異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと   作:アニッキーブラッザー

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第446話 大決戦

「それならいいさー。じゃあ、ドラ。ヴェルト・ジーハと同調するさー。ヴェルト・ジーハの魔法操作の力を借り、必要物質を大気中から集め、そしてコスモスちゃんの創造の紋章眼でカスタマイズするさー」

 

「それって……つまり、俺とドラで騎獣一体し、コスモスの力で更にバージョンアップするってことか?」

 

「細かく言うなら、騎機一体? まあ、細かいことは抜きにして、大体そんなところさー」

 

 

 騎獣一体なら、ユズリハで慣らしたから、多分問題なく出来るだろう。

 ユズリハがいじけた様子で俺の腕に噛み付いてくるのは、とりあえず無視しよう。

 

 

「そのキジューイッタイとかいうのかは分からないっすけど、オイラと兄さんとコスモスちゃんで力を合わせれば、あの凄いのにも勝ってるってことすか? ハットリにいやん」

 

「……と、クロニアは思っているさー。ただ、クロニアは、能力だけはチートだけど、頭の中身は基本アホだから、そこらへんの計算が本当に正しいかどうかは微妙さー」

 

 

 計算違い? そうじゃねえ。いや、あいつがアホなのは別に否定しないが、問題なのは……

 

「ちげーだろ、ハットリ」

「朝倉?」

「あいつは計算してんじゃなくて、俺たちなら出来ると期待しているんだ。だから、それができなければ、あいつの計算が違っていたんじゃなくて、単純に俺らがあいつの期待に応えられなかったってことだよ」

 

 そして、神乃の期待を裏切ることは、そもそもの俺のすべての始まりの誓いを崩すことになる。

 

「俺が、この世界で旅を始めた理由は、この世界のどこかに居るかもしれない神乃と会うこと。会って、前世で言えなかったことを言って、そしてもしあいつが、転生したこの世界で何かを抱えているなら、力になってやりたい。そう思って、俺の旅は始まった」

 

 そうだ。先生と再会した七年前のあの日。ヴェルト・ジーハの生きる目的が生まれた。

 そして、それを果たすべき時は、「今」なんだ。

 

「ずるいわよ……そんなの……」

 

 すると、そんな俺の言葉に、ふてくされたアルーシャが呟いた。

 

「おいおい、なんだよ、別にそれぐらいは了承してくれたっていーじゃねーかよ」

「そうじゃなくて!」

「あっ?」

「ずるいのは、クロニア姫の方……美奈の方よ」

 

 はあ? 神乃が卑怯? どういうことだよ。

 

「ヴェルト君。二年前、私と再会した日のことを覚えているかしら?」

「……ああ……」

「その時、美奈のことも話題に出たの、覚えている?」

 

 ああ、話題に出たな。てか、口論になったし。フォルナの気持ちを知っていながら、神乃を探すのかとか、前世の未練に縛られているとか。

 だが、それでも俺はあの時、言った。

 

 

―――綾瀬。お前は元々俺がどんなクソ野郎か知ってたはずだ。毎日毎日くだらねえことの繰り返しで、生きる価値もねえ男だった

 

―――そんなことは…………

 

―――でもな、イザ死んでみると、やっぱり後悔した。それは、俺の人生はまだ生きたいと思えるほど楽しかったからだ。それを俺に教えてくれたのが、俺をそんな風に思わせたのが、神乃だったんだ

 

―――だからって、…………

 

―――俺は、あいつにまだ何も言ってねえ。何も返してねえ。そして、死んだら何も言えねえはずが、こうして生きてるんだ。だからどうしても伝えてえ。俺はお前に救われたって。楽しかったって。ありがとうって。………そして、もしあいつがこの世界で……何かを抱えてるんだったら、俺は力になってやりてえ。それが俺の前世とのケジメの付け方だ

 

 

 そう。これは、未練というよりはケジメだ。俺はそう言った。

 そして、それは今でも変わらず俺が心からそうしたいと思っていることだ。

 

「私たちがどれだけ努力してあなたと結ばれたと思っているの? 妻六人とか、同時に肌を重ねるとか……どれだけ妥協したと思っているの?」

 

 努力? 俺は罠にハメられて喰われただけのような気も……

 

「それなのに、君はこの世界では一度も会っていないあの子に未だに夢中。そんなの、私たちだって簡単には……」

 

 そんなの面白くないし。納得できない。まあ、気持ちも分からんでもない。

 すると、アルーシャは、とても複雑そうな顔を浮かべながらも、「それでも……」と続け…… 

 

「だから……それでも、あなたはケジメをつけるというのなら、約束して。……ちゃんとするって」

 

 ちゃんとって何をだ?

 

「何を? とかって聞いたら、本当に怒るわよ? 分からないなら、自分でちゃんと考えて。でも、約束して、ちゃんとするって! それを約束してくれなければ………」

 

 約束してくれなければ? どうなる? もう実家に帰らせてもらうか?

 いや……違った………

 

「私たち六人で、戦争を始めるから」

 

 もっと重かった。

 いや、何の戦争だよ! しかし、アルーシャのまるで意味の分からん言葉に、何故かフォルナたちだけは理解したかのように、頷いてる。

 

「ですわね。戦争が始まりますわ」

「私たち六人の世界同盟だ」

「私も絶対に引けません」

「うわ~、どいつもこいつも重いね~、あたしは別に認知さえしてくれりゃいいけどさ」

「そのクロニアだかカミノミナだか知らんが、その女……もし何かあったら、かみ殺してやる」

 

 半ば脅迫のような言葉とヨメーズの少し重苦しい迫力におされそうになったが、まあ、そこはマッキーじゃないが、男の責任と言うことで、「分かった」と頷いてやった。

 

「パッパ~、コスモスはどうするの?」

「コスモスは、ドラが一番かっこよくなるようにしてくれ?」

「かっこよく? う~~~~ん、分かった。前、遊んでくれたお姉ちゃんが教えてくれたのがあるから、それにする!」

 

 そのお姉ちゃんって、クロニアのことだったよな? あの女、やっぱどこかまでは計算してんのか?

 いや、あいつのことだからノリで教えた可能性も……

 

「コスモスも頑張るよ、パッパ! ピースちゃん助けるんだから!」

 

 ああ。そうだな。今は、それでいいんだ。

 友達を助けるために頑張る。何の計算もなしで純粋な気持ちで言えるコスモスを誇らしく思いながら、俺はコスモスを抱きかかえ、ドラに飛び乗った。

 

「兄さん」

「ん?」

「オイラ、今度こそやるっす。今やらないでいつやるか、今っす!」

「……それも御主人様に教えてもらったのか?」

「モチノロンっす!」

 

 まっ、怯えまくってたドラも、気合入ったみたいだし、それならかまわねーか。

 なら、あとはやるだけだ。

 俺は、準備OKの意味も込めて、ハットリに頷いた。

 

 

「OK~、それならいくさー。今、空間忍法を解除するさ~。解除した瞬間、ゴッドジラアの攻撃は再開されるから、ちゃんと防いでくれさー!」

 

 

 騎獣一体の感覚を思い出し、ドラと一つになる。

 コスモスは、俺とドラが創り出した鋼鉄で、新たなる力を創造する。

 

「頼みましたわ」

「約束よ!」

「コスモス、ヴェルト様、ドラさん、御武運を」

「お兄ちゃん、頼んだよ」

 

 神乃の、そして仲間たちの期待を背負い、空間忍法が解除された瞬間に俺たちは既に動いた。

 

「解!」

 

 まずは、壁。

 

 

「壁だ、コスモス!」

「うん!」

 

 

 まずは、全方位に向けられた弾丸を防ぐべく、ゴッドジラアの周囲を巨大な鋼鉄の板を並べ、防ぐ。

 

『なにこれ!』

『パナ……来たか……ヴェルト君』

 

 鋼鉄の壁が弾丸に撃たれて吹き飛ぶ。その威力におされて、壁がズシンと大地にめり込むように倒れるも、弾丸は誰にも届いてねえ。

 

「よし、攻撃は防いだ! コスモス、好きにやれ!」

「うん。いくよ~~~~!」

「頼んだっす、兄さん! コスモスちゃん!」

 

 俺たち二人だけを背に乗せて、ドラは空高く飛んだ。

 そしてその機体を変形させる。

 

 

「お、おお、おおおおお! おおおお! オイラ、オイラァ!」

 

 

 いや、それは、もはや変形などという生易しいものじゃねえかもしれねえ。

 鋼鉄の鎧、鋼鉄の両翼、鋼鉄の牙、全てが更に強固に、そして強大に、そして前人未到の進化の境地に達する。

 

「コスモスのお友達、助けるんだから! お姉ちゃんに教えてもらったの、使うもん!」

 

 底知れない怪物的な才能。俺やドラの力もあるとはいえ、ただの思い一つで、コスモスはここまで出来るのか?

 本当に、出来の悪い父親の魔力を継いでいるとは思えない怪物ぶりに舌を巻きながら、今、世界に新たなる歴史が誕生する。

 

 

「キタッスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

 

 

 ズシンと大陸全土が揺れているかのような地響きを響かせて、破壊神・メカ・ゴッドジラアと同等のサイズの全世界の守護神。

 それは、ただ、巨大化しただけじゃねえ。

 二つに分かれた巨大な尻尾。

 キリンのように伸びた強大な頭部。その頭部が、何故か三つ首になっている。

 

「うおおおおお、お、オイラ!」

「か、顔がッ!」

「顔が増えてるっすー!」

 

 顔全部がドラの意思統一されているみたいだが、しかし何故三つ首………ん? 三つ首のドラゴン?

 その瞬間、巨大な守護神の出現に世界が震え上がる中、前世組みだけはハッとした。

 そして……

 

 

「いくよーっ! 『メカ・キングドラ』ちゃんだよ! コスモスの友達つれてっちゃって、もう、おこなんだからね!」

 

 

 メカ……キング……ドラ………ほうほう………

 

 

『パナイパクリだあああああああああああああああああああああああああああっ!』

 

「お前もパクリだろうがァ! 人の娘の作品にケチつけんじゃねえ!」

 

 

 いや、パクリだけどな。

 思わずスピーカーからツッコミ入れたマッキーに対して、俺もムキになって反論したが、紛れもないパクリだ。

 しかも、よりにもよって、何で怪獣大決戦が続行されてんだよ。もういっそのこと、誰かテレビカメラもって現われねえか?

 

 

『ひはははは、やるね~、さすがヴェルト君! まさか、こんなビックリドッキリを隠し持っていた……と思っていたよ。どんな時でも俺たちを驚かせてくれるヴェルト君だもんね』

 

 

 つか、俺もあんまり特撮には詳しくないが、確か………

 

 

『でも、こっちはゴッドジラア。無敵の破壊神。そして、そのキングドラは、ゴッドジラアに負けた怪獣だよ?』

 

 

 だよな? ゴッドジラアという怪獣映画は日本の国民的文化の一つとして有名で、そして多くの怪獣が生み出されるも、冷めたネタバレしちまえば、全員最後はゴッドジラアに負けるんだよな。

 だから、ゴッドジラアに敗れる怪獣をこの場で召喚することは、あまり縁起がいいとは言えない。

 でも……

 

 

「確かにそうだな。マッキー。でも、ゴッドジラアは、キングドラと、そして俺とコスモスのタッグとまで戦ったわけじゃねえだろ?」

 

『…………ぷっ、ひははははははははははは! ……そりゃそーだ! ひはははははは!』

 

 

 そう、それでも、「俺たち」は勝つ。そのために今、ここに居る。

 ここで、全てを終わらせる……

 

 

「いくぜ、マッキー………そして、加賀美………世話になったな」

 

『うん。……いくよ、ヴェルト君……そして朝倉君……楽しかったよ』

 

 

 大怪獣の力を借り、世界の英雄たちが呆然と見守る中、俺たちの最後の決戦が始まった。

 

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