異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと   作:アニッキーブラッザー

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第352話 神からのメッセージ

 俺は、死が漂うキャンプ地を歩きながら、一つの目的地を目指す。

 そこもまた、多くの兵たちがごった返して雑魚寝しているようなテントとは違い、大きめで、少し中心から外れた場所にあるテント。

 

 

「気分はどうだ?」

 

 

 そう言って俺がテントを開けると、そこには難しい顔をした仲間たちが、傷や包帯だらけで俺に振り返った。

 

「ノーマルだ」

「まあ、絶好調やないがな」

「微妙」

「まあ、なんとかのう」

 

 キシンやジャックたち、みんな健在だ。

 

「キシン、お前、ジーゴクに行かなくていいのか? 今、相当ヤバイことになってるんじゃねえのか?」

「ん~、微妙なところ。キロロの派閥からは、ミーはベリー嫌われていたしな」

 

 当然最後の爆発の中で完全に無傷とは言わないまでも、さすがにこのメンツは命に関わるほど致命的なダメージを受けた奴は居なかった。

 まあ、ユズリハとチーちゃんは、爆発よりも前に負った傷で微妙なところだがな。

 

「……はあ……」

「ん? どうした、ラガイア」

「……いや、ただ……まさかお兄ちゃんが、二年前フォルナ姫を助けに来た、あの時の男だったとはね……」

 

 ラガイアが少し溜息を吐きながらそう俺に言ってきた。

 キシンを見ると、どうやら記憶が戻ったラガイアに全てを教えたようだ。

 そういえば、ウラとエルジェラを除けば、俺の記憶を取り戻して影響があるのはラガイアだけだった。

 

「嫌いになったか?」

「まさか……そういうこと聞くと……怒るよ?」

「なら良かった。ラガイアに嫌われたら、かなり凹むところだった」

「ぼ、僕がお兄ちゃんを嫌いになるわけないじゃないか! 意地悪でもそんなこと言わないでよ……」

「……ごめん、一生そんな冗談言わない」

 

 今頃、エルファーシア王国でも、そしてこれまで俺と関わったことある奴らは皆俺を思い出してるんだろうな。

 カミさんや、ハナビ、それにファルガやクレランにムサシはどうだ?

 

「アルテアも少しは落ち着いたか?」

「わーってるっての……ママンを助けなきゃってことぐらい……」

 

 こいつも、まさかこんな状況になるとは思わなかっただろうな。

 今のアルテアに、いつものような能天気さはねえ。

 まあ、それは全員同じなんだけどな。

 

「当然、いつまでも落ち込んではいられないものね。私だって、兄さんを攫われたまま黙っている気はないわ」

 

 その時、俺たちの後を追いかけて、アルーシャも強い口調で言い放った。

 全員分かってる。凹んでいても、やるべきことがなんなのかを。

 

「世界連合やら亜人やら魔族やらの動きは、ワイらには関係あらへん。動くなら勝手に動く。せやろ? ヴェルト」

「マッキーくんのこともあるしのう」

「うが……アガアアアアアアアアアアアアアアア! コスモス攫った奴、ぶち殺す! ぶっ殺す! 爆殺する!」

 

 そして、世界の流れなんて関係無しに俺たちが動くことに誰も異論はない。

 俺たちは互いに頷き会って、立ち上がっていた。

 

「だが、どうするゾウ? 恐らく、地底世界に行かねばならないが、その手がかりは正直無いゾウ」

 

 そう、問題はソレだ。

 正直、マニーが地底族を引き連れていたことに、タイラーたちですら驚いていた。

 つまり、タイラーたち聖騎士も、地底世界の場所を誰も知らないということになる。

 ただでさえ、三大未開世界とまで言われる世界。天空世界のような偶然は期待できない。

 まともに探して、果たしてこの広い世界でどうやって見つけられるか……

 

 

「それについては、少し話をしよう」

 

 

 その時、俺たち以外の何者かの声が聞こえた。

 その存在の気配に気づいていなかった俺たちは思わず身構えた。

 

 

「警戒するな。お前たちと事を荒立てるつもりはない」

 

 

 そこに立っていたのは、ヴォルド。

 相変わらずツラもその姿もまるでハッキリしない黒装束の黒子。

 見ているだけで不愉快になるこいつが、いつの間に……

 

「何の用だ、テメエ……」

 

 そういえば、こいつのことは聖騎士ということ以外は何も分かっていないのだが、怪しい奴ということに代わりはない。

 警戒するなと言うのもムリな話。

 

「私の言うことを聞く必要はないが、私の話を少し聞いてから動くが良い。なぜなら、地底世界を探す必要はないからだ。戦力と紋章眼を手に入れたマニーが次に向かう場所は決まっている」

 

 それは、俺たちの全身を強く震わせるには十分な言葉。

 

「場所を言え」

「待て。教えてやっても良いが、少しこちらの質問にも答えろ」

「ああ? 今更テメエに何を言えってんだ? 平和だ正義だ大義だの討論か? んなもん知ったことかよ!」

 

 だが、ヴォルドは首を横に振った。

 

 

「お前たちは別の世界で生きてきた前世の記憶があると言ったな……そして、『クラスメート』だったと」

 

 

 そしてその口から意外な言葉が出た。

 

「それがどうした。信じる信じないはテメエの勝手だ」

「いや……確かに本来であれば鼻にもかけぬところだが……少し……気になることを思い出した」

「……………ん?」

 

 気になること? どういうことだ?

 その時、ヴォルドの目の前で僅かに空間が歪み、穴が開いた。

 その穴は、底も壁も見えない暗闇の世界。

 その穴に、ヴォルドは無造作に手を入れて、何かを漁りだした。

 

「空間魔法の一種……?」

「その通りだ、アルーシャ姫。オルバントと類似の魔法だ。もっともあいつは人を空間に閉じ込めたり、身を隠すためにこの魔法を使うが、私はここに物を置いて好きな時に取り出せるように使っている」

 

 それはまた、鞄の要らない便利な能力なことだ。

 にしても、何を取り出そうってんだ? そう思っていると、ヴォルドが取り出したのは、ただの一枚の紙だった。

 手渡されたその紙を見ると、俺たちは思わず戦慄した。

 

「こ、これは……ッ!」

「お前たちは、これを見て何か分かるか?」

 

 その紙に書いてあったことを理解できたのは、俺、アルーシャ、キシン、ジャック、バルナンド、アルテアだけ。

 ウラたちからすれば、何を書いてあるか、まるで理解できないこと。

 

「これは、我々側が所持している……『封印の祠』にあったものだ」

「封印の祠?」

「そう。幻獣人族たちが守護し続けた、神族の遺産。カラクリモンスター、七つの大罪、かつて神族が封印した文明……いや、兵器か……その中に、『これ』があった。封印の祠の中は様々。倉庫のようなものもあれば、用途の分からぬ道具、研究施設のようなものもあった。その中の研究施設のような場所の机の上に、『これ』が置かれていた」

 

 それは、兵器とは程遠いただの紙切れだ。いや、メモ書きのようなもの。

 そして書いてある内容も、この世界にとっては何の意味も無い無価値なもの。

 

「正直、カイレや聖王様が見ても意味不明のものだった。私もこの意味が分からなかった。だが、無造作に置かれている不鮮明な設計図や本などとは別に、小箱に入れられてやけに重要そうに保管されていたのでな、しばらく私が持っていて、頭の片隅で気になっていた」

 

 紙にはこう書いてあった。

 

 

「……『クラスメートへ。封印される前にここに願いを記す』……ッ……ぜっ、『前世のクラスメートへ、何千年後になるか分からないが、頼みがある』……『モアの仲間にクラスメートが一人居る』……『誰かは分からなかったが、間違いない』……『私の記憶を頼りに下記に記す者の中に居る君へ。この中に居るであろうモアの仲間を止めてくれ』……」

 

 

 モア? それが一体どこのどいつで何者なのかは分からない。

 それが世界にとって、どんな影響を及ぼす奴なのかもだ。

 それでも俺たちは、そのことよりも、その続きを読み上げる。

 

 

「……『名も無き神の血を引く者に生まれ変わった私の』……『私の前世の名は、佐々木原美琴』……『私の名を覚えていなければ、以下の名簿と特徴を参考にして欲しい』……そし……て、『そして、いつか私のことも見つけて欲しい』……」

 

 

 ササキハラ? 残念ながら俺は覚えていない。

 だが、アルーシャを見たら、「覚えている」と頷いた。

 そして、その下には、懐かしい名前から余計な情報までも含めた、笑えるようで笑えないことが書かれていた。

 

 

●担任

・小早川 俊二郎

・ラグビー部顧問。妻子持ち

・異名:熱血天然記念物

 

 

●男子

・朝倉 リューマ

・帰宅部。元東日本最強チーム所属の喧嘩魔。不良。

・二つ名:ツンデレヤンキー

 

・江口 光輝《こうき》

・動画研究同好会。レンタルビデオ店でバイト。保健体育学年一位

・二つ名:エロコンダクター

 

・加賀美 正義《まさよし》

・バスケ部。校内にファンクラブ有り。校内彼氏にしたい男子二位。

・二つ名:チャラ男気取り

 

・木村 十郎丸《じゅうろうまる》

・元ボクシング部。プロレス同好会。ギャンブルで停学。元東日本最強チーム所属

・異名:ギャンブルデビル

 

・鮫島《さめじま》 遼一《りょういち》

・空手部エース。優勝入賞経験多数。堅物。

・異名:スクールファイター

 

・鈴原 春樹

・帰宅部。新聞配達、ファミレスでバイト。クラス男子貯金一位。

・異名:働く正直者

 

・田所 学

・男子クラス委員長。帰宅部。塾通い。医者の息子。成績学年三位

・異名:マッシュルーム委員長

 

・千島《ちしま》 蓮人《れんと》

・サッカー部。年中坊主。2m10cm。

・異名:トーテム坊主

 

・土海《どかい》 紫苑《しおん》

・園芸部幽霊部員。ネガティブぼっち。実は一部にモテる。

・異名:勘違い高二病

 

・七河 千春

・文学部。校内男の娘選手権優勝。非公式校内男が抱きたい男一位。

・異名:シュシュ使い

 

・橋口 直哉

・帰宅部。アニメオタク。

・異名:橋口辞典

 

・星川 凱亜《がいあ》

・生徒会長。男子テニス部主将。成績学年二位。校内彼氏にしたい男子一位。イケメン。

・異名:残念王子

 

・宮本 弦一郎

・剣道部。全国大会常連。実家が剣道道場。

・異名:草食剣士

 

・村田 ミルコ

・軽音楽部。バンドマン。クロアチア人のハーフ。元東日本最強チーム所属

・異名:ロックデナシ

 

・夜飼《やがい》 天我《てんが》

・バスケ部。運動音痴。ナルシスト。クラス女子全員に告白経験あるが全敗。

・異名:自爆ラブテロリスト

 

・遊澤《ゆざわ》 譲二《じょうじ》

・ラグビー部。プロップ。ベンチプレス140kg。

・異名:ダンベルマン

 

・龍善寺 翔太

・帰宅部。パルクールチーム所属。トレーサー。普通二輪免許所持。

・異名:令和忍者

 

・輪島 仁太

・野球部。彼女持ち。実家が豆腐屋。

・異名:爆発しやがれ野球バカ

 

 

●女子

・綾瀬 華雪《かゆき》

・女子クラス委員長、女子テニス部主将。成績学年一位。校内彼女にしたい女子一位。

・異名:恋の迷走女王

 

・筬島《おさじま》 比美子《ひみこ》

・自転車競技部。ロードレーサー。貧乳。

・異名:無乳ペダル

 

・神乃《かみの》 美奈《みな》

・ラクロス部。模型部。漫画研究同好会。成績学年最下位。

・異名:天然劇場

 

・小湊《こみなと》 蘭《らん》

・体操部。中国人のハーフ。段違い平行棒スペシャリスト。

・異名:なんちゃってチャイナ

 

・佐々木原 美琴

・理系学年一位。UFO研究同好会。

・異名:ロマンメガネ

 

・不知火《しらぬい》 有希子

・弓道部。実家が神社。保健体育学年二位

・異名:肉食巫女

 

・高原 園子

・図書委員。ファミレスでバイト。

・異名:真っ当女子高生

 

・天条院《てんじょういん》 來愛《らいあ》

・水泳・水泳でインターハイ優勝。オリンピック代表候補。

・異名:スケバン人魚

 

・鳴神《なるかみ》 恵那《えな》

・園芸部。読者モデル。カラオケ百点経験者。校内彼女にしたい女子二位。

・異名:ゆるふわブリッコ

 

・音遠《ねおん》 夢瞳《ゆめ》

・帰宅部。ピアニスト。コンクール入賞常連。

・異名:魔女の指先

 

・備山《びやま》 撫子《なでしこ》

・美術部幽霊部員。成績学年ブービー。校内ギャルグループリーダー。

・異名:ピュアビッチ

 

・布野《ふの》 響《ひびき》

・漫画研究同好会会長。腐女子。

・異名:腐教祖

 

・真中《まなか》 つかさ

・チアリーディング部。クラス内巨乳一位。彼女持ち。

・異名:女たらし女

 

・最上《もがみ》 加奈《かな》

・帰宅部。大食い専門店のジャンボラーメン、ジャンボオムライス、完食者。

・異名:銀河の胃袋

 

・迎《むかい》 歩《あゆむ》

・帰宅部。常にパソコン常備。メガネ。ゲーマー。

・異名:鬼才

 

・矢島 理子

・チアリーディング部。クラス内一低身長。彼女持ち。

・異名:禁断超越者

 

・吉田 麻帆

・野球部マネージャー。彼氏持ち。豆腐屋でバイト。

・異名:俺の嫁

 

 

 

 

 

 ……なんか……パナイな。

 少し落ち着かせてくれと、俺たちはしばらく言葉を失っていた。

 

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