俺とGANTZとさしす組   作:GANTZサイコー!呪術廻戦サイコー!!

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もしくは、正しく生きれたでしょうか。
もしくは、正しく生きれてるでしょうか。


博士、私は正しく死ねたでしょうか。

 遠く離れた下水道に、真人は居た。

這い蹲るように、匍匐前進で進み、光の差し込むマンホールの下で座り込む。

 

「(アレが呪いの王両面宿儺......今の呪力総量は漏瑚の方が上。なのにあの存在感!魂の格が違う......!

これは確信だ。俺達特級呪霊が全員祓われても、宿儺さえ解放されれば呪いの時代が来る......

しかしまいったなぁ......今の俺は、どうしようもなく、虎杖悠仁を殺したい......!!あ゛ぁ゛〜もどかしい......!

けどまぁいいか......肉体と違って魂はいくらでも殺せる。次はどう殺してやろうか......)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高専死体安置所にて。

大量の改造人間が死体袋に入っている。

 

「安静にしているように言われませんでしたか」

 

「......説教?」

 

「命を助けて貰った相手に説教もクソもありません」

 

 死体安置所の中には、七海建人と虎杖悠仁が居た。願田環は結果はどうあれ今回の件の予告無しの単独行動を非難され、上層部に出張っている。特級術師の肩書きは重い。

虎杖悠仁は家入硝子の反転術式により、半日で外傷はなくなった。

 

「俺が?」

 

「ツギハギの術式は相手の魂に干渉し形を変えるものです。環先輩の領域展開にツギハギの領域展開が崩壊しかけ、ツギハギが慌てて術式(無為転変)を誰彼構わず打ったことにより、貴方の中にいる宿儺の魂に干渉したのでしょう。お陰で助かりました。」

 

「......でも俺、変わってねぇよ」

 

「宿儺が出たのではなく、ツギハギが入ったのです。」

 

 その言葉に、虎杖悠仁は顔を伏せる。

 

「なら助けたのは俺じゃない。コイツ(宿儺)の気まぐれだ。

ナナミン。俺は今日人を殺したよ。人は死ぬ、それは仕方ない。でもせめて死ぬなら正しく死んで欲しい。だから引き金を引かせない事だけを考えてた。だけど自分で引き金を引いて分からなくなったんだ。なぁ、正しい死ってなんだ」

 

「そんな事私にも分かりません。死は全ての存在の終着点です。善人は清らかに死に悪人には罰の上での死を。それが正しい死だとしても、この世の中の殆どは善人でも悪人でもありません。そんな全ての存在を正しい死に向かわせるのはきっと困難な道のりです。私はオススメしません。

......と言っても、貴方はやるのでしょうね。でもこれだけは肝に銘じてください。今日私が貴方に助けられたように、これから貴方を必要とする存在が大勢現れます。貴方はもう、立派な()()()なんですから」

 

 そう言って、死体安置所を去る七海建人。

1人残された虎杖悠仁は、手すりを強く握りこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「吉野のあの傷。お前がやったんだな。伊藤」

 

 里桜高校、生徒指導室にて、外村と伊藤は話し合っていた。

 

「あん時ブルって何も出来なかったヤツに、あーだこーだ言われたくないんすけど。てかもうよくね?転校して遠く行ったんでしょ、アイツ(吉野順平)。つーか、あれから俺、まともに左腕動かねーんすけど」

 

「今話しているのは()の話だ。お前に下った()の話じゃない。それは自分で噛み締めろ」

 

「先生の罰は?」

 

「俺はこれからだ。まずは見えていなかった......いや、見ていなかったものを見ることから始めるんだ。俺も、お前も。」

 

 机の真ん中に置いてあるのは、【いじめに関するアンケート】のプリント。

 

「俺もお前も、吉野の心を殺した罪を、一生背負って生きていくんだ。見ているからな。伊藤」

 

「............」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある山奥の秘湯。

漏瑚は、1人でお手製のパイプ型呪霊を吸っていた。

 

『ギギエェェ』

 

『ふぅ〜......』

 

『ふぎゅう......』

 

「漏〜〜瑚〜〜!!」

 

『うん?』

 

 遠くから真人が走ってきたと思いきや、服を脱いで温泉に飛び込んだ。舞った湯が顔にかかるが、真人と付き合っていくにあたってこんなことで怒っていたら気が気でないし、そもそも漏瑚はそんなに短気じゃない。(首領)は真人であるし。

 

「だいぶ身体戻ったね〜」

 

 ぷりっぷりのケツを浮かび上がらせながら、真人がそう言う。

 

『まぁな。ここは居心地がいい。人間どもも寄り付かん』

 

『ぎょぷ』

 

 吸っていたパイプ型呪霊をポイ捨てする。

タバコだったらマナー違反......呪霊のポイ捨てもマナー違反か。

 

「身体がないってのも考えものだね〜。自己補完の効率も悪いし」

 

『真人。お前も随分消耗しているな』

 

「あ、バレた〜?宿儺と器。両方とも天敵でさ〜。たまたま手に入ったおもちゃ(吉野順平)から始めたゲームだったけど、中々上手く行かないね。最初は良かったけど」

 

 ぷかぷか浮かんでいた真人は、石の上に乗り上げる。

 

「漏瑚。宿儺に触れて分かったけど、とりあえず氷川のプランで進めていいと思う。宿儺にはそれだけの価値がある。」

 

『20本全ての指を集め宿儺に献上する。その結果、我々呪霊が全滅しても......だな。いいだろう。100年後の荒野で笑っているのが儂である必要は無い。呪いが人として立っていればそれでいい。』

 

「お!分かってるね!」

 

 全裸だった真人が、服をとって着直す。

 

「それじゃ、まずは高専が保有してる6本の指を回収するか」

 

 言及していなかっただけで空気だった氷川が発言する。

 

『必要か?術師共は宿儺の指を取り込ませる為に虎杖悠仁を飼っているのだろう?』

 

「高専上層部は虎杖悠仁の宿儺の器としての強度に疑問を持ってんだよ。何本目から虎杖悠仁の手綱から外れて暴走するのか気掛かりなんだ。だから、俺達で全部集めて、一気に全部食わせる。まぁ、例外はいるけどな」

 

 氷川の脳内で、五条悟がダブルピースしながら「悠仁に宿儺の指じゃんじゃん食べさせた〜い!」と言ってる様子がありありと思い浮かぶ。

 

「最悪、上層部が何がなんでも虎杖悠仁を殺そうとしてくる。」

 

『フン。虎穴に入らずんば......か』

 

「その為に、手持ちの指を高専に回収させたんだ」

 

 氷川の作戦は、万事順調に進んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な〜なみ〜。なんか面白い話して〜」

 

「............」

 

 七海建人は完全無視。呆れのため息も出ない。まともにこの人(五条悟)と付き合ったら、こちらが無駄に消耗するだけだ。

 

「ヨシ!わかった!*1廃棄のおにぎりでお手玉しながら、政教分離(せいきょうぶんり)について語ろうぜ!その動画ネットに上げて炎上しようぜ〜!」

 

 もしそんな地雷原でタップダンスをするかのような事をしようものなら、何がなんでも殺してでも力付くで止める。領域展開も辞さない。心の中で本気でそう思った。

 

「五条悟のいい所で山手線ゲーム!」

 

 パンパン。

 

「ぜんぶ!」

 

 パンパン。

 

「軽薄」

 

 パンパン

 

「七海?それいいとこじゃないよね?そして傑?なんで手叩いたの?」

 

「アハハ。ごめん。ついノリで」

 

「何の用ですか。夏油先輩」

 

 いつもの五条袈裟姿で音もなく現れて、五条悟の横に座る夏油傑。

 

「別に。七海、吉野くんの家にあった指は?」

 

「ちゃんと上に提出しました。夏油先輩はともかく五条先輩に渡したら虎杖くんにすぐ食べさせるので」

 

 図星だった五条悟は口を尖らせた。

 

「それで、当の悠仁は?」

 

「環先輩が用があると言って連れ出してます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「環先生。どこ行くの?」

 

「ん?サプライズだから教えな〜い」

 

 んべ〜と舌を出す願田環に、虎杖悠仁はクエスチョンマークを浮かべる。

 

「(この人が俺にサプライズ?なんだろ......)」

 

 連れてこられたのは、いつも映画鑑賞に使ってる地下室。

どうやら誰か居るらしく、女性の笑い声と、知らない映画の音が聞こえる。

 

「ギャハハハハ!!!これで予算6000万$ってマジ!?そのうち2000万$はベン・アフレックのウィッグに使ったんじゃないの!?」

 

「あー......その説も確かにあったような......この映画はゴールデンラズベリー賞に7部門ノミネートされて、うち6部門で受賞してるんだ」

 

「ゴールデンラズベリー賞?なにそれ?」

 

「簡単に言うと、最ッ低な映画の賞。不名誉な賞だよ。」

 

「ブハハハハハ!!!!」

 

 その2つの声は、知っている声だった。

もう聞けないのかと思っていた。()()から1週間は経つ。話に出ないのは、つまりは()()()()()だと思ってた。

思わず、階段を駆け下りて、声の主に話しかける。

 

順平(じゅんぺい)!!」

 

「わっ!!びっくりした!虎杖くんじゃない」

 

「あ......や、やぁ。虎杖くん......その、久し、ぶり?」

 

 そこに居たのは、映画鑑賞をする吉野凪と吉野順平だった。

吉野順平の無くなっていた左腕も健在で、居場所が無さそうに頭をかいている。

 

「順平ッ!お前......死んだんじゃ......ていうか母ちゃん......えっ!?」

 

「アッハッハッハ!ごめんごめん。悠仁、順を追って説明するから、とりあえず落ち着いて。ほら、深呼吸して〜吸って〜」

 

「すぅ〜」

 

「吸って〜」

 

「すぅ〜〜」

 

「更に吸って〜〜〜」

 

「いや吐かせろや!!」

 

 なんて茶番も、吉野凪と吉野順平は笑ってみていた。

 

「さて、まずは吉野凪さんについて話そうか。実はね、虎杖くん。ナナミンが君に付いた頃から、俺も裏で暗躍してたんだ。」

 

「暗躍?」

 

 そして、吉野凪が死亡した(と思われていた)日のことを話す。

 

 

 

 

 

「ビンゴ。吉野順平」

 

 そう言って、スーツのステルス機能を解除する。

本当はもっと近くで監視しておきたかったが、あまり近過ぎると奴さんが吉野順平の母に接触しないかもしれない。

 

「やっぱり、吉野順平の裏には特級呪霊が居るな。恐らく悟を襲った奴らと同じ。盛大なマッチポンプ仕掛けるなぁ。頭がキレる奴が後ろにいやがるな?これは呪霊というより、呪詛師か?」

 

 吉野順平宅に無断で侵入する。

 

「うへー。散らかし放題だな。」

 

 机の上にある諸々の食事のゴミと、紛れるように置いてあった両面宿儺の指を見る。

 

「敵を欺くならまずは味方からってな。」

 

 両面宿儺の指に触れないように、毛布をかけられ眠っている吉野凪を起こす。

 

「もしもーし。不審者ですけど〜。まぁだ時間かかりそうですかね〜?」

 

「んぁ......ん?あんた誰?」

 

「どうも。不審者です。」

 

「......え!?は!?ふ、不審者!?なんの用よ!金なんてないわよ!あってもあげないし!!」

 

「どーどー落ち着いてください」

 

 不審者を名乗り深夜寝潰れている所を話しかけてくるやつなんて、絶対まともじゃない。誰だってそう思う。俺だってそう思う。

 

「とりあえず、吉野順平くんについてお話があります」

 

「は?順平?なんでここであの子の話が出るのよ」

 

「長話は出来ないので手短に話しますね。お宅の息子さん、とある犯罪者(呪霊)さんと付き合いがありまして」

 

「私からしたらあんたの方がよっぽど犯罪者よ......」

 

「まぁぶっちゃけると、貴方の命が危ないです」

 

「......いや、順平じゃなくて?なんで私?」

 

「精神攻撃ですよ。吉野順平の心を折る為です。犯罪者っていうのも、実の所人間じゃないんですよ」

 

「はぁ......あんた、私んちじゃなくて病院行ったら?」

 

 至極簡単(シンプル)な口撃が願田環を襲う。

しかし挫けてはいけない。事実なのだから。呪術の()の字も知らない妙齢の女性相手にどうこうするつもりはない。

 

「見てもらった方が早いですね。残穢......痕跡残せないので、簡単なものを」

 

 バチバチバチと火花を散らせながら、願田環の姿が消える。ギョッとする吉野凪。

 

「えっ!?消え......えっ!?」

 

「透明になっただけですよ〜。これで信じてくれました?」

 

 再度バチバチと火花を散らせながら現れる願田環。

 

「うぅん......トリック......にしては出来すぎよね。私酔ってるし......でも酔いが覚めた気分......それで?私の命が危ないって?」

 

「お宅の息子さんも、俺と同じような事が出来るんです。【呪術】って言うんですけどね。とりあえず、ここを離れましょうか。このきんもちわるい指に寄り付く呪霊が来たら面倒だ」

 

「え〜......?」

 

 そして、半強制的に吉野凪を保護。この時点では、吉野凪の生存を知っているのは願田環のみになる。

親友の五条悟、夏油傑にすら内緒である。

但し1人例外がいる。

匿う先は......

 

「誰?その女」

 

 家入硝子が、冷ややかな目で吉野凪を横目で見る。

 

「(この白衣の人美人ね〜。まぁ私の次くらいに)」

 

「吉野凪さん。噂の吉野順平くんのお母様だよ」

 

 家入硝子のプライベートルーム兼、仕事部屋兼、願田環のサボり部屋である、高専の保健室である。

 

「あぁあの。それで?なんで連れてきたの?」

 

 カルテに書き込むペンを止め、こちらに椅子ごと向き直る。

 

「いやぁ。殺されそうになってたから。匿ってあげてよ。あ、俺がOK出すまで誰にも言っちゃダメだからね?」

 

「......そ。なんだか知らないけど、まぁ、環ならいいか。吉野凪さんでしたっけ。」

 

「あ、はい」

 

 男の方は灰色のパーカーの下に、女の方は白衣の下に同じスーツ(ガンツスーツ)を着込む2人をみて、

 

「お2人は......夫婦か......なにかですか?」

 

「「えっ?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「てな感じで、吉野凪さんを保護。現時点でも、俺と硝子、順平、そして新しく悠仁以外誰も吉野凪さんの生存を知ってる人は居ないよ。俺の残穢も残してないから、報告書にも残ってない。両面宿儺の指もあえて拾わず、後で高専に回収させた」

 

「最初は......いや今もなんだけど、不審者だと思ったわ〜。」

 

「少しは命助けてあげた恩とか......」

 

「頼んでないし」

 

「人の心とかないんか?」

 

 閑話休題。

 

「それじゃあそれじゃあ、順平は?環先生、助かるの賭けだって言ってたよね?生きてるなら、なんですぐ教えてくれなかったの?」

 

「教えたさ。現に今教えてるだろ?順平が起きたのは今から3時間前。それまでずっと昏睡状態だったんだよ。順平、腕見せてあげて」

 

「あ、はい」

 

 吉野順平が着ていた()()()()を脱ぎ、上裸になる。

 

「うおっ!?なにこれ!環先生の着てるスーツ......で、いいんだよな?」

 

「アハハ......」

 

 不細工なパズルのピースのように、吉野順平の左上半身()()を覆う黒いスーツ(ガンツスーツ)。ちゃんと動かせるようで、左手で頬をかいている。

 

「心臓その他諸々の周辺臓器吹っ飛んでたから、マジで生きてるかは賭けだったよ。まず硝子が居なかったら死んでたね。今回のツギハギ呪霊の件、MVPは硝子かも。」

 

 

 

 

 

 

 里桜高校から同時に無限空間に転送された願田環、吉野順平、()()()()の3人。

 

「いきなり呼んでなん......ちょっと!!」

 

「こういう訳だ。急患、頼む」

 

 気を失い、どくどくと血が流れる吉野順平を見て、血相を変える家入硝子。

 

「うわぁ〜......」

 

『うにゃ〜ちでよごれる〜』

 

「我慢しろGANTZ。別に初めてじゃないだろ?硝子、どんな感じ?見てくれでわかるけど」

 

「左肺を中心に周辺臓器は全滅。心臓も念入りに潰されてる。やったヤツは確実に殺しに来てるね。詳しくは聞かないけど......まぁ、時間はかかるけど、多分......助かる。こんな時に新田(にった)くんが居れば、確実に助かるって言えるんだけどな〜!」

 

 新田新(にったあらた)。高専京都校の今年入った3人の1年生のうちの1人で、【生物無生物問わず、自身の呪力を流し込んだ特定のものの()()を停止させる】という術式を持っている。しかし、新田新に無限空間の術式開示はしていない。

 

「こういう時のために新くんに開示するべきか?」

 

「う〜〜ん......確率上がるってだけだしなぁ。教えるのはリスキーかも。新田くん京都だし......ちょっと集中するから、話しかけないで。出来れば私の背中さすって呪力サポートお願い」

 

「わかった(呪力サポートならさすらなくて触れるだけでいいのでは......?)」

 

 そして、家入硝子の背中をさすりながら、願田環は自身の呪力を家入硝子に流し込む。

それをたっぷり4時間はしただろうか。出血は止まり、傷跡が塞がった。

 

「【生き残らせる】事に尽力したから、腕生やさずに臓器の再生、傷跡を塞ぐ事にしたけど、それで良かった?」

 

「問題ない。むしろ助かって驚きだ。9割9分死ぬと思ってたからな」

 

「死ぬと思って反転術式かける(治療する)馬鹿な医者は居ないわよ。出血が酷いから、暫く目を覚まさないかも。このまま植物状態になる可能性もある。本当にただ【生き残らせる】事だけに尽力したから。」

 

「了解。いきなり呼び出して悪かったな。何してた?」

 

「雑談する余裕ある訳?まぁいいけど。いつも通り患者のカルテ整理してただけだから、暇っちゃ暇な方だったかな」

 

「そっか。今回は助かった。凪さんのことも引き続きよろしく頼む」

 

「あ、それで言いたいことあるんだった」

 

「......何?」

 

「あの人、自分の立場と私達が高給取りな事知って、馬鹿みたいに無駄に高い酒(ヘネシー ボテ・ド・シエクル)ネットで落札したんだけど、どうにかならない?このままだともっと跳ね上がりそう」

 

「............好きにさせろ」

 

「そう?まぁ環のブラックカード(クレジットカード)だから私はいいんだけど」

 

「は!?」

 

「え?」

 

「いやいや、俺が向こう3年間無給で働かなきゃいけないの知ってるよな!?無駄遣いさせるなよ!」

 

「別に今更数千万くらい減ってもいいでしょ。学生時代から12年間特級だったんだし貯金腐るほどあるんだから。」

 

「かといって......クソッ!強かな女だな!!」

 

 

 

 

 

 

「まぁ順平の方はこんな感じ。さっきも言ったけど、目覚めたのは3時間前ね。最初順平見た凪さんはヤバかったな」

 

「仕方ないでしょ!愛息子が片腕無くしてもう目覚めないかもって聞かされて狼狽えない母親がどこに居ますか!」

 

「それもそうだけど......俺、ヘネシーを即札したこと許してないですからね。」

 

「あら。なんでもしていいっていうもんだから」

 

「最悪ドン・ペリニヨンとか、美味い酒ならいいんですよ。楽しめますし。でもヘネシーは半分以上装飾に金使ってるから、そこがイラつくんです。俺酒の箱とかとっとくタイプじゃないし」

 

「私が吉野家の家宝にするから安心して!」

 

「はぁ......ホント強かだよ、順平のお母さん」

 

 そして、やっと情報の整理を終えた虎杖悠仁が口を開く。

 

「あの、環先生。」

 

「なに?」

 

「経緯も結果も分かったんですけど、順平と母ちゃんはこれからどうなるんすか?」

 

 それは、吉野凪も吉野順平も気になっている事だった。吉野凪は息子が倒れた1週間前から気になっていたことだが、怖くて1人で聞けなかった。吉野順平も吉野凪と同じ感じで、呪霊に加担した自分がどんな罰を受けるのか怖かった。

虎杖悠仁もそこらへんはわかっているようで、言葉を選んでいる。

しかし......

 

「別に?なんともならんよ。順平がした事なんて、非術師をちょっとチクッとしただけだし。上層部流にいうなら、【そんな些末な事に割く時間は無い】ってヤツ?

でももうあの家、あの学校には諸々の理由で居られないから、順平には凪さんみたいに高専の寮に住んで貰う。んで、悠仁と同じ高専東京校1年生として、途中編入してもらうよ。順平には悪いけど留年だね。ま、前例(乙骨憂太)もいるし、それは気にしないで。

ツギハギ......順平が言うには、真人(まひと)だっけ。そのお陰様で、順平は呪術師の脳みそになってるからね。立派な呪術師だよ。ま、普通の男子高校生に戻りたいって言っても、返してあげないけどさ」

 

 その場にいた願田環以外の3人がホッとした気分になる。特に吉野順平は顕著であった。目覚めたのもついさっきで、それより前は人を呪殺しようともしていたのだ。何かしらの罰があると思っていた。

 

「あ、でも順平はこの後ちょっとツラ貸してもらうよ。騙されていたとはいえ、今回の件の中心人物の1人だからね。」

 

「は、はい......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんでみんな手ぶらなのぉ!?」

 

 驚きに、読んでいた京都観光雑誌を取り落としてしまう釘崎野薔薇。

パンダ、狗巻棘、禪院真希、伏黒恵。まだここに居ない虎杖悠仁は分からないが、少なくとも今ここにいるメンバーは完全に手ぶらだった。

 

「ん?むしろなんでお前はそんな大荷物なんだ?」

 

 パンダがそう聞く。

 

「いや、これから京都()姉妹校と交流会......でしょ?」

 

「......これから京都()姉妹校と、東京で交流会だ」

 

「嘘でしょ〜〜!?」

 

 釘崎野薔薇は勘違いしていた。

てっきり、今から京都まで行って、高専京都校本校にて姉妹校交流会を行うもんだとばかり。

 

「通りで最近会話が噛み合わねぇわけだ」

 

 禪院真希が納得する。

 

「ですね。」

 

「しゃけ」

 

 伏黒恵、狗巻棘が同調する。

 

「去年勝った方の高校でやるんだよ」

 

「何勝ってんだ2年ゴラァ!!!」

 

 パンダの首......首?襟?その辺を掴んで、思いっきり持ち上げる。

 

「去年は俺達1年で出てねーよ」

 

「数合わせで憂太が参加したな。解呪前だったから、圧勝だったらしいぞ。京都でやったから私達知らねぇけども」

 

 禪院真希が記憶を掘り起こしてそう言う。

 

「許さんぞ乙骨憂太ァ〜!!会ったことないし特級だから怖いけどォ〜!!」

 

「逆恨みだな」

 

「しゃけ」

 

「おい」

 

 そんな話をしていると、高専に上がる階段から複数人の足音がする。

 

「来たぜ」

*1
なにが?




サブタイトルに意味なんて求めるな!!!!
前半だけシリアル!!!
かかったなアホが!!!

順平「日本人って好きですよね。無意味な言葉に意味を色々付け足して、悦に浸るの」

うるさい!!!黙れ!!殴るぞ!!(暴力)

〜みんなのお悩み相談室〜

Q.順平と凪さんの見てた映画なに?
A.ジーリという2003年のコメディ映画です。
制作費約6000万$に対し、興行収入600万$の映画界の特級呪物です。

Q.環は氷川の存在、又は残穢に気付かなかったの?
A.存在には気付きました。けど、去年の百鬼夜行で会った呪詛師氷川だとは気付いてません。残穢も、微小な物だったので気付きませんでした。後日高専が宿儺の指を回収しに吉野順平宅に行った時は、既に残穢は自然消滅していました。それぐらい微小なものでした。

Q.なんで環は上の指示でもなく単独で吉野順平に当たりをつけて追ってたの?しかも凪さん襲われるのも分かってたっぽいし。
A.「俺ならそうする」だそうです。
度々言及されてますが、環くんの感性や考え方は人間というより呪霊に近いです。頭に縫い目のある氷川くんと仲良く出来そう。

Q.吉野凪はすぐに保護したのに、なんで吉野順平はすぐに保護しなかったの?
A.背後にいる呪詛師、又は特級呪霊炙り出しの為です。
実際、あそこであっさり保護する事も出来ましたが、してしまったらおもちゃ(吉野順平)を無くした真人は雲隠れ。話が進まなくなる。
というメタ的要素ありですが......
それにしても環。お前、人の心とかないんか......?
環くん本人は別にこのことを悪いとは思ってません。もし保護しなかった結果吉野順平が死んでいたとしても、なんとも思いません。
それでも【みんなハッピーな世界線】を謳う二次創作のオリ主かテメェ!!

Q.吉野順平の左半身()()をガンツスーツで覆う......なんて、出来るの?
A.出来ます。正確に言えば、出来るようになりました。
昔は転送はON/OFFスイッチみたいに、丸々転送しか出来ませんでしたが、過去世界で時間が経つにつれ術式の練度が上がり、スーツを直接転送。途中で辞める事で、部分的な装着が可能になりました。恐らく順平以外に使い所ないです。
ちなみに、呪力ケチって甚爾に「お前のガンツスーツ四肢だけでいい?胴とか股間とか消していい?」って聞いたら「もうあるのに12年経って慣れたし、今更普通にトイレしろって言われても無理だ」と言われました。汚されちゃったね......
性欲処理には困るらしいですよ(¬¸¬)ボソ
まぁ12年禁欲してたら慣れたらしいですけど。女好きの甚爾らしくない!!!!

Q.硝子、臓器生やせるの?凄くない?
A.凄いです。でも腕までは無理でした。
ガンツスーツなしの吉野順平は、シルエットだけみたら左脇らへん全滅してます。必然、左腕も死んでます。

Q.ヘネシー ボテ・ド・シエクルって何?
A.簡単に言えば超高い酒。2500万〜ぐらいする。
調べたんですけど、どうやら箱が特別製らしくて。有名バンドグループ10組くらいが合同で作ったらしいですよ。よく知らんけど。
とにかく高い酒を買わせたかった......

Q.今更なんだけど、スーツが消える時の仕様は実写版よりなんだな。
A.派手好きなもんでして。
別にやろうと思えばスゥッと消えることもできます。

〜じゅじゅさんぽ〜

 虎杖悠仁が来る前、目が覚めた吉野順平は、ひとしきり泣いた吉野凪と共に映画鑑賞ルームで願田環によって待機を命じられていた。

凪「なにこれ?映画?」

順平「ミミズ人間シリーズ全部ある......うわ!これ海外の絶版じゃん!」

凪「レア物?」

順平「レアなんてもんじゃないよ!態々海外に行って探しても見つかるかどうか......うわ。これも!え?な、なんでこんなに?」

凪「......なに?このキモかわいい人形」

順平「なんだろ......グローブ?もふもふだね」

凪「まいっか。ね、暇だしなんか映画見ようよ。」

順平「え〜?......そうだなぁ......なんでもあるなぁ......何みたい?」

凪「ん〜〜〜私が見たことないやつ!」

順平「母さん結構名作は見てるよね......」

凪「あんたの映画好きは私譲りだかりね。順平程オタクじゃないけど」

順平「そんな俗っぽい言い方やめて欲しいな。マニアって言ってよ」

凪「映画マニア!」

順平「これなんてどう?」

凪「え無視?......なにこれ。コメディ映画?」

順平「うん。」

凪「面白いの?」

順平「超つまんない」

凪「どれくらい?」

順平「制作費の約10分の1しか売れなかった」

凪「ブフォ!採用!!見よう!!」

 その後、時々止めながら、じっくりまったりジーリを鑑賞する吉野順平と吉野凪であった。

じゅじゅさんぽどう?大丈夫そ?いや、結果で辞めるとか消すとか無いけど。

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