作者は高校生の時分、英語の期末テストで1桁点を取った事があります。
……いえ、おふざけとかではなく本気で取り組んだ結果で。ガチで。
つまりそういうことなんだ。
―――第二種目、『騎馬戦』。
予選通過と成し遂げた第一種目上位42名が投影された文字列に注目する中、再び壇上に立ったミッドナイトによる説明は続く。
第一種目の順位に従ったポイントが各自に割り振られ、騎馬を組んだメンバーの持つポイントの合計値が騎馬のポイントとなる。
騎手はそのポイントが表示されたハチマキを装着し、競技終了まで互いにこれを奪い合う。
その競技時間は15分、全騎馬が一堂に会するバトルロワイヤル形式。
更には自チームのハチマキを奪われた、ないし崩された騎馬も
「"個性"発動アリの残虐ファイト! でも……あくまで騎馬戦!!」
「悪質な崩し目的での攻撃等はレッドカード! 一発退場とします!」
「それじゃ、これより15分! チーム決めの交渉タイムスタートよ!」
「「「15分!!?」」」
未だ入学から一月足らず。同クラスの生徒のみならばともかく、今日が初顔合わせとなる者まで含めた中での
その過酷さに思わずという調子で上がった声が、騒然とする競技場に重なり響く。
それが、ひとたび『プロ』となれば当たり前に要求される状況への予行演習だと気付いた生徒が一人でも存在したか否か───泡を食い動き出す
「───予選通過40人強、続くチーム戦……全て想定の範囲内さ」
「
「この雄英体育祭……有終の美を飾るのは、僕らB組の役目だってことをね!」
「……まあ、ここまで来たからにはやるけどさ」
「別にA組だからどうってこともなんだけど……」
「
「あ、えっと……Decorate the final beauty. でいいのか?」
「
「……ダメだコレ通じてないっぽい!」
「この手の日本語的表現って、他言語に訳し辛いからなー」
「成果を出す……立派な仕上げをする、とか……あれ、英語だとどういう表現になるんだ?」
「ん……」
「bring the festival to a successful conclusion. もしくは did it to perfection. 辺りじゃね?」
「! Did it to perfection! ガンバリ、マース!!」
「「「柔軟な対応かよ骨抜!!」」」
「皆して話の腰を折りにかからないでくれるかなあ!?」
「(……本当に
謎のテンションで盛り上がる一同を、遠い目で見守る彼───庄田二連撃は、やや離れた場所で集まる
───おおよその目安を仮定し、その順位以下にならないよう予選にあたる。
そうして後方からライバルとなる者の"個性"、性格を観察。
以後の競技で優位に立つ為、予選を捨てた長期スパンの策───その場限りの優位に執着しても仕方ないのだから。
「(……全て納得し、選択したのは僕自身。誰に強制されたでもないのだから当たり前だとも)」
物間の語った
鉄哲徹鐵、塩崎茨、泡瀬洋雪。
「……そんな思い詰めるようなことでもないだろ、庄田」
「! 骨抜くん、君は……」
薄暗く思考に沈みかけていた彼に、掛かった声の主は同じくB組、骨抜柔造。
振り向いた庄田は返答しようと口を開けた直後、その姿が
何故となれば、目の前の彼もまた
にも拘わらず、実に自然に先の面々の中に溶け込んでいた訳で。
そんな庄田の視線から言外の意図を受け取ったか、骨抜は剥き出しの歯をニヤリと緩ませた。
「物間だって鉄哲達を引き留めはしなかったろ? あいつは自分の考えに自信はあっても、それを他人に押し付けようとはしてない。袂を分かつ、なんて言うでも無し、途中からでも
「…………」
その柔軟な、どこか飄々とした見解に、庄田の目が未知を見たように丸くなる。
そんな彼に「じゃ、俺は行ってくるわ。あいつらに呼ばれてる」と言葉を残し、鉄哲達の元へと歩き去っていく骨抜を、庄田は暫し呆然と見送り。
「…………健闘を!」
漸く、晴れた顔で彼が送った一言に、骨抜は振り向かないままに片手を上げるのだった。
「───と、いうわけさ。騎馬一組の人数は名言されず、そもそも総人数が42人……これは人数を減らした騎馬を作り、頭数を増やすことも想定されたルールに他ならない」
「ハチマキを奪い合うというルールの都合上、挟撃を受けた場合のリスクも地に足着けた戦いとは比にもならない……バトルロイヤル? 違うね。これは巧妙に誘導された集団戦さ」
「それに"個性"が騎手向きか騎馬向きかの判断も重要視される筈さ。特に騎馬役は基本的に両手が塞がるんだ。その状態で活きる"個性"自体、そう多くないだろう? 馬鹿正直に四人一組の騎馬を組んでしまえば、自然と折角の"個性"を活かせないメンバーも多くなる……それこそまさに人材の無駄遣い! 愚の骨頂さ!!」
「……だからあんたは毎度一言多いんだっての。……ま、でも確かにそうか。まずザックリとでも騎手になるか騎馬になるかで分かれた方が良さそうだね」
「そう、そこでだ! 両手が使える状況でこそ活かせる"個性"持ちは騎手になるとして、騎馬役が固まるまでに頼みたいことがあるんだ」
「今度は一体何させ……ああ、もしかして……」
「勿論、A組のチーム決めの様子見だよ! 誰が誰と組むのか、どんな手札を持つ騎馬が居るかを把握できれば、それに応じた騎馬を作れる。お互いに吹きさらしの空間で壁も作らず打ち合わせをしてるんだ。調べておかない手は無いさ」
「…………ホント、誰より本気だよね、あんたは」
「何を言ってるんだ、拳藤? 当然じゃないか」
「ちょっとね……正直、舐めてたとこあったかも。ごめん」
「…………ならば僕の役割は明確。直ちに偵察に動こう」
「っ、庄田? あんた……」
「……話が早いね。お願いするよ、庄田」
やや驚き混じりの表情を見せる拳藤に、微笑を浮かべつつ真剣な目を向ける物間に一礼で応え、庄田は迷いの消えた足取りでその場を離れた。
彼の"個性"『ツインインパクト』は一度打撃を与えた箇所に任意のタイミングでもう一度打撃を発生させるという、まさに今回競技のルール上、騎手以外では活かしようのない"個性"。
自他共に容易に思い至れる事実から過たず自身の役割を定めた彼は、その恵体にそぐわぬ動きで三々五々に散らばった集団へと向かう。
その先は当然ながら、A組同士が集まり話し合う輪のやや外側。
彼らに見咎められないように、しかし組もうとする声を聞きとれる程度の距離を心掛けて。
「───てめェらの"個性"知らねぇ何だ!?」
「B組ならまだしも!! 周り見てねーんだな!!」
「轟の奴ソッコー チーム決めやがったぜ! 爆豪!! 俺と組もう!!」
「(爆豪くんと切島くん……決して崩れない騎馬。相当な強敵と判断する)」
「───障子ィ……障子ィ……!!」
「女と組みてぇけどダメだーーー!! オイラと組んでくれェ!」
「オイラ チビだから馬にはなれねー!! オイラ騎手じゃ誰も馬なんかやってくんねーんだ!」
「お前の巨体と触手ならオイラの身体すっぽり覆えるだろ!!?」
「…………名案だ、峰田」
「(峰田くんに障子くん……これは想定の埒外……! 思わぬ強敵、皆に知らせるべき……)」
「───私と組みましょ一位の人!!!」
「わぁぁ近誰!!?」
「私はサポート科の発目 明! あなたの事は知りませんが立場利用させて下さい!!」
「あっ、あけすけ!!」
「あなたと組むと必然的に注目度が
「(1000万ポイントの緑谷くんと……サポート科!? 製作道具の使用が許可されている彼女は全くの未知数……何をしてくるか予測不能……)」
「───なあ、そこのあんた」
「……っ」
そうして人の隙間を歩く庄田を、呼び止める声が一つ。
A組の誰かに意図を悟られたかと考え、息を呑んだ彼は内心を取り繕いつつ振り返る。
「(尾白くんに、空翔さん? それに彼は……A組ではない。すると、ヒーロー科以外の……)」
そこに立っていたのは青紫の髪色をした男子生徒と、突き従うように並ぶ男女の二人組。
見覚えの無い彼の背後、並んだ二人の顔を確認した庄田は、内心で首を傾げた。
「さっきからウロウロしてるけど……もしかして、まだ一人なのか?」
「……いや、僕は
『―――ピ?』
『……ン?
『揺らしてねェよ。……大丈夫か、御魂?』
『ピ……? ピィ? ……ピィイ!??』
『オイオイ、御魂じゃなく、ピィちゃんだろ!
『いいからサッサと仕事に戻れ。
『
前作後書き(意訳):
鱗・宍田、角取・鎌切の四人は何故一緒に騎馬を組まずに二名の騎馬二組にしたのだろうか。
方針の違い? いや第一種目の順位的に、この四人は物間メソッドに同意してたっぽいぞ?
それに尾白・青山の二人はともかく、固まって行動してたであろうB組からどうやって庄田くん一人を『
…………OK、書こう。
というわけで色々理由を捏ね捏ねして庄田くん単独行動の流れを作ることに。
実際原作のチーム分けを見ても、宍田・凡戸などの体格の大きな面子を活かして2~3人の騎馬を多く作っている様が窺えます。
……まあ、この時点ではB組面子の"個性"って殆ど開示されてなかったですけども。
そして最終種目前の棄権申告。原作庄田くん初台詞にして、その人柄が判明するくだり。
尾白くんが棄権の意思を露わにした事に加え、第一種目含めて自分が『何もしてない』ことが、庄田くんにとっては重荷だったんだろうなあ、と。
……心操くんへのアンチヘイトを含む意図はありません。念のため。
千載一遇の大舞台。予選通過した唯一人の普通科。彼に他の手札なんて無かったんや。
『青山くん』の代わりに『洗脳』される不憫な子なんて居なかった。
やったね発目さん。