ってね」

 

「嘘じゃ!前髪も変じゃ!後なんか普通に銃持ってるやつもおる!ショットガンじゃぁ!!」

 

 フッと笑い、天内理子の両足を持つ夏油傑。

 

「えっ。えっなんじゃ?」

 

 無言で両手を持つ五条悟。

 無言で外を見る願田環。

 やがて、ミチミチギチギチという音がなりそうなほど天内理子をねじり始める。

 

「ギャーーーー!!!不敬ぞーーーー!!!」

 

「お嬢様!?」

 

 夏油傑の呪霊操術により使役された呪霊の上に乗っかり、エレベーターから現れる黒井美里。目の前で主人が雑巾のように絞られている様を見て驚いて......

 

「ちょぉーーーーーーっとまったぁあぁぁぁ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何?理子ちゃん。VTR途中なんだけど」

 

「いや!予想してたよ!?予想してたけどさ!!ピンポイントで抉るのはナシじゃん!?」

 

「へー理子ちゃんって昔こんなだったんだ」

 

『ふんっ。可愛い女子(おなご)ではないか。何を恥じている』

 

 相も変わらず感想をズケズケと言う真人と漏瑚。花御と時戒、陀艮は黙っている。飛び火しかねないので。

 

「この頃は......この頃はッ!!その......!!ストレス!!そう!!ストレスが溜まってたの!!」

 

「理子様、気付けなくてすみません......」

 

「ああぁ!?あああ謝らないで黒井!!」

 

「見事に自分から墓穴を掘ったな......」

 

「可哀想だねぇ。環、はいはい次々〜」

 

 五条悟の言葉に従い、プロジェクターの場面を切り替える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、高専結界内。

 

「ふぅ〜着いた〜」

 

 慣れない階段登りをした天内理子が汗を流し、黒井美里がハンカチを渡す。

 

「もう高専結界内だ。悟。環。とりあえずお疲れ様」

 

「へっ。二度とゴメンだ。餓鬼のお守りは」

 

 あ?という天内理子の言葉と同時に、五条悟の背中が刺される。背後から襲われた五条悟は()()()反応出来ず、高専結界内という事で無限バリアも解いていたのでまともに刃が貫通した。

 最初に動いたのは願田環だった。

 五条悟、夏油傑と違って終始天内理子と一定の距離を取り、高専結界内到着後も周りを警戒していた願田環は、五条悟が刺され、何かを言う前に下手人に肉薄。呪力を消費しないギリギリのパワーで下手人の脇腹を殴った。

吹き飛ぶ下手人に対し、夏油傑が出した呪霊が追随し攻撃。

 

「悟ッ!!(馬鹿な......ここは!高専結界内だぞ!?侵入できないはずだッ!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「甚爾と初めて会った時だな」

 

「クソが。天内の次は俺かよ」

 

 思わず唾を吐きたくなるが、赤い高そうなカーペット絨毯に唾を吐くのはなんだか嫌な気持ちになるので、グッと我慢する。

 

「甚爾はこの頃荒れてたよね。今もだけど。ぷぷ〜」

 

「悟殺すぞテメェ。まぁ、なんだ。確かにこの頃は荒れてた。グレてたっつってもいいな。恵の母親が脳裏にチラついて離れなかった頃だな。常にイライラしてた」

 

 一部の女性が【結婚】の2文字を頭に浮かべ、血を吐きそうになる。

 

「(私もいい大人よね......?)」

 

 庵歌姫が焼酎片手にわなわな震えていた。

 

「(結婚......した方がいいのかな)」

 

 天内理子はあまり【結婚した自分】を想像出来ないでいた。長く高専食堂で働いているが、ビビッときた人は居ない。

 

「(結婚!!したい!!)」

 

「雌?どうした!?」

 

 灰原雌は獅童との結婚生活をイメージして、1人でポヤポヤしていた。そんな妹を見て驚く兄の灰原雄。

 

「何言ってんだか。私の夫は」

 

 存在しない記憶の中でも存在しない記憶を発動している九十九由基。

 

「............」

 

 その言葉を聞いても特になんとも思っていない様子の家入硝子。

ただほんの少しだけ、ちらっと願田環を見た。

 

「はい次ね。フェアに行きたいので、俺の黒歴史をば」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「傑」

 

 

 

 

 聞き慣れた声がして、背後を振り返る。

 

「......環?」

 

 高専制服の服が敗れ、普段隠れているスーツが顕になった願田環がそこに居た。

 

「同化は辞めたのか」

 

 何故か願田環の言葉に何も返せない夏油傑。

違和感を感じる。

目の前の存在は本当に【願田環(親友)】なのか?

 

「......あぁ。プランBだよ」

 

 それでも、その違和感を拭い去り、事前に伝えていた事を再度伝える。

 

「アイツと悟は?」

 

「悟は【無限空間】で硝子に傷を治してもらってから、アイツ......伏黒甚爾を高専に運んでもらってる。俺はとりあえずの現状把握に薨星宮に来た。」

 

「そうか......」

 

 目の前の存在が本当に願田環なのか。いや、【六眼】持ちの五条悟が願田環を見て大丈夫だと判断したのだろう。そう思う事にしようとするが、ダメだ。違和感が拭えない。

 

「環......何かあったのかい?」

 

 思わず無意識に天内理子と黒井美里の間に立ち塞がるように立ち回ってしまう夏油傑に、願田環が無表情で答える。

 

「......【無限空間】の【時間】の概念は覚えてるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『【数万年の1人修行】か。成程。中々にイカれとるのぉ』

 

「漏瑚もそう思うでしょ!?コイツ、イカれてんの!!」

 

『【さん】を付けんかバカタレぇ!』

 

 じゃれ合う五条悟と漏瑚を後目にして、話だけはみんな知っている(世界線の)【数万年の1人修行】の事を改めて聞く。

 

「大丈夫なの環?私の為にごめんね?」

 

 本編では【数万年の1人修行】の事を知らない天内理子が、気遣うように願田環に話しかける。

 

「んぁー。いや、ぶっちゃけ理子ちゃんのせいじゃない......と言いたいけど......いや?まぁ星漿体なんだから仕方ない、か?理子ちゃんのせいではないな。星漿体のせいだ。星漿体が悪い」

 

「つまり私?」

 

「この場合【星漿体】その物だな。つまり天元、お前だよ」

 

「............」

 

 机の一角に座る天元を指さすが、本人は素知らぬ顔(顔......?)をしている。星漿体関係は大体コイツのせいなのだが、コイツのお陰で結界術の底上げを可能にしているのだから、なんとも言えない。

 

「仕方ない仕方ない。理子ちゃん落ち込まないで!!次々〜!」

 

『(真人はいつになく元気ですね。酔っているのもあるでしょうが......)』

 

 ハイテンション真人について行けてない一部のうちの1人(1体?)、花御が疑問に思ったが、誰も指摘しないのでスルーした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、なんでお前ら俺避けてんの?悟なんかここ1ヶ月声も聞いてねぇ。叫び声しか」

 

「あー......んまぁ、なんか、ね。

みんな、あんたに追いつこうと必死なんだよ」

 

「はぁ?」

 

 こういう話は夏油傑はしたがらないし、五条悟は論外だ。絶対に途中でふざけ出す。さしす組の【し】担当でじゃんけん組の【あいこ】担当の比較的3人の中で真面目な家入硝子の口から聞きたかったから、丁度いいと思っていたら、なんということだろう。

 

「俺に追いつく?」

 

「うん。環、【閉じない領域展開】だっけ?領域展開だけでも凄いのに、更にその上行っちゃうんだもん。反転術式も会得済みでしょ?」

 

 実際、願田環は反転術式を習得している。練度はそれほど高くないし、勿論アウトプットは出来ないが。今まで使ったのだと精々が体術訓練でのかすり傷程度。任務では切り傷すらおった事がない。四六時中ガンツスーツを着ている関係上。

 

「このままじゃ私ら、立つ瀬ないねって話になってさ。」

 

「それとこれとなんの関係があんだよ。避ける理由にはならねーだろ」

 

「それはまぁ......私達の自己満足だけど」

 

 願田環から顔を背け、完全に顔を隠す。

クエスチョンマークを浮かべる願田環だが、女の子が顔を背けているのにそれを追うほど野暮じゃない。

 

「要はね。【環は1人で頑張ったから、俺らも1回1人でやってみよう】。って話」

 

「俺達の仲でそんな話になったの?水臭ぇなぁ」

 

「だから自己満って言ってんじゃん。私も、最近階級取ったんだよ」

 

「え゛、嘘!?硝子が!?何級!?」

 

「3級」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お主階級持っておったのか』

 

「一応ね。今は準一」

 

「反転術式のアウトプット出来る人員なんて、家入先輩と乙骨くんぐらいです。より高度なのは洗練された家入先輩の方。本当は階級を取る事自体稀......いや、有り得ない事なんですよ」

 

 不思議に思った漏瑚の言葉に、家入硝子と七海建人が答える。

 

「なし崩し的に推薦した俺が言うのもなんだが、硝子にはあまり前線に出て欲しくないんだがな」

 

 夜蛾正道がそう言って、ビールをあおる。

彼は家入硝子が4級術師になるきっかけを作った人だが、本当は反対派だった。上層部と同じ考え......という訳では無いが、貴重な回復要員(ヒーラー)を前線に出すのは如何なものか?と。

 

「でも【閉じない領域展開】だっけ?それ見て焦っちゃったんだもんね?」

 

 真人がまたウイスキー片手に家入硝子に絡む。

 

「酒臭いなぁ......えぇまぁ。あの時は五条も夏油も必死でしたよ」

 

「まぁね」

 

「ノーコメント!」

 

 真人に答えるさしす組。

 

「【閉じない領域展開】かぁ。俺も出来るかなぁ?」

 

 酔った頭で空想する。

 

「有り得なくはないよな。まだ真人には【閉じない】って発想がないだけで、領域展開は出来るわけだし、成長速度は呪術廻戦で1番だもんな」

 

「もうお前が主人公でいいよ真人」

 

「えぇ!?俺ぇ!?いいのかなーーーー!!!虎杖差し置いてぇぇぇーーー!?!?」

 

「はいうるさいうるさい。悟も煽るな。次行くよ〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実は、最近の連続失踪の原因を捕まえてですね。処分なりなんなり、そちらで決めて頂きたく......」

 

「(原因?)原因なら、さっき私が祓いましたが......」

 

「あぁいえ。そちらもそうなのですが、その......呪霊?を呼び寄せる者が居て......」

 

「(呼び寄せる物......呪物か何かだろうか)分かりました。案内お願いします」

 

「おぉ。いやはや助かります。何分村民100も超えない程小さな集落でして、どうすべきか悩んでいたのです......」

 

 そして案内されるは、倉庫......というより、蔵?のような場所である。村長と村民が何人か居て、扉を開くと、中には昔ながらの木で出来た牢屋があった。

 

「............これは」

 

 中には、姉妹と思しき女児が2人。

 

「この2人は可笑しい!不思議な力で、度々村人を襲うのです!」

 

「原因は私が祓いました」

 

 こめかみに親指を当て、考え込む夏油傑。

 

「私の孫もこの2人に殺されかけました!」

 

「そ、それは【アレ】が......!」

 

「黙りなさい!貴方達の親もそうだったッ!」

 

「..................ふむ」

 

 冷静になれ。1度頭を整理しよう。

五条悟ならどうするか。願田環なら、家入硝子なら、七海建人なら、灰原雄なら......

 

「皆さん、少し外へ出ててくれませんか。この2人は私が何とかします」

 

「おぉ!それは助かります!よろしくお願いします」

 

 村長を含めた村民を全て外へ出し、蔵の中には【呪い】の見える檻に囚われた姉妹と夏油傑だけになる。

夏油傑は完全に扉を締め、牢屋の元へ戻る。

 

「「ひっ」」

 

 夏油傑を見た姉妹が恐怖の声を絞り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミミナナ保護の話か」

 

『くだらん。人間は実にくだらん。やはり呪霊......呪霊こそ真の人げ』

 

「ここ早送りして。結果どうなったっけ?」

 

『聞けぇ!五条悟ゥ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「集落で保護しました。呪いの見える子達です。このまま高専に連れて帰ります」

 

「は、はぁ......」

 

「ほら、行こう。2人とも」

 

 ひんやりとした空気の流れ込む車内の誘惑に、姉妹は耐えきれず、恐る恐ると言ったふうに乗り込んだ。その後、夏油傑が乗り込み、補助監督が運転席に座り発進する。

 

「君達、名前は?」

 

 格納呪霊から冷たい飲料と食料を取り出し、パクパク食べる姉妹に問いかける。どうやら長い間ご飯もまともに食べていなかったらしい。子供に、しかもこんな猛暑であんな蔵に長時間放置されたら死んでもおかしくない。

 

枷場美々子(はさばみみこ)......」

 

枷場菜々子(はさばななこ)です......」

 

「そうかい。美々子ちゃん。菜々子ちゃん。年齢は?わかる?」

 

「4歳です」

 

「私も......」

 

 話を聞くに、親も【見える】側の人間だったらしく、その体質を色濃く受け継いだらしい。昔から呪霊(アレ)の姿が見えており、周りの大人に頼っても変な顔をされる。繰り返していたら、呪霊(アレ)が起こしていた事を自分達がした事のようにされ、祟りだ呪いだと騒ぎ立て、監禁されたらしい。

 

「(胸糞悪いね......)」

 

 小さな口で携帯食料をパクパク食べ、コクコクとジュースを飲みながら、少し泣いている枷場美々子と枷場菜々子を横目に、外を見る。

 

「(【弱者生存】【強い者は弱い者を守る為にある】......か)」

 

 自分の信念を思い返す。

弱者(非術師)生存】【強い者(呪術師)弱い者(非術師)を守る為にある】。

最初枷場美々子と枷場菜々子を見た時、少しだけ、ほんの少しだけその信念がゆらぎ掛けた。昔の......1年と少し前の自分なら、また別の選択肢を選んで居たかもしれない。

でも、夏油傑は仲間(親友)が居る。

五条悟が。

家入硝子が。

願田環が。

 

「(私の信念は変わらない......)」

 

 これからも仲間達と共に、胸を張って生きられる道を選ぼう。そう思った。

悪夢はもう見ていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これさぁ。イマイチタイトルと合ってないよね」

 

 オレンジジュースの氷をカランカランと鳴らしながら、スクリーンを見上げる五条悟。

 

「というと?」

 

「【信念とかいう曖昧なものでは人間は生きていけない】ってタイトルなのに、傑はタイトルに反して信念持ったまま術師やってんじゃん。なんで?」

 

「これね。別に深い意味は無いらしいよ。傑は信念とかいう曖昧なもので生きていけるタイプだけど、大多数の人間はそうじゃないよね、普通なら闇落ちしててもおかしくないよね?でも傑には親友が居るから大丈夫さ!!という意味のタイトルらしい」

 

「へぇ〜」

 

 自分で聞いて自分で納得した五条悟は、それきり何も言わなくなった。

 

「人間ってこういうとこ(ミミナナ村八分)キショいよね」

 

「これには同感だな」

 

 酔っている真人とシラフの氷川がそう答える。

 

「人間代表して言うけど、なんも言えねーわ。」

 

 日下部篤也がカクテルを飲みながら頭を搔く。彼は術師の中でも比較的まともかつ常識人、努力家なので、こういう場面では強く言えない。

 

「前にも言ったが、金以外のしがらみは本当に理解出来ないよ」

 

 ドレス姿の冥冥がワイン片手にそう言う。彼女は本当に金以外殆ど見えていないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 釈迦如来はできるだけ灰原雄に触れないよう立ち回る。灰原雄は【相手への加重】と【自分への加重】を同時に行わなければならない都合上、攻撃の手は止められない。

 

「(クソッ!クソッ!)」

 

 そんな中、七海建人は動けずに居た。

自身の術式、十劃呪法はあくまでも【7:3に弱点を作る】術式。いつものパターンなら灰原雄が頭下呪法で相手を地面に拘束、自分は相手がダイヤモンドより固くとも水より柔らかくとも【7:3に弱点を作れる】ので、拘束さえしてしまえば後は一撃で終わる。

光輪(輪っか)の特性上【7:3】に分割する事が出来ず、直径でしたとしてもそれは自分の体に当たり、なまくらを振り下ろせない。

つまり、光輪から抜け出す術を今七海建人は持ち合わせない。

釈迦如来は強い呪霊だ。高専に登録されている日本16体特級呪霊のうちの1体。何故自分達のような2級術師2名が態々東京から北海道まで連れてこられ、こんな目に遭わなければならないのか。

現実逃避しても、現実は変わらない。

自分と相手を殴り、相手にも自分にも着実にダメージを重ねている灰原雄と、それに夢中な釈迦如来。自分は釈迦如来に相手にもされていない。

 

「(落ち着け......想像イメージするんだ。)」

 

 過去先輩に言われたこと、そして灰原雄が言っていたことを思い出す。

 

 

《なぁ七海。灰原。【領域展開】に勝つにはどうしたらいいと思う?》

 

《そーですねー......やっぱり、【領域展開】には【領域展開】じゃないですか!?》

 

 

 イメージ。イメージ。イメージ。

 

 そのイメージをそのまま術式にトレースする。

 

「ふぅ〜......はぁ〜......」

 

 時間はまだ灰原雄が稼いでくれている。この【領域】さえ何とかしてしまえば、七海建人と灰原雄の黄金コンビネーションは再び幕を開ける。

 

「(集中しろ......奴の術式......自身の領域展開時に、自身が掴んだあらゆる呪術的要素の核心を相手に流し込む代わりに、強制的に自身の術式についても開示し効力の底上げ。恐らく領域範囲内の拡大も行っている。境内は先程の10倍近く広くなっている。)」

 

 歯をギリギリと鳴らしながら、考える。

 

「(必要なピース(呪力の核心・術式)は揃っている......出来る筈だ......)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや。私ですか」

 

「僕達だよ七海!!」

 

 特徴的な眼鏡(グラサン)をカチャリとかけ直す七海建人と、興奮気味な灰原雄。

 

「大変だったなぁナナミン」

 

「えぇ。大変でした。しかしこの時領域展開を会得したからこそ、後に真人殿に殺されずに済みました」

 

「てへ☆ごめんよナナミンwww」

 

 ピキッ。

反省の色なし――いやする必要もないしして欲しくもないが――の真人を見て、少しピキる七海建人。歳か等と思いながら、ワインを飲む。

 

「戒玉はこれで最後(ラスト)ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?領域展開を習得したって?」

 

「おう!後は反転術式だな!オートマはまだ疲れる.......」

 

「私は粗方課題を終えてしまったね.......私も反転術式を学ぶべきだろうか」

 

「ねぇなんで毎回私呼ぶ訳?嫌がらせか何か?」

 

 家入硝子の言葉をガン無視し、3人で話す。

どうやら五条悟、夏油傑は【領域展開】を習得したらしい。前々から様々な結界術(帳等)を高専各地に下ろし、上層部に呼び出され怒られたり、それで夜蛾正道の拳骨を食らっていたが、やっとこさ領域展開の習得に至ったと。

後は【閉じない領域展開】に昇華させようと思ってる。という五条悟だが、半分無理だと思っている。【領域展開】を会得して、改めて分かる【閉じない領域展開】の凄さ。それを肌で感じた五条悟は、いつもの強がりで言っていた。

 

「2人はどうやって覚えたわけ?」

 

「俺はひたすら実践だな。最初は掌印を結びながら、領域展開!領域展開!って。初めて出来た時は冷静にやったけど」

 

 頭の中で「領域展開!領域展開!」と叫ぶ五条悟がありありと思い浮かぶ。少し滑稽で笑ってしまった。

 

「私も似たようなものかな。任務と併せて、伏黒先生との訓練で【うずまき】の練習と同時並行で行っていたよ。最近は【うずまき】の打ち過ぎで呪霊が枯渇気味だ。まぁ、特級になって任務も増えて、その分下級呪霊は増えたけどね」

 

「ちょっと。無視しないでよ」

 

「そんなもんかー。やっぱ1人で練習するのと実践で練習するのは別なのかなぁ」

 

 予想よりも早く領域展開を習得した2人に、複雑な気持ちを浮かべる願田環。

そうかそうか。願田環()が約3000年かけて到達した領域に、彼らは生まれ落ちてから約17年で到達した訳か。

しかも話によれば約16年で到達した奴(七海建人)もいる。

 

「なんかうぜぇな」

 

「「え?」」

 

「いや、なんでもない。俺がひねくれてるだけだ」

 

 本当に複雑な気分である。才能の差を思い知ったというか、自分の無能さを体感したというか、同期2人の才能が少し羨ましいというか.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや。意外だね。君は嫉妬するタイプに見えないけど」

 

 冥冥がお酒からスクリーン横の願田環に視線を移す。

 

「いやー。だってなぁ?誰だってうざいでしょ。自分が頑張って頑張ってやっと手に入れたものを、ポンと手に入れるやつ。100パー妬みなんですけどね」

 

 閉じない領域展開は今の所願田環の専売特許だが、怪しい奴らも出てきた事だし、家入硝子の反転術式のアウトプットの専売特許を乙骨憂太に奪われた(練度では上回っているし、家入硝子にしか治せない傷もあるが)ように、願田環の【閉じない領域展開】もいずれ彼の専売特許じゃなくなるだろう。

 

「はい。今回はここまで。ありがと伊地知」

 

「いえ!」

 

 スクリーンが上がり、室内が明るくなる。

伊地知潔高がプロジェクターを持って隅に走る。

 

「壊玉って適当だな」

 

「悟、言い方ってものがあるよ。」

 

 当たり前だが、別に原作をどうこう言ってる訳じゃない。

 

「適当作文ここに極まれり。って感じだな」

 

「わかるー!」

 

氷川に真人まで......

 

 自然特級呪霊組筆頭の真人と、協力者の氷川は少し不満げだ。

 

「まぁ今更書き直すのもめんどくさいし適当がポリシーだから俺の中では最高傑作には出来てると思うよ」

 

「......環?どうした?」

 

「ぇ?あ、あぁ。ごめん。なんか電波受信したわ」

 

 一瞬別人のようになった願田環だったが、すぐに我に返る。危なかった......

戒玉編。好きなキャラは?

  • 五条悟
  • 夏油傑
  • 家入硝子
  • 願田環
  • 夜蛾正道
  • 庵歌姫
  • 天内理子
  • 黒井美里
  • 伏黒甚爾
  • 七海建人
  • 灰原雄
  • 伊地知潔高
  • GANTZ
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