異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと   作:アニッキーブラッザー

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第371話 地底世界探索開始

 とりあえず、扉や壁をぶち壊す手間が省けたな。

 だが、できることならもう少し静かに登場して欲しかった。

 

「おい、何の音だ今のは!」

「あっちの方から聞こえたぞ!」

「どうなってんだ! まさか、地上の侵入者か!」

 

 ほらな。騒ぎを聞きつけた連中が来ちゃうよ。

 

「ユズリハ、一応元に戻っとけ。その姿で動かれると目立ちすぎる」

「ゴミ婿、助けたぞ? この私が助けてやったんだぞ? お前のゴミ嫁の誰よりも早くに助けてしまったぞ? 一番えらい?」

「お~、お利口さんお利口さん。誰よりも早く駆けつけて、誰よりも早くややこしいことにしてくれてホント嬉しいから、すぐに元に戻れ」

「ん! よし、………私はすごいな。可愛いだけじゃなく、強くて、しかも役に立つ。ゴミ相手にちゃんと役に立ってあげる優しさだ……ゴミ婿が私のことをこれ以上好きになったらどうしよう……私にも赤ちゃんとか………にひっ」

 

 いや、かなりありがた迷惑なことをやってくれたが、自分は役に立ったと思って一人ルンルン気分のユズリハさんだが、とりあえずさっさと逃げるか。

 

「………あんたの嫁、カワイイが個性的だな」

「だろ? もう少しお淑やかに育ってくれれば、頭を撫でてやるんだけどな」

「けっ、是非とも嫁の誰かに刺されて不幸になってもらいたいね、あんたは」

「それは困るな。こんなに嫁いっぱいいるのに、童貞のまま死ぬとか哀れすぎる」

「………………えっ?」

 

 ん? なんか、売り言葉買い言葉みたいに、立ち去ろうとする俺の背中からブツブツ言うニートに言葉を返したが、意外な反応が返ってきた。

 それどころか妖精も、つうか、フォルナまで………

 

「ヴェ、ヴェルト……あなた、その……経験が……まだなんですの……あっ、それは、あの……」

 

 悪かったな。なんか物凄い安堵したみたいなフォルナの表情で、何となく気持ちを察して若干照れくさくなり、

 

「子供いるのに……どこまで複雑なんだ、あんた?」

「いや~、驚きましたね。ニート君と真逆の人生送ってそうなお兄さんが、ニート君と意外な共通点とは………えへへ、ニート君、もし~、そういうのアレでしたら、どうしてもって頼むんなら、もう、しょ~~~~がなく、私がどうにかしてあげますよ?」

「俺は三十まで貞操守って魔法使いになり、四十で賢者になり、五十で大魔道士になる予定なんで」

「はあ? なんですかその人生設計、チョー気持ち悪いんで却下です。ニート君なんて、魔法使い見習いがお似合いです。……絶対に私が人型化の魔法で………ブツブツ」

 

 最初は奇怪な視線を浴びたものの、この二人はどんなやり取りからも痴話漫才に繋げちゃうのな。

 まあ、こいつらもこいつらで中々個性的な奴らだったな。

 

「おい、居たぞ、この部屋だ!」

「なんなんだ、お前ら、こんな所で………し、しかも、螺旋がないぞ!」

「こいつら、地上の駄作じゃないか、なん――――――」

 

 それは、粉々になった部屋の入口を塞ぐように続々と集まってきた地底族の男たちが、粉砕された部屋の中にいる俺たちを見て声を上げた瞬間……

 

「迅雷烈覇!!」

 

 俺の真横から金色の彗星が閃光となって駆け抜け、一瞬で数人の男たちを気絶させた。

 

「ひゅ~……さっすが」

「……………はや………」

「ひゃ~~~、すご、今、何があったんですか?」

「………チッ、先を越された。私のほうがカッコよく倒せたのに」

 

 雷の弾けた音すら聞こえぬほど光速で、鮮やかに地底族たちを気絶させたフォルナは、既にスイッチをオンにしている様子で俺に振り返った。

 

「ヴェルト。そしてユズリハ姫。行きますわ。まずは、この地下世界から脱出しましょう」

「ああ」

「ちっ、………離婚したくせに………」

 

 ダメ、ユズリハ。それは聞こえるように言っちゃダメだからな。ガン泣きしちゃうから。

 なんともまあ、ヘンテコな組み合わせになっちまったが、とりあえず俺はフォルナに頷いて、扉の外へと駆け―――

 

 

「ふわふわレーザーッ!」

 

 

 駆け抜けると同時に、フォルナの真横にレーザーを走らせ、その先にいる何かに向けて放った。

 だが、次の瞬間、俺の放たれたレーザーの先で、何かが蠢く音がした。

 そして、音がしたと思ったら、何かが光った。

 扉の外は薄暗いからこそ、光ればそれが何なのかが分かった。

 それは、体を大の字に開き仁王立ちにした巨漢の男。その男の筋肉隆々のボディから、まるで剣山のように無数のドリルが突き出し、そのドリルを回転させて、俺のレーザーを弾いたようだ。

 

「ふん……ごっついのが出てきやがって」

「この方……少々できますわね」

「…………変な体だ。寝にくそうだ」

 

 ユズリハ。人の身体的な特徴を馬鹿にするのはやめようね。なんかあの刺だらけのマッチョは、随分と自信満々そうじゃないか。

 っていうか、俺も変だと思ったけど、ツッこむのはやめておこう。

 

 

「駄作が五匹………由々しき事態だ。」

 

 

 野太い声に重厚感を感じる。威厳もありそうだし、そこそこの地位のものか?

 それとも、見せかけだけのやられキャラか。さて、数秒後にはどうなっているかな?

 

 

「地上の駄作。そして、マニー姫に目をかけられたことで勘違いした、駄作の螺旋を振り回す面汚しに、地上の羽虫」

 

 

 いいのか~? そんな自信満々にカチンとするようなことを言って。

 っていうか、巻き添えくらったニート、そして妖精に関してはむくれてるな。気の毒に。

 

「おい、ニート。世界最強の五人が居たらいかにも瞬殺されそうなこいつはどこのどなた様だ?」

「こらこら、やめようね、何で俺に聞いちゃうの? なんか、勘違いされるんで、やめてよね」

「心配するな。どう勘違いしようとも、どうせこいつは瞬殺される。あっ、だったら何者か聞いても意味ねえよな」

「うわお、お兄さん、ニート君と違って、メッチャ好戦的で自信満々ですね。ニート君、不良を食わず嫌いしないで少しは見習ったらどうですか?」

 

 すると、今度は向こうさんがカチンと来たようだ。

 ゆっくりと部屋の中へと入ってきて、次の瞬間、一気に体中から突き出る無数のドリルを回転させた。

 

 

「駄作よ。この至高の傑作とも言える我が力、そして我が名を覚えておけ。我こそは、『地底王ゴッドリラー様』にお仕えする、地底世界最強の五人、『螺旋五槍』………のその一つ下に、螺旋五槍の五人がそれぞれ抱える右腕と左腕とも呼ぶべき副官たち十名で構成された最強の部隊長たち、『十指の螺子』の内の一人! ………である、『ウズマ様』が抱える精強を誇る必殺部隊である『ねじまき部隊』の隊長! ………である、ドライバ様が最も信頼する副官である、ネジアナ様の―――――――」

 

「ふわふわパニック!」

 

「はぐわっ!」

 

 

 すまん………………もう、長くて付き合いきれなかった。

 

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