異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと   作:アニッキーブラッザー

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第346話 暗黒カウントダウン

 しかし、これは時間がかかるんじゃねえのか? こんなことやってる間にも、敵は……

 

「ヌオオオオオオオオオオ、森羅万象ッ!」

「ミスターカイザーッ!」

「全く、無茶ぶりもいいところだゾウ! キシン、小生一人ではこの二人を長く食い止められん! 早くするゾウ!」

 

 巨大な森林を出現させて、ママンとヴェンバイの足止めを図るカー君。

 だが、それでもママンとヴェンバイはその巨大な木々を難なく伐採して進んでくる。

 確かに、やべえ!

 

「もっとだ、プリンセス・フォルナ! もっと、負の感情をッ!」

「もっとも愛するヴェルトを殺そうと……犯罪者などと……理由も聞かず、それでいて、アルーシャに諭されて……無様に敗北し……何が十勇者! 何が金色の彗星ですの!」

「イエスッ! もっと! もっと!」

 

 つーか、俺のことだけなのかよ。

 怒りを何度も何度も増幅させていくフォルナ。

 だが、これじゃあ、まだ足りないのか?

 このままじゃカー君が……

 

「おい、ヴェルト!」

「あん?」

 

 その時、ウラが俺の袖を引っ張った。

 

「よくわからんが、フォルナはお前のことがずっと前から好きで、そして今は怒りの力を溜めてヴェンバイを倒そうとしているということで、いいんだな?」

「ああ、そうだよ。さっきっから、ああやって自虐しまくって力を溜めてる」

「そうか…………なら…………ッ!」

 

 すると、ウラは少しだけ顔を赤らめ、微妙にモジモジしながらも、どこか決意したような表情で叫んだ。

 

 

「フォルナーーーーーっ!」

 

 

 ウラがフォルナに叫び、自虐中のフォルナがチラッとこっちを見た瞬間……

 

「ヴェルト、ん、ちゅ~~」

「…………………………………………………………?」

 

 俺の顔を左右の手で押さえつけ、そのまま俺の唇に自分の唇を押し付け、そのまま口内に舌を侵入させて貪ってきやがっ…………

 

 

「―――――――――――――――――――――――ッ!」

 

 

 あっ、フォルナが超~目を見開いている。

 アルーシャたち全員が状況を忘れてウラの所業に固まってる。

 

 

「ぷはっ、なあ、ヴェルト。その、今日は私たちの結婚記念日なんだぞ。早く寝室でいっぱい、え、えっちく可愛がってくれ。世界一愛してくれ」

 

「ッ!」

 

「そしてな、エルファーシア王国に戻ってもう一回結婚式だ。今度はメルマさんたちの前で、正式にな。お前はもう魔族大陸公認だが、人類大陸はまだだからな。正式な夫婦にな」

 

「ッ!!!!」

 

「住居はエルファーシア王国にしよう。とんことぅラメーン屋二号店を二人で切り盛りするんだ。お前が店主で私が女将でな。えへへ、そして、いずれ子供もな」

 

「ッ!!!!!!!!!」

 

「お前のことを世界一想っているのは、お嫁さんの私なんだ。お前を幸せにしてやるから、私のことも幸せにしてくれ」

 

「ッ!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 その時、気づけばフォルナの頭上にあった黒い球体は、より巨大な大きさになっていた。

 

「イエース! その調子だ、プリンセス・フォルナ!」

「よし、どうやら有効だったようだな。私がされたら怒るであろうことを試したが、どうやら成功だったな。あっ、ヴェルト、作戦とはいえ、全部本心だからな」

 

 嬉しそうに興奮するキシンの声を聞きながら、ウラはこれ以上ないぐらい赤くなった顔で俺に耳打ちするが、それすらも何だかフォルナにはキタらしく、また球体が大きくなった。

 すると………………

 

「これでコスモスを救えるのなら…………私も!」

 

 その時、何だがちょっとブスッと拗ねたように頬を膨らませたエルジェラが、ドンと俺に突進するように腕にしがみついてきた。

 そして、ゆっくりと俺の正面に回り、俺の右手を掴んでエルジェラの左胸に、余ったエルジェラの手はゆっくりと俺の下腹部に……ちょいっ!

 

 

「ヴェルト様! ウラさんとの初夜で契を交わされる前に………わ、わた、私と昨日の続きをお願いします!」

 

「ッ!」

 

「は、はし、はしたない女などと思わないでください。昨日からヴェルト様に触れていただいた体が熱く………それに、コスモスに、妹か弟を作ってくださる約束だったではないですか」

 

「ッッッッ!」

 

「コスモスを必ず取り戻し………そして、慎ましくも幸せな温かい家庭を………パッパと、マッマと愛しい子供に囲まれて………」

 

「ッッッッッッッッ!」

 

「あなたを天下一想っているのは、奥様である私です。あなたを幸せにします、ですから私……いえ、私たちの傍にずっと居てください」

 

「ッッッッッッッッッッッッッッッッ!」

 

 

 怖くて、もう、上を見れない。

 だが、声だけ聞こえる。

 

「ッ、ぐ、ッ、わ、ワタクシには、も、もう、怒る資格も………嫉妬する資格も………ッッ! な、いの、ですわ………もう、ワタクシには、そんな、資格………ッ!」

「ヒュー、ワンダフル! まだ、ボルテージがアップしている!」

 

 楽しそうなキシンの声を聞きながら、俺はチラッとだけ上を見た。

 すると………

 

「………………………げっ………」

 

 空が、暗黒に染まっていた。

 正に黒い太陽………

 

「あ、が、あ、あ、お、おおおおお」

 

 気づけば、俺たちは歯をガチガチさせて震えていた。

 この身の毛もよだつ、天文学的なエネルギーは、人智を遥かに超えていた。

 おい、もう十分だろ!

 

「へい、グッドアイデアだ! もっとだ! へい、ミス・アルテア! ミス・ユズリハッ! ユーたちも!」

 

 まだぶっこむ気かよ! つか、ねーだろ!

 

「アルテアさん、ユーバメンシュのことで辛いじゃろうが、何かないかのう?」

「ね、ねーし。あたしはまぢで………パンツ見られたぐらいしか………」

「ッッッッ!!!!」

「ユズリハ、なんかないんか! 怪我がヤバイやろうけど、今が正念場なんや! なんかないんか!」

「ッ、ぐ、あ、ある、わけ、ない………だろ………お尻触られたり………合体したぐらいしか………」

「ッッッッッッッッ!!!!!!!!」

 

 あんのかよ………いや、合体って……乗っただけ!

 って、やべえ、何だ、この世界全体を覆い尽くすような強烈な寒気は!

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

 フォ、フォルナ? なんか、フォルナが、鬼族のキシンよりもよっぽど、般若になって………

 

「ひははははははははははははははは! やば、やば! ヤバッ! パナイおもしろすぎ」

「ひええええええん、ラブ~! こわいよー! 怖いよー! フォルナちゃんがー!」

 

 裏切ったのを忘れて大爆笑しているマッキーに、さすがにビビってマッキーにしがみつくマニー。

 まあ、気持ちは分からんでもない。

 そして、事態はようやく暗黒の終末を迎える。

 

「イエス! あと少し!」

「ぐぅ、あと少しなのだな? おい、誰か!」

「お願いします、どなたか、ご協力をお願いします!」

「と言っても、他にお兄ちゃんと関わりのある女性は………」

「ん? せや………あんたがおったやないかーーーーーっ!」

 

 そして、後一歩のところで召喚されたのが………

 

「え、私ッ?」

 

 アルーシャだった。

 しかし、アルーシャは表情を切なそうに浮かべて自身の体を抱きしめながら首を振る。

 

「できないわよ、そんなこと! だって、私………私にはフォルナの辛さが誰よりも分かるもの! それなのに、いくら何でもこれ以上なんて………記憶が戻った親友に………あの子にこれ以上残酷なことを………」

 

 そうなんだろうな。ウラやエルジェラは、フォルナがどれだけ俺を想っているかという記憶がないため分からない。

 しかし、幼い頃からフォルナと一緒に居たアルーシャだからこそ、フォルナの今の心情を誰よりも理解しているのだ。

 そんな中で、これ以上鞭を打つような残酷な真似はできないと、アルーシャは拒絶した。

 だが、

 

「ヌグオオオオオっ!」

 

 森林が全て薙ぎ払われ、カー君が吹き飛ばされた。

 

「カー君ッ!」

「ミスター・カイザーッ!」

 

 まずい! 流石にカー君でもこれ以上は無理だ!

 そして、ママンとヴェンバイがこっちに気づきやがった。

 

「危険危険危険よん」

「緊急処理。緊急処理。緊急処理」

 

 目を光らせ、踏み出し、半狂乱しているフォルナに手を伸ばす。

 まずい! ここでやられたら、もう勝つ手立てがねえ!

 

「アルーシャ、正直ムカツクが、お前も私たちのように何か言え!」

「アルーシャさん、コスモスを救うため、お力を!」

「アルーシャ姫、あなたはここでお兄ちゃんへの気持ちから逃げていいのかい?」

「さあ、遠慮せんと、ドカーンとぶち込んでやり!」

 

 もう構うな! 言っちまえと、仲間たちがアルーシャに叫ぶ。

 そしてアルーシャは………………

 

 

「い、ぐ、あ…………フォルナ…………あの…………フォルナ…………ッ」

 

 

 何度も躊躇いながら、苦渋に満ちた表情の末…………

 

 

 

「ッ、フォルナ! ゴメンなさい! わ、た…………私のお腹の中には、既にヴェルトくんとの子供がッ!」

 

「…………ぱ?」

 

 

 いや……それはない

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