異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと   作:アニッキーブラッザー

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第444話 メッセージ

「新手か? はえーな」

「今のは、亜人の『亜速』を応用した変わり身でござるな……しかも、相当な……何者でござる?」

「おい、ヴェルトに近づくな!」

 

 そこに居たのは、黄色い熊の着ぐるみじゃない。

 黒い装束に身を纏い、足は足袋、腕には手甲、背中にはショートソード。

 顔は口元から鼻までピッタリとしたマスクをつけ、頭には頭巾のような銀色の額当て。

 そして、黒装束の尻から伸びる尻尾、そして頭に生えた三角の獣耳。

 こいつ、亜人だ……っていうのは、正直、俺にはどうでも良かった。

 いや、俺だけじゃない。

 

「ちょっと、どういうこと? 初めてシンセン組の侍たちを知って以来の衝撃かしら?」

「あのよ、そのコスプレ、なんなん?」

 

 そう、アルーシャやアルテアもそうだ。

 何の前触れもなく現れた熊のパーさんの着ぐるみから出てきたのは……

 

 

「コスチュームについて文句言われたくないさー、ニンニン♪ ラブ・アンド・ピースの着ぐるみよりはマシさ~」

 

 

 なんか、手裏剣とか投げそうな奴で………

 

 

「っていうか………あんまり仲良くなかったし、学校では大人しくしていたから、やっぱ俺のことは分からない?………綾瀬? 備山? そして、朝倉」

 

「「「ッ!」」」

 

 

 そして、俺たちのことを知っている。えっ? マジで誰?

 

「あーーーっ! 『ハットリ』にいやん! なんで、にいやんがここにいるっすか!」

「やあやあ、ドラ、久しぶりさー。まっ、『ハットリ』も本名じゃないんだけどね」

 

 どういう展開だ?

 まあ、ぶっちゃけ、なんだよ、この『忍者』!

 どっかのテーマパークから迷い込んだのか?

 つか、話の流れ的に、こいつもまさか………

 

 

「いや~、約束の場所にいつまでも来ないからどうなったかと心配したさ~。マグマライダーが助けを求めに来た時は驚いたさー、しかし案の定、とんでもないことになってるさー」

 

「あなた、……まさか……」

 

「驚くことないさー、綾瀬。まあ、学校じゃ俺は部活にも入ってなかったし、君らとは違うグループだったから覚えてないのも無理ないさー。でも、俺は君らのことを良く覚えてるさ~」

 

 

 パーさんこと、ハットリ。その正体は……

 

 

「いえ、私は……なんとなく、あなたの正体が分かるわ。たぶん……でも、どうして……嘘でしょ? 土海くんや、恵那に続いて……あなたまで! それに、ラブ・アンド・ピースの幹部ってどういうこと? マッキーくんは……加賀美君はあなたのことを?」

 

「俺がクロニアの指示で組織に入ったのは、加賀美が牢獄に入ってすぐのことさー。それ以来、俺はずっと正体を隠していたさー。だから、加賀美も俺のことには気づいてないさー」

 

 

 マジかよ………じゃあ、こいつも?

 アルーシャの言うとおり、嘘かと疑いたくなる。

 こうも予想もしていなかった再会が続くと、さすがに恐くなるな。

 十五歳になるまでは、先生と鮫島としか再会できなかったのに、まさか今日だけでこんなに立て続けに会うとはな。

 

「なあ、アルーシャ。あんたこいつのこと知ってんのか?」

「アルーシャ。今の話の流れから、ひょっとしてあなた方の前世に関わる方ですの?」

 

 正直、ほとんどのものには分からない会話ではあるが、俺たちにとっては重要なこと。

 

「ええ。それと、何となくなんだけど、あなたは……『龍善寺くん』……」

「まあ、今はそんなのどうでもいいさー。それよりも、今はこの状況をどうにかすることが先決さー」

 

 しかし、こいつもクラスメートなのだとしたら……何で俺の元クラスは、変な奴ばっかなんだ? と思ったが、口に出すと「オメーもだよ」と言われそうなのでやめた。

 それに、俺自身はこいつのことを全く覚えてないんだ。なら、今大事なのは、覚えてもいないコイツの正体じゃない。

 コイツの言うように、今この状況をどうするか……と、その前に……

 

「で、ハットリだったな」

「どうしたさ~? ヴェルト・ジーハ」

「……テメエは、クロニア側か」

「いかにもさ~」

 

 あいつの………それだけで、少し胸が熱くなった。

 さらに………

 

「その、クロニアから伝言さ~。家出した、ドラに」

「えっ、ご主人様がオイラにっすか!」

「そうさ~。お前が家出して、物凄い怒ってるさ~。慌てて俺にメッセージ送ってきたさー」

 

 出た! クロニアメッセージ。まさか、また意味不明な合言葉でも言わせる気じゃ………

 

「クロニア姫からのメッセージですの?」

「クロニア姫………ちょっと、ヴェルト君? なに、ソワソワしているのかしら? 私たちの前で?」

「むっ! ~~~、なんか婿の顔がだらし無い。なんかムカつく………」

「ヴェルト様が、見たことのない表情を………」

「な、なんだ? 胸がチクリと………」

「おいおい、おっぱヴェルのやつ、どんだけ………」

 

 いや、別にクロニア云々が気になってるんじゃなくて、ほら、何かとてつもない重要なことかもしれねーじゃねえかよ!

 別に、クロニアのメッセージというか、クロニア本人がメッチャ気になるとか、全然そういうことじゃ………

 

 

「クロニアからの伝言さー。え~、『ドラちゃ~~~ん、も~う、何やってるのかな~! 外出ちゃダメって言ったでSHOW! もう、怒っちまったよ~、ご主人様ぷんぷくりーのでごわすよ~! あ~、ドスコイドスコイ! はっ! ごっつあんです!………』………あ~、これ、結構長いから、飛ばして要点だけ言うさー」

 

 

 あの馬鹿女! なんで、そこでドスコイなんだよ! 

 畜生、多分あの馬鹿女、実際目の前にいたら、普通に関取みたいに「ごっつあんです」って動作も入れてやるんだろうな~、くはははは、ぜってーやる、その光景が目に浮かぶ。

 

「ッ、ヴェルトッ! ちょっと、ヴェルト! なんですの、それは!」

「おい、ヴェルト! ど、ど、なん、なんなんだ、その顔は!」

「~~~~ッ、ふざけないで! やめて、そんな顔をしないでよ、君にはもう、私たちがいるんだから」

「………ヴェルト様が、………まるで、ヴェルト様を想う私たちのような表情をなさって………」

「う~~~、その顔やめろ、婿! どこの女かも知らないやつに、その顔やめろ!」

「いや~~~、ね~わ~、マヂね~わ~、そりゃねーわ」

 

 って、なんだよいきなり、顔? 俺の顔がどうした?

 

「ヴェルト、今、……まるで、愛しい人のこと想う顔をしていますわ……」

 

 いやいやいやいやいやいやいやいや……お前ら、こんな時に何を……ん? 俺、そんな顔してたか?

 いかんいかん、確かに、顔が緩んでいるような……頬の筋肉を伸ばそうと……いや、ダメだ、なんかニヤけてる?

 って、やめろ、お前ら、そんなメッチャ悲しそうな顔で俺を見るなっての!

 

 

「あ~、痴話喧嘩後にするさ~。んで、要点だけ。え~っと、『ドラちゃん。もし、敵が超巨大カラクリモンスターを出現させて、なすすべがなかったら、ドラちゃんの出番ばばんばんばん、だよ? 何故なら、ドラちゃんも超巨大化できるから』」

 

「「「「「………………………………えっ?」」」」」

 

「え~、『ドラちゃんは、ミニサイズになったりドラゴンサイズになったり、体内から鉄球飛ばしたりできるでしょ? ドラちゃんは、フツーのカラクリモンスターと違って、体内のコアエネルギーと、大気中の物質を使って鋼鉄を無尽蔵に精製することができる、スペシャルタイプなんだぜい♪』」

 

 

 その時、俺、ファルガ、ウラ、ムサシ、クレランは、あることを思い出した。

 それは、初めてドラと出会った時のこと。

 アークライン帝国がマーカイ魔王国に襲撃され、少しでも早くたどり着くために、冗談で「ドラ巨大化しろ」とか言ったら、アッサリ巨大化した。

 その時は、状況が状況だっただけに深く考えなかったが……………

 

 

―――でも、冗談抜きでドラちゃんはすごいわよ。これって、単純に巨大化したんじゃない。無から、それとも空気中に存在する物からなのかは分からないけど、体が大きくなったっていうより、体を作り出したって表現の方が正しいわ

 

―――だろうな。何もないところから鋼鉄を生み出すことのできる生物。そんなもんが存在すれば、鉄屋もクソ商売上がったりだ

 

―――まあ、もともと、ドラはよくわからん生物だからな。カラクリドラゴンとは奥が深い

 

―――うむ。そして、ドラを生み出したご主人様という者は、やはり只者ではないようでござるな

 

 

 って、気づけよ俺らはッ! じゃあ、今、巨大化しているドラは、別にこの巨大化は限界じゃない? もっと巨大化できるのか?

 

 

「待て待て、まだ続きがあるさー。『でも、生み出す鋼鉄の量が多ければ多いほどコントロールが難しくなるから、そこは仲間を頼りなさいさいさいったら、ほいほいっ! ドラちゃんの、大好きなツンデレ兄さんと、そのかわゆいかわゆい娘さんに手伝ってもらいなサーロインステーキ』とのことさー」

 

 

 えっ? 俺とコスモス? 俺とコスモスのことだよな? 俺がツンデレかどうかは別にして。

 なんか、いきなり話を振られ、俺もコスモスも首を傾げてしまった。

 

 

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