生暖かい目でご覧いただければ幸いです。
ある時、強く願った。
あの美しい人を追いかけたいと。
その想いは、運命を自覚するには人より希薄な想いであったが、確かに願った。その強い人に自分を見て欲しい。
私は、希薄だ。
出涸らしのお茶より、薄いのではないだろうか。
私は
禪院家の遠い分家に産まれた女だ。
良くも悪くも名家の血筋に産まれた私は幸運だろう。
なんせ普通は私のような子供を手元には置いていたくはないだろうから。
私は天与呪縛という物らしい( 他人から聞いた話だ)。
念のため説明しておくと、天与呪縛とは、世界からの縛りであり、類稀なる才能のことである。
この呪術界において、天与呪縛とは毒にも薬にもなる。
禪院家における話だが、昔呪力を全く持たない子供が生まれたそうだ。その子供も天与呪縛持ちだったそうだ。
曰く、呪力が全くない代わりにものすごい、身体能力を持っていたそうだ。
禪院家では、その子供は疎まれたそうだが、この呪術界で天与呪縛と言うのは珍しいものではない。
私もその珍しくない例のうちの1つになるはずだった。しかし生まれた家が悪かった。
遠縁とは言え、禪院家の分家。『禪院にあらずんば術師にあらず。術師にあらずんば、人にあらず』が家訓である禪院家にとっては術師になりそうにない子供、しかも女と来た。疎まれないはずがない。
私は、別に呪力がないわけではなかった。むしろ人より潤沢にあった。しかし悲しきかな、天が課したした宿命は私を限界まで追い込む。
呪術の基本として重要視されることに感情というのがある。
と言うのも、呪力と言うのは、負の感情から生まれる。怒り、悲しみ、恨み、嫉妬。その他多くの負の感情、それが呪力の元となる。
ここまで言えばわかっただろう、私の天与呪縛と言うのは『呪力をとても多く内包する代わりに感情が希薄になる』と言うものだ。
いくら呪力が存分にあったところで、それを扱うための資質がなければ、宝の持ち腐れと言うもの。
私は落ちこぼれと言われた。あの少年に出会うまでは。
ある時、私は本家筋の召喚をを受けた。なんでもとある名家の次期当主がお見合いをするらしい。
下手な鉄砲数撃ちゃあたるの精神で、私もお見合いに駆り出された。
当然私は見向きもされなかった。しかし私は気づいてしまった。その少年の異質さに。
その少年の名は、
五条家の次期当主らしい。
見てすぐにわかった。あれは化け物だ。
後ろ姿だけで私は体が動かなくなった。その時私はわからなかったが、それはきっと恐怖と言うものだ。
ふと、と何かに気づいたかのように少年がこちらを見た。
目があってしまった。
「なんだお前、キモチワルッ」彼が払ったのはその一言だけ。
殺すと宣言されたわけでもない。ただ一言それだけで私は卒倒してしまった。
下手をすれば、天与呪縛である私より多い呪力。その全てを見通すような蒼い瞳。
人の姿をとっているから、誰もわからないのだろう。あれは化け物だ。私だからこそ気づく。あれば、私たちと同じ人間ではない。
住む世界が違った。見ている景色が違った。立っている場所が違った。
何があっても、おそらく私は彼に逆らえない。
ある時、禪院家の分家にてとある噂がささやかれた。
落ちこぼれは、麒麟児であったと。
ある程度流れは作っていますが、結局どう続くかは、後々気分で変わるかもしれません。
どんなエンドになって欲しいとかは、コメント等で教えていただけると幸いです