異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと   作:アニッキーブラッザー

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第407話 カオスの時間④

「もう、何がどうなっているのか分かりません! でも、コスモスが……ヴェルト様!」

「ああ、分かってる。分かってるよ、エルジェラ」

 

 分かっている。

 俺からしがみついて離れないエルジェラを抱き寄せ、丁寧に頭を撫でてやりながら、分かっているとだけ何度も繰り返した。

 いや、俺も分かってるよ。

 でもさ、マジでどうすりゃいいんだよ、これは。

 

「エロスヴィッチ、や、やりすぎではありませんの? これほどの辱めは、同じ女として看過できませんわ?」

「というより、なぜ、行方不明のエロスヴィッチがいるのかしら?」

「うむ、私も昔、父上に聞いたことがある。この世には、女の身でありながら勇猛な英雄はたくさん居る。しかし、エロスヴィッチとは戦うな。それが、ここに?」

「いや、ウラっち、そんな真面目に言っても、ようするにただの変態ロリっ娘じゃん」

「スケベ女……」

 

 そりゃ、女性陣ドン引きだよな。

 本来エロいハズの光景も、行き過ぎて俺も引いちまう。

 哀れにもイッちまった顔で精神崩壊した様子の、ラブ・アンド・ピースのメンバーと思われし女とホビットたちの悲惨な姿には、敵でありながら同情しちまう。

 

「ほほう。なかなか美味しそうなめんこい娘たちなのだ。それに、アークライン帝国の姫であり光の十勇者のアルーシャ姫、旧ヴェスパーダ魔王国の魔王シャークリュウの娘のウラ姫、世界三大未開世界天空世界の皇族であるエルジェラ皇女、今は亡きダークエルフの国の王族であり四獅天亜人のユーバメンシュの養女のアルテア姫、くくくく、名だたるプリンセスたちがどうしてここにいるのだ? さっきはあまり気にせんかったが、エルファーシア王国の姫であり光の十勇者のフォルナ姫に、イーサムの娘であるユズリハ姫までいるのだ。種族問わずに名だたる六人の姫たちなのだ」

 

 陵辱した敵を地面に放り投げて、ニタリと寒気のするような笑みを浮かべながら振り返る。

 まるで、品定めするかのように、みんなを見ながら。

 

「全員、ヴェルトの嫁じゃ」

「なに? イーサム、それは本当なのだ?」

 

 それをイーサムを一言でまとめやがった。

 

「ワタクシはヴェルトの幸福ですわ」

「私はヴェルトのお嫁さんだ」

「私はヴェルト様の奥様です!」

「ヴェルトくんのハニーよ!」

「私の婿だ!」

「……六人? えっ? ちょいまち! はっ? あたしってエントリーされてる系? あはははは、マヂ? チョーウケる!」

 

 

 女たちも負けじと叫んでる。

 いや、もう、いいよなんでも。この件をこれ以上掘り下げると、まるで前へ進む気がしない。

 

 

「お兄ちゃん。ごめん、本当は僕だけの方が混乱しなくて良かったかもしれないけど、彼女たちがどうしてもと」

 

「大丈夫、ヴェルト兄さん。私とラガイアが居れば、他は何も必要ない」

 

「……ちょっと、待ちたまえ。君は確か、ジーゴク魔王国のキロロ姫だろう? なぜ、お兄ちゃんを、兄と呼んでいるんだい?」

 

「ラガイア、怒らないで。嫉妬してむくれる顔もかわい……おほん、諸事情による。でも、安心する。私が彼を兄と呼ぶことは、あなたから兄を奪うことと同義ではない」

 

「いや、全然説明になってないけど……ただ、もし、お兄ちゃんに何か危害をくわえたら……」

 

「ッ! ま、待って、ら、ラガイア……か、顔……近い……」

 

「ん? どうしたんだい、急に顔を赤くして……」

 

「ちっ、ちかい……口づけするなら覚悟を決める」

 

「はっ?」

 

 

 こっちも………

 

「ぜ、全員姫……あいつ、ほんとどうなってるんで?」

「いや~……いや~……朝倉くんェ~」

 

 あっちも………

 

「おっしゃああ! コスモスを救出だ! いくぞ、ブス共、野郎ども!」

「そうだぜい、大兄貴! 嫁さん来たからって、気いぬいてたらいけねえぜ!」

 

 そして、この中で唯一まともなことを言ってるのが、なんでチーちゃんとマー君なんだよ。

 しかし、それでも余計な一言が多いだけに、その言葉にエロスヴィッチがカチンとした様子で反応を見せる。

 

「ん? ブスとな? それより、死んだと噂されていた爆発魔王がどうしているのだ? 独眼小僧もなのだ」

「ああん? チビババア、なんか文句でもあんのか? 俺様はもう、魔王なんかじゃねえ。良い子の味方、チーちゃんだ。覚えておけ」

「は? チビババア? 言うにことかいて、わらわをババアとは何事なのだ? 二十年ほど前に亜人大陸に攻め込んだが、わらわの軍の力に恐れ、すぐに尻尾巻いて逃げた腰抜けが生意気言うななのだ」

「はあ? あれは、テメエが四獅天亜人になる前、『幼女将軍』と呼ばれた亜人を一目みようと亜人大陸に行ったら、ただの手足の短いババアだったから、ガッカリして帰っただけだ」

「なんじゃと? デタラメ言うななのだ!」

 

 いや、ありえる! チーちゃんなら、それ目的で他の大陸行って、ガッカリして帰ってくるって十分あり得る。

 だって、コスモス絡んだだけで魔王の座とかどうでも良くなったやつだし。

 つうか、この二人、そんな過去の繋がりがあったのな。なんつうか、世間は狭いんだか、広いんだか………

 

「っていうか、テメェら、七大魔王と四獅天亜人同士でいきなりファイトとかマジでやめろよな! おい、聞いてんのか二人共!」

「そうじゃのう、ヴェルトの言うとおり、今はそんな昔のことよりも重視せねばならぬことがある」

 

 おおお! い、イーサム! イーサムが真面目なことを言いやがった!

 

「なんじゃ、ヴェルト、そんな目を輝かせて」

「いや、あんたもそういうことを言うんだなと思ってな」

「当たり前じゃ。ワシも状況ぐらい分かっておるわい」

 

 あ~、良かった。チーちゃんとエロスヴィッチが、もし何かやらかしても、イーサムが止めてくれるんなら………

 

「そう、いま重視すべきは、戦争とはいえ……哀れにも心を壊した娘がここに居るということじゃ」

 

 ……ん? おい、ジジイ。

 なんで、そこで、エロスヴィッチが精神崩壊させたスノーホワイトとかいう女を見てやがる。

 

 

「あへ~~~、ヴぃっちおねえざま~、はやぐちょうだい~、じょうだい~、じゅぽじゅぽ、らめもうらめ、はやぐう~、はやぐう~、スノ~ホワイドにじょうだい」

 

「やれやれ、可哀想にのう。陵辱されて心も壊して……よし、ワシの愛でおぬしを救ってやろう!」

 

「ひゃへ? あ。らめええ、しょんなにょむりいいい、あはひゃ、りゃめ、ごわれじゃうじょ~~~!」

 

 

 っておいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!

 

「ちょっ!」

「ひゃあああ、どど、どうなってんですか、朝倉くん! なんで、このライオンさんいきなりズボン脱いで………ぎゃああああああああああ!」

 

 ちょっと待て、何がどうしてこうなった?

 

「……ダメだもう……俺、ひとりでコスモス探しにいく……」

 

 っていうかまず、メンツを整理させろ。

 

「し、信じられませんわ! な、なんて、最低な! あれのどこが愛ですの! ヴェルトがワタクシを抱いてくれたときは、もっと素敵で、温かかったですわ!」

 

 復活のフォルナ。

 

「ちっ、ゴミ父め…………でも、これから私も婿とアレするんだ……」

 

 丸くなったユズリハ。

 

「お待ちください、フォルナ様。ヴェルト様が抱いてくださったとはどういうことですか? ッ、ヴェルト様……こんな時に、何をなさって……」

 

 温厚な妻が夫の浮気を怒る感じのエルジェラ。

 

「おい、フォルナ。これだけは言ってはならんと思っていたが、お前はどのツラ下げて人の夫を……」

 

 新妻全開ウラ。

 

「私も聞き捨てならないわね、ちょっとそこに正座なさい、ヴェルトくん!」

 

 カカア天下アルーシャ。

 

「でけええええええ! うわ、マジでけえ! あ、あんなの、ムリムリムリ! 股にカー君ついてんじゃん……」

 

 シリアスブレーカーアルテア。

 

「くっ、何て品のない……これだから亜人は……。お兄ちゃん、こんな奴らは放っておいて、僕たちだけでコスモスを助けに行こう」

 

 お兄ちゃん大好きラガイア。

 

「諜報員が入浴時にラガイアのサイズは確認済み。私の体でも問題ないと報告受けているので心配いらない」

 

 クーデレストーカーキロロ。

 

「おい、フィアリ……もう、地底世界帰らねえ?」

 

 根暗リア充ニート。

 

「私も今まさに同じことを思っていましたよ、ニート君」

 

 ニートバカフィアリ。

 

「けっ、汚ねえことやりやがって。これだけはコスモスの教育に悪いから、今は居なくて良かったぜ」

 

 良い子の味方チーちゃん。

 

「ふん、カイザーの方が大きくて、優しくて、逞しいのだ」

 

 ジェネラルビッチエロスヴィッチ。

 

「大兄貴、苦労してやがるぜ」

 

 案内人マー君。

 

「もう、何も心配いらん。ワシの愛でおぬしの心を救ってやろう!」

 

 そして、万絶倫の王イーサム。

 

「濃い……濃すぎる! なんだこれは! とんこつラーメン、ギトギトこってり脂多めのにんにく込みより濃すぎて胃もたれするぞ、コラァ!」

 

 何でだ?

 この、異世界変人オールスターみたいな組み合わせはどうすりゃいいんだ?

こんな奴らと協力できるのか? もう、不安しか感じねえ。

 

「って、あれ? ねえ、ヴェルトくん、その、こういう状況下であれだけど……その……」

「どうしたよ、アルーシャ。まさか、まだ爆弾ぶち込んでくる気か?」

「いえ、そうではなくて……そこの、地底族の人と……妖精なんだけど……どうして君と一緒に居るのかっていうのもあるんだけど……今……『朝倉』って……」

 

 それも忘れてたよォ~!

 

 イーサムが絶賛ハッスル中の状況下で、確かに「こんな時にはアレ」ではあるが、これはこれで流せる話でもねえしな。

 

「えっ、てか、そうじゃん、ヴェルト、どういうことだっての!」

 

 当然、アルテアだって反応するよな。

 そして、こういうアルーシャとアルテアの反応を見れば、当然、ニートとフィアリも「えっ?」となる。

 

「……な、なあ、ひょっとして?」

「あの~、朝倉くん……あの、まさか、こちらのお方は~、えっと~……」

 

 様々な混乱の極みの中での再会となり、感動もクソもありえない。

 つか、死に別れたハズのクラスメートとの再会が、どうして絶倫ジジイがスグそばでハッスルしている隣で行われるんだよ。

 

 

「……こっちは、綾瀬と、備山」

 

「「ッッッ!?」」

 

「こっちは鳴神とドカイシオンくんだ」

 

「「いいいいいいいいっ!」」

 

 

 もう、以上としか言い様がない。ここから先はもうお前ら勝手にやってくれと、俺は放り投げた。

 

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