珍しくB組視点で描かれるシーンなので結構捏造の余地があるんですよね。
あと本作には関係無いですが短編書きました(いつもの)。
あんなん書いてるから時間空くんだよなあ。
「―――煌めく眼でロックオン!」
「猫の手、手助けやって来る!」
「どこからともなくやって来る……」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!(フルver.)」」」」
林間合宿二日目、AM5:30。
寝ぼけ眼を擦りつつ、未だ薄暗い空の下に集った生徒達を迎えたのは、冷えた山の空気を豪快に振り払うような
猫耳猫手に猫尻尾と、全体的に猫を意識した揃いのコスチューム。
朝焼けの空を背景にポーズを取る4名一チームのヒーロー集団『プッシーキャッツ』。
「この目で見た人の情報、100人まで丸わかり! 居場所も弱点も!」
―――ヒーロー名『ラグドール』、"個性"『サーチ』。
今年の雄英が合宿開催地とした一帯の山岳・森林は、彼女らの所持する私有地にして宿泊地。
校舎から遠く離れたこの地が『強化合宿』の場に選ばれたのは、市街地では難しい"個性"鍛錬を行える空間の確保───に限った話ではなく。
「私の"個性"で各々の鍛錬に見合う場を形成!」
―――ヒーロー名『ピクシーボブ』、"個性"『土流』。
ヒーロー科所属1年の生徒達にとって、現時点で入学から約三か月。
学生期間全体から見れば短期間でありながら、既に数多くの───如意・不如意を問わず───試練にぶつかり、乗り越えてきた自負と事実がそこにあって。
「そして私の"個性"で一度に複数の人間へアドバイス」
―――ヒーロー名『マンダレイ』、"個性"『テレパス』。
されどその間、彼らが成長させてきたのは、あくまで精神面、技術面、そして体力面。
入学当初とは比較にもならないそれらに対し、肝心要の"個性"の成長は未だ追い付いておらず。
「そこを我が殴る蹴るの暴行よ……!」
(((色々ダメだろ)))
―――ヒーロー名『虎』、"個性"『軟体』。
さりとて"個性"とは読んで字の如く、個々人によって千差万別多種多様。
一口に伸ばす、鍛えると宣っても画一的な鍛錬にて成果とするのは土台不可能。
そんな"個性"的な生徒達、二クラス総勢41名それぞれに、適切な鍛錬方法と場を提供する。
それが可能な"個性"と土地を有するからこその人選および開催地。
「許容上限のある発動型は、とにかく使って鍛えるわ。向こうに各自の"個性"に合わせた小道具を用意してあるから移動してね」
「単純な増強型は我の元へ! 我ーズブートキャンプの始まりだ!」
「ねこねこねこ……鍛え方が分かりにくいキティはラグドールの前に集合よ!」
「そうよあちきはバッチリお見通し! 本人にも分からない"個性"の伸びしろや条件まで!」
「……雄英もヒーロー科1年だけに人員を割く事は難しい。短期で全体の底上げをするのに、この4名の実績と"個性"は最も合理的なんでな」
「合理的……そういう感じかあ」
「理解は出来っけど……お菓子の横にダンベル置いてあるの、すげぇ違和感あるぜ……」
「あぁ、アレ砂藤の……小道具ってそういうことなのね」
「えっと俺の場合は……あ、なんかデッケェバッテリーっぽいのある……」
「…………うん! 何していいのかさっぱり分からん! ラグドールさーん!」
指示を聞き、提示されたそれぞれを見渡して、三々五々に動き出す生徒達。
その中でもやはりと言うべきか、忽ち複雑あるいは鍛錬の方向が不明な"個性"を持つ者達による長い列が形成されることになり。
「んー……『透明』のキミは、そっちの『複製腕』の彼を相手に隠密能力の向上! 対するキミは複製箇所の複数生成と同時操作で彼女を探して、操作精度と複製速度の向上が目標ね!」
「うっへぇ、マジですか……? ……障子くーん、お手柔らかによろしくねー……」
「ああ……いや、全力で臨ませてもらうぞ。でなければ意味が無いだろう」
「『尻尾』のキミは『硬化』の彼を叩いて鍛える! お互い"個性"は叩けば叩くほど、叩かれれば叩かれるほど鍛えられて一石二鳥にゃん!」
「なるほどあざっす! よっしゃあ! 全力で来い尾白ぉ!!」
「……あ、ああ、勿論……キツそうだなぁ……」
「キミに関しては、あっちに光の入らない洞窟を用意してあるにゃん。中で勤しめ制御訓練!」
「…………つまり暗闇下で暴れる『
「いえす! あの中ならどれだけ暴れても大丈夫! だからこそ目指せや限界突破! ……あっ、洞窟の詳しい場所についてはマンダレイに聞くにゃよ」
「……御意」
長かった行列も手際良く捌かれ、やがて出番を迎えるは最後尾に並んでいた
『───ピィ』
「ご教導よろしくお願いします、ラグドール」
「にゃ。ええっとキミ達は───」
空翔胡魄、およびその肩に乗る小鳥、御魂咲鳥。
気負いなく立つ女子生徒達の姿が、ラグドールの大きく見開かれた瞳に映り込んだ。
「……………………ん」
「ラグドール? …………
「にゃ、にゃ。ちょっとフクザツな"個性"で伸ばさせ方に悩んだだけにゃ」
俄かに口を引き締め身を硬直させた
友人の呼び掛けにぶんぶんと首を振って応えた彼女は、そのまま眼前で沙汰を待つ女子生徒へと振り返ると、囁くような声で問いかけた。
「……御魂、咲鳥ちゃん?」
『ピ?』
「あなたは、今…………幸せ?」
『ピィ♪』
「…………そっか」
鳴き声として返ったその答えに、ラグドールの口元が常の微笑みを浮かべ直す。
二度、三度、小さく頷いた彼女は、調子を取り戻すように声を上げた。
「それじゃ……『魄化』、だったね。キミは……虎のところにゃ! 筋繊維とは勝手が違っても、激しい運動で鍛えられる部分があるのは自分でも分かってるね?」
「ええ、まあ……感覚的には」
「そこに変形も取り入れて、なるべく目指せよ独創性! 虎は『軟体』を活用した独自の体捌きを開発した経験あるから色々聞いて参考にすると良いにゃ!」
「……成程。ありがとうございます」
「そんで……『魂鳥』、は……操作精度と、速度と───」
一瞬、指示が途切れる。
小首を傾げた小鳥の、つぶらな瞳を見つめて、一拍。
「───
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「―――さァ昨日言ったね、世話焼くのは今日だけ、って!」
「己で食う飯くらい己でつくれ! カレー!!」
「「「イエッサ……」」」
時は経過し、日の傾き始めたPM4:00。
後に合流したB組生徒を含め40名強、疲労に身を引きずる学生達に与えられたのは、山のように積まれた夕食―――の材料と調理器具であった。
「アハハハ全員全身ブッチブチ!! だからって雑なネコマンマは作っちゃだめね!」
「確かに……災害時など避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのも救助の一環……さすが雄英無駄がない!! 世界一旨いカレーを作ろう皆!!」
「「「オ……オォー……」」」
何やら一人で完結、発破を掛ける飯田を中心に、涸れた体力を振り絞るように動き出す生徒達。
酷使に抗議する身体でノロノロと、されど同時に内より響く
「轟ー! こっちも火ィちょーだい」
「爆豪、爆発で火ィつけれね?」
「つけれるわクソが!」
「えぇ…!?」
「皆さん! 人の手を煩わせてばかりでは火の起こし方も学べませんよ」
「…………」
「いや、いいよ」
「わー! ありがとー!!」
「んー、食材切る係もうちょっと増やせないかい? このペースじゃ手が足りないよ」
『ピィ』
『ピッ』
『ピュ』
「……アレ、俺いよいよ疲れがヤベェとこまできてる……? なんか、ピィちゃんが
「……安心しろ瀬呂。俺にも同じ光景が見えている」
『『『ピィ♪』』』
「えーと……ラグドールさんのお陰、盲点だった、数と操作精度は鋭意努力中、だそうだよ」
「……コレ、通訳係の負担増してね?」
「いやまあ結局は御魂一人なわけだし……」
「あ、というかこれから呼び方どうすりゃ良いんだ? ……ピィちゃんズ?」
『『『…………ピ』』』
「……考え中、だってさ」
そうして出来上がるは、40人前を遥かに越えた米にカレー。
ただでさえ食べ盛りの、加えて早朝からこれ以上なく身体を動かしてきた高校生達。最早彼らを阻むものなど何も無く。
「いただきまーす!」
「店とかで出たら微妙かもしれねーけどこの状況も相まってうめーーー!!」
「言うな言うなヤボだよ!」
「あっ、ピィちゃんも食べるー?」
『ピ? ピーィ』
「あはは……流石にそれは無理だよ。小鳥の形をしているだけで
空腹は最高のスパイス、という言葉を噛み締めながら、他愛の無い話題に盛り上がる生徒達。
ヒーロー科、ヒーロー養成学校という肩書を横に除けた、ありふれた学生の姿がそこにあった。
「───合宿二日目……実質、訓練一日目か。何事も無く終わって何よりだ」
「ねこねこ……ああ、眩しいわ……過ぎ去った青春の日……」
「……
「にゃ」
日中、被っていた鬼教官の姿を
少年少女の前では気を張っていた彼女らもまた、ある種の感慨を抱いて胸を撫で下ろしていた。
「しかし急な話ではあったが、こうして後進の育成に係わるというのも良いものだな」
「ええ……それにしても最近の子は複雑な"個性"が多いわ。出来ることが多いのは良いんだけど、そのぶん伸ばすのも大変よね」
「指導する側の苦労もね……今日はお疲れ様、知子」
「にゃ」
「今年の雄英は本当に大変そうよね。四月から騒動続きというか……良くも悪くもオールマイトが目立ち過ぎるんだ、ってイレイザーヘッドが愚痴ってたけど」
「オールマイトが同僚か……ううむ、やはり想像できぬ……」
「あの迫力で職員室に座ってる姿とか、なんか考えるだけで頭が混乱しそうよね」
「……にゃ」
彼女達もまた、学生の時分より付き合いを作り、そのままチームとしてのプロ活動に舵を切ったかつてのヒーロー志望生。
年の離れた後輩達を見守りながら、益体も無い会話に花を咲かせて。
「…………にゃ?」
「っ、どうかした?」
「んー……んにゃ、ちょっと集まりから離れてく子が居たけど、意図は分かったし大丈夫」
不意に顔を上げ、『視線』を動かしたラグドールに、他の三人が俄かに身を引き締める。
多種多様な"個性"に溢れた現代においても頂点に近い感知・索敵系"個性"の持ち主である彼女はしかし警戒する友人達に首を振って答えた。
「……流石は卵でもヒーロー。放っておけないんにゃね」
「? …………あっ、もしかして、洸太……!」
「「……!」」
「にゃ」
ラグドールの瞳に、そしてマンダレイの脳裏に同じく映されるは緑髪の生徒の姿。
そのやり取りに凡そを察した残りの二人の視線は、伏せられてしまった友の顔に注がれた。
「そういえば昨夜、あの子の話をしたんだったね。確か……緑谷くん、だったっけ」
「緑谷……ああ、彼か。ウム、身体も覇気もまだまだだが、我の指導に喰らいつける気概と根性は持ち合わせている良い男だったな」
「あの子なら、きっと悪いようにはならないにゃん。……今は呑み込む為の時間が足りないだけ。焦らず見守るのが一番だと思うよ、
「そう…………なのかな」
「そうだな」「そうよ」「そうにゃん」
「ふふっ……ありがと、皆」
───ちらり、と。
微笑み合う友人達を尻目に、ラグドールの眼は
緑髪の少年を追うように集団から離れ───森へと進路を逸らした
距離が距離だけに、その『眼』が捉えるのは凡その位置のみ。
されど年少の頃より研ぎ澄まされた感覚は、その微かな揺らぎから姿勢の変化を推し量る。
少女は歩いている。
誰の目にも触れないようにして。
誰の目に触れているとも知らず。
『視線』の彼方、木々の裏で、やがて少女は立ち止まる。
落ち葉の積もる地面に蹲り。
穴を掘って。
土を払う。
肩に乗った小鳥に手を添える。
木に手を触れて立ち上がり、来た道を辿るように戻っていく。
何事も無かったかのように。
何事も無かったという顔で。
少女は歩いていた。
「…………真実が、誰かを幸せにするとは限らないにゃん」
マンダレイ:送崎信乃
ピクシーボブ:土川流子
ラグドール:知床知子
虎:茶虎柔
プライベートでは下の名前で呼び合ってて欲しいのです(我欲全開)。
学生当時の交友そのままプロ活動してる女の子達とか最の高ですよね。まあ、そのせいで婚k(ry
ところで死柄木出没を受け急遽変更になった先がプッシーキャッツの私有地だったわけですが、元々予定されていた例年の開催地というのはどんな環境だったのでしょうね。
葉隠さんの"個性"伸ばし訓練内容に関してはアニメ情報。
原作に描写が無いので捏造するつもりでしたが、念のために探したら発見しました。あぶねぇ。
これだけ注目されてるんだ。内通なんて出来ないな、ヨシ!