ELC 仮面ライダーsaga   作:カチドキホッパー

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知ってる天井 見たことあるわぁ

「ん、んー…」

 

 明るい日差しが窓から差し込む。

 俺、葛葉九重はゆっくりと目を開けると、白い天井が見えた。

 いつも寝泊まりしている駐在所の家屋の天井じゃない、というか寝る直前って何してたんだっけ❔

 確か、お偉いさんが来て、5年ぶりに嵐が俺に会いに来て…

 

 ん、嵐❔

 

 九重が思考の波に陥っていると、横からクスクスと笑い声が聞こえた。

 振り向いてみると、中年の域にさしかかったメガネの医者らしき男がこちらを見て嬉しそうに笑っている。

 白髪混じりの短髪と、首元に不釣り合いな金属製のチョーカーが付いている。

 さながら首輪のようだ。

 九重は自分が寝ていたベッドの上で正座となり最敬礼で頭を下げた。

 

「お、お久しぶりです…黒木先生‼︎」

 

「はい久しぶり、九重。

 君がこっちに戻ってきて嬉しいよ。」

 

 そう言いながら柔和に微笑む医師、黒木秀一がゆっくりと目を開くが目の奥は笑っていないことに気づき、九重は怪人と戦った時以上の戦慄を覚えた。

 

「ところで九重、僕の言いたいことわかるよね❔」

 

 あまりの圧に無言で首を縦にブンブンと振る九重。

 

「はぁ、君ほどの男が体内の因子欠乏で倒れるなんてらしくないよ。

 嵐ちゃんに聞いたけど君、必殺技を一度の戦闘で2回もやったんだって❔

 加減って言葉を知らないのかい、5年ぶりの変身で舞い上がってんのかい、あぁ❔」

 

 どんどん語気が荒くなっているが、これは黒木のデフォルトなので仕方がない。

 怒られながら九重は自分の現在の居場所にようやく気づく。

 ここはELC専用の病院、正しくは怪人事件被害の関係者も入院する専門病院のライダー専用の課の居室だ。

 昔は俺もここの常連だったよなぁ、なんて考えを巡らせながら気になったことを聞いてみる。

「すみません先生、あんまりよく覚えてないんですが、俺インベス達を倒せたんですよね❔

 町の被害者って…」

 

 そう聞かれると、黒木は少し考え込むようなそぶりをした後に言葉を続けた。

 

「九重、君は変身した後に二体の怪人を倒したことに間違いはないが覚えてないみたいだね。

 きっちり必殺技を2回も発動して倒れてくれたよ、体内のライダー因子欠乏でね。

 町の人のことは安心しなさい、死者は出ていないよ。

 ただインベスにやられたせいで毒抜きで入院している人はいるけどね。」

 

 インベスに傷つけられた者はヘルヘイムの毒素が体内に注入される。

 それは時に体内にヘルヘイムの森の植物を植え付けられる可能性を秘めいてるため念入りな検査と治療が必要になるのだ。

 死者がないという言葉に安心した九重は安堵から力が一気に抜けそのままベッドに倒れ込んだ。

 

「今はゆっくり休みなさい、君には復帰に向けてやらなきゃいけないことが山ほどあるんだから。

 それと君の義父さんから伝言だよ。」

 

 その言葉に体をガバッと起こす九重。

 九重の義父と黒木とは木の置けない友人同士だ。

 

「帰ってきた以上は頑張れ、ただし無理はしないようにだとさ。

 あの風来坊、君のことだけはマメだからねぇ。」

 

 それを聞いて胸の奥がこそばゆくなった九重は隠しきれない喜びを表情に出しながら青空を見上げた。

 

 

 

 ところ変わって都内某所、ELC幹部が集合する薄暗い会議室に嵐司は呼び出されていた。

 

「嵐くん、なぜ幹部会議の場に呼び出されたかはわかっているのかね❔」

 

 白い髭を蓄えた幹部が嵐に問いかける。

 現場で戦わず、偉そうに利権だけを語るクズどもが…

 心の中で一部の幹部達を罵倒する嵐。

 しかし黙っていても進まないことはわかっているのであえて笑顔で答えた。

 

「はい。

 葛葉九重に新型ドライバーを渡したことですよね❔ 

 お言葉ですが、人材発掘と適正の見極めは本来業務ですし、これまでも上層部の決断の前に現場でドライバーを使用させ正規の所有者として登録されたこともありますし、なんら咎められることはないと思いますが❔」

 

 幹部達が苦い顔をする。

 そして先ほど口を開いた幹部が続ける。

 

「もちろん、君の手腕は知っているしドライバーを渡した件だけを見てここに君を呼び出しているわけではないよ。

 なぜ、葛葉にドライバーを渡しのか問いたい。

 パートナーであった君が一番よく知っているだろう、彼は第一級の特異監視対象者だということを。

 それに出涸らしとなった彼になぜ…」

 

 続けようとする幹部を手で制した嵐は、手元のパソコンを操作してプロジェクターに新たな画面を映し出す。

 

「もちろん存じています。

 しかし、今開いている画面を見ていただければ私の思うことも理解していただけるはずです。

 あの一件からわずかに残った彼のライダー因子については、半年に一回の検査のたびにこちらでも確認していました。

 しかし、先月の検査の時に、彼の因子が新型ドライバーの補助を受けなくても変身できる一歩手前まで爆発的に増加していることがわかりました。

 これは、あの件で死亡したとされ現在まで消息が不明となっている奴に共鳴している可能性があります。」

 

 会場内が一気にどよめく。

 それもそうだろう、奴が戻ってくる可能性があるだけで緊急会議ものだ。

 

「眼には目を、歯には歯を。

 オーバーロードには、同じくオーバーロードで対抗するほかありません。

 そのために、私は葛葉をもう一度仮面ライダーにしたのですから。」

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