異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと 作:アニッキーブラッザー
リアルなことを言うと、これは夢の世界での話しだからなのか、とにかく懸命だったからそれ以上の事はあまり実感が無い。
愛情を確認しあうといえばロマンチックだが、ハッキリ言って何かを確認するような余裕はなかった。そして、ガキの頃から雑な対応をしていたフォルナを、初めて丁重に触れた。そして気遣った。
全てが終わった瞬間は、なんというか頭が白く、なんというか、うん、そんな感じだ……
「夢の中なのにちゃんと五感がありますわね」
俺と横に並んで仰向けになって、天上のない黒い空を見上げるフォルナ。
「温もりも、匂いも、息遣いも、そして……ふふ……この幸せな痛みも……」
俺に手を、そして指を絡めて繋ぎ、フォルナの表情から「色気のある大人の女」を感じさせた。
正直、いつかこんな日が来ることは想定していた。だが、正直な話、俺はこういうことをしたのに、満たされたとか、気持ちよかったとか、そういう感情よりは、それなりの罪悪感を持っていた。
例に出して言うと、これがエルジェラだったらもう少し違ったかもしれない。ある程度成長し、出会ったときからエロボディだったエルジェラが相手であれば、こういう気持ちにはならなかっただろう。本能のまま、ガッツいてたかもしれない。
しかし、フォルナは違う。
俺はフォルナを五歳の時から知っていて、八歳の時に俺は十七歳の精神が宿った。つまり、当時俺が精神年齢十七歳の時に俺の周りをウロチョロしていた八歳のおしゃまなガキを、俺は成長したとはいえ……抱いてしまったわけだ。
傍に居すぎたから近すぎる。今にして思うと俺はよく、臨戦態勢に入れたなと実感し、なんか自分が物凄くゲスに感じた。
「もう、ヴェルト。何をボーっとしてますの?」
「いや……なんか……これが賢者タイムっていうのか……」
「はい?」
だが、そんな俺のうかない雰囲気にムッと来たのか、フォルナが頬を膨らませて俺の頬を抓ってきた。
「……あまり、満足していただけませんでした? ……ココはまだまだシたいと?」
「ひゃうっ」
そして、もう片方の手をいきなり俺の股間のアレを擦ってきた……いかん、思わず変な声を上げてしまった。
「あら……」
「……っ……」
おい、俺……罪悪感がどうとか自己嫌悪に陥り、賢者タイムだったはずなのに、どうして俺のそこはまた再び復活する?
俺の心やら精神とソコはリンクしてないのか?!
「んもう……ヴェルトったら……えっち……」
「ッ、お、おまえが、きゅ、急に触るからぁぁ……んぐっ」
「んちゅっ♡」
……あ、キス……しかもこれはまた濃厚な……
「んちゅっ、ヴェルト……どんな理由にせよ、再びシたいのなら遠慮など、ん、不要ですわ……だって、ワタクシはむしろ嬉しいんですもの。ヴェルトはワタクシを女として興奮してくださっていると……」
「んっ、いや、でも、そろそろ……」
「今度はワタクシにお任せを……」
「へ? お、おい、フォルナ、何を……んごぉ!?」
「あむ♪」
結局もう2回ヤッた……
「~~~♡」
「……あ……うん……俺、ほんと自分で自分が……」
「ふふ、三回目のヴェルト……うふふふふ~」
「……わ、悪かったな……最後は半ばヤケクソだったからな……つか、痛かったか?」
「いいえ~。もうワタクシ、お腹いっぱい胸いっぱいの幸せですわ」
隣で並んで仰向けになっていたフォルナが、少しイタズラ心のある笑顔で俺にのしかかってきて、何だかもう、俺たちは何やってんだか……という気分だ。
「……お母様の教えは、まるで役に立ちませんでしたわ」
「ん? ママのか?」
「ええ。ヴェルトと、こういうことをする時のため、その……姿勢ですとか、奉仕の仕方、作法など……本や果実を使って勉強しましたのに……それどころではありませんでしたわ……喉奥までとか、お尻を使うのとか、そこまでのレベルには―――」
「いや、そんなもん初体験でされたら引くわ!」
まるで、自分の実力を出し切れなかったことが心残りとばかりに、俺のアレを指でツンツンしながら文句を言うフォルナだが、それでもすぐ笑顔に戻った。
「でも、これで現実の本番では、ワタクシも快楽のみに溺れずに、全ての技法をお見せできると思いますわ♪」
確かにそうかもな。俺も、こんな気分になるのは今回だけだろう。次からは……もっと、純粋にこいつと出来るんじゃねえかなと思う。
だから、もうそれでいい。
「もう……十分まったりしたな」
行為を終えた後の気だるげな気分に沈みながらも、いつまでもここでこうしているわけにはいかねえ。
俺はフォルナの髪を軽く触れて、起き上がった。
「ええ、そうですわね」
フォルナもキリッとした表情に一瞬で切り替わった。
「あなたを幸せにし、そしてあなたに家族を失わせるような不幸なことは絶対にさせない。それが、今のワタクシの使命ですわ」
つうか、うん、正直俺たちはこんな大変な時に何やってんだよって感じだ。だが、これは必要な儀式みたいなもんだったんだと自分に言い聞かせ、いい加減に現実で待ってる皆のところに戻らねえとな。
「行くか」
「ええ」
互いに衣に身を包み、この世界では意味の無い警棒などの武器も俺のホルスターには装着されていた。これは、戦う意志の表れだ。
もう十分堪能した。気づけば真っ暗な世界も徐々に光が差し、まるで俺たちを迎え入れているかのようだ。
俺たちがこの世界から自分の意志で出て行くことを待っていたかのように。
「フォルナ、何をしてたかは内緒な」
「勿論ですわ。こんなのバレてしまいましたら、恥ずかしくて外を出歩けませんわ」
「だな。だから絶対に………」
その時、何か嫌な予感が胸を過ぎった。
なんだか、こういうの、フラグってやつにしか感じねえ。
あんま言い過ぎると、本当にまずいことになりそうで不安になるから、俺はこれ以上言うのはやめた。
そして、ようやく世界全体が完全に光に包まれた瞬間、俺の視界にはフォルナ。そして、周りには、ジト目のフィアリとジト目のニート……ん? なんでジト目?
「なんだよ、お前ら……って、いたっ!」
そのとき、何か腕から痛みが……ってユズリハ?
「ガルルルルルル、ガブウウウ!」
「お、ったああああああ! てめ、なに噛んでんだよ、ユズリハ!」
「がぶうう! がぶうう! ガルルルルルル!」
しかも、かなり野性的な目でなにやってんだ……
「やれやれ、情けないの~……たった三回とはの~う」
イーサムの、メッチャニヤニヤしたスケベジジイな表情はなんだよ!
いや………
「まさか……声に出てたのか……?」
なんだよと思いながら、俺はこのとき既に答えは分かっていた。なんでこいつらが、こんな態度なのか。
「ゲス倉君、娘さんが攫われてる時に、何で他の女とエッチッチですか? エロ倉くんですか?」
「あのさ、なんでさ、リア充は女と仲違いしても、とりあえずヤッとけば解決的になっちゃうの? そこらへん、マジ意味分からないんで」
「ガブ! ガブウ! ガブウウウウウ!」
「たった三回で精力出し切るようでは、今後発情期になったユズリハを満足させられんぞ? なんならワシが秘蔵にしておる体位百科事典をくれてやるぞ?」
そういえば、ユズリハもフォルナも、あのグーファも妄想中の声は全部駄々漏れだったな。
「…………勘弁してくれ」
これじゃあ、フォルナも…………
「いっそ殺してくださいませ……と、以前なら言ったでしょうが、むしろそれがどうしましたの! 愛する者と肌を重ね合わせる等、生命の本質ではありませんの! ワタクシは恥らうことも、後ろめたいと思うことなど何もありませんわ!」
こいつ、開き直りやがった! いや、しかもこの溢れる強気な態度と余裕はなんだ? まるで、一気に大人の階段を三段飛ばしで上っていったかのように、貫禄がある。
「ふふ、だからユズリハ姫、それではダメですわ」
「むっ!」
「何故なら、自分の醜い嫉妬のみの感情を相手にぶつけるだけでは、お互いの心を重ね合わせるなど不可能ですわ」
ふふん、と誇らしげに語るフォルナ。お前ついさっきまでは………いや、もういいけどさ。
すると、イラッとしたユズリハは、猛烈な殺気をフォルナに飛ばした。
「黙れ。婿に捨てられたくせに、拾われたぐらいで勝者気取りか?」
「いいえ、ワタクシは勝ってなどいませんわ。そもそも、ワタクシに勝ち負けなど不要。ワタクシの望みはヴェルトの幸福のみ」
「~~~~っ、うるさい! 私だって………私だって交尾したら、婿だってデレデレだもん!」
「あらあら、はしたないですけど可愛らしいですわね。ええ、ほどほどに頑張ってくださいませ」
過去にウラと出会った時など、超嫉妬まみれで、それこそ牙むき出しにして獣のような争いを繰り広げていたものだが、人間は変わるものだ。
正しく文字通り、「一皮剥けた」のかもしれないな。
「ほれ、起きたのならさっさと先に行くぞい。ヤルべきことはヤっても、まだ成さねばならぬことはあるであろう?」
「う………わ、悪かったよ。変な時間を潰しちまってよ」
「か~、何を言っておるか。そこに女が居ればとにかく、戦争中であろうと抱く。それがこの世の礼節ではないか!」
「あ~、もう、いいよそれで」
イーサムを見習いたくもねえけど、ここまで来ると逆に開き直っちまったほうがいいかもしれねえな。
「まっ、行くか。んで、ニート。俺の他の嫁たちには内緒にしててな」
「内緒にしろとか、それって前フリ? フラグだと思うんで」
「あら、ワタクシは構いませんわ、ヴェルト」
「や~、それはまずいですよ。綾瀬ちゃんにバレたらヤバイですから。綾瀬ちゃん、たまに迷走するところありましたからね~」
フォルナは何とも頼しい様子だし、俺ももうこのことで凹むのはやめた。