インフレしてるこの世界で今日も俺は活躍させられる。 作:タナカ
皆は運命の人って信じる?
私は信じてない。だってそれは神様がいるかいないかと同じ事だと思うし、私が神様だから。
色々あってなったけど。なってみると、案外神様って言うのは結構退屈だった。確かに地上の人達は私に色々な事を願うけど、手出しを上の人から禁止されてるせいで何も出来ないし娯楽も何も無いから一日中ボケーッとしているか与えられた仕事をこなすかぐらいしか無い。
そんな日々を送っていたある日、上司に呼び出された。と言っても私だけでは無く、他にも何神か呼び出されていた。そして内容は簡単かつ面白そうだった。
数十年後に地上で、凶悪な力を持つ魔王が五十人生まれるのだが、その全てが恐ろしく強く、正に化け物に相応しいレベルで話し合いも通じないらしい。
そんな化け物に対抗する手段を人間は持っていないので、何人かの人間をピックアップして力を貸し協力させ、魔王を倒させる手伝いを私達にして欲しいらしい。
私は秒で返事をした。暇しなさそうだし、なにより楽しそうだったから。何より今まで禁止されていた地上の人間と関われる。一体どんな人間なんだろうか!
数日後、地上の赤子達が寝ている場所に行き、自分のパートナーを選ぶ事になった。
私以外の四神は適当に選んでいたのか、即決めていた。でも、私はゆっくり自分のパートナーを探す事にした。
結局一日では決め切れず、一週間が経ち……一ヶ月が経った。
そして赤子は変われど、ピンと来る子はいなかった。
『早くしろ』と上司に言われたので、今日中には決めなきゃいけない。どうやら他の神達は、先に教育を進めているらしい。
私は一番ビリらしい。けど気にせずマイペースに探す。何十年と一緒にいる事になるだろうから、きっと相性の良い子が……。
『うわっ!?痛ったいな……もうっ!』
そう思いながら赤子を見ていると、突然頭に激痛が走った。何でだろう?あまりにも痛すぎてつい、地上に一国が滅ぶぐらいの雷を落としてしまった。
……まあ良いや。それにしても何でだ?とキョロキョロ辺りを見渡すけど何か落ちた様子は無い。それもそうだ。私はただ赤子を見ていただけなのだから。
変わらずベッドで寝ている赤ん坊の中で一人だけ泣いている子がいる事に気付いてチラッと目線を向けるとその子と目があった。
『イテテッ!』
さっきよりは収まったが、頭が痛む。その子をもう一度見ると、何故かとても愛しく感じられた。
『この子だ、この子にしよう。この子となら何十年も何百年でも、一緒にいられる気がする!』
そして私はその子を選び、その日から毎日話しかけた。きっとこの子が私の運命の人だと思いながら。