世界を恐れる事勿れ、世界()はいつでも君の側にいる。
世界を憎む事勿れ、世界()はいつでも君を見ている。


世界を呪うこと勿れ
─────世界()はいつか君の元へやって来る。

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気分転換に書いたものです。多分続きません。楽しんでってください。


廻界、塑にして還らず

 

───今日も空が青いね。

 

 

 

 青年のような、二十代後半ほどの人物は、ある神社の上で独りごちる。屋根に寝転がりながら、いつものように空を眺める。

 

 青年は青い直衣を着ており、顔には鼻より上を隠すように黒い顔布を貼り付けている。顔布には、正方形が幾つも重なったような、幾何学的な模様。風が吹くが、顔布は端が少し靡くだけで顔から離れる事はない。本当に貼り付けられてるようだ。

髪は真っ白。それに加え、右後頭部から前頭部にかけて、青いメッシュがかかっている。

 

 

「……暇だな〜。いい加減、誰か来てくれないかな〜。そんな人里離れたところなのかな、ここは」

 

 

 またも独り言。()()()()話し相手がほぼいないのだ。独り言が増えるのも当然であろう。

 

 

「全く、誰がこんな忌々しいもの作ったのかな。小生はこんなにも友好的だというのに」

 

 

 ここは、日本のとある山の中腹。決して標高が高い訳でも無く、人里も辛うじて見える。

そこにぽつんと建った神社。青年はそこにいる。何の神を祀っているのかは青年にも分からない。

 

 そして青年は、この神社の敷地内から出ることが出来ない。鳥居を出て階段を降りようとしても、鳥居を潜った時点で壁に阻まれる。

恐らく、何者かが何かを封印する為に作った結界的なものだろうと、青年は結論づけた。

その何かは分からないし、青年にとってはとんだとばっちりである。

 

 封印(多分)されて百年以上経つが、ここを訪れる人間は少ない。というかほぼゼロだ。過去に2人。それがこの神社を訪れた者の数。訪れたとしても、青年が()()()人はいなかった。

 

 

「と言っても、見つかっても祓われるんだよなぁ。難儀なものだね。何もしてないのに討伐とか。小生がそんな邪悪に見えるかな……見えるのかなぁ」

 

 

 《呪霊》。青年はそう呼ばれるものだ。

人々が生み出す負の感情。それらは日々生まれ続ける。

その感情達は《呪力》というエネルギーとなり、同じものに向けられた負の感情は、やがて寄り集まって1つの形を成す。

それが呪霊。行動原理はほぼ分からないが、大抵はほっとけば消える。とりあえず人を殺す個体もしばしば。とりあえず人に害を為すのがほとんど。

端的に言えば、人類にとって滅ぼすべき害だ。

 

 青年は自分がそういう存在だと理解している。

産まれ落ちた瞬間から、青年はこの神社にいたし姿もこのままだが、何故か自分の事はよく分かっている。呪霊という存在がどのように扱われるかは、青年の事情的に誰かに教わる必要もなかった。

 

 

「せめて、西暦くらい分かればなあ。もし2000年以前なら、()()に絡めるかもしれないのに」

 

 

 彼は呪霊であったが、それよりも更に奇特な素性をしていた。

それは、()()()……だったと思うこと。あまり正確性ではないが、彼には朧気ながら前世の記憶がある。人間だと思うのは、何となくだ。

そして彼が言った『原作』とは、この世界そのもの。

彼の前世には『呪術廻戦』という漫画があった。その世界で死に、この世界に呪霊として生を受けたことで、ここがかの『呪術廻戦』の世界であると理解したのだ。

 

 初め、彼はそれは興奮したとも。自分が呪霊であったとしても、創作の世界に生まれ変わる事ができたのだから。

しかし、現実は封印(これ)である。ガッカリ通り越して放心したものだ。

この結界も、発生元は分かっているのだが、呪霊を拒むようにできているので触れることが出来ない。

よって、このようにボーッとしながら日々を過ごすしかないのだ。

 

 

「はあ……─────────ん?」

 

 

 することも無いので寝ようとした矢先、青年は起き上がって鳥居の方を見た。

 

 ……何かが近づいてくる。

その気配に、青年は喜色満面でガッツポーズした。久々の人だ。元人間の彼からしたら、誰とも会えないのはそれなりに苦痛なのだ。

興奮を隠せず体を左右に揺らしていた青年だったが、ふともう一つ妙な事に気がついた。

 

 

「……何か変だね。逃げている?……というか気配二つあるね。一つは人間、もう一つは……」

 

 

 感じた気配は二つだった。一つは明らかに人のもの。

そしてもう一つは、お世辞にも人が発するようなものではなかった。

十数秒して、気配の主の一人が神社の屋根から見えた。

年端もいかない子ども。白いワンピースを着た、6、7歳くらいの女の子だ。

 

 

「ハアッ、ハアッ……誰か、いませんか!?」

あ、あああ、ああそおおぼおおお

「ひっ!?」

 

 

 少女は怯えた様子で走っており、ここに来たのは助けを求める為であったらしい。

少女を追っていたのは、案の定呪霊。芋虫と百足と土竜を悪魔合体させて人面を貼っつけたような、地獄にもいなさそうな化け物だった。

青年が呪霊を見るのは初めてでは無い。結界は外側からは入れるらしく、人よりかは多い頻度で敷地内に入ってくる。基本話は通じないので、祓っているが。

 

 

「だ、誰か!助けてぇ!」

「───ん、いいよ」

「え?」

 

 

 呪霊から逃げ、賽銭箱の所まで来た少女の横に、青年はスタリと着地する。

呪霊は鳥居を潜り、こちらへ向かってきた。

 

 

ああああそおおおおおおお

「悪いけど、小生はお話がしたいんでね。もう少し言語野を鍛えて来てくれたまえよ」

 

 

 そう言って、青年は呪霊に右手の人差し指と中指を揃えて向けた。

突進してきた呪霊に怯み、少女は固く目を瞑る。

 

 

「はい、もういいよ。目開けても大丈夫」

「えっ……っ!」

 

 

 目を開けた少女の前にあったのは、真っ二つにされた化け物の体だった。

いや、よく見れば横にも両断されている。一瞬で家くらいの巨体を四等分したのだ。

唖然とする少女の前に、青年が躍り出る。この世界に生まれて、初めて自分と話せる者に出会ったのだ。テンションはうなぎ登りだった。

 

 

「怪我はないかな?」

「う、うん……」

「そうかいそうかい、それは良かった」

「……あの、ありがとうございます。助けてくれて……」

「いいのいいの!それよりさ、小生とお話しないかい?」

「お話……?」

「そう、ダメかな?」

 

 

 少女はこくりと頷き、それに青年は笑みを一層深くした。

 

 それから、二人は境内に座り、青年は少女に色々なことを聞いた。

少女がこの山の麓の村に住んでいること。山を探検してたら迷子になって、呪霊に襲われそうになったこと。呪霊が見えるのは、自分以外知らないこと。この神社を見つけたのは、全くの偶然であったこと。

そして、少女の事以外も聞いた。

 

 

「おおっ!今2005年なのか!しかも6月!いやー、過去とか未来じゃなくて良かったー!」

「?」

「ああ、こっちの話だからあんまり気にしないでね」

 

 

 原作とドンピシャの年代であることに歓喜する青年を、不思議そうに見つめる少女。

段々と打ち解けてきた少女は、青年の事も聞き出した。

 

 

「ねえ、あなたは人?それとも神様?」

「神様ではないかな。……怖がらないでね?」

「? うん」

「小生ね、さっきの化け物と種族的にはおなじなんだよね」

「えっ!?」

「待った待った!安心して!食べたりしないからさ!ほら、人間にも善人と悪人がいるだろう?それと同じさ。小生たちにも、良い奴と悪い奴がいるの。小生は良い方ね!」

「わ、分かった。助けてくれたし……」

「ありがとね!」

 

 

 一瞬怯えた少女に、必死に無害アピールをする青年。今更だが、顔布に直衣という格好なので傍から見ると完全に不審者だ。いや、人ですらないのだが。

 

 

「神様は、ここから出れないの?」

「神様ではないんだけど……そうだよ。小生はここから出られない。ずーっと一人」

「寂しくないの?」

「寂しいとも。すっごく。だからこそ、こうやってキミと話せるのはすごく楽しいよ!」

「そう……」

 

 

 明るく振る舞う青年に対し、少女は何か可哀想な表情を浮かべた。

 

 

「どうしたんだい?」

「……可哀想だなって。誰とも話せないなんて」

「うーむ……あ、そうだ。ちょっと来てくれないかい?」

 

 

 青年は少女を神社の建物の中に連れていった。

中は暗かったが、青年が指をパチンと鳴らすと、どこからともなく青白い光が灯る。

そして部屋の中心部に見える、祠のようなもの。

 

 

「これが、小生をここに縛っている原因だ。正確には、この中身だね。開けられるかい?」

「い、いいの?罰が当たったりしない?」

「大丈夫!小生ここの管理者みたいなもんだから!」

 

 

 恐る恐る、少女が祠を開ける。

中から出てきたのは、札に包まれた立方体だった。この札が、青年が触れようとするのを拒むのだ。

青年に促され、少女は札を剥がす。

 

 

「……ルービックキューブ?」

「みたいだね。全面金色だから揃えようがないけど。一応聞くけど、壊せる?」

「んっ……ダメみたい」

 

 

 少女が力を込めるが、黄金に光る立方体はビクともしなかった。申し訳なさそうにする少女を宥め、二人は境内に戻った。

すると、さっきまで快晴が広がっていたにも関わらず、辺りは闇に包まれていた。

 

 

「あれ?もう夜?」

「……そういえばさ、キミ名前は何て言うの?」

「? 明野紗世(あけの さよ)だよ」

「紗世ちゃんか!いい名前だ!じゃあ、ちょっと神社の中に入っててくれないかな?紗世ちゃん」

「どうして?」

「さっきみたいに、怖ーい化け物が来るかもしれないから」

「! 分かった!」

「良い子良い子」

 

 

 神社に入る紗世を見届けたあと、青年は独り言を呟く。

 

 

「《帳》かぁ。実物を見るのは初めてだけど……さて、蛇がでるか、鬼がでるか……っ!」

 

「───おーい?ホントに呪霊出んのか?デマなんじゃねーの?」

「───窓からは準一級相当と言われていたけど、ここまで気配がないとそう思えてくるね」

「───ん?……へー、傑、どうやら上みたいだぜ」

「───何か視えたのかい?悟」

 

 

 階段の下から聞こえてくる二つの声。

そして、互いを呼ぶ名前に、青年は口の端が吊り上がる。

今日は実に良い日だ、そう思いながら待ち構えていると、やがて姿が見えた。

 

 一人は、白銀の髪に丸いサングラスをした少年。もう1人は、黒髪をお団子にした特徴的な前髪の少年。どちらも長身なので、彼らの素性を知っていなかったら青年と呼んでたかもしれない。

付け加えて、二人から発せられる強大な力。間違いなく、五条悟と夏油傑その人だ。

二人は青年の姿が見えたことで立ち止まり、臨戦態勢に入った。

 

 

「タンマタンマ。こっちに敵意はない。拳を収めてくれないかな?」

「へえ、ここまで高度な言語を操るのは久しぶりだね。悟、取り込みたいから祓わないでくれよ?」

「わぁーってるよ。というかコイツ、妙な感じするな。ホントに呪霊か?」

「そこは呪霊で間違いないよ。小生は正真正銘呪霊さ」

「祓われたくないなら、誤魔化したらどうだい?誤魔化しても祓うけど」

「小生なりの誠意さ」

「呪霊が誠意見せてんじゃねえ、よ!」

 

 

 お喋りは終わりだと言わんばかりに、五条の構えられた手から蒼い球体が飛び出す。

初めて見る自分以外の術式に興奮しながらも、当たったら死ぬので青年は右手を翳す。すると、五条が放った『蒼』は青年の前方数尺程で止まり、潰れるように消えた。

少年二人はそれに驚きながらも、青年は事も無に呟く。

 

 

「ふむ、手加減されたと言っても、一発で押し勝てるとは思ってなかったね」

「……悟、コイツの等級はどのくらい?」

「視える呪力は、せいぜいで二級かそこら。けどやっぱおかしい。さっき『蒼』を消したやつ、視えなかった」

「へへえ、それは詳しく聞きたいものだね。小生の術式は君にも見えないのかい?」

「誰が教えるかよ!」

 

 

 五条は癪だが、今度は手加減無しの最大出力の『蒼』を放つ。それに対し、青年はやはり焦る事は無いが、少し眉を顰めるような顔を作る。実際は顔布に隠れて分からないが。

青年は今度は両腕を広げ、パン!と掌を合わせる。

瞬間、『蒼』はまたしても潰れ消えた。

 

 

「悪いけど、後ろの神社を壊す訳にはいかないんでね。あまり乱暴はしないでくれたまえよ?」

「……ちっ、何なんだよお前……」

「小生が何か……クフフ。知りたいならば教えよう。小生が何者か───」

 

 

 青年が口を開こうとすると、その下から巨大な呪霊が地面を食い破り、青年を丸呑みにした。

夏油傑が仕込んだ呪霊であったが、二人は安心する様子はない。当然だ。五条の最大出力の『蒼』を簡単に消し飛ばせる相手が、こんな事で祓われる筈がない。

 

 

「───呪霊というものはね、自分が何から生まれた存在であるのか、生まれた瞬間に理解するんだよ。ま、殆どは自覚できる程の知性を持ってないから、意味ないんだけどね」

 

 

 呪霊の腹に紫色の筋が入り、上半分が真っ二つに吹き飛んだ。その中から、返り血も浴びていない青年が顔を出す。

 

 

「そこで問題!小生は何の呪霊でしょーか!」

「申し訳ないが、呪霊と話す口は持ち合わせていなくてね。答える気はない」

「まあまあそう急くなって。少しくらい考えてくれてもいいだろう?攻略の糸口になるかもしれないぜ?」

 

 

 夏油が飛ばしてきた小型の呪霊の群れを、青年は到達する前に丁寧に全てたたき落とす。

問題と言っておきながら、考える様子のない二人に嘆息しながら、青年は呪霊の体から飛び降りた。

 

 

「はい、シンキングタイム終ー了。残念でしたー」

「マジで何なんだコイツ。さっきから攻撃してこねーし、一人でずっと喋ってるし」

「呪霊の戯言と言うには、知性がありすぎる。気乗りはしないけど、聞いてみるのも一つの手かもしれない」

「ふふふ、ありがと。それじゃあ発表!正解は──────『世界』さ」

 

 

 青年の回答に、二人は頭に疑問符を浮かべる。

予想通りの反応に、青年はくつくつと笑い、説明を続けた。

 

 

「呪霊は人の負の感情から生まれる。大地に怯え、森を忌避する、海を畏怖し、人を憎む。そういったものから、昨日はついてなかった、なんてどうでもいいような感情までも、呪霊を生む原因となる。

さてさて、では小生が言った『世界』とは何か。……簡単さ。誰だって一度は考えたことがあるんじゃないかい?」

 

 

───『自分ばかりがこんな目に遭うのは、世界が悪いからだ』

───『あいつばかりが良い思いをするのは、この世界がおかしいからだ』

───『気に入らない奴、全員死んでしまえ』

───『自分以外、みんなみんな消えてしまえ』

 

 

───『こんな世界、滅んでしまえ』

 

 

「……人はさ、弱いから。自分の非を自分で認められる人は少ないんだ。いつだって誰かのせいにしたがる。他の奴、自分以外の誰かのせいにさ。けど、それすらもホントは悪いことって気づいちゃうんだ。

だから、矛先はこの世界そのものに向く。普遍的で、一般的で、誰が悪意を向けようとも関係ない、一律的なこの『世界』にさ」

 

 

 誰に向けようもない、行き場を失った人の悪意。それらは全て、この世界へ収束していく。

()()に向けられた憎悪、()()に向けられた恐怖、それらが寄り集まって形を成したのが、この青年であった。

そんなドス黒い、正しく負の感情の権化のような正体を知り、二人は後ずさる。

 

 

「そんなに怖がらないでくれたまえよ。小生は確かに凶悪な出生だけど、人に悪意とか向けてないから安心してね」

「誰が信じるんだよ、そんな事」

「別に小生は、世界に向けられた悪感情から生まれたからと言って、世界を憎んでいる訳じゃない。山から生まれた呪霊は、山のことを破壊したりしないだろう?」

「別に、そんな事はないと思うけどね」

「そうなのかい?それは知らなかった」

 

 

 冷や汗を垂らしながら言葉を返す二人に対し、青年はあくまで飄々としている。

二人を特に気遣う訳でも無く、青年は変わらない調子で言葉を続ける。

 

 

「寧ろね、小生はこの世界が大好きなんだ。昔夢見た世界に行けるなんて、思いもしなかったからね。君達にこうして会えたのも、死ぬほど嬉しいんだよ?」

「そうかよ。だったらそのまま死んでくれね?その方が俺らも嬉しいんだけど」

「それは出来ないね。さっき久しぶりにまともに話せる子と会ったんだ。彼女が悲し───」

 

 

 そこで、青年の纏う空気が変わった。先程までの軽い雰囲気は消え去り、重々しくなる。それは、五条と夏油も同じ。話を聞く体勢を解き、再び呪術を構える。

三人が身構えた訳。それは感じたから。

この世の終わりを想起させるような、禍々しい呪力を。

 

 最初に動いたのは青年だった。が、動いたと気づいた者は、誰も居なかった。

 

 

「───紗世ちゃん、大丈夫?」

「え?えっ、う、うん……神様は?」

「小生はへっちゃらさ。それと神様じゃないよ」

 

 

 青年は、いつの間にか五条と夏油の後ろにいた。その腕には、小さな子どもを抱えている。

二人はその動きを全く追えなかった事に驚くが、それよりも神社の方だ。

いつの間にか開け放たれている神社の扉からは、より濃くなった気配が体中を突き刺してくる。

 

 

「……紗世ちゃん、中で何かあった?」

「ご、ごめんなさい……あの箱、急に動き出して、壊れちゃって……」

「謝ることじゃないよ。それにあれが壊れたって事は、もう小生を縛るものは無いって事だ。ありがとね、紗世ちゃん」

「おい呪霊、何だあれ。お前の仲間か?」

「いいや、何なら小生からしたら敵だね」

「その子は、お前が攫ったのか?」

「それも違う。呪霊に襲われてたところを助けたんだよ。それより夏油くん、紗世ちゃんのこと守っててくれるかな?五条くんも出来ればその方がいいかな」

 

 

 当然、二人は動かない。名乗ってもいないのに名前を知られているというので、怪しさも倍増だ。

しかし少女が人間であるというのも確か。よって夏油は、青年が離した少女の周りに護衛用の呪霊を付けた。

 

 

「ひっ!?」

「大丈夫だよ、紗世ちゃん。あの前髪のお兄さんのペットだから」

「誰が前髪だ。それより……来るぞ」

 

 

 神社のそこかしこに罅が入る。ミシミシと音を立て、やがて天井を突き破って主は現れた。

金色に輝く巨体。身の丈はざっと5、6メートルはある。夥しい数の腕が上半身の至る所から生えており、一際大きい三対の腕は胴の前で掌印を組んでいる。

顔には無数の目。全てがギョロギョロと蠢いている。

 

 

せそんみょうそうぐがこんじゅうもんび

 

 

「ふむ、千手観音、いや万手(ばんじゅ)の方が正しいか。ずっと神社だと思ってたけど、お寺だったのかな?この感じだと、修繕は厳しそうだね」

「……悟、あれ祓えるかい?」

「勿論、って言いてえけど、ちょい厳しいかもな。特級でも上澄みくらいだ少し手こずるかも……っ!?」

 

 

 呑気に建物の心配をする青年を余所に、二人は目の前の呪霊を真剣に見つめる。

分析していた五条の頭上に、いつの間にか黄金の手が現れていた。咄嗟に無限を展開したことで、四人は無事だが、一瞬遅れていたら地面の染みになっていたことだろう。

領域も展開していないのに、この術式の展開速度。五条のように無限の障壁がない夏油は、五条の傍を離れればものの数秒で虫のように潰されることだろう。

夏油は数匹の百足のような呪霊を、五条は『蒼』を、同時に観音に放った。

 

 

ねんひかんのんりきにょじつこくうじゅう

 

 

 しかし、観音が呪詞を唱えるとそれは潰れるか、霧散した。今日だけで二体も己の技を完封する者を見つけて、二人のプライドはボロボロだ。悔しそうに歯噛みしている、

 

 

「君達では荷が重いんじゃないかな。五条くんの目には何か見えたかい?」

「だから何でお前はそんな馴れ馴れしいんだよ!呪霊の知り合いなんかいねえぞ!?」

「手厳しいねえ。で、見えるの?」

「ちっ……呪詞を唱えることで、何かを出す術式。何が出るかまでは分からねえ」

「おっけー。それじゃあ夏油くんは紗世ちゃんのとこにいてくれない?不安だからさ」

「……お前の命令で動く訳じゃないぞ」

「分かってるよ。ありがとね」

 

 

 渋々といった感じで、夏油が紗世の傍についた。

青年は礼を言い、腕をぐるぐる回しながら観音に近づく。

 

 

「よーし、これで心置き無くぶちのめせるね。五条くんは二人を守っててよ」

「おい!んでお前が前に出んだよ!」

「え?心配してくれてるのかい?」

「誰がだ!コレは俺らが祓う!お前は手を出すな!」

「えー、聞けないなぁ。君達じゃ死んじゃうしさぁ。」

「ああっ!?」

「それに……数十年閉じ込められて、小生も鬱憤が溜まってるからさ。

──────邪魔してくれるなよ、最強達

 

 

 突如、青年から溢れ出した呪力の奔流に、五条と夏油の体から脂汗が吹き出る。足が重くなり、動けなくなる。

今まで感じていた、二級呪霊程しかないと思っていた青年の呪力。それがいきなり膨れ上がったのだ。

観音もそれに気が付き、無数の瞳が一斉に青年に向いた。その気持ち悪さに青年はオエッと舌を出し、空中に飛び上がってそのまま虚空に立った。

 

 

「術式も問題なく使えるね。君があのルービックキューブ?随分と膨れ上がったね。札を貼られてたのは、君も封印されてた口かい?けど君が起きてから、小生を閉じ込めてた結界も消えたよね?やっぱ君が小生を閉じ込めて───」

 

ひとうかいらいしんじいみょうたいうん

 

 

 最初と同じように、いきなり現れた掌が青年を押し潰そうとした。だが、届かない。届く前に一度静止して捻り潰された。

 

 

「さては君、小生の術式知らないね?知っててどうにかなる事じゃないけど。今更『縛り』を作っても結果は変わらないが……解禁と行こうか。小生の初陣だ。顔を立ててくれたまえよ?観音様」

 

いにちはしょあんのうふくさいふうか』 

 

 

 無数の長い腕を広げ、それぞれの掌に槍や金剛杵、斧などが出現する。一本一本がそれなりの呪具。一つでも当たれば全て追随して体を突き刺してくるだろう。

対して青年は何も身構えず、自然体でそれを眺めていた。

武器群は掌から消え去り、青年の周囲を全て固める。観音は人差し指の一つを上げ、武器に命令する。その男を殺せと。

それより速く、青年は呟いた。

 

 

 

   ───────術式解放───────

            廻界忌鬼(かいかいきき)

 

 

 

 刹那、青年を囲うように、青白い立方体が彼を包んだ。

その中に入れられた武器たちは、制御を失ったように動きを止め、やがて消え失せた。

 

 

「『廻界忌鬼』、それが小生の術式。結界を作る術式なんだけど、小生の結界は普通のとは一味違う。普通の結界は、今閉じてる『帳』みたいに閉じ込める為のものだ。形も基本は球体。何でか皆共通してるよね」

 

 

 観音が懲りずに飛ばしてくる、武器や掌の攻撃を危なげなく躱しながら、青年は術式を開示する。

 

 

「『廻界忌鬼』は、それに囚われない自由な結界。……ただそのままだと、閉じ込めるのが中途半端になる。勿論そのまま弾丸みたいに飛ばすのもアリだけど、あまり強くないし。……そこで小生は術式に、少々アクセントを加えた」

 

 

 青年の言う『アクセント』。それは単純に言うと『解釈の拡張』だ。

青年は、この神社(寺)に閉じ込められている数十年間、暇を持て余していた。ならば、折角の術式だ。極めないと損だろう。そんな軽い思いで、鍛練を重ねた。

一通り術式を使えるようになると、青年は自分の術式の伸び代を考えた。

自分のルーツ、即ちこの『世界』そのもの。

では、自分が生み出すこの結界は何だ?ただの術で顕現しただけの結界か?

 

 答えは、否。

 

 

「小生は『世界』だ。世界から産み落とされるもの、それ即ちもう一つの世界!『廻界忌鬼』により顕現するのは、小生が作った別の世界だ!」

 

 曲解にも程がある、そう思われるだろう。事実、聞いていた五条と夏油は信じられないでいた。

『世界』を作る……正しく神の所業。一呪霊が出来る範疇など優に超えている。

しかし青年は、『縛り』と自身の呪力量をもって、その不可能を可能にしていた。

 

 

「……さて、開示も終わったし、そろそろ祓うね。小生だって怒ってるんだ。ずーっと閉じ込めてくれちゃってさ」

 

がんじゃきゅうぶくかつきどくしょうひぜん

 

「はいはい、もう聞き飽きたからそれ。夏油くんが取り込めるくらいに裁断するから、動かないでね」

 

 

 一際激しくなった攻撃の中でも、青年は眉一つ動かさない。青年の周りには常時結界が張られており、青年に干渉しようとする全てを拒絶する。文字通り『全て』だ。

どれだけ硬かろうと、どれだけ呪力が篭められていようと、関係なく全てを拒む。

『世界』を超える力をもってしなければ、青年の世界が壊れることは無い。

 

 青年は右手を頭上に持ち上げ、その掌に結界を作り上げる。それは回転しながら形を変え、極限まで薄くなる。

 

 青年が生み出す世界と、それ以外が存在するこの世界との間には、限りなく微小な隙間が存在する。今青年が薄く引き伸ばした世界は、その隙間程の厚さ。

その隙間は、何者にも拒むことはできない。押し当てられれば、ただ切られるのみ。

存在さえしていれば、その空間、世界ごと存在を分断される。

正しく、『世界を断つ斬撃』。

 

 

 

 

 

─────────界断(だんかい)─────────

 

 

 

 

 

 ───まず、観音の腕が全て消し飛んだ。

次に腹。像のような体をしているのに、紫色の臓物が飛び出る。それすらも、飛び出た瞬間細切れにされる。

最後に首。往生際悪く、無いと思っていた口を開けてグロテスクな顔面で迫って来ていた首は、寸前で斬り飛ばされた。

まだ抵抗しようと、首から下を再生させようとしたため、三枚に卸しておく。そして、観音は今度こそ動きを完全に停止させた。

 

 

「はい、夏油くん。取り込んじゃって。まだ抵抗しそうなら、もう少し削るよ」

「…………」

 

 

 観音の核にあたる、卸した首の真ん中の部分を夏油に投げ渡した。夏油は少し躊躇いを見せたが、観音を黒い球体に変え、それを飲み込んだ。

 

 

「ふぅー!一件落着!」

「神様っ!」

「あっ、こら!」

「おー紗世ちゃん。大丈夫そうだね。今日だけでこれ言うの3回目だね」

「神様も大丈夫!?」

「大丈夫大丈夫!だって神様だよ?(諦め)」

 

 

 夏油の後ろに隠れていた紗世は、青年へと駆け寄った。

やはり青年のことを神様だと思っている紗世に、諦めてそう振る舞うようにした。

少女を守るために、呪霊を嗾けようとした夏油を、五条は腕で制した。

 

 

「悟?」

「……傑、コイツ取り込めるか?」

「無理だよ。力に差がありすぎる」

「そうじゃなくて、お前の術式の()()()かってことだ」

「? それはそうだよ。限界まで弱ってさえいれば取り込める」

 

 

 夏油に確認を取る五条の意図を察した青年は、紗世を抱えながら五条に向き直った。

 

 

「五条くんは、まだ小生が呪霊かどうか疑ってるのかな?」

「……纏ってる気配が、呪霊とはどっか違う。俺はよく分かんねえけど、六眼(この眼)がそう言ってる」

「ふむ、自覚としては小生は呪霊だけど、実際は精霊とか神霊に近いのかな?自分がそんな大層なものな感じはしないけどねぇ」

 

 

 精霊や神霊も、成り立ちは呪霊と変わらない。ただそれが、神聖なものへと向けられた畏怖や後ろめたさだったりすると、それは精霊等と呼ばれるのだ。

それに近い感覚を感じた五条はそうでないかと思ったが、生憎と本人も分からない。

 

 

「ま、小生は呪霊だよ。それ以下でもそれ以上でもない」

「じゅれい?」

「ああ、紗世ちゃんは気にしないでいいよ。それよりさ、お二人に提案があるんだけど」

「呪霊の提案を飲む訳ねえだろ」

「まあまあそう言わず。君達にとっても悪い話じゃないはずだよ」

 

 

 最早二人に警戒されることを微塵も気にしていない青年は、人差し指を上げて提案の内容を告げた。

 

 

「小生を夏油くんに取り込まれた事にして、君達に着いて行く、というのはどうだろう!」

「「…………は??」」

「あ、勿論誰も傷つけないし、言われれば呪霊を祓うのだって手伝おう。表向きは主従関係って事でもいい。どうかな?良い話じゃないかい?」

 

 

 満面の笑みでそう言う青年に、二人は困惑して声が出なかった。自ら進んで人間の下に着こうとし、呪霊を祓う手伝いまですると言う呪霊(暫定)。そんなもの奇特なんて言葉じゃ片付けられない。

暫く返事が無かったが、やがて五条の方が口を開いた。

 

 

「……何が目的だ?そこまでお前に不利な条件を付けてまで、何で俺らに着いていこうとするんだ?」

「ん?んー、面白そうだからというのが最大の理由かな。君たちの周りは退屈しなさそうだからさ」

「……悟、いつでもコイツを祓えるような物を作れば、連れて行ってもいいんじゃないかな?」

「はあっ!?本気かよ傑!」

 

 

 提案に肯定的な意見を述べた夏油に、信じられねえと五条が叫ぶ。夏油はそれに、あくまで冷静に返した。

 

 

「だってそうするしかないだろう?コイツは今の私たちよりも断然強い。断って付きまとわれるより、利用した方が得策だ」

「そりゃそうだけど……」

「お、交渉締結でいいかな?」

「悟?」

「……だあぁっ!分かったよ!けど、縛りはきっちり結ぶからな!」

「勿論だとも!可能な限り受け付けようじゃないか!」

「そこは全部って言え!」

 

 

 観念した五条を見て、青年は紗世を抱いたまま小躍りする。青年の腕にいる紗世は、難しい話に着いていけなかったのか、あまり的を得た顔をしていなかった。

しかし、何となく気付いたことがあった。

 

 

「神様、どこか行っちゃうの?」

「そうだねぇ。神社も壊れちゃったし、他に住む場所もないし」

「……もう、会えない?」

 

 

 そう言って、目尻に涙を浮かべる紗世。

そう懐かれるような事をした覚えのない青年は、少し面食らいながらも微笑んで紗世の目を拭った。

 

 

「コラコラ、泣かないで。綺麗なお顔が台無しだよ?会えなくなる訳じゃないさ。お兄さん達が許してくれさえすれば、また会えるよ」

「ホント?」

「本当だとも。ね?お兄さん達?」

「「黙れ」」

「ね!お兄さん達もああ言ってるよ!」

「う、うん!」

「勝手に話を進めないで貰えるかな?」

 

 

 夏油の文句を無視し、紗世を高い高いする青年。

ひとしきり戯れた後、紗世は青年の手から離れて二人の元へトコトコと走り、ぺこりとお辞儀した。

 

 

「あの、また神様と会わせて下さい!お願いします!」

「…………はあ、君にそう言われたら、こちらも強く言えないね」

「は?何で俺らがてめぇみたいなガキの言うこと……いってえ!?何すんだよ傑!?」

「呪霊はともかく、女の子には優しくしなさい」

「あ"あっ!?パンピーのガキに優しくしても意味ねえじゃねえかよ!」

 

 

 紗世のお願いに折れてくれた夏油。そして構わず悪態をつこうとして夏油に殴られる五条を見て、青年は「おお、漫画と同じ」と勝手に盛り上がっていた。

そして、四人は跡形もなくなった神社を後にした。

五条と夏油は、仲睦まじく手を繋いで歩く青年と紗世を訝しげに見ながらも、もう何も言わず階段を歩いた。

 

 麓まで到着し、ここで紗世とは別れることとなった。

紗世少しだけ青年と手を離すのを渋っていたが、直ぐにその手を離して短めの髪を揺らして青年の前に出た。

 

 

「ねえ、神様。神様はお名前あるの?」

「クフフ、あるよ。聞きたい?」

「うん!」

「小生の名前はね───『界黎(かいり)』。世界の『界』に、黎明の『黎』って書いて、界黎だ」

「れい、めい?」

「難しい言葉だからね!分からなくても仕方ないよ!」

 

 

 紗世は名前の漢字が分からなそうであったが、読みを何度か復唱して、青年──界黎に微笑んだ。

 

 

「かいり……いい名前!」

「……そうだろうとも。自慢の名前だよ」

「不気味な、の間違いだろ」

「悟、今は良い雰囲気だから邪魔しないようにね。紗世ちゃんに嫌われるよ?」

「ガキに嫌われてもどうでもいいね!」

 

 

 界黎たちは山と村を繋ぐ橋まで紗世を見送った。笑顔を浮かべながら手を振る紗世に、界黎と夏油は手を振り返す。五条はそっぽを向いていた。

紗世が見えなくなり、界黎は五条たちに話しかけた。

 

 

「さて、これからどうするんだい?小生をこのまま連れてく訳じゃないだろう?」

「当たり前だろう。こちらとしては、縛りすら結びたいところなんだけど……」

「条件が条件なだけに、縛りを結ぶのも簡単じゃねえんだよなぁ。お前、自分から取り込まれるとか出来ねえの?」

「できるよ」

 

 

 簡単にそう言い切った界黎に、五条と夏油は目を見開いて驚く。

 

 

「自分から取り込まれようとすれば、いけるんじゃない?ただ、普通の調伏と同じということにはならないだろうから、どうなるかは保証できないよ。試しにやってみる?」

「あ、ああ」

 

 

 夏油が界黎に右手をかざすと、界黎の体はシュルシュルとその手に収まっていき、やがて青白い立方体となった。

 

 

「うわ、飲み込みにくそう」

「やっぱ普段と違ぇな」

『だねぇ』

「うわ!喋れんのかよ!」

『夏油くん、窮屈だから早く飲み込んでくれない?』

 

 

 夏油は箱を一思いに飲み込んだ。角が喉に突っかかったので、飲み心地は最悪だった。

しかし………味は悪くなかった。

 

 

「───?」

「どうした?傑?やっぱ変な感じするか?」

「あ、ああ。そこは問題な……」

「ふぅー、問題なく取り込めたみたいだねー」

 

 

 突如、夏油の背後の空間が割れ、中から界黎が歩いて出てきた。二人は本日何度目とも分からぬ驚愕に見舞われた。

普通、呪霊操術により取り込まれた呪霊は、夏油の意思でしか呼び出すことはできない。そして今、当然だが夏油は界黎を呼び出していない。

界黎の意思で、勝手に出てきたのだ。

 

 

「なるほど、こんなイレギュラーが。試してみるもんだね」

「……悟。これどう報告しようか」

「……つえー呪霊二体取り込んだでいいんじゃねーか、もう」

 

 

 もう二人は諦めることにした。未だ嘗て、この二人にここまでの気苦労をさせた者は存在しないだろうし、これからも存在することはないだろう。というか居ないでくれ、というのが二人の共通認識だった。

 

 最恐の厄日だ、とため息を吐く五条と夏油に対し、最っ高の吉日だ、とルンルンとはしゃぐ界黎。三人は村の外にいる補助監督の元へと歩いていった。

 

 

 

 

 ──────かくして、この『界黎』は世へと解き放たれた。後に、『特級()()』と呼ばれることとなる、最凶の呪霊が。






界黎(かいり)

真っ白い髪に青メッシュ。青と白の直衣。正方形の模様がついた顔布。パッと見人外だし実際人外。飄々、ヘラヘラとしているが、教師の五条みたいな感じではない。自然体でやってる。煽ったりとかそういう気持ちは一切なく、ただの人相の問題。
口調はこれが素。カッコつけで「小生」なんて一人称を使ってるわけではない。断じて。

多分元人間の呪霊。『呪術廻戦』の記憶の他、大抵の知識は覚えているが、自分の事や周りの人間関係はさっぱり。元人間という自覚が少し薄いため、思考は人外に寄っている。

なっがーい期間引きこもり(不本意)をしてたため人が恋しい。人と話したい欲が膨れ上がっていた。紗世と会った時はマジで嬉しかったし、表には出さなかったけど内心踊り狂っていた。

『世界』の呪霊。世界に向けられた凡ゆる負の感情の収束先。本人はこの世界の事は大好き。この世にあるものは大体好き。だから人間に敵意はないが、呪霊にも特別敵意はない。自分に友好的で自分とお喋りしてくれるなら人間でも呪霊でも構わない。何となく羂索の事は嫌いそう。


術式『廻界忌鬼(かいかいきき)

万能の結界を創る。作られた結界は『世界』として扱われ、界黎の思うままに性質を変える。絶対不可侵の障壁、防御不可能の斬撃、その他にもやろうと思えば色々できる。宿儺と五条を合体させたみたいなチート術式。
解釈の拡大の上に成り立つ術式効果なので、本来は大した事は出来ない。界黎が持ったからおかしくなった。
『界断』以外にも編み出した技はいくつもある。

 『界断(かいだん)

宿儺の世界を断つ斬撃と原理は違えど、効果は同じ。世界と世界の隙間をぶち当てて叩き切る。別に必殺技ではない。あくまで通常技。宿儺が魔虚羅に教わらないと出来なかった事を平然とやってのける。




明野紗世(あけの さよ)

界黎が住む神社がある山の麓にある村に住んでる。呪霊が見える女の子。今年で7歳。肩甲骨位まで伸ばした黒髪に、白いワンピースを着た美幼女。4歳辺りで呪霊が見え始め、最初はみんなにも見えてるんだと思ってた。自分にしか見えてないと知った時は驚いた。

山に入ったのは、呪霊を追っていったから。その結果迷子になった挙句呪霊に襲われそうになった。神社を見つけたのはマジでたまたま。

助けてくれた界黎には滅茶苦茶感謝してる。本人は否定してるけど、きっと神様。雰囲気が神様。ほら、本人も認めた。やっぱり神様だ。
閉じ込められてた界黎の事を可哀想と思っていたが、出られて良かったね!と結果的に喜んでいた。
当人達は気づいてないけど、『人外に唆されてその封印を解き、なんやかんやあって人外に懐かれる幼女』というテンプレみたいな関係になっている。紗世の方も懐いてるので問題はないね。

術式は、ある。


 


五条悟(ごじょう さとる)

東京都立呪術高等専門学校1年生。最強のうちの一人。
うん百年ぶりの六眼と無下限呪術の抱き合わせ。クソガキメンタルの持ち主。

最初、界黎には違和感を感じつつも雑魚だと思ってた。『蒼』を簡単に消されて「は?」って感じ。最大出力も同じ感じで消されて更に意味が分からなくなった。

万手観音を見て傑と二人でも厳しいと判断したが、界黎が瞬殺してしまったため空いた口が塞がらなかった。
界黎については怪しんでる。何度見ても呪霊って感じがしない。あとクッソ馴れ馴れしい。




夏油傑(げとう すぐる)

同じく、呪術高専東京校1年。最強のもう一人。
一般家庭出身の呪霊操術を使う前髪ゴリラ。

最初、界黎をパッと見で二級程と判断したが、高度な知性とその後の戦闘で考えが完全に反転した。真っ二つにされた呪霊は割とお気にだった。

万手観音を瞬殺した界黎に口あんぐりなったうちの一人。気を遣って取り込ませてくれた時は「何企んでるんだ?」と思ったが、ひとまず取り込んだ。
その後界黎も一応は取り込み、戦力的には五条に並んだ。界黎の方は制御効かないけど。

あと、界黎はゲロ雑巾の味がしなかった。




紗世を襲ってた呪霊

五条と夏油が任務で討伐に来てた本来の呪霊。
立てば粘液、座れば口臭、走る姿はグロテスク。呪霊のお手本みたいな見た目の呪霊。
界黎に四分割された。是非もないね。




万手久遠観音(ばんじゅくおんかんのん)

界黎がいた神社に封印されていた呪霊。詳細不明。
万の腕に無数の目、数多くの武器を持つ。階級はもちろん特級。宿儺の指でいえば14本くらい。

術式は、『呪詞の詠唱による現象の再現』。呪言の上位互換みたいなもの。巨大な掌を出したり、色んな武器を飛ばしてきたりする。やる暇は無かったが、炎や嵐も出せる。

紗世が札を取ったことで封印が解除。界黎に瞬殺される。
なぜ封印されていたか、界黎を閉じ込める結界を作ってたのはコイツなのか、それらは一切不明。



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