異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと   作:アニッキーブラッザー

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第235話 ゲットだぜ

 

「ガアアアアアアアアアアアアアア! どうした、その程度では小生を倒すことはできないゾウ! その程度で小生を打倒しようなど、片腹痛いゾウ!」

 

「ぐっ、ぉ、カイザーッッ!」

 

 

 カー君は、どうやら問題なさそうだな。三人相手にまだまだ余力十分ってところだ。

 問題なのは…………

 

「ひははははははははは、朝倉くん、なんか面白そうな会話してたけど、終わったかい?」

「加賀美…………」

「えっ! か、加賀美くん!」

「よ、綾瀬ちゃ~ん。女の子女の子してるね~。まっ、一歩間違えたらただのパナイ病んだ女の子だけど。あと、女の子のパンツは偶然見えるのがそそられるのであって、自分から見せても男は萎えるからね」

「え、そ、そうなの!?」

 

 いや、それは見せてくれる相手にもよるかと思うけど……って、そうじゃない。

 つか、綾瀬はもう十分変になってるだろ。と、いつの間にか観客席の手すりの上で中腰になって、俺たちの真横で加賀美が笑っていた。

 

「ミルコとジャックポットは?」

「地の奥底」

「はっ?」

「二人共頭突きしまくって、どんどん地面に体がめり込んだかと思ったら、どんどん地中深くへと互いに沈んでいっちゃって、さすがにパナイ俺も危なかったから、逃げてきた」

「おいおいおいおい大丈夫かよ」

「大丈夫でしょ? ほら、地の奥底からも二人の笑い声が聞こえるでしょ?」

 

 言われて耳を澄ますと、確かに頭突きの音と笑い声が聞こえる。

 お前ら、本当にアホだな。

 

「それでだ。加賀美、金については?」

「ん? おお、だいじょ~ぶ。レンガの札束何個もポケットに入れてきたから」

「そうか。じゃあ、ミルコのケリが着き次第、カー君にも適当に切り上げさせて、さっさと行くぞ」

 

 あとは、ミルコ次第だ。

 俺には手を出せねえが、あいつがジャックポットに伝えられるものを全て伝えられたら。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!」

「なんだよ、綾瀬ちゃん」

「君たち、何を考えているの? 何をやろうとしているの?」

「ふふふ~、俺を断罪した綾瀬ちゃんに教えると思う~? ましてや、君は帝国側でしょ~?」

 

 まあ、確かに加賀美の言うとおり、いくら綾瀬とはいえ、今のこいつは人類大連合軍で光の十勇者で帝国の姫。

 さすがにストレートに神族大陸行って世界征服とは言えねえな。

 テキトーに誤魔化して、さっさとこの場を……

 

「ナーハッハッハッハッハッハッハ!」

「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!」

 

 その時、二つの笑い声とともに、地中から何かが飛び出してきた。

 それは、まるで火山が噴火したかのように飛び出す巨大な火柱。

 マグマだ……

 

「っておいおいおいおい! お前ら、どこまでやってんだこのバカ野郎! 限度ってもんがあるだろうが!」

 

 巨大なマグマの柱は地の底から飛び出して、一気に地上へと噴水のように駆け上がる。

 その巨大な熱量は、地下世界のサファリパークを一瞬で炎と化し、カーくんの成層圏の巨人と名付けられた巨木をも火で包み込んでいく。

 その火柱の中で、それでも構わず笑いながら殴り合う二人の超馬鹿。

 あっ、いつの間に頭突きから殴り合いに……って、気にするのはそこじゃねえ!

 だが、さすがにようやく力尽きたのか、二人は拳を互の頬にぶつけたまま固まり、そのままマグマの勢いに乗って舞い上がり、そのまま勢いよく落下してきた。

 

「く、ふ、な、あ、あかん、こ、こいつ、つよすぎや……」

「は、雨の、なかライブ、したこと、あるが、マグマの中は、ミーもはじめてだ」

 

 もう互いに動くことすら不可能。つか、マグマをモロに食らって原型とどめてる方がおかしすぎるだろうが。

 

「ちっ、しかしここは危ないぜ! おい、カー君! それまでだ、俺たちも逃げるぞ!」

「まずいわ! ギャンザ! ドレミファ! ソラシド! 三人はそのまま地上へ出て! カイザーから手を引きなさい! 今は、隊と合流して、逮捕した被疑者と一緒に避難しなさい!」

「くっ、しょ、承知しました! 姫様も早く!」

 

 もはや地下世界は火の海だ。幸い、カー君が天井をぶっ壊してくれたおかげで、脱出は容易だろう。

 だが…………

 

「こらこら、ちょっと待ちなって、朝倉くん。このまま天井から出たら、外にいるイエローイェーガーズに遭遇だよ?」

「はっ? いや、確かにそうかもしれねーけど、今はそんなこと気にしている場合じゃねーだろうが」

「チッチッチ、村田君と木村くんがこんな状態で、いくらカー君がいるからってパナイ面倒っしょ。でも、大丈夫だって、朝倉くん。ここは俺のカジノだよ? ガサ入れが会った時用に隠し通路ぐらいは用意してる」

 

 そう言うと、加賀美は炎の森をかき分け、ある壁に手をかざした。

 するとそこには、知らなければ決して気づかないほど精巧にカモフラージュされていた隠し扉となっており、扉を開くと下へと通じる階段が現れた。

 

「おおっ!」

「ここは、あのボルバルディエの地下トンネルに繋がってる、俺しか知らない隠し通路。どう? パナイすごいっしょ」

 

 さすがだな。こういうことに関しては用意周到だ。ここは素直に認め、俺は満面の笑みで気絶しているミルコとジャックポットを抱えた。

 

「ユズリハ。とりあえず、テメェも来い。カー君も」

「うむ、さっ、ユズリハ姫も」

「ちっ……わかった……」

 

 とりあえずここから出て、今後のことについては無事に逃げおおせたら話し合おう。

 そして、

 

 

「綾瀬……ここでお別れだ。お前は天井から逃げな」

 

「ッ! あ、朝倉くん………そんな………」

 

「あまりゆっくり話ができなかったが、まあ、なんだ? とりあえず元気そうで少しホッとしたぜ。縁があったらまたな」

 

 

 その言葉に、綾瀬は唇を震わせながら、どこかすがるような表情で俺を見ていた。

 何だかんだで、そんな顔をされると、少し胸が締め付けられる。

 

 

「………ひどい………なんてひどい人なの? 最後の最後に、そんなことを言うなんて………」

 

 

 さすがに、このまま綾瀬と行動するのは何かと色々まずいからな。

 これがベストな選択だろう。

 

「私だけ、のけもの………蚊帳の外………なんなのよ、何が起こっているの? いま、この世界で何が起こっているというの?」

 

 まあ、綾瀬本人はまだ話すことや俺に聞きたいことが山ほどあるようで、随分と複雑な表情で迷っているが、こればかりは………

 

 

「ひははははははははは、ど~~~~~~~~ん」

 

 

 えっ?

 

 

「ちょっ!」

 

「はいは~い、マジでパナイ危ないから、出入り口で止まるのやめるっしょ。はいはい、中入って~、そんで、ドア閉めちゃいま~す。ちゃんちゃん♪」

 

 

 なんか、扉の前でウダウダしていた綾瀬の背中を加賀美が押して、綾瀬がこっち側へ倒れ込んだ。

 そんで、なんか、そのまま加賀美は扉をガチャっと閉めやがった。

 

「か………加賀美………くん?」

「ひははははははは、いらっしゃ~~~い。んじゃ、さっさと一緒に逃げよっか?」

「えっ、あの、えと、あの、あれ?」

 

 いや、なにやってんの? 

 

 

「ひははは、朝倉君! 世界征服に役立ちそうな……帝国のお姫様、ゲットだぜ♪」

 

 

 お前………何を、「俺グッジョブ」みたいな顔で親指突き立ててるの? いや、その親指マジでへし折りたいんだけど。

 

 

 





綾瀬が攫われた。しかも綾瀬は逃げる気ゼロです。
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